「看護師になりたい。でも、通信制高校からで大丈夫なのかな」。不登校や体調のことで通信制高校を選んだ人、これから選ぼうとしている人の中には、そんな不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。
この記事は、看護師を目指したい通信制高校の生徒と、その保護者の方に向けて書いています。先に結論をお伝えすると、通信制高校からでも看護師は目指せます。看護師の国家試験を受けるために必要なのは、看護師を育てる学校(大学・短大・専門学校など)を卒業することで、どの課程の高校を出たかは問われません。
そのうえで、看護の学校に入ってから困らないように、通信制高校にいるうちに準備しておきたいことがあります。看護師になるまでの道のり、国の最新データ、在学中の準備を順に整理しました。
結論:通信制高校から看護師を目指すための早見
- 通信制高校の卒業資格は、全日制と同じ高校卒業資格です。看護の大学・専門学校を受験できます。
- 看護師になるには、看護師を育てる学校を卒業して国家試験に合格する必要があります。2026年の国家試験の合格率は88.3%、新卒では94.1%でした。
- 主な道は3つ。看護大学(4年)、看護短大・看護専門学校(3年)、准看護師を経て看護師になる道です。
- 看護の学校は、実習と出席がとても大切です。高校のうちに、生活リズムと体力を整えておきましょう。
- 理科(生物・化学)と数学は、早めに確認を。通信制高校で開講されているか、入試で必要かを調べておきます。
- お金の支えもあります。多くの都道府県に、看護職を目指す人向けの修学資金の制度があります。
通信制高校からでも、看護師は目指せる
通信制高校を卒業すると、全日制・定時制と同じ高校卒業資格が得られます。看護大学や看護専門学校の出願資格は「高校を卒業した人(見込みを含む)」とされていることが一般的で、通信制高校の卒業生も受験できます。
実際に、通信制高校の卒業生のうち28.6%が大学などへ、22.9%が専門学校へ進学しています(文部科学省「学校基本調査」、2024年度の卒業生)。看護の学校も、その進学先のひとつです。
ニジ高の生徒インタビューでも、入院中に支えてくれた医師や看護師との出会いから、「介護士や看護師になりたい」という夢を見つけた生徒の話を紹介しています。つらい経験をしたからこそ、人を支える仕事を目指す。そんな思いを持つ人にとって、看護は大切な選択肢です。
看護師になるまでの道は、大きく3つ
看護師は国家資格です。看護師を育てる学校で学び、国家試験に合格して、はじめて看護師として働けます。高校を卒業してからの主な道は次のとおりです。
| 道 | 学ぶ期間 | 特徴 |
|---|---|---|
| 看護大学(4年制) | 4年 | 看護師の受験資格に加え、保健師・助産師の課程がある大学も。学ぶ内容が幅広い |
| 看護短大・看護専門学校(3年課程) | 3年 | 最短の3年で国家試験の受験資格が得られる。実習の比重が大きい |
| 准看護師を経て看護師へ | 准看護学校2年+看護師2年課程 | 准看護師(都道府県の資格)として働きながら、看護師を目指す道 |

どの道を選ぶかは、学びたい内容、学費、住んでいる地域の学校などで変わります。高校卒業後すぐに看護師を目指すなら、看護大学か3年課程(短大・専門学校)が中心になります。
大学と専門学校のどちらにするか迷ったときは、次の点で比べてみてください。
- 学ぶ期間:専門学校は3年で国家試験を受けられ、早く働き始められます。大学は4年間で、看護以外の教養や研究にもふれられます。
- 将来の広がり:保健師や助産師、大学院への進学なども考えるなら、大学が選択肢になりやすくなります。
- 入試の形:専門学校は面接や基礎的な筆記が中心のことも多く、大学は理科・数学を含む学力試験が課されることがあります。
- 通いやすさ:実習先の病院が近いか、自宅から通えるかも、続けやすさに大きく関わります。
数字で見る:看護師の国家試験と、看護の学校
2026年2月に行われた第115回看護師国家試験の結果は、次のとおりでした。
