朝になると、学校に行きたくない。でも、いじめられているわけでも、はっきりした出来事があったわけでもない。「どうして行きたくないのか、自分でも分からない」。そんなモヤモヤを抱えている中学生・高校生は、実はたくさんいます。
理由が分からないと、「自分がおかしいのでは」「甘えているだけでは」と、責めてしまいがちです。この記事では、理由が分からないときに起こっていること、まず試したい対処法、周りの大人への伝え方、学校とのつき合い方、環境を選び直す選択肢を、できるだけ分かりやすくまとめます。保護者の方にも読んでいただける内容です。
結論:理由が分からないときの早見
- 理由が分からないのは珍しいことではありません。複数の要因が重なっている場合もあります。
- 無理に理由を探さず、まず「疲れている」という事実を認めて、休むことを優先します。
- 睡眠・食事・安心できる時間を整え、話せる範囲で、誰かに伝えてみましょう。
- 合う環境を選び直す道もあります。休学・転学・通信制など、選択肢は複数あります。
- つらさが強いときは、一人で抱えず、相談窓口や医療機関に頼ってください。
不登校の児童生徒は
過去最多の水準が続いています
出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
「理由が分からない」とき、何が起きているのか
学校に行きたくない理由が分からないとき、心や体の中では、いくつかのことが起きている可能性があります。ここでは代表的なものを紹介します。当てはまるかどうかを判断する必要はなく、「こういう場合もあるんだ」と知っておくだけで大丈夫です。
小さな疲れが、少しずつ積み重なっている
毎日の授業、人間関係、部活動、宿題、家庭のこと。一つひとつは小さくても、積み重なると、心のエネルギーが少しずつ減っていきます。ある日突然、「もう行きたくない」と感じるのは、限界に近づいていたサインかもしれません。
言葉にできない違和感がある
教室の雰囲気、音や光、人の多さ、先生の話し方、時間割の流れ。自分でも気づかない刺激が、疲れの原因になっていることもあります。「なんとなく合わない」という感覚は、言葉にするのが難しいものです。
体の不調が、先に出ている
朝の頭痛や腹痛、だるさ、眠れない、食欲がない。心の疲れが、体の症状として先に現れることがあります。理由は分からないのに体が動かないとき、それは心身が休息を求めているサインの場合があります。
以前は頑張れていたのに、突然動けなくなった
真面目で頑張り屋の人ほど、限界まで我慢して、ある日突然、動けなくなることがあります。「あんなに頑張っていたのに」と周りも驚きますが、本人の中では、長い間、エネルギーが減り続けていたのかもしれません。
理由探しより先に、やってみたいこと
「理由が分からないと、対処できない」と思うかもしれません。でも、理由が分からなくても、できることはあります。むしろ、理由探しで自分を追い込むと、かえってしんどくなることがあります。まずは、次のことから試してみてください。
① 「今は疲れている」と、認める
理由が分からなくても、「行きたくないほど疲れている」というのは事実です。その事実を、そのまま認めることが、回復の第一歩です。「甘えかも」「ちゃんとしなきゃ」と、自分を責める声が出てきても、いったん脇に置いておきましょう。
② 休む。睡眠・食事・安心できる時間を最優先に
しっかり眠る、ご飯を食べる、安心できる場所で過ごす。これらは、心のエネルギーを回復させる基本です。完璧でなくて構いません。「今日は少し眠れた」「ご飯を食べられた」を、積み重ねていきましょう。
③ 気持ちや体の様子を、簡単に記録してみる
「今日は何時に起きたか」「体の調子はどうか」「どんなときにしんどくなるか」を、簡単にメモしてみてください。数日〜数週間続けると、「月曜の朝が特につらい」「人が多い場所のあとは疲れる」など、傾向が見えてくることがあります。理由探しではなく、「パターン探し」として、気軽に取り組んでみましょう。
理由が分からないときの
「パターン探し」の例
| 記録すること | 気づきやすいこと |
|---|---|
| 起きた時間・体調 | 朝が特につらい日の傾向 |
| しんどくなった場面 | 人が多い・音が大きいなど |
| 楽だった時間 | 落ち着ける場所や相手 |
| 前日にあったこと | 疲れが溜まる出来事 |
※無理に続ける必要はありません。続けられる範囲で、気軽に。
④ 話せる範囲で、誰かに伝える
