夏休みに不登校の子どもと過ごす5つのコツ
不登校のお子さんがいるご家庭にとって、夏休みは、気持ちが複雑になりやすい時期ではないでしょうか。登校のプレッシャーが一時的に和らぎ、ほっとする一方で、「このまま2学期を迎えられるのか」「昼夜逆転が進んでしまった」「一日中家にいて、どう接すればいいのか」と、新たな悩みが出てくることもあります。この記事では、夏休みに不登校の子どもと過ごすコツを、親御さんが楽になる考え方とあわせて整理しました。正解はひとつではありませんが、ご家庭に合う部分を、取り入れていただければと思います。
不登校の夏休み
5つのコツ
| コツ | ポイント |
|---|---|
| 安心できる家庭をつくる | 責めず、否定せず、気持ちを受け止める |
| 生活リズムをゆるく整える | 完璧を求めず、起きる時間だけ意識する |
| 学びは本人のペースで | 興味を示したときに、選択肢を用意する |
| 外との接点を無理なくもつ | 散歩や短い外出など、小さな一歩から |
| 親自身も休む | 相談先を持ち、自分を責めすぎない |
1. 安心できる家庭をつくる
夏休み中、お子さんが一日中家にいると、親御さんは、つい「何かさせなければ」と焦りがちです。しかし、不登校のお子さんにとって、家庭が安心できる場所であることが、何より大切だと言われています。叱ったり、責めたりする言葉を避け、「今日もゆっくりできた?」といった、穏やかな声かけを意識してみてください。お子さんが何も話さない日があっても、側にいること自体が、安心感につながります。
2. 生活リズムをゆるく整える
夏休みは、夜更かしと朝寝坊が続き、昼夜逆転になりやすい時期です。昼夜逆転は、心や体の疲れを反映している場合もあり、無理に直そうとすると、かえって反発を招くことがあります。まずは「起きる時間を毎日30分だけ早める」「朝にカーテンを開ける」など、小さな工夫から始めてみてください。完璧に整えることよりも、少しずつ、整える方向に向かうことを大切にします。
3. 学びは本人のペースで
夏休みの宿題や、遅れた学習のことが気になる親御さんも多いと思います。ただ、本人の気持ちが不安定なときに、勉強を強く促すと、プレッシャーになることがあります。「やってみたい」と本人が思えたときに、すぐ取り組めるよう、教材やオンライン学習などの選択肢を、そっと用意しておく程度が、ちょうどよい場合もあります。ゲームや読書、動画など、好きなことに没頭する時間も、立派な学びや回復の時間として捉えてみてください。
4. 外との接点を無理なくもつ
家にこもりきりの状態が続くと、親御さんは不安になりますが、無理に外へ連れ出そうとするのは禁物です。夜に散歩に出かける、家族と車で出かける、近所のコンビニに行くなど、負担の少ない外出から始めてみましょう。オンラインでのつながりや、少人数の居場所など、お子さんが安心できる外との接点を、一緒に探してみるのも、ひとつの方法です。
5. 親自身も休む
お子さんを支える親御さん自身が疲れてしまっては、長く寄り添い続けることが難しくなります。夏休み中は、一日中お子さんと一緒に過ごすことで、休む時間が取れず、心身の疲れが蓄積しやすい時期でもあります。短い時間でも、自分のための時間を確保したり、信頼できる人に話を聞いてもらったりしてください。親御さんが少しでも楽になることが、お子さんの安心にも、つながります。
不登校の夏休みで起こりやすい悩み
夏休み中は、不登校のご家庭に、共通して起こりやすい悩みがあります。同じ悩みを抱えている家庭は少なくありません。
昼夜逆転が進んでしまった
昼夜逆転は、不登校の夏休みで、最も多い悩みのひとつです。夜に活動するほうが、人目や物音を気にせずにすむため、安心できるという子もいます。叱って直そうとするよりも、「どうしたら少し楽になりそう?」と一緒に考える姿勢が大切です。起きる時間を少しずつ早める、昼間に光を浴びる、夜のスマホ時間にゆるいルールをつくるなど、小さな工夫を積み重ねてください。それでも整わない場合は、医療機関や相談窓口に相談する方法もあります。
ゲームや動画ばかりで心配
一日中ゲームや動画に向かっている姿を見ると、将来が不安になる親御さんも多いと思います。ただ、不登校のお子さんにとって、ゲームや動画は、気持ちを落ち着けたり、友達とつながったりする大切な手段になっていることもあります。時間の長さだけを問題にするのではなく、どんな気持ちで向き合っているのかに目を向けてみてください。ルールを決めるときは、お子さん自身と話し合って、納得感のある形をめざします。