| 合格率 | |
|---|---|
| 全体(受験者59,614人) | 88.3% |
| 新卒 | 94.1% |
| 既卒(再受験など) | 32.3% |
| 新卒のうち、大学 | 96.3% |
| 新卒のうち、養成所(3年課程) | 93.6% |
※出典=厚生労働省 第115回看護師国家試験(2026年2月15日実施、3月24日発表)の結果を集計した旺文社 教育情報センター資料。2026年10月確認。
新卒の合格率は9割を超えています。一方で、既卒の合格率は3割ほどにとどまります。看護の学校で学んでいる間に、しっかり力をつけて一度で合格することが大切だとわかります。
看護の学校の数と入学者も見てみましょう。

2025年4月時点で、看護の4年制大学は313校、3年課程以上の養成所・短大は535校あります。養成所・短大では、1学年の定員27,084人に対して入学者は21,553人で、定員の約8割でした。18歳人口の減少もあり、学校によっては入りやすくなっている面もあります。
ただし、入りやすさと、入ってから続けられるかは別の話です。看護の学校は、授業と実習の密度がとても高いところです。次の章で、通信制高校生が気にしておきたい点を見ていきます。
※出典=厚生労働省医政局看護課「看護師養成所における教員の柔軟な配置について」(2026年3月19日、内閣府の会議への提出資料)。数値は2025年4月時点。
通信制高校生が不安に思いやすい3つのこと
| 不安 | 実際のところ | 今からできること |
|---|---|---|
| 毎日通って、実習にも出られるか | 看護の学校は出席が重視され、病院などでの臨地実習もある | 生活リズムと体力を、高校のうちに少しずつ整える |
| 理科や数学の力が足りるか | 入試や入学後の授業で、生物・化学・数学の基礎を使う | 通信制高校の開講科目を確かめ、基礎から学び直す |
| 通信制の調査書で不利にならないか | 調査書は全日制と同じ形式。評定や出欠の記録が見られる | レポートとスクーリングを着実に。評定を積み上げる |
とくに1つ目は大切です。看護師を育てる3年課程では、国のカリキュラムの基準で、卒業までに102単位以上を学び、そのうち23単位が臨地実習と決められています(2022年度入学生から)。病院などでの実習は、朝から夕方まで続き、記録の作成もあります。
「毎日通えるか不安」という気持ちは、決して恥ずかしいことではありません。高校にいるうちに、週に数日は決まった時刻に起きて活動する、スクーリングを休まず受けるといった経験を重ねておくと、看護の学校に進んでからの自信につながります。
※出典=保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改正(2020年10月公布)に関する日本看護系大学協議会の資料。

在学中に準備したい5つのこと
- 理科と数学の科目を確かめる。看護の入試では、国語・英語に加えて数学や理科(生物基礎・化学基礎など)が課されることがあります。在籍する通信制高校で、これらの科目を履修できるかを早めに確認しましょう。
- 生活リズムと体力を整える。実習に耐えられる体力は、一朝一夕ではつきません。散歩や軽い運動など、できることから始めます。
- 評定と出欠を積み上げる。推薦入試では、評定平均や欠席日数が出願の条件になることがあります。
- 看護の現場にふれてみる。オープンキャンパスや、病院・自治体が行う高校生向けの看護体験に参加すると、自分に合うかを確かめられます。
- 学費と支えの制度を調べる。学校の学費と、修学資金・奨学金を、保護者と一緒に確認しておきます。
通信制高校でのインターンシップや体験活動が単位になる場合もあります。探し方は通信制高校でインターンシップはできる?で紹介しています。
学年ごとの準備スケジュール
看護の学校を目指すなら、準備は早いほど選べる道が増えます。とはいえ、今が何年生でも遅すぎることはありません。目安として、学年ごとの準備をまとめました。
| 時期 | やっておきたいこと |
