中学で不登校だった子が、高校で再び不登校になる前に知っておきたいこと|つまずきやすい場面と備え方

中学で不登校だった子が、高校で再びつまずくことがある理由

「中学では学校に行けなかったけれど、高校では心機一転、頑張りたい」。そんな思いで高校生活をスタートする方は多くいます。一方で、「また行けなくなったらどうしよう」と、不安を抱えているご家族も少なくありません。ここでは、中学で不登校を経験した子が、高校で再びつまずくことがある理由と、その前に知っておきたいことを、整理していきます。

まず大切なのは、中学で不登校だったことが、高校での結果を決めるわけではない、という点です。環境が変わり、人間関係がリセットされることで、安心して通えるようになる人もたくさんいます。一方で、新しい環境にも、新しい負荷があります。そのため、つまずく可能性について、あらかじめ知っておくことが役立つと言われています。

再びつまずく背景には、いくつかの要因が考えられます。一つ目は、新しい環境への緊張です。入学直後は、新しいクラス、先生、通学路、授業の進め方など、すべてが初めてで、知らず知らずのうちにエネルギーを使い果たしてしまうことがあります。

二つ目は、不登校になった根本的な課題が、環境が変わっても残っていることです。たとえば、人間関係への不安、集団生活の苦手さ、朝の起きづらさ、学習面のつまずきなどは、学校が変わっただけでは解消しない場合があります。特性や体調面の課題が背景にある場合は、環境の工夫や専門家のサポートが必要になることもあります。

三つ目は、「今度こそ頑張らなければ」という思いの強さです。気合を入れて通い始めた結果、無理を重ねてしまい、数か月後に疲れが表れることがあります。頑張りすぎることが、かえってつまずきにつながる場合があるのです。

四つ目は、周囲の期待やプレッシャーです。「高校では大丈夫だよね」という周囲の期待が、本人にとって重荷になることがあります。うまくいかない自分を責めてしまい、休み始めても助けを求めにくくなる場合もあります。

この内容は動画でも解説しています(星野達郎・NIJINアカデミー校長のチャンネルより)

これらを知っておくことは、不安を増やすためではなく、「つまずいたときに慌てないための備え」になります。つまずくことは、決して恥ずかしいことではなく、環境や進み方を見直す大切なサインです。

つまずきやすい背景

高校で再びつまずく背景は
4つに整理できる

背景 よくある状態 気づきやすいサイン
新しい環境への緊張 人間関係・授業・通学がすべて新しい 朝の体調不良・疲れやすさ
根本的な課題が残る 特性・体調・人間関係の苦手さが続く 中学のときと似た行き渋り
頑張りすぎ 「今度こそ」と無理を重ねる 数か月後の急な疲れ・意欲の低下
周囲の期待の重さ 「もう大丈夫」と思われている 困りごとを話さなくなる

ここでの整理は一般的な目安であり、診断ではありません。

目次

つまずきやすい時期と場面を、あらかじめ知っておく

高校生活には、つまずきが表れやすい時期や場面があります。あらかじめ知っておくと、本人や周囲が早めに気づき、対応しやすくなります。

一つ目の時期は、入学直後の1〜2か月です。緊張が続き、疲れが蓄積しやすい時期で、ゴールデンウィークの前後に、気持ちが切れてしまうことがあります。連休明けに「行きたくない」と言い出すケースは、少なくないと言われています。

二つ目は、最初の定期テストや課題が増える時期です。中学に比べて、高校は授業の進度が速く、課題やテストの量も増えることがあります。学習面のつまずきが自信の低下につながり、登校が難しくなる場合があります。

三つ目は、人間関係が固まってくる時期です。入学当初はお互いに様子見だった関係が、数か月経つと、グループができはじめます。その中で居場所がうまく見つからないと、孤立感を覚えることがあります。

四つ目は、夏休みや冬休みなど、長期休暇明けです。生活リズムが崩れたり、学校から離れたことで、再開のハードルが高く感じられたりすることがあります。

五つ目は、学年の変わり目や進路を考える時期です。進級や、進路選択のプレッシャーが重なると、気持ちが不安定になることがあります。

これらの時期に、本人の様子を見守り、小さな変化に気づくことが大切です。朝の体調不良が増えた、学校の話をしなくなった、睡眠や食事が乱れてきた、表情が暗くなった。そうしたサインは、つまずきの前触れかもしれません。

