通信制高校を卒業すれば学歴は全日制と同じ「高卒」で、大学・専門学校・就職のどの道も選べます。ただし、卒業生の約4人に1人(26.1%)は進学も就職もしないまま卒業しているため、将来を左右するのは「通信制かどうか」より「在学中に進路の準備をしたかどうか」です。
「通信制高校に行ったら、将来困るのでは」という不安は、本人にも保護者の方にもよくあるものです。この記事では、文部科学省の学校基本調査や厚生労働省の公表データをもとに、通信制高校の卒業生が実際にどこへ進んでいるのか、就職や進学で不利になるのか、そして在学中に何をしておけば将来の不安を小さくできるのかを、学年別の行動まで落とし込んでまとめました。
結論:通信制高校と将来の不安の早見
- 学歴は「高等学校卒業」。全日制と同じで、履歴書にもそのまま書けます。高卒認定試験の合格とは違い、学歴として高卒になります。
- 卒業生の進路は分かれています。2024年度の通信制卒業生は、大学等進学28.6%、専修学校22.9%、就職19.5%でした。
- いちばんの課題は「進路未決定」。進学も就職もしていない人が26.1%いて、全日制より多いのが実情です。
- 高卒の求人は多い。2026年3月卒の高校生への求人倍率は3.94倍(2025年9月末時点)でした。
- 将来を分けるのは在学中の行動。単位を計画的に取る、進路の情報を早めに集める、相談できる大人を持つ、の3つが土台になります。
「通信制高校だと将来が不安」と感じる3つの理由
通信制高校と将来について不安を感じる理由は、大きく分けると次の3つです。それぞれに、事実で答えられる部分と、自分で準備できる部分があります。
| よくある不安 | 事実で言えること | 自分で準備できること |
|---|---|---|
| 学歴で不利になるのでは | 卒業すれば全日制と同じ高卒。大学の出願資格も同じ | なぜ通信制を選び、何をしたかを話せるようにする |
| 周りから遅れてしまうのでは | 単位や在籍期間を引き継げば、3年で卒業を目指せる | 単位の計画を立て、取りこぼしを防ぐ |
| 進路の情報が入ってこないのでは | 学校によって進路指導の手厚さに差がある | 自分から情報を取りにいく。相談できる大人を持つ |
このように、不安の多くは「通信制だから必ずそうなる」というものではありません。一方で、3つ目の「情報が入ってこない」は、全日制のように毎日先生や同級生と顔を合わせないぶん、実際に起こりやすいことです。この点は後半で詳しく対策を紹介します。
データで見る:通信制高校の卒業生はどこへ進む?
文部科学省の資料(学校基本調査)によると、2024年度に通信制高校を卒業した人の主な進路は次のとおりです。

| 進路 | 通信制高校の卒業生 | 参考 |
|---|---|---|
| 大学等進学 | 28.6% | 全日制は63.4% |
| 専修学校(専門課程) | 22.9% | 看護・保育・IT・美容など |
| 就職 | 19.5% | 仕事に就いた人 |
| 進学も就職もしていない | 26.1% | 受験の準備を続ける人なども含まれる |
※文部科学省「高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律の背景及び概要について」(2026年8月、学校基本調査より2024年度卒業者の状況)。主な進路のみのため合計は100%になりません。
この数字から読み取れるのは、通信制高校からでも、大学・専門学校・就職のどの道にも多くの人が進んでいるということです。同時に、4人に1人は進路が決まらないまま卒業していることも事実です。この中には、浪人して翌年に大学を目指す人や、体調を整える期間にしている人も含まれるので、すべてが「失敗」というわけではありません。ただ、本人が望まないまま「なんとなく未決定」になることは、在学中の準備で減らすことができます。
学歴は「高卒」|高卒認定との違い
通信制高校は学校教育法にもとづく高等学校なので、卒業すれば最終学歴は「高等学校卒業」です。全日制や定時制と区別されることはありません。よく比べられる高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)とは、ここが大きく違います。
| 通信制高校を卒業 | 高卒認定試験に合格 | |
|---|---|---|
| 学歴 | 高等学校卒業 | 高校を卒業したことにはならない(高卒と同等以上の学力の認定) |
| 大学・専門学校の受験 | できる | できる(大学入学資格が得られる) |
| 就職での扱い | 高卒として応募できる | 企業の判断による |
| かかる期間 | 3年以上在籍(前の高校の単位・期間を引き継げる) | 試験に合格すれば最短で数か月 |
文部科学省が2013年に公表した調査では、採用試験で高卒認定合格者を「高卒と同等」と扱う企業は25.9%でした。古い調査なので今の状況とは違う可能性がありますが、「高卒」という学歴が必要な場面では、通信制高校の卒業が確実だと言えます。
就職への影響は?|高卒の求人は多い
厚生労働省によると、2026年3月に卒業する高校生への求人倍率は3.94倍(2025年9月末時点、学校やハローワークの紹介を希望した生徒が対象)でした。高卒で働きたい人1人に対して、4件近くの求人があったことになります。
採用する側についても、厚生労働省は「公正な採用選考」として、応募者の適性・能力に基づいた基準で選考するよう事業主に求めています。課程の違いで応募を断ることは、この考え方にそぐいません。
ただし、通信制高校ならではの注意点もあります。
- 学校を通じた就職の支援は学校ごとに差がある。高校生の就職活動は、学校に届く求人票をもとに進めるのが一般的です。求人票の紹介や面接練習をどこまでしてくれるか、入学前や早い時期に確認しましょう。
- 入ってから合わずに辞める人も少なくない。厚生労働省の調査では、2022年3月に高校を卒業して就職した人の37.9%が3年以内に離職しています。職場見学やインターンシップで、仕事の中身を知ってから選ぶことが大切です。
- 面接では「通信制を選んだ理由」を聞かれることがある。短く前向きに説明できるようにしておくと安心です。
アルバイトの経験は、働くイメージをつかむうえで役に立ちます。両立のコツは通信制高校とバイトの両立にまとめています。