親子で衝突してしまう
一日中一緒に過ごす時間が増えると、些細なことで衝突することもあります。お互いに疲れているときは、距離を置くことも大切です。自室で過ごす時間、別々に過ごす時間をつくるなど、適度な距離感を保つ工夫をしてみてください。衝突してしまっても、後で「さっきは言いすぎたね」と伝えることで、関係は修復できます。
きょうだいや親戚との関係
夏休みには、親戚の集まりや、きょうだいの予定など、不登校のお子さんが気を遣う場面も増えます。無理に参加させず、本人が不安に感じる場面は、事前に断る、短時間で切り上げるなど、配慮してあげましょう。きょうだいにも、気持ちを聞く時間をつくることが大切です。
周囲の目が気になる
近所の人や親戚から、「学校は?」と聞かれて、つらい思いをする親御さんもいます。答えたくないときは、「今は家で過ごしているんです」程度にとどめ、詳しく説明しなくても大丈夫です。周囲の言葉に振り回されすぎず、お子さんの安心を優先してください。
夏休みの1日は
ゆるく整える

夏休み中に親ができる、具体的な関わり方
ここでは、日常の中で実践しやすい関わり方を、具体的に紹介します。無理のない範囲で、取り入れてみてください。
話しかけるときの工夫
話しかけるときは、答えやすい問いかけを心がけましょう。「どうして学校に行かないの?」といった理由を問い詰める質問より、「今日は何を食べたい?」「何か手伝おうか?」といった、気軽な言葉のほうが、コミュニケーションを続けやすくなります。返事がなくても、「ここにいるよ」というメッセージが伝わっていれば十分です。
一緒に過ごす時間をつくる
一緒に食事をする、料理をする、動画を見る、ゲームをするなど、お子さんの好きなことを一緒に楽しむ時間は、信頼関係を深める機会になります。こちらから何かを教えたり、評価したりするのではなく、同じ時間を共有することを大切にしてください。
小さな「できた」を認める
起きられた、食事がとれた、少し外に出られたなど、小さなことでも、できたことを認める声かけは、お子さんの自己肯定感を支えます。大げさにほめる必要はなく、「ありがとう」「助かったよ」といった自然な言葉で十分です。
選択肢を一緒に考える
将来のことや、学校のことを話題にするときは、決めさせるのではなく、選択肢を一緒に考える姿勢で臨みましょう。お子さんが話したいと思ったときに、いつでも受け止められるよう、心の準備をしておくことが大切です。
家族のルールを見直す
夏休みの間は、家族全体の生活リズムも崩れがちです。お子さんだけに変化を求めるのではなく、家族みんなで、無理のないルールを話し合い、見直してみるのもよい機会です。食事の時間、家事の分担、スマホの使い方など、家族で納得できる形を探します。
親御さんが楽になる、考え方のヒント
不登校のお子さんを支える親御さんは、毎日、さまざまな不安や葛藤を抱えています。ここでは、気持ちを少しでも楽にするための、考え方のヒントを紹介します。
「親の育て方のせい」と自分を責めない
不登校の原因は、ひとつに特定できないことがほとんどです。学校の環境、人間関係、本人の特性、体調など、さまざまな要因が重なっています。親御さんが自分を責めすぎると、気持ちに余裕がなくなり、お子さんへの関わりも、つらいものになってしまいます。自分を責める気持ちが出てきたときは、「できる範囲で、精一杯向き合っている」と、自分に声をかけてあげてください。
「今」だけでなく、長い目で見る
不登校の状態は、永遠に続くわけではありません。時間をかけて、少しずつ気持ちが整っていき、自分なりの進路を見つけていく子どもたちも、たくさんいます。今の状況だけを見て悲観するのではなく、長い目で、お子さんの歩みを見守る視点を持つと、気持ちが落ち着きやすくなります。
比べない
周りの子どもたちと比べると、焦りや不安が強くなりがちです。SNSで見かける同級生の夏休みの様子に、胸が痛むこともあるかもしれません。しかし、お子さんにとって必要な時間は、一人ひとり違います。比べる相手は、他の子ではなく、少し前のお子さん自身です。小さな変化に目を向けてみてください。
「何もしない時間」の意味
一見、何もしていないように見える時間でも、お子さんの心の中では、エネルギーを回復させている場合があります。無理に何かをさせるよりも、休む時間を保障してあげることが、回復につながると言われています。「休むこと」も、大切な過程のひとつです。
