夏休みの子育てに疲れたときの5つの考え方
夏休みが始まって数週間。お子さんと一日中一緒に過ごす日々が続き、心も体も、すっかり疲れてしまった。そんな親御さんの声は、毎年多く聞かれます。特に、発達障害や不登校のお子さんを育てている場合、夏休み中の関わりは、より多くのエネルギーを必要とすることがあります。「もう限界かもしれない」「こんなに疲れるのは、自分の力が足りないからでは」と、自分を責めてしまう方もいるかもしれません。しかし、疲れを感じるのは、お子さんに真剣に向き合っているからこそです。この記事では、夏休みの子育てに疲れたときの考え方と、少しでも楽になるための工夫を、整理しました。
夏休みに疲れたとき
5つの考え方
1. 疲れて当然だと認める
夏休みは、お子さんと過ごす時間が、普段より大幅に増えます。食事の用意、生活リズムの調整、遊びの相手、宿題のサポート、気持ちのケアなど、親御さんが担う役割は、想像以上に多くなります。さらに、お子さんの特性や状態によっては、緊張感を保ち続ける必要がある場面も多いでしょう。疲れを感じるのは、決して弱さではなく、それだけ頑張っている証拠です。まずは、「疲れて当然」と、ご自身の状態を認めてあげてください。
2. 完璧を手放す
夏休みの計画をきちんと立てたのに、思うように進まない。食事が手抜きになってしまった。部屋が散らかっている。そんな状況に、罪悪感を持つ必要はありません。理想通りにいかない日があっても、今日を乗り切れたら十分です。「やらなければならないこと」を最小限にしぼり、「できたらいいこと」は、余裕のある日にやる、という考え方に切り替えてみてください。家事や食事も、手を抜けるところは抜いて構いません。
3. 休む時間を確保する
どんなに短くても、自分のためだけの時間を、意識して確保することが大切です。お子さんが寝ている間、家族が見ていてくれる間、お子さんが好きなことに没頭している間など、タイミングを見つけて、お茶を飲む、好きな音楽を聴く、ぼんやりするなど、心身を休める時間をつくりましょう。この時間を、「サボり」と考えず、「お子さんを支えるための必要な休息」と捉えてください。
4. 頼れる先を増やす
子育ては、親御さん一人で抱え込むものではありません。パートナーや祖父母、親戚、友人、近所の人など、頼れる人には、具体的にお願いしてみましょう。「午後の2時間だけ見ていてほしい」と、時間と内容を明確に伝えると、協力してもらいやすくなります。家族に頼れない場合は、ファミリーサポート、一時預かり、放課後等デイサービス(利用できる場合)、民間のサービスなど、外部の支援を探す方法もあります。利用条件は自治体やサービスにより異なるため、お住まいの地域の窓口に確認してください。
5. 小さな良いことに目を向ける
疲れがたまると、うまくいかないことばかりが目につきがちです。そんなときこそ、一日の終わりに、「今日よかったこと」を一つだけ思い出してみてください。お子さんが笑った瞬間、一緒に食べたご飯がおいしかったこと、ほんの少し会話ができたことなど、小さなことで十分です。その積み重ねが、気持ちの支えになります。
夏休みに疲れが強くなる、5つの理由
夏休みの疲れの背景には、いくつかの共通した理由があります。原因を知ることで、必要以上に自分を責めずにすみ、対策も立てやすくなります。
自分の時間が、極端に減る
普段は、お子さんが学校に行っている間に、家事や仕事、休息の時間をとれていた親御さんも、夏休み中は、その時間がなくなります。常にお子さんの気配を感じながら過ごすことで、気持ちが休まらず、疲れが蓄積していきます。
食事や家事の負担が増える
昼食の準備、お菓子や飲み物の用意、片づけ、洗濯物の増加など、家事の量も増えます。毎日続くため、負担感も大きくなります。夏の暑さも相まって、体力を消耗しやすい時期でもあります。
生活リズムの乱れに、対応する必要がある
夜更かしや昼夜逆転、食事時間のずれなど、お子さんの生活リズムの乱れに対応するため、親御さんも、睡眠や休息が不規則になりやすくなります。声かけや調整にエネルギーを使い、精神的な疲れが溜まります。
きょうだいや家族間の調整が増える
複数のお子さんがいる場合、きょうだい間のけんかや、それぞれの要望への対応も増えます。家族全員が家にいる時間が長くなることで、意見の食い違いや、気遣いの場面も増えがちです。
周囲との比較や、将来への不安