「理由は分からないけど、しんどい」と、そのまま伝えて大丈夫です。無理に説明しようとしなくて構いません。話せる相手が思い浮かばなければ、スクールカウンセラーや相談窓口が使えます。24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)は、夜間や休日も相談を受け付けています。
⑤ 気持ちが緩むことを、意識して取り入れる
好きな音楽、動画、ゲーム、散歩、入浴、ペットとの時間。頑張るためではなく、ただ気持ちが緩むことをする時間を、罪悪感なく取り入れてみてください。回復には、こうした時間が必要です。
学校とのつき合い方:休むとき、伝えるとき
学校を休むとき、「何と言えばいいのか分からない」と悩む人は多くいます。理由が分からなくても、「体調が優れない」「気持ちがしんどくて、今は行けない」と、保護者の方から連絡してもらえば大丈夫です。
- 休む連絡は、保護者の方にお願いして構いません。
- 理由は「体調不良」で、まずは十分です。
- 先生に聞かれても、分からないときは「分からない」と伝えて大丈夫です。
- 出席や単位の見通しは、保護者の方や先生に確認してもらう。
- 別室登校や保健室登校など、教室以外の過ごし方も相談できる。
学校の先生の中には、理由が分からない状態に慣れていて、柔軟に対応してくれる方もいます。担任との相性が合わないときは、養護の先生やスクールカウンセラーに相談する方法もあります。
環境を変えるという選択肢
理由が分からないまま、今の学校に通い続けるのがつらい場合、環境を変えることで楽になる人もいます。「合わない環境」は、必ずしも誰かが悪いわけではなく、本人の特性と環境の相性による場合があります。相性が合う環境に移ることで、同じ人が、驚くほど力を発揮できるようになることもあります。
通信制高校には、毎日通わなくても学べる仕組みがあります。登校日数を調整できる、オンラインで授業を受けられる、自分のペースで進められるなど、学び方は学校ごとに多様です。通信制高校の卒業には、一般に3年以上の在籍、74単位以上の修得、特別活動への参加が必要とされ、卒業すれば高等学校卒業の資格が得られます。
NIJIN高等学院は、通学の負担なく自分のペースで学べる通信制サポート校です。「オンラインで青春」をコンセプトに、全国どこからでも、海外からも参加でき、オンラインの部活やイベントを通じて仲間とのつながりも大切にしています。不登校を経験した生徒も多く学んでいます。
理由が分からないときの
進め方の目安
どの段階から始めても、行き来しても大丈夫です。
よくある勘違い:理由が分からないことについて
勘違い①「理由がないなら、甘えだ」
理由が言葉にならないことと、甘えは別物です。心身の疲れや、環境との相性など、本人にも気づきにくい要因があることがあります。
勘違い②「理由を見つけないと、解決できない」
理由が分からなくても、休む、整える、環境を調整する、といった対処はできます。理由探しにこだわりすぎないことも大切です。
勘違い③「頑張れば、そのうち行けるようになる」
頑張れる時期もありますが、無理を続けて限界を超えると、回復に時間がかかる場合があります。サインを見逃さず、早めに休むことが大切です。
勘違い④「相談しても、どうせ分かってもらえない」
最初に話した人が理解してくれなくても、別の大人や相談窓口には、受け止めてくれる人がいます。あきらめずに、話せる相手を探してみてください。
気持ちが落ち込んで、体が動かないとき
「何をしても楽しくない」「食欲がない」「眠れない」「自分には価値がないと感じる」。そんな状態が2週間以上続くときは、心の不調が関わっている可能性もあります。早めに、医療機関(小児科、心療内科、精神科など)や、地域の相談窓口に相談することをおすすめします。専門家に相談することは、回復のための大切な一歩です。
「消えてしまいたい」「生きているのがつらい」という気持ちが浮かぶときは、すぐに信頼できる大人に伝えるか、相談窓口に連絡してください。24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)があります。
中学生・高校生それぞれの状況別の考え方
中学生の場合
中学生は、高校進学を意識する時期でもあり、「このまま休んだら進学できないのでは」と不安になりやすい時期です。しかし、全日制・定時制・通信制など、進学先には複数の選択肢があり、通信制のように出席状況に左右されにくい進路もあります。まず休んで心身を整えながら、情報を集める程度でも大丈夫です。進路は、回復してから考えても遅くありません。
高校生の場合