完璧な親を目指さない
毎日穏やかに接し続けることは、誰にとっても難しいものです。ときには、イライラして声を荒げてしまうこともあるでしょう。完璧を目指さず、うまくいかなかった日は、「明日またやり直せばいい」と考えてください。親が完璧でなくても、お子さんは、愛されていると感じることができます。

頼れる場所・相談先を持つ
不登校の悩みは、家庭の中だけで抱え込むと、苦しくなりがちです。夏休み中でも相談できる場所を、あらかじめ知っておくと、安心です。
学校やスクールカウンセラー
夏休み中でも、学校に連絡すれば、担任や相談担当の先生と話せる場合があります。スクールカウンセラーの来校日が決まっている学校もあるため、事前に確認しておきましょう。
教育支援センターや自治体の窓口
多くの自治体には、教育支援センター(適応指導教室)や、教育相談窓口が設けられています。不登校のお子さんの居場所や、保護者向けの相談を受け付けている場合があります。お住まいの自治体の情報を、確認してみてください。
フリースクールや居場所
学校以外の学びの場として、フリースクールや、地域の居場所などがあります。夏休み中に見学や体験を受け付けているところも多く、お子さんの興味や状態に合わせて、選択肢を広げることができます。利用の際は、費用や雰囲気を事前に確認しておきましょう。
保護者同士のつながり
同じ立場の保護者との交流は、悩みを共有し、気持ちが楽になるきっかけになることがあります。親の会やオンラインのコミュニティなど、無理のない形で参加できる場を探してみてください。
医療機関への相談
眠れない、食欲がない、強い不安や落ち込みが続くなど、心や体の不調が目立つ場合は、医療機関への相談も選択肢です。まずは、かかりつけ医や、地域の相談窓口に、相談してみるのもよいでしょう。
夏休み明けに向けて、どう備えるか
夏休みの終わりが近づくと、お子さんも親御さんも、不安が強まりやすい時期です。無理に登校を目標にするのではなく、気持ちの負担を軽くする備えを、考えてみましょう。
夏休み明けの不安に寄り添う
休み明けが近づくと、お子さんが落ち着かなくなったり、体調不良を訴えたりすることがあります。これは、不安の表れである場合が多く、「行かなくてもいいよ」と言える状態でなくても、気持ちを受け止めることが大切です。「不安なんだね」と、言葉にして受け止めてあげてください。
登校以外の選択肢も、視野に入れる
学校に戻ることだけが、唯一の道ではありません。通信制高校、フリースクール、オンラインでの学習、サポート校など、さまざまな学びの形があります。お子さんの気持ちに余裕があるときに、選択肢について、少しずつ情報を共有してみてください。
学校との連絡方法を決めておく
休み明けの連絡方法や、欠席時の対応について、事前に学校と相談しておくと、お子さんも親御さんも安心です。担任とのやりとりの方法、保護者のみの面談、登校できない日の過ごし方など、無理のない形を話し合っておきましょう。
小さな目標を設定する
2学期の目標を立てるときは、「毎日登校する」のような大きな目標ではなく、「朝に起きる」「先生と連絡を取る」など、達成しやすい小さな目標から始めましょう。小さな成功体験の積み重ねが、自信につながります。

不登校でも、夏休みにできる小さな体験のアイデア
お子さんの気持ちに余裕があるときは、無理のない範囲で、いろいろな体験を試してみるのもひとつの方法です。ここでは、取り組みやすいアイデアを紹介します。あくまで、本人が興味を示したときに、選択肢として提案する程度にとどめてください。
家の中でできること
料理やお菓子づくり、イラストや工作、音楽、読書、プログラミング、オンライン講座など、家の中でも、挑戦できることはたくさんあります。親子で一緒に取り組める内容なら、会話のきっかけにもなります。完成度や成果を求めず、取り組んだ過程を楽しむ姿勢を大切にしてください。
近所でできること
夜の散歩、図書館、公園、近所のお店への買い物など、人の少ない時間帯を選べば、外に出る練習になります。慣れてきたら、少し足を延ばして、美術館や科学館など、興味のある場所に出かけてみるのもよいでしょう。
オンラインのつながり
オンラインのイベントや、同じ趣味を持つ人とのコミュニティ、フリースクールのオンライン交流会など、顔を合わせなくても参加できる場もあります。自宅から参加できるため、外出に不安があるお子さんにも、取り組みやすい方法です。
進路を知るきっかけとして