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入学前にできる備え:生活・学校・気持ちの3つの面から

つまずきやすい場面を知ったうえで、入学前に備えられることを整理します。すべてを完璧に整える必要はなく、できそうなことから取り入れる程度で構いません。備えがあることで、「何かあっても大丈夫」という安心感が生まれやすくなります。

一つ目は、生活面の備えです。入学前の春休みから、少しずつ起床・就寝の時間を整えておきます。朝の光を浴びる、朝食をとる、軽く体を動かすなど、無理のない範囲で習慣にしていくと、新生活に入りやすくなります。通学の練習として、実際の通学路を一度歩いてみたり、混雑する時間帯の電車に乗ってみたりするのも一案です。

二つ目は、学校との事前の相談です。入学前に、担任の先生や相談窓口に、中学での経過や、気をつけてほしいこと、有効だった対応を伝えておきます。すべてを話す必要はなく、本人が伝えてよい範囲で構いません。保健室や別室の利用、休んだときの連絡方法、課題の扱いなど、困ったときの流れを確認しておくと安心です。

三つ目は、気持ちの面の備えです。「つらくなったら、休んでもいい」「誰に、どう伝えればいいか」を、家族と事前に話しておきます。休むことへの罪悪感が強いと、限界まで我慢してしまい、一気に崩れてしまうことがあります。小さなサインの段階で話せる関係をつくっておくことが、大きな備えになります。

四つ目は、頑張りすぎない目標の設定です。「毎日休まず通う」ではなく、「週に何日かは通えたら十分」「疲れたら早退してもよい」など、ゆるやかな目標を立てておくと、気持ちが楽になります。完璧を目指さず、続けることを大切にする考え方です。

入学前の備え

つまずきに備える
3つの面

1
生活面を整える
起床・就寝のリズム、朝食、通学路の練習など、無理のない範囲で新生活に近づける
2
学校と事前に相談する
経過や有効だった対応、困ったときの連絡方法や利用できる場所を確認しておく
3
気持ちの出口をつくる
つらくなったら休んでよい、話せる相手がいる、という約束を家族で共有する

できそうなことから、少しずつで十分です。

中学で不登校だった子が高校で再び休み始めたとき、家族は責めない、理由を問い詰めない、学校や専門家に早めに相談する、環境の見直しも視野に入れる、という関わり方を示す図
出典:本記事の整理

再び休み始めたとき、家族ができること

どれだけ備えていても、つまずくことはあります。再び休み始めたとき、家族がどのように関わるかが、その後の回復に影響すると言われています。ここでは、基本的な心構えを整理します。

まず、「やっぱり」と落胆したり、責めたりしないことです。本人が一番、落ち込んでいます。「また行けなくなってしまった」という自責の念を抱えている場合が多いため、まずは休むことを認め、安心できる家庭の雰囲気を保つことが大切です。

次に、理由を問い詰めないことです。原因を知りたい気持ちは自然ですが、本人も理由がはっきりわからないことがあります。「話したくなったら聞くよ」と伝え、本人のペースを待つ姿勢が役立ちます。

そして、学校や専門家に早めに相談することです。担任の先生、スクールカウンセラー、医療機関、教育相談機関など、相談先はいくつかあります。通い方の調整、別室登校、学習面の配慮など、学校でできる対応を確認してみてください。

また、環境の見直しも視野に入れておきます。今の学校で続ける、休みながら考える、通信制高校など別の学び方を検討する。選択肢を並べて、本人と一緒に考える時間を持つことが、気持ちの余裕につながります。

最後に、家族自身も一人で抱え込まないことです。同じ経験を持つ保護者との交流や、相談窓口の利用など、支えを持つことで、長い見守りの期間を乗り越えやすくなります。

明るいダイニングテーブルで、母親と高校生の息子が紙を前に並んで座っている

学校選びで確認したい、「つまずいても立て直せる」環境

中学で不登校を経験した場合の高校選びでは、「入学後に調子を崩したとき、どう対応してもらえるか」を重視する考え方があります。偏差値や知名度だけでなく、立て直しやすい環境かどうかを確認しておくと、入学後の安心感が変わってきます。

確認したい点の一つ目は、通い方の柔軟さです。登校日数や時間帯を調整できるか、体調に応じて遅刻や早退がしやすいか、別室や保健室を利用できるか、オンラインで学べる部分があるかなどを確認します。通い方に幅がある学校は、調子の波に合わせて調整しやすい傾向があります。

