通信制高校に在籍しながら、大学進学を目指したい。そう考えたとき、「どんな勉強をすればいいのか」「大学入試の仕組みはどこで調べればいいのか」と不安を感じる方は少なくありません。
この記事は、通信制高校から大学を目指している高校生と、その保護者の方に向けて書いています。先に、いちばん大事なことを書きます。通信制高校から大学に進む人は、この10年で大きく増えています。そして、合格に近づけるかどうかを分けるのは、いまの学力よりも「進路を一緒に考えてくれる相手がいるかどうか」です。
通信制高校からの大学進学はどれくらい増えているのか。なぜ通信制では進路相談の相手が大切なのか。どの入試方式を選べばいいのか。いつ何をすればいいのか。公的な統計をもとに整理しました。
入試方式の選び方は、通信制高校から大学へ|総合型・学校推薦型と一般選抜、どちらを選ぶかの決め方でも詳しく整理しています。
結論:通信制高校から大学受験、の早見
- 通信制高校の卒業者のうち、大学(学部)に進む人は21.2%。2015年度の13.5%から大きく増え、進学者の数は約2.6倍になっています。
- 自由度の高さは、受験では壁にもなります。「いつ、何を、どれだけ」を自分だけで決め続けるのは、想像以上に難しいことです。
- 大学入学者の半分以上は、総合型選抜か学校推薦型選抜で入学しています。入試方式の選び方しだいで、準備の中身は大きく変わります。
- 進路相談で整理したいのは3つ。行きたい方向、入試方式、そこから逆算した時間割です。
- 「進学は自分には無理」は、思い込みかもしれません。大切なのは今の学力より、これから一緒に歩んでくれる相手がいるかどうかです。
- 相談する相手は、学校の先生だけではありません。サポート校、塾、大学のオープンキャンパスの相談コーナーなども使えます。
数字で見ると、通信制高校から大学へ進む人は増えています
「通信制高校から大学は難しいのでは」というイメージを持っている方もいるかもしれません。まず、実際の数字を確認します。
| 年度 | 通信制高校卒業者の大学(学部)進学率 |
|---|---|
| 2015年度 | 13.5% |
| 2018年度 | 15.4% |
| 2020年度 | 13.9% |
| 2022年度 | 18.0% |
| 2024年度 | 21.2% |
※出典=文部科学省「学校基本調査」をもとにしたリクルート進学総研「マーケットリポート2024 高校の通信制課程 その現状と卒業生の進路変化」(2025年3月)。大学進学者の数は、2015年度の6,974人から2024年度は17,917人に増えています。2026年9月時点の公表値です。

通信制高校の卒業者のうち、大学(学部)に進む人の割合は、この10年で13.5%から21.2%に増えました。人数では約2.6倍です。通信制高校から大学を目指すことは、もう特別な進路ではありません。
一方で、全日制・定時制を含めた高校卒業者全体では、大学(学部)への進学率は58.6%です(令和7年3月卒業者、文部科学省「学校基本調査」)。通信制には、就職や専門学校を選ぶ人、卒業後にじっくり考える人も多く、単純には比べられません。ただ、大学を目指す人にとっては、周りに同じ目標の人が少なく、情報も入りにくい環境になりやすいことは知っておいたほうがいいでしょう。
なぜ通信制高校では「進路相談の相手」が大切なのか
1. 自由度の高さが、逆に壁になる
通信制高校の魅力のひとつは、学習スケジュールの自由度の高さです。登校日数が少なく、自分のペースで学べる環境は、多くの生徒にとって大きな支えになります。
けれども、大学進学を目指すとなると、この自由度が逆に壁になることがあります。「いつ、何を、どれだけ勉強すればいいか」を自分だけで判断し続けるのは、想像以上に難しいからです。全日制なら時間割や定期テストが自然と区切りをつくってくれますが、通信制ではその区切りを自分でつくる必要があります。
2. 入試の仕組みが、年々複雑になっている