|---|---|
| 高1 | 生活リズムを整える。理科・数学の科目の開講を確認し、履修計画を立てる |
| 高2 | オープンキャンパスや看護体験に参加する。評定を意識してレポート・試験に取り組む |
| 高3の春〜夏 | 志望校を絞り、募集要項で出願資格と入試科目を確認する。修学資金や奨学金を調べる |
| 高3の秋〜冬 | 推薦・総合型選抜、一般入試の出願と受験。奨学金の予約の手続き |
転入や編入で通信制高校に移ったばかりの人は、前の学校での履修状況によって、取れる科目が変わることがあります。看護の学校を目指していることを担任に早めに伝え、卒業までの履修計画を一緒に立てておくと安心です。
入試の形と、通信制からの受け方
| 学校 | 主な入試 | 通信制高校生が気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 看護大学 | 一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜 | 一般選抜は理科・数学が課されることが多い。推薦は評定の条件を確認 |
| 看護短大・専門学校 | 一般入試、推薦入試、社会人入試など | 推薦の出願資格(評定・欠席日数など)を募集要項で確かめる |
| 准看護学校 | 一般入試など | 中学卒業から入れる学校もある。働きながら学ぶ人も多い |
総合型選抜や学校推薦型選抜では、面接や志望理由書で「なぜ看護師になりたいのか」を問われます。通信制高校を選んだ理由や、自分の経験から感じたことを、自分の言葉で伝えられるように準備しておきましょう。大学入試の方式は通信制高校の総合型選抜は9月からで間に合う?や、通信制高校で指定校推薦はある?でも整理しています。専門学校への進み方は通信制高校から専門学校へ進学できる?が参考になります。

学費と、お金の支え
看護の学校の学費は、国公立か私立か、大学か専門学校かで大きく違います。たとえば国立大学の授業料の標準額は、年間53万5,800円です。私立の大学や専門学校では、授業料のほかに実習費などがかかることもあるため、卒業までの総額で比べるようにしましょう。
看護の道には、ほかの進路にはないお金の支えもあります。
- 看護職員の修学資金:多くの都道府県や病院に、看護の学校に通う人向けの修学資金があります。卒業後に指定された施設で一定期間働くと、返済が免除される仕組みのものもあります。
- 日本学生支援機構の奨学金:大学・短大・専門学校に進む人が使える奨学金で、高校3年生のうちに予約できるものもあります。
- 高等教育の修学支援新制度:世帯の収入などの条件を満たせば、授業料の減免と給付型奨学金を受けられます。対象となる学校かどうかも確認が必要です。
奨学金の窓口や予約の時期は、通信制高校の奨学金は返す?返さない?で詳しく紹介しています。
看護師以外にも、人を支える医療・福祉の仕事がある
「人を支える仕事がしたい」という気持ちの行き先は、看護師だけではありません。調べていくうちに、別の仕事の方が自分に合うと感じることもあります。
- 介護福祉士:高齢の人や障害のある人の生活を支える。介護の専門学校などで学ぶ道がある
- 理学療法士・作業療法士:リハビリテーションで、体の動きや生活の動作の回復を支える
- 精神保健福祉士・社会福祉士:心の病気や生活の困りごとを抱える人の相談にのる
どの仕事も、専門の学校で学んで資格を取る道があります。「誰を、どんなふうに支えたいか」を考えてみると、自分に合う仕事が見えてきます。
よくある誤解
誤解1:「通信制高校からは、看護の学校に入れない」
通信制高校の卒業資格は、全日制と同じです。出願資格の点で、通信制だからという理由で受験できないことは、一般的にはありません。ただし、推薦入試の条件などは学校ごとに違うため、募集要項で必ず確かめましょう。
誤解2:「不登校だったから、看護師には向いていない」
不登校の経験そのものが、看護師に向かない理由になるわけではありません。つらい時期を経験したからこそ、患者さんの気持ちに寄り添える面もあります。大切なのは、看護の学校で学び続けるための準備を、今から少しずつ進めることです。