二つ目は、相談体制です。担任やカウンセラーに相談しやすいか、家庭との連絡が取りやすいか、早めに気づいて声をかけてくれる体制があるかを確認します。サインに気づく仕組みがあるかどうかは、再びつまずきそうなときの大きな支えになります。

三つ目は、学習面のサポートです。休んだ期間の学習の遅れを取り戻す仕組みがあるか、基礎から学び直せる授業や個別指導があるか、課題の量や提出期限に調整の余地があるかなどです。遅れが不安の種になりやすいため、立て直しの仕組みがあることは重要です。

四つ目は、環境の見直しがしやすいかです。コースの変更や、通い方の切り替えができるか、転校や転入の手続きはどうなるかを、あらかじめ聞いておくと安心です。合わなかったときの選択肢があることは、挑戦する気持ちを後押ししてくれます。

五つ目は、雰囲気です。見学や体験で、生徒の様子、先生との距離感、教室の空気を感じ取ってください。本人が「ここなら通えそう」と感じられるかどうかは、パンフレットだけではわからない、大切な判断材料です。

通信制高校は、こうした柔軟さを備えている学校が多いと言われますが、学校ごとの差も大きくあります。複数の学校を同じ基準で比べて、本人に合う環境を探してみてください。

頑張りすぎないための、毎日の過ごし方のヒント

高校生活を長く続けるためには、頑張りすぎない工夫も大切です。ここでは、毎日の過ごし方で取り入れやすいヒントを整理します。

一つ目は、休む日をあらかじめ決めておくことです。「疲れたら休む」ではなく、週に一度はゆっくりする日を確保しておくと、疲れをため込みにくくなります。予定を詰め込みすぎず、余白のあるスケジュールを意識してください。

二つ目は、小さなサインに気づく習慣です。眠れない、食欲がない、朝に頭痛や腹痛がある、イライラしやすいなど、体や気持ちが出しているサインを、日々の中で確認します。本人が自分のサインを言葉にできるよう、家族が一緒に振り返る時間を持つのも一案です。

三つ目は、安心できる居場所を複数持つことです。学校だけに居場所を求めず、家庭、趣味の場、オンラインのつながりなど、いくつかの居場所があると、一つがつらくなっても、他で支えられます。

四つ目は、できたことに目を向けることです。「今日は学校に行けた」「授業を一つ受けられた」「友達と少し話せた」。小さな達成を認めることが、自信を積み重ねる土台になります。

中学で不登校を経験した家庭が高校進学で抱えやすい、厳しさ・将来・見守り方・周りの目の4つの不安と、それぞれの考え方のヒントを比べた図
出典:本記事の整理

よくある不安と、考え方のヒント

中学で不登校を経験したご家族が、高校進学に際して抱えやすい不安と、その考え方のヒントを整理します。

一つ目は、「高校ではもっと厳しいのでは」という不安です。出席日数や単位の扱いが、中学より厳しくなる学校があるのは事実です。だからこそ、入学前に、欠席時の扱いや、補習・課題での補い方を学校に確認しておくと安心です。通い方に柔軟性がある学校を選ぶことも、一つの方法です。

二つ目は、「また行けなくなったら、将来が閉ざされるのでは」という不安です。高校には、転校や編入、通信制高校への転入など、学び直しの道がいくつかあります。一度つまずいても、別の形で高校卒業を目指せる仕組みがあることを知っておくと、気持ちに余裕が生まれます。

三つ目は、「本人の様子をどこまで見守ればよいか分からない」という悩みです。見守りすぎても、放っておいても、不安になるものです。「本人が話したいときに聞く」「サインが出たら声をかける」といった、ゆるやかな関わり方が、続けやすいと言われています。

四つ目は、「周りの目が気になる」という不安です。同級生や周囲から、過去のことを聞かれるのではないかと心配になる方もいます。話す範囲は、本人が決めて構いません。無理に説明しなくてよい、と家族で確認しておくだけでも、気持ちが軽くなります。

どの不安も、あらかじめ知っておくこと、相談先を持っておくことで、小さくなる場合があります。一人で抱え込まず、必要なときに頼れる場所を確保しておいてください。

まとめ:つまずきを前提に、安心して新しい環境へ向かうために

中学で不登校だった子が、高校でも休むことがあるかどうかは、一概には言えません。環境が変わって落ち着く人もいれば、新しい環境で疲れが表れる人もいます。大切なのは、つまずきやすい場面を知り、あらかじめ備えを整え、つまずいたときの選択肢を持っておくことです。