SNSなどで、他の家庭の充実した夏休みの様子を見て、焦りや孤独感を覚えることもあります。「うちはどうして」「このままで大丈夫だろうか」という不安が、疲れをいっそう重くします。

疲れを軽くするための、具体的な工夫
ここでは、日々の暮らしの中で取り入れやすい、負担を軽くする工夫を紹介します。すべてを実践する必要はなく、できそうなものから取り入れてみてください。
1日のスケジュールを、ざっくり決める
時間に追われる必要はありませんが、1日の大まかな流れが決まっていると、親子ともに見通しが立ち、気持ちが安定しやすくなります。「午前中は静かに過ごす時間」「午後は外出か家で過ごす時間」といったゆるい枠をつくっておくだけで、心の負担が和らぎます。
食事の負担を減らす
毎日の食事を、すべて手作りにする必要はありません。作り置き、冷凍食品、宅配サービス、お惣菜など、使えるものは使いましょう。昼食は、簡単に済むメニューを決めておくと、毎日の悩みが減ります。お子さんと一緒に簡単な料理を作るのも、共に過ごす時間として前向きに活用できます。
家事の分担を見直す
家事を、親御さん一人で抱え込まないよう、家族で分担できないか話し合ってみましょう。お子さんにも、できる範囲の役割を任せることで、自己肯定感を育む機会にもなります。完璧にできなくても、「手伝ってくれてありがとう」と伝えることを大切にしてください。
外出の日と、家で過ごす日のバランスをとる
毎日外出を計画すると、親御さんの負担が大きくなります。外出する日と、家でゆっくり過ごす日を、意識的に分けましょう。外出も、近所の公園や図書館など、負担の少ない場所から選んで構いません。
「何もしない日」をつくる
予定を立てず、家でのんびり過ごす日を、あえてつくるのも、ひとつの方法です。親子ともに、ゆっくり休む時間が確保でき、気持ちのリセットにつながります。
夏休みに頼れる
5つの先
| 頼れる先 | できること |
|---|---|
| パートナー・家族 | 役割分担、見守りの交代、気持ちの共有 |
| 友人・近所の人 | 話を聞いてもらう、短時間の見守り |
| 学校・スクールカウンセラー | お子さんの状況の共有、今後の相談 |
| 自治体の窓口・支援機関 | 子育て相談、サービス情報の案内 |
| 親の会・オンラインの集まり | 同じ立場の人との交流、情報交換 |
頼れる先を持つことの大切さ
疲れがたまったとき、一人で抱え込んでしまうと、心身ともに限界に近づいてしまいます。頼れる先を複数持っておくことが、長く子育てを続けるための大切な土台です。
家族にお願いするときの工夫
パートナーや祖父母に頼るときは、「もっと手伝って」という漠然とした頼み方ではなく、具体的に伝えると、協力してもらいやすくなります。たとえば、「毎週水曜の午後、2時間だけ見てほしい」「夕食の片づけをお願いしたい」など、内容と時間を明確にします。また、お願いしたあとは、「ありがとう」を忘れずに伝えることで、関係も良好に保てます。
外部サービスの活用
地域には、子どもを一時的に預かってもらえるサービスや、家事を支援してくれるサービス、お子さんが過ごせる居場所などがあります。ファミリーサポート、一時預かり、放課後等デイサービス、フリースクール、民間の家事代行など、状況に応じて選択肢を探してみましょう。利用条件や費用は、自治体やサービスごとに異なるため、事前に確認が必要です。
学校や専門家への相談
夏休み中でも、学校の先生やスクールカウンセラーに相談できる場合があります。お子さんの様子や、親御さんの悩みを共有しておくことで、2学期以降の対応について、一緒に考えてもらえます。お子さんに発達障害の診断や特性がある場合は、通っている医療機関や支援機関にも、夏休み中の過ごし方について相談してみましょう。
同じ立場の人とのつながり
親の会、オンラインコミュニティ、地域の交流会などで、同じような悩みを持つ親御さんと話すと、「自分だけではない」と感じられ、気持ちが楽になります。経験談や、具体的な工夫を聞くことで、新しいヒントが得られることもあります。無理のない形で、参加してみてください。

イライラしてしまったときの対処法
疲れがたまると、つい、お子さんに強い口調で言ってしまったり、感情的に怒ってしまったりすることがあります。そんな自分に、自己嫌悪を感じる親御さんも少なくありません。しかし、誰にでも起こり得ることです。大切なのは、その後の対応です。
その場で離れる