高校生は、出席日数や単位の影響を受けやすい時期です。欠席が続く場合は、早めに学校に出席や単位の状況を確認し、休学・転学・通信制への転入などの選択肢も含めて検討しましょう。在籍する高校で修得した単位を、転入先で引き継げる場合もあります。
高校卒業後の進路について
不登校や学校を休んだ経験があっても、高校卒業(または同等の資格)を満たせば、大学・専門学校・就職のいずれも選べます。令和7年度の通信制の現役大学進学率は約22%と報告されています。進学を前提としない生徒を含む数字であり、学校の支援体制によって異なります。環境を変えて学び直し、進学を実現する人もいます。
相談できる場所と、その選び方
理由が分からない状態で、誰に何を相談すればいいのか迷う人も多いでしょう。相談先は、状況や話しやすさに合わせて選べます。「どこが正解」ということはなく、まず話しやすいところから試してみるのがおすすめです。
学校の中の相談先
スクールカウンセラーは、学校に配置されている心理の専門職で、成績や進路とは別の立場で話を聴いてくれます。養護教諭(保健室の先生)は、体調や気持ちの面を相談しやすい存在です。担任や学年主任には、出席や単位などの具体的な事柄を相談できます。
学校の外の相談先
自治体の教育相談センター、児童相談所、保健センター、24時間子供SOSダイヤル、こころの健康相談統一ダイヤル、民間のフリースクールや通信制高校の個別相談などがあります。匿名で電話やオンラインで相談できる窓口もあります。顔を合わせずに話せるため、最初のハードルが低く、利用しやすい方法です。
医療機関の受診を考えるとき
朝の頭痛や腹痛、眠れない、食べられない、気分の落ち込みが続くなど、体や心の症状が強いときは、小児科、心療内科、精神科などの受診も選択肢です。受診することで、症状の原因が分かったり、適切な支援につながったりすることがあります。かかりつけ医や学校の養護教諭に相談すると、受診先を紹介してもらえる場合もあります。
相談のとき、うまく話せなくても大丈夫
相談の場で、うまく話せなくても心配はいりません。「何から話せばいいか分からない」「理由が分からない」と、そのまま伝えて構いません。相談員や専門家は、整理されていない気持ちを聴くことに慣れています。事前に、メモを用意しておくと、話しやすくなることもあります。
日常の中でできる、小さな「回復のサイン」の見つけ方
休んでいる間、「このままでいいのか」と不安になることがあります。そんなときは、回復のサインを探してみてください。どれも、ほんの小さな変化で構いません。
- 朝、以前より少し楽に起きられた日がある。
- 好きな音楽や動画を、楽しめるようになってきた。
- 食事をおいしいと感じる日が増えた。
- 家族と、少し話せるようになった。
- 外に出ても、以前ほど疲れなくなった。
- 「何かやってみたい」という気持ちが、ほんの少し出てきた。
サインが見つかったら、「少しずつ回復している」と、自分に伝えてあげてください。サインが見つからない日があっても、それは後退ではなく、回復の波のひとつです。
周りの大人にできること
保護者の方や先生は、お子さんの小さな変化を見つけたら、評価や期待を込めず、さりげなく認める言葉をかけてあげてください。「今日は朝ごはんを食べられたね」「最近、よく笑っているね」。そうした一言が、お子さんの安心につながります。「そろそろ学校に行けるかも」と焦って期待を伝えすぎないことも大切です。
回復のペースは、人によって異なります。他の人と比べず、昨日のお子さんと比べて、小さな前進を一緒に喜んでください。
「理由が分からない」を、少しずつ言葉にしていくために
休んで少し落ち着いてきたら、気持ちを少しずつ言葉にしてみる時間をとってもよいかもしれません。ただし、無理に原因を突き止めようとする必要はありません。次のような問いを、気が向いたときに、ゆるく考えてみる程度で十分です。
- どんなときに、少し楽になるか。
- どんな場所や人といるとき、ほっとするか。
- 何が好きで、何をしていると時間を忘れるか。
- 「これだけは、もう嫌だ」と感じることは何か。
- これからどんな過ごし方なら、続けられそうか。
答えが出なくても構いません。書き留めておくと、あとで「自分に合う環境」を考えるときの手がかりになります。信頼できる大人や相談員と一緒に整理すると、一人で考えるよりも、気持ちが整理されやすくなります。
言葉にする過程で、「理由」というより、「自分に合うもの・合わないもの」が少しずつ見えてくることがあります。それは、これからの学び方や環境を選ぶうえで、大切な手がかりになります。
保護者の方へ:お子さんが「理由が分からない」と言うとき