大学・専門学校への進学は?
大学の出願資格は、全日制でも通信制でも同じ「高等学校を卒業した者(見込みを含む)」です。入試の種類ごとに、通信制の生徒が意識したいことを整理しました。
| 入試の種類 | 主に見られること | 通信制の生徒が意識したいこと |
|---|---|---|
| 一般選抜 | 学力試験の点数 | 受験科目を早めに決め、レポートとは別に受験勉強の時間をとる |
| 学校推薦型選抜 | 評定平均、出欠、学校長の推薦 | 単位を期限どおりに取り、評定を意識する。指定校推薦の枠があるか確認する |
| 総合型選抜 | 志望理由、活動実績、面接・小論文 | 自由な時間を使った活動を、記録に残しておく |
通信制高校は自由な時間が多いぶん、総合型選抜で語れる経験をつくりやすい面があります。くわしくは通信制高校から大学受験や通信制高校の指定校推薦で解説しています。看護など資格職を目指す場合は通信制高校から看護師も参考になります。
進学で心配になりやすいのが学費です。国の高等教育の修学支援新制度では、大学・短大・高専・専門学校に進む学生を対象に、授業料・入学金の減免と返さなくてよい給付型奨学金を行っています。世帯の収入などの要件があり、2025年度からは子どもを3人以上扶養する多子世帯について、所得制限なしで一定額まで授業料・入学金が減免されるようになりました。通信制高校の生徒も、全日制と同じように申し込めます。申し込みは高3の春ごろから在学する高校を通じて始まることが多いので、早めに学校へ確認しておきましょう。
「進路未決定」にならないために|26.1%の背景
通信制高校で進路未決定の割合が高いのには、いくつかの理由が考えられます。毎日学校に来ないため、進路の話題に触れる機会が少ないこと。体調や気持ちの波で、受験や就職活動の時期に動けないこと。そもそも「卒業すること」で精一杯で、その先を考える余裕がないことです。
どれも本人の努力不足ではありません。だからこそ、仕組みで補うことが大切です。
- 高2の秋までに、進路の方向(進学か就職か)だけでも決めておく。決められないときは「とりあえず両方の情報を集める」でかまいません。
- 定期的に進路の話ができる相手をつくる。担任、進路の先生、サポート校のスタッフ、家族など。月に1回でも話す機会があると、動き出しやすくなります。
- 卒業後に「すぐ」を決めなくてもいい道も知っておく。働くことに不安があるときは、厚生労働省の「地域若者サポートステーション」(15〜49歳が対象、全国179か所)のように、就労に向けた支援を受けられる窓口があります。
進学か就職か迷ったときの考え方
「進学か就職か決められない」ことも、未決定の大きな理由です。迷ったときは、次の表のように何年かかるか・何が得られるか・お金はどうなるかで並べてみると、自分に合う道が見えやすくなります。
| 進路 | かかる年数 | 得られるもの | 考えておきたいこと |
|---|---|---|---|
| 大学 | 4年(短大は2年) | 学位、幅広い学び、職業の選択肢 | 学費と生活費。修学支援新制度や奨学金を調べる |
| 専門学校 | 2年が多い | 仕事に直結する技術や資格 | 分野を決めておく必要がある。学費と資格の取得率を確認 |
| 就職 | すぐ | 収入、社会人としての経験 | 仕事内容を職場見学などで確かめる。働きながら資格や進学を目指す道もある |
どの道も、後から変えることができます。働いてから大学や専門学校に進む人もいますし、進学してから進む方向を変える人もいます。「今の自分にとって、いちばん納得できる一歩」を選べば十分です。
在学中にやっておきたいこと|学年別ロードマップ
将来の不安を小さくする一番の方法は、「いつ、何をするか」を見える形にすることです。学年ごとの目安を整理しました。転入・編入した人は、自分の在籍年数に合わせて読み替えてください。