怒りが高まったときは、その場から少し離れると、気持ちが落ち着きやすくなります。別の部屋に行く、深呼吸をする、水を飲むなど、短時間でも距離を置くことで、冷静さを取り戻しやすくなります。お子さんにも、「少し落ち着いてから話すね」と伝えておくと、安心感を与えられます。
後から、修復する
感情的に言ってしまったあとは、気持ちが落ち着いてから、「さっきは言いすぎたね」「ごめんね」と、素直に伝えましょう。親が謝る姿を見せることは、お子さんにとって、感情との向き合い方や、関係の修復の仕方を学ぶ機会にもなります。
怒りのパターンに気づく
どんな場面で、イライラしやすいのかを、振り返ってみましょう。空腹のとき、睡眠不足のとき、時間に追われているときなど、自分の「引き金」を知っておくと、事前に対処しやすくなります。
自分を責めすぎない
イライラしてしまう自分を、責めすぎないでください。それだけ、余裕がなくなるほど、頑張っているということです。うまくいかない日があっても、「明日またやり直そう」と考えましょう。

発達障害・不登校のお子さんの夏休みに、特に気をつけたいこと
発達障害や不登校のお子さんの場合、夏休み特有の悩みや、配慮が必要な場面があります。ここでは、親御さんの負担を減らしながら、お子さんの安心も守るための視点を紹介します。
見通しを立てやすくする
発達障害のお子さんの中には、予定が分からないことに強い不安を感じる子もいます。1日のスケジュールを、絵や文字で見える形にしておくと、お子さんが落ち着いて過ごしやすくなり、親御さんの声かけの負担も減ります。
刺激の多い場所を避ける
夏のイベントや、人混みの多い場所は、感覚が敏感なお子さんにとって、大きな負担となることがあります。親御さんが疲れる原因にもなるため、無理に外出せず、静かな場所や、空いている時間帯を選ぶと、お互いに楽になります。
登校のプレッシャーと向き合う
不登校のお子さんの場合、夏休み明けが近づくにつれて、不安が高まることがあります。登校を目標にするのではなく、お子さんの気持ちに寄り添いながら、無理のない選択肢を探していくことが大切です。
きょうだいへの配慮も忘れずに
特性のあるお子さんに、親御さんのエネルギーが集中しがちな夏休みは、きょうだいが寂しさを感じやすい時期でもあります。きょうだいと二人きりで過ごす時間を、短くても意識的につくり、気持ちを聞いてあげてください。
夏休み後半〜休み明けに向けて、心の準備を
夏休みの後半になると、2学期への不安や、これまでの疲れが一気に押し寄せることもあります。休み明けに向けた準備を、無理のない範囲で進めておきましょう。
「休み明けのこと」を考えすぎない
休み明けが近づくと、「また始まる」というプレッシャーを感じる親御さんも多いと思います。しかし、先のことを考えすぎると、今の疲れがさらに重くなってしまいます。今できることだけに集中し、先のことは、そのときに考える、という気持ちで過ごしてみてください。
学校との連絡を済ませておく
休み明けの対応について、事前に担任と話しておくと、安心感が違います。お子さんの特性、配慮してほしいこと、登校が難しい場合の連絡方法などを、共有しておきましょう。夏休み中でも、学校に電話や連絡帳で相談できることが多くあります。
自分の体を労わる時間を確保する
夏休みの間に溜まった疲れは、そのままにしておくと、新学期の忙しさで、さらに大きくなる恐れがあります。休み明けまでに、自分のための休息日をつくったり、健康診断や通院が必要な場合は、この時期に済ませておいたりしましょう。
選択肢を知っておく
お子さんが学校に通うことが、難しくなっている場合は、通信制高校や、サポート校、フリースクール、オンライン学習など、学び方の選択肢を知っておくことで、気持ちの余裕が生まれます。今すぐ決める必要はなく、情報を集めておくだけでも、将来への安心につながります。

「頑張りすぎない」ための、日常の工夫
毎日の暮らしの中で、少しでも気持ちを軽くするための工夫を、いくつか紹介します。
「やらないことリスト」をつくる
やることリストはよく聞きますが、「やらないことリスト」をつくるのも、有効な方法です。夏休み中は、手の込んだ料理をしない、毎日掃除機をかけない、完璧な夏休みの計画を求めない、など、手放すことを決めておくと、気持ちが楽になります。
身体のケアを意識する