お子さんから「学校に行きたくない。理由は分からない」と言われたとき、保護者の方は戸惑い、つい理由を聞き出そうとしてしまうかもしれません。しかし、理由を問い詰められると、お子さんは「ちゃんと答えられない自分はダメだ」と感じ、心を閉ざしてしまうことがあります。
- まず、「話してくれてありがとう」と受け止める。
- 理由が分からなくても、「分からないのも自然だよ」と伝える。
- 結論を急がず、まず休める環境を整える。
- 体調の症状があれば、医療機関への受診も検討する。
- 学校・スクールカウンセラー・相談窓口と連携する。
- 保護者の方自身も、一人で抱え込まない。
お子さんの「理由が分からない」は、否定されるべきものではなく、そのまま受け止めるべき大切なサインです。NIJIN高等学院では、不登校を経験したお子さんと保護者の方向けに、オンラインでの学校説明会・個別相談を随時行っています。「まだ決めていない」「話を聞いてほしい」という段階でも、お気軽にご相談ください。
学校を休んでいる間の「勉強」と「出席」について
休んでいる間、「勉強が遅れる」ことを心配する人は多くいます。ただ、疲れ切った状態での学習は、頭に入りにくく、かえって負担になることがあります。まずは休むことを優先し、気持ちが少し動いてきたら、短時間の学習から再開するのがおすすめです。1日10〜15分、好きな教科から、といった小さなスタートで十分です。
出席の扱いについては、学校外の施設(教育支援センターやフリースクール)やオンライン学習を利用している場合、一定の条件のもとで、学校の出席として扱われることがあります。扱いは学校長の判断によるため、保護者の方を通じて、学校に確認してみてください。出席や単位の見通しが分かると、漠然とした不安が小さくなることがあります。
もし学校に戻ることが難しいと感じた場合は、休学や転学、通信制高校への転入などの道も考えられます。通信制高校では、中学の内容から学び直せる仕組みを用意している学校もあります。情報を集めておくだけでも、「戻れなかったらどうしよう」という不安は和らぎます。
焦らなくて大丈夫
理由が分からないまま過ごす時間は、不安で、もどかしいものです。でも、その時間は、決して無駄ではありません。休む中で、自分が何に疲れていたのか、何が好きで、どんな環境なら安心できるのかが、少しずつ見えてくることがあります。理由は、後から分かることも、最後まで分からないこともあります。それでも、前に進む道は、たくさんあります。
よくある質問
おかしくありません。理由が言葉にならないことは、よくあります。複数の要因が重なって疲れが溜まっている場合も多く、理由が分からないままでも、休んだり相談したりして構いません。
無理に探す必要はありません。原因探しで自分を追い込むと、かえってつらくなることがあります。まず「疲れている」という事実を認め、休むことを優先してください。
「理由は自分でも分からないけど、しんどい」と、そのまま伝えて大丈夫です。話すのが難しいときは、手紙やメモ、スクールカウンセラーを通じて伝える方法もあります。
睡眠・食事・安心できる時間を整えることを優先してください。好きなことや、気持ちが緩むことをするのも大切な過ごし方です。
理由が分かって環境を調整することで、戻れる人もいます。一方、合わない環境から離れて、通信制など別の学び方を選ぶことで楽になる人もいます。どちらも選択肢です。
24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)、学校のスクールカウンセラーなどがあります。
まとめ
- 学校に行きたくない理由が分からないのは、珍しいことではありません。
- 理由探しより、まず休むこと、安心できる時間を持つことが大切です。
- 合う環境を選び直す道もあります。焦らず、相談しながら進めましょう。
理由が分からなくても、あなたのしんどさは本物です。まずは休んで、少しずつ整えていきましょう。
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執筆者:ニジ高編集部 2026年10月8日更新
参考文献
- 文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
- こども家庭庁・文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」
- 厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」
- 文部科学省「高等学校通信教育について」