誤解3:「看護師になるなら、高校から医療系の学科でないと無理」
高校で看護を学ぶ5年一貫の道もありますが、多くの看護師は、普通科など看護以外の高校を卒業してから、看護の大学や専門学校で学んでいます。
保護者ができること
「看護師になりたい」という言葉を聞いたとき、保護者の方は、嬉しい気持ちと心配な気持ちの両方を感じるかもしれません。実習の厳しさや体調面を思うと、「本当に大丈夫?」と言いたくなることもあるでしょう。
そんなときは、まず夢を持てたこと自体を、一緒に喜んであげてください。そのうえで、オープンキャンパスに一緒に行く、学費や修学資金を一緒に調べるなど、夢を現実の計画にしていく作業を、横で手伝うことが、いちばんの支えになります。体調に不安がある場合は、主治医に相談しながら進めることも大切です。途中で目標が変わることがあっても、それは失敗ではありません。調べたこと、体験したことは、どの進路に進んでも本人の力になります。
ニジ高という選択肢と、正直な注意点
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、通信制高校と連携して学びを支える通信制サポート校です。「オンラインで青春」を合言葉に、全国どこからでも、海外からでも自宅から参加できます。
担任と一緒に、看護を含めた進路を考えながら、レポートや学び直しを進められます。一人ひとりの「好き」や関心から始めるマイプロジェクトで、医療や福祉について調べたことは、総合型選抜の志望理由を考える材料にもなります。不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の高等部です。
正直な注意点も書いておきます。ニジ高そのものは高校ではありません。卒業資格は提携する通信制高校に在籍して取り、学院内でのスクーリングはないため、提携校のスクーリングへの参加が必要です。理科などの科目の開講状況は、提携校によって確かめる必要があります。費用は提携校の分とニジ高の分がかかり、ニジ高の分には就学支援金は使えません。金額は学費のご案内で公開しています。


看護の道も、一緒に考えませんか
個別相談では、今の様子や目指したい進路をうかがいながら、提携校の科目や、在学中の準備の進め方を一緒に整理します。保護者の方だけの参加もできます。
よくある質問
なれます。通信制高校の卒業資格は全日制と同じ高校卒業資格で、看護大学や看護専門学校を受験できます。看護の学校を卒業し、看護師国家試験に合格すれば看護師として働けます。
2026年2月の第115回看護師国家試験では、全体の合格率は88.3%、新卒は94.1%でした。一方で、既卒の合格率は32.3%にとどまっています。
看護の入試では、国語・英語に加えて数学や理科(生物基礎・化学基礎など)が課されることがあります。在籍する通信制高校でこれらの科目を履修できるかを、早めに確かめておきましょう。
不登校の経験があること自体は問題になりません。ただし看護の学校は出席と実習が重視されるため、高校のうちに生活リズムと体力を少しずつ整えておくと安心です。
多くの都道府県や病院に、看護職員向けの修学資金があり、卒業後に指定の施設で一定期間働くと返済が免除されるものもあります。日本学生支援機構の奨学金や、高等教育の修学支援新制度も利用できる場合があります。
「看護師になりたい」を、計画に変えていく
通信制高校からでも、看護師は目指せます。必要なのは、看護の学校に入るための準備と、入ってから学び続けるための準備です。
やることはシンプルです。看護師になるまでの道を知る。理科と数学の科目を確かめる。生活リズムと体力を整える。そして、学費と支えの制度を家族で調べる。今日すべてを決めなくても大丈夫です。できることから、ひとつずつ始めていきましょう。
進路を一緒に考える場所を探したくなったときのために、入口だけ置いておきます。

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