睡眠、食事、水分補給、適度な運動など、基本的な身体のケアを、意識しましょう。夏の暑さで体力を消耗しやすい時期でもあるため、無理をしすぎないことが重要です。体調がすぐれない日は、遠慮なく休んでください。
気持ちを書き出す
モヤモヤした気持ちや不安を、紙やスマホのメモに書き出すだけでも、心が整理されます。誰にも見せる必要はありません。書くことで、自分の気持ちに気づいたり、考えがまとまったりします。
好きなことを、少しだけやる
子育て中でも、自分の好きなことを、ほんの少しだけ続ける時間を持つと、気持ちのバランスがとりやすくなります。10分の読書、お気に入りのカフェでの一杯、好きな音楽を聴く時間など、小さなことで構いません。
「今日は十分頑張った」と声に出す
一日の終わりに、「今日もよく頑張った」と、自分に声をかけてみましょう。小さなことのようですが、自己肯定感を保つ効果があるといわれています。
お子さんとの時間を、少しでも楽にするアイデア
お子さんと過ごす時間が負担に感じるときは、関わり方を少し工夫することで、お互いに楽になる場合があります。
一緒に過ごす時間と、別々に過ごす時間を分ける
常に一緒にいると、お互いに疲れてしまいます。お子さんが一人で過ごせる時間と、親子で関わる時間を、意識的に分けると、メリハリが生まれます。一人で過ごす時間が長い場合でも、安全が確保されていれば、見守りすぎなくても大丈夫です。
お子さんが好きな活動に任せる時間
お子さんが、好きなことに集中している時間は、親御さんが休める貴重なチャンスです。その間に、自分の時間をとったり、家事を済ませたりしましょう。ゲームや動画も、使い方を工夫すれば、親子の負担軽減に活用できます。
簡単で楽しい活動を取り入れる
親子で楽しめる簡単な活動として、料理の手伝い、散歩、工作、映画鑑賞、ボードゲームなどがあります。準備が少なく、短時間でできるものを選ぶと、無理なく続けられます。
お子さんに「協力をお願いする」
お子さんの年齢に応じて、「今日は少し疲れているから、静かに過ごしてほしい」と、素直に伝えるのも、ひとつの方法です。親が弱さを見せることで、お子さんが思いやりを学ぶ機会になることもあります。
「ちゃんとした親」でなくてもいい
子育てに、正解や完璧はありません。うまくいかない日があっても、お子さんを大切に思う気持ちがあれば、それで十分です。ご自身の心と体を守りながら、無理のないペースで、夏休みを乗り切ってください。疲れを感じたときは、遠慮なく、周りに助けを求めましょう。

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よくある質問
おかしくありません。一日中お子さんと過ごす時間が増え、心身の負担が大きくなるのは、多くの家庭で見られることです。
親御さんが休むことは、お子さんを長く支えるために必要なことです。短い時間でも、罪悪感なく休める工夫をしてみてください。
具体的にお願いしたいことを伝える、頼れる外部サービスを使うなど、家庭内外の力を組み合わせる方法があります。
誰にでも起こり得ることです。後から「さっきは言いすぎたね」と伝えることで、関係は修復できます。
学校、自治体の窓口、親の会、医療機関などがあります。夏休み中でも相談できる場所を、事前に調べておくと安心です。
まとめ
- 夏休みは、親の負担が増えやすく、疲れるのは自然なこと
- 完璧を目指さず、できる範囲で休むことを優先する
- 家族・外部サービス・相談先など、頼れる先を複数持つ
- 自分を責めず、うまくいかない日も許す
夏休みの子育てに疲れを感じるのは、お子さんに真剣に向き合っているからこそです。ご自身の心と体を大切にしながら、無理のないペースで過ごしてください。
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執筆者:ニジ高編集部 2026年10月21日更新
参考文献
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」(本人のペースを尊重する支援の考え方)
- お住まいの自治体の教育支援センター・教育委員会・保健センターの相談窓口
- 厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570-064-556)・「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)