入学前には、生活リズムの調整、学校との相談、気持ちを話せる関係づくりを。入学後は、小さなサインに気づき、頑張りすぎない過ごし方を。再び休み始めたときは、休息と相談、そして環境の見直しという選択肢を。そうした備えが、安心して新生活に向かう土台になります。

学校選びでは、通い方の柔軟さ、相談体制、学習面のサポート、立て直しのしやすさを、見学や個別相談で具体的に確かめてください。ご家族のペースで、できることから、一歩ずつ進めていきましょう。

夜の自室で机に向かう高校生

「前の自分」と比べすぎないために

中学での経験があると、本人も家族も、無意識に「前のときと同じにならないように」と、強く意識してしまうことがあります。その意識が、日々の小さな変化への過敏さや、本人へのプレッシャーにつながる場合もあります。

高校での毎日は、中学のときとは環境も、本人の成長の段階も異なります。「前の自分」と比べるのではなく、「今の自分に合うペースはどうか」という視点で、日々を見つめてみてください。うまくいった日も、そうでない日も、本人にとっての大切な経験です。

そして、うまくいかない時期が訪れたとしても、それは「失敗」ではなく、「やり方を見直す機会」と捉えることができます。立ち止まったときこそ、本人と一緒に、これからの進み方を考える時間にしていきましょう。

こんなときは、専門の相談先へ

ご家庭だけで抱え込むと、保護者の方もお子さんも、気持ちが追い詰められてしまうことがあります。次のような様子が数週間以上続くときは、早めに専門機関へ相談することも、大切な選択肢です。

  • 食事がほとんど取れない、または眠れない状態が続いている。
  • 強い落ち込み・不安・イライラが続き、日常生活に大きな支障が出ている。
  • 「消えてしまいたい」など、命や安全に関わる言葉がある。
通信制高校でノートパソコンを使って学習に取り組む高校生
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相談先としては、お住まいの自治体の教育支援センター、教育委員会、保健センター、学校のスクールカウンセラー、児童精神科・小児科・心療内科などがあります。お子さんの気持ちが心配なときは、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)といった公的な窓口も利用できます。相談することは「大ごとにすること」ではありません。話を聞いてもらうだけでも、気持ちが軽くなることがあります。

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学校の相談室で、母親と息子がスクールカウンセラーと向かい合って話している様子

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よくある質問

中学で不登校だと、高校でも不登校になりやすいのですか?

一概には言えません。環境が変わることで落ち着く人もいれば、新しい環境で再びつまずく人もいます。つまずきやすい場面を知り、備えを考えておくことが役立つと言われています。

高校でつまずきやすいのは、どんな場面ですか?

入学直後の緊張、新しい人間関係、授業の進度、通学や生活リズム、定期テストや課題などが挙げられます。連休明けや学期の変わり目も、疲れが表れやすい時期です。

入学前にできる備えはありますか?

生活リズムの調整、学校への事前の相談、通い方や配慮の確認、気持ちを話せる相手の確保などが考えられます。見学や個別相談で、サポートの内容を確かめておくと安心です。

再び休み始めたら、どうすればよいですか?

まずは休息を優先し、理由を問い詰めずに気持ちを聞く姿勢が役立ちます。学校や専門家に相談し、通い方の調整や環境の見直しなど、選択肢を並べて考えてみてください。

通信制高校は、再びつまずくのを防ぐ選択肢になりますか?

通い方を調整しやすい学校もあり、選択肢の一つになり得ます。ただし学校ごとに差があるため、サポート体制や雰囲気を見学や相談で確認することをおすすめします。

まとめ

  • 中学で不登校だった場合でも、高校の環境や備え方によって、状況は変わる可能性があると言われています
  • つまずきやすい場面(入学直後、人間関係、連休明けなど)を知っておくと、早めに気づきやすくなります
  • 入学前に、生活リズム・学校との相談・相談相手の確保といった備えを整えておく考え方があります
  • 再び休み始めても、休息と相談、環境の見直しという選択肢を持つことが大切です

中学で不登校を経験したからといって、高校で同じ結果になると決まっているわけではありません。つまずきやすい場面を知り、備えと相談先を持っておくことで、安心して新しい環境に向かいやすくなります。ご家族のペースで、できることから始めてみてください。

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執筆者:ニジ高編集部 2026年10月8日更新

参考文献

  • 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」
  • 厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」(こころの健康に関する情報)
  • お住まいの自治体の教育支援センター・教育相談窓口
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