夏休みは、通信制高校やサポート校など、学校以外の学びの場の説明会や体験会が開催される時期でもあります。オンライン説明会や、保護者だけの参加など、負担の少ない方法で、情報に触れておくと、休み明けの選択肢を広げることにつながります。ただし、決断を急ぐ必要はありません。
夏休みは、不登校のお子さんと、親御さんが、ゆっくり向き合える時期でもあります。完璧を目指さず、安心して過ごせる時間を積み重ねていってください。

兄弟姉妹・祖父母など、家族との関わりで気をつけたいこと
夏休みは、家族が集まる機会も増えます。不登校のお子さんにとって、家族との関わりは、安心にも、負担にもなり得ます。事前に家族で共通の理解を持っておくと、お子さんが過ごしやすくなります。
きょうだいへの配慮
不登校のお子さんにばかり意識が向くと、きょうだいが寂しさや不公平感を抱くことがあります。きょうだいにも、個別に話を聞く時間をつくり、気持ちを受け止めてあげてください。きょうだいが不登校のお子さんを気遣いすぎている場合は、「あなたはあなたのことを優先していいよ」と、伝えることも大切です。
祖父母や親戚との関わり
帰省や親戚の集まりで、「学校は?」「どうして行かないの?」と聞かれ、お子さんが傷つくことがあります。事前に、祖父母や親戚に状況を簡単に伝えておき、お子さんに直接尋ねないよう、お願いしておくと安心です。お子さんが参加したくない場合は、無理をさせない判断も大切です。
夫婦・パートナー間の連携
親同士で、対応の方針が異なると、お子さんが混乱したり、親御さん自身が孤立感を深めたりすることがあります。お子さんのいないところで、気持ちや考えを共有し合い、できる範囲で足並みをそろえておくと、日々の関わりが安定しやすくなります。
家族みんなが無理をしない工夫
お子さんの状態に合わせて、家族全員が少しずつ譲り合うことが、長く続けるためのコツです。誰かひとりに負担が集中しないよう、家事や役割を分け合い、困ったときは遠慮せずに助けを求めてください。家族が笑顔でいられる時間を持てることも、お子さんの安心につながります。
ニジ高(NIJIN高等学院)ができること
NIJIN高等学院は、オンラインを中心に、一人ひとりのペースに合わせて学べる通信制サポート校です。「何から始めればよいか分からない」「まずは話を聞いてみたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。個別相談や、資料請求から、まずは情報を集めることもできます。
よくある質問
無理に促す必要はありません。本人が落ち着いていて、興味を示したときに、できる範囲で取り組めるよう、環境を整えておく程度で十分です。
頭ごなしに叱ると、親子関係が悪化することがあります。まずは理由を聞き、少しずつ整えていく方法を一緒に考えてみてください。
登校を目標にするより、本人の気持ちを聞きながら、生活リズムを整えたり、相談先を確認したりすることが、準備になります。
自分を責めず、休む時間をつくることが大切です。相談窓口や、同じ立場の保護者の集まりなど、頼れる場を持つことも助けになります。
周囲が休みで、登校のプレッシャーが和らぐ一方、休み明けの不安を感じる子も多くいます。個人差が大きい時期です。

まとめ
- 夏休みは、周囲との差が目立ちにくく、親子で過ごし方を見直せる時期
- 勉強や生活リズムは、完璧を求めず、できる範囲で整える
- 親自身が楽になる考え方を持つことが、子どもの安心につながる
- 休み明けの不安には、早めの相談と、小さな準備で対応する
夏休みは、不登校のお子さんと親御さんが、ゆっくり向き合える時期でもあります。完璧を目指さず、安心して過ごせる時間を、少しずつ積み重ねていってください。
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執筆者:ニジ高編集部 2026年10月21日更新
参考文献
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」(本人のペースを尊重する支援の考え方)
- お住まいの自治体の教育支援センター・教育委員会・保健センターの相談窓口
- 厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570-064-556)・「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)