大学入試は、一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜と方式が分かれ、大学ごとに出願条件やスケジュールも違います。「自分に合った受験方式はどれか」を一人ですべて整理するのは、現実的にかなりハードルが高いことです。
3. 周りに、同じ目標の人が見えにくい
全日制の高校なら、教室の雰囲気や友達の話から、受験の時期や準備の進み具合を自然と知ることができます。通信制では、そうした情報が入りにくく、「自分だけ遅れているのでは」という不安を一人で抱えがちです。

入試方式を知ると、準備の中身が変わる
大学入試には、大きく分けて3つの方式があります。どの方式を選ぶかで、高校生活の過ごし方も変わります。
| 入試方式 | 主に見られること | 通信制高校生にとってのポイント |
|---|---|---|
| 一般選抜 | 学力試験(共通テストや大学独自の試験) | 自分のペースで勉強時間を確保しやすい。計画づくりがカギ |
| 学校推薦型選抜 | 高校の成績、学校長の推薦、面接など | 在籍校の推薦枠や評定の条件を早めに確認する |
| 総合型選抜 | 志望理由、活動の実績、面接や小論文など | 自分で取り組んだプロジェクトや経験が強みになる |
| 選抜区分 | 令和7年度の大学入学者の割合 |
|---|---|
| 一般選抜 | 46.4% |
| 学校推薦型選抜 | 34.1% |
| 総合型選抜 | 19.5%(前年度16.1%から増加) |
※出典=文部科学省「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」。2026年9月時点の公表値です。
大学入学者の半分以上が、総合型選抜か学校推薦型選抜で入学しています。通信制高校では、時間を自分で使えるぶん、好きなことに打ち込んだり、自分でプロジェクトを進めたりした経験を積みやすい面があります。それは、総合型選抜で「何に取り組み、何を考えたか」を語るときの材料になります。
総合型選抜では、志望理由書や面接で「なぜこの大学で、この分野を学びたいのか」を自分の言葉で説明することが求められます。高校生活の中で取り組んだことと、大学で学びたいことがつながっていると、説得力のある志望理由になります。だからこそ、1・2年生のうちから、取り組んだことを記録しておくことが役に立ちます。
もちろん、一般選抜で挑戦することもできます。大切なのは、早い時期に方式の見当をつけて、そこから準備を逆算することです。
進路相談で整理したい3つのこと
進路相談というと、「志望校を決める場」と思われがちです。けれども、最初から志望校を決める必要はありません。相談の場では、次の3つを順番に整理していくと進めやすくなります。
- 行きたい方向。学びたい分野、やってみたい仕事、興味があること。まだはっきりしていなくても、「これは好き」「これは苦手」くらいで十分です。
- 入試方式。一般選抜で学力勝負をするのか、総合型選抜で経験を語るのか。いまの自分の状況と、残りの時間から考えます。
- 逆算した時間割。出願や試験の時期から逆算して、いつまでに何を終えるかを決めます。1週間単位の予定まで落とし込めると、迷う時間が減ります。

学年ごとの準備の目安
入学した時期や在籍年数によって違いはありますが、3年間で卒業を目指す場合の目安は次のとおりです。
| 時期 | やっておきたいこと |
|---|---|
| 1年生 | レポートと単位の修得を安定させる。英語や数学など、基礎の復習を少しずつ始める。興味のあることに取り組んでみる |
| 2年生 | 行きたい分野を絞り、オープンキャンパスに参加する。入試方式の見当をつけ、評定や資格などの条件を確認する |
| 3年生(前半) | 志望校と入試方式を決める。総合型選抜なら志望理由書や活動のまとめ、一般選抜なら過去問に取り組む |
| 3年生(後半) | 出願手続きを確認し、面接・小論文・試験の対策を進める。体調管理も受験の一部と考える |
通信制高校では、まず卒業に必要な単位を確実に積み重ねることが、受験勉強の土台になります。受験勉強に集中しすぎて、レポートの提出が遅れてしまうと、卒業そのものが危うくなることもあります。単位の進み具合と受験の準備を、両方あわせて見てくれる相手がいると安心です。
自宅学習を続けるコツは、通信制高校から大学進学を目指す勉強法|自宅学習を「続く形」にする3つの工夫にまとめています。
1週間の時間割にしてみる
通信制高校で受験を目指すときは、1週間の予定を「レポート・スクーリング」「受験勉強」「休む時間」の3つに分けて考えると、無理のない計画になります。たとえば、平日の午前はレポートを進める、午後は受験科目を1つか2つ、週に1日は何もしない日をつくる、というように決めておきます。
ポイントは、最初から詰め込みすぎないことです。自由な時間が多いと、つい理想の計画を立ててしまいます。けれども、計画どおりに進まない日が続くと、自信をなくしてしまいます。「これなら続けられる」と思える量から始めて、慣れてきたら少しずつ増やしていく方が、結果的に長く続きます。
そして、1週間の終わりに、進み具合を誰かに話す時間をつくってください。計画を立てることより、計画を見直すことのほうが大切です。うまくいかなかった週も、「なぜ進まなかったか」を一緒に振り返れば、次の週の計画がよくなります。

オープンキャンパスと受験費用も、早めに確認を
通信制高校に通っていると、大学のことを知る機会が少なくなりがちです。オープンキャンパスは、2年生のうちから積極的に使ってください。学部の雰囲気がわかるだけでなく、入試担当者に「通信制高校からの入学者はいますか」「総合型選抜ではどんなことが見られますか」と直接聞くことができます。オンラインで参加できるオープンキャンパスを開いている大学も多いので、遠くの大学も比べやすくなっています。
また、受験にはお金もかかります。受験料、共通テストの検定料、試験会場までの交通費、合格後の入学金などです。いくつの大学を、どの方式で受けるかによって金額は大きく変わるので、3年生になる前に、保護者と一緒に大まかな予算を確認しておくと、出願の時期に慌てずに済みます。奨学金の情報も、早めに調べておきましょう。
「進学は自分には無理」は思い込みかもしれない
「進学を目指すのは、成績がいい人だけ」と感じている方もいるかもしれません。けれども実際には、「勉強が苦手だったけれど、もう一度がんばってみたい」という気持ちを持つ生徒が、相談を重ねながら前向きに歩みを進めている例は少なくありません。
不登校や中退を経験した人の中には、学習に空白の期間がある人もいます。そこから大学を目指すには、どこまで戻って学び直すかを見極めることが大切です。中学の内容から復習したほうが、結果的に早く進むこともあります。それを一人で判断するのは難しいからこそ、相談できる相手が必要です。
大切なのは、今の学力ではありません。これから一緒に歩んでくれる相手がいるかどうかです。
相談できる相手は、ひとりでなくていい
進路相談の相手は、ひとりに決める必要はありません。それぞれに得意なことがあります。
| 相談先 | 得意なこと |
|---|---|
| 在籍している通信制高校の先生 | 卒業に必要な単位、推薦の条件、調査書などの手続き |
| サポート校の担任・スタッフ | 日々の学習の進み具合の確認、学習計画、気持ちの面の支え |
| 塾や予備校 | 教科ごとの受験対策、過去問演習、模試 |
| 大学のオープンキャンパス | 学部の雰囲気、入試方式の詳しい説明、個別の質問 |
| 保護者 | 費用や生活面の相談、いちばん身近な応援 |
保護者の方にお願いしたいのは、成績や模試の結果だけで一喜一憂しないことです。通信制高校から大学を目指す道のりには、波があります。調子が悪い時期に「このままで大丈夫?」と言われると、本人は追い詰められてしまいます。「どう進めてる?」「困っていることはある?」と、進め方を一緒に確認する姿勢で関わってみてください。
もし、いま読んでいるのが本人なら
ここまで保護者向けの内容も書いてきましたが、自分で調べてこの記事にたどり着いた人もいると思います。その人に向けて、短く書きます。
通信制高校から大学を目指すのは、無謀なことではありません。毎年、たくさんの先輩がこの道を通って大学に進んでいます。
- 最初に志望校を決めなくていい。「何を学んでみたいか」から考えれば十分です。
- 一人で計画を抱えない。週に一度でも、進み具合を話せる相手をつくってください。
- いまやっていることを、記録に残す。好きなことや取り組んだことは、総合型選抜で自分の言葉になります。
受験勉強がうまく進まない日があっても、それは通信制を選んだからではありません。どんな高校に通っていても、受験には波があります。うまくいかなかった日は、それを話せる相手に話して、次の日にもう一度始めれば大丈夫です。
NIJIN高等学院の考える「伴走」
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、通信制高校と連携して学びを支える通信制サポート校です。オンライン中心で、全国どこからでも、海外からでも参加できます。
ニジ高では、一人ひとりの興味や目標に合わせた学び「マイプロジェクト」を軸にしています。担任が学習の進み具合や気持ちの変化を一緒に見ながら、「何から手をつければいいか分からない」という状態から一歩踏み出せるよう、そばで伴走します。自分で取り組んだプロジェクトの経験は、総合型選抜で自分の言葉として語れる材料にもなります。
ニジ高は、オンラインオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の高等部です。小中学生から大学生、社会人まで、世代を越えて関われる環境があり、大学生や社会人の話を身近に聞けることも、進路を考えるきっかけになります。
正直な注意点も書いておきます。学院内でのスクーリングはありません。高卒資格を得るには、提携する通信制高校のスクーリングに参加する必要があり、私たちはその準備と当日を支える立場です。また、教科ごとの受験対策を集中的に行いたい場合は、塾や予備校と組み合わせる形をおすすめすることもあります。進学の実績や具体的なサポート内容は、個別相談で詳しくお伝えします。学費は学費のご案内で公開しています。


「うちの子には進学は難しいかも」と感じている方こそ
個別相談会では、いまの学習の状況と興味をうかがいながら、大学進学に向けて何から始めればいいかを一緒に整理します。保護者の方だけの参加もできます。
よくある質問
できます。通信制高校を卒業すれば、全日制と同じ高校卒業の資格が得られ、大学の受験資格があります。通信制高校の卒業者のうち、大学(学部)に進む人は21.2%(2024年度)で、この10年で大きく増えています。
学校推薦型選抜では、在籍している高校の推薦枠や、評定平均の条件があります。条件は大学や在籍校によって違うので、2年生のうちに確認しておくと安心です。総合型選抜は、高校の種類よりも、志望理由や取り組んだ経験が重視される傾向があります。
まずは、どこまで戻って学び直すかを見極めることです。英語や数学は積み重ねの教科なので、中学の内容から復習したほうが、結果的に早く進むこともあります。一人で判断が難しいときは、相談できる相手と一緒に確認してください。
志望校や入試方式によります。一般選抜で難関大学を目指す場合は、教科ごとの対策に塾や予備校を使う人も多いです。学習計画と日々の伴走はサポート校、教科の対策は塾、というように役割を分けて組み合わせる方法もあります。
計画を立てるのは本人と相談相手に任せて、保護者は生活面の支えと、費用や手続きの確認に回るのがおすすめです。模試の結果に一喜一憂せず、「困っていることはある?」と声をかけるくらいの距離感が、本人にとって心強い支えになります。
大学への道は、ひとりで歩かなくていい
通信制高校から大学へ進む人は、年々増えています。自由に時間を使えることは、受験の壁にもなりますが、うまく使えば大きな強みにもなります。
やることは多くありません。行きたい方向を、ぼんやりでも言葉にすること。入試方式の見当をつけること。そこから逆算して、1週間の時間割をつくること。そして、進み具合を話せる相手を持つこと。
「何から始めればいいか分からない」ときのために、入口だけ置いておきます。今日でなくて大丈夫です。

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