| 時期 | やること |
|---|---|
| 高1 | レポートとスクーリングのペースをつかむ。興味のあることを1つ見つけ、調べたり体験したりする |
| 高2 | 進学か就職か、方向を決める。オープンキャンパスや職場見学に行く。評定と出席を意識する |
| 高3の春〜夏 | 志望校・応募先を決める。推薦・総合型の条件や求人票を確認し、面接や小論文の練習を始める |
| 高3の秋〜冬 | 受験や就職試験を受ける。卒業に必要な単位を取り切る |
あわせて、毎日の小さな習慣も将来の力になります。
- 1週間の予定を自分で立てる。レポート、アルバイト、休む時間を書き出すだけで、自己管理の練習になります。
- やったことを記録しておく。読んだ本、作ったもの、参加した活動。総合型選抜や就職の面接で話す材料になります。
- 人に説明する練習をする。「なぜ通信制を選んだか」「今何をしているか」を、家族に話してみるだけでも十分です。

通信制高校だからこそ広がる将来の可能性
通信制高校の「時間の自由」は、使い方次第で将来の強みになります。たとえば、興味のある分野の資格の勉強、企業や地域のプロジェクトへの参加、ものづくりや作品の制作、長期のアルバイトで働く経験などです。全日制では時間をとりにくいことに、在学中から取り組めます。
また、一度立ち止まった経験があることは、決してマイナスだけではありません。「自分に合う学び方を選び直した」経験は、進学や就職の場面で、自分のことを考えて行動できる人だと伝える材料にもなります。やりたいことがまだ見つからない人は、転校して「やりたいこと」が見つかるまでも読んでみてください。

保護者ができること
保護者の方にとって、子どもの将来が見えないことはとても不安なものです。ただ、その不安をそのまま本人にぶつけると、本人はかえって動けなくなることがあります。
- 「将来どうするの」より「今週は何をする?」と聞く。大きな問いより、小さな予定のほうが答えやすく、動き出しにつながります。
- 情報集めを手伝う。オープンキャンパスや職場見学の日程、奨学金の情報を一緒に調べます。
- 進路が決まらない時期も、否定しない。体調を整える期間や、もう一度考える期間が必要な人もいます。相談できる窓口を一緒に探すことも支えになります。
- お金の見通しを先に共有する。進学ならどのくらいの学費を家庭で出せるのか、奨学金を使うのか。早めに伝えておくと、本人も現実的に進路を考えやすくなります。
保護者の方自身が不安でいっぱいになったときは、学校の進路担当の先生や、在籍している学校の相談窓口に、保護者だけで相談してもかまいません。親が少し安心することが、本人にとっていちばんの追い風になることもあります。
NIJIN高等学院(ニジ高)での進路サポート
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制サポート校です。担任がつき、レポートの進め方や生活のペース、進路の相談を一緒に進めます。全国の仲間と取り組むプロジェクトや行事もあり、カメラとマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。
正直な注意点も書いておきます。ニジ高そのものは高校ではありません。卒業資格は提携する通信制高校で取り、提携校のスクーリングへの参加が必要です。進路が必ず決まることを約束するものでもありません。費用は提携校の分とニジ高の分がかかり、ニジ高の分には就学支援金は使えません。金額は学費のご案内で公開しています。

将来の不安を、具体的な計画に変えませんか
個別相談では、いまの在籍状況や単位をうかがいながら、卒業までの見通しと、進学・就職に向けて在学中にできる準備を事実ベースでお伝えします。保護者の方だけの参加もできます。
よくある質問
全日制と同じ「高等学校卒業」です。通信制高校は学校教育法にもとづく高等学校なので、履歴書にも高校卒業として書けます。高卒認定試験の合格とは違い、学歴として高卒になります。
文部科学省の資料では、2024年度の通信制卒業生は大学等進学28.6%、専修学校22.9%、就職19.5%でした。一方で、進学も就職もしていない人が26.1%いました。
学歴は全日制と同じ高卒で、厚生労働省は適性・能力に基づく公正な採用選考を事業主に求めています。2026年3月卒の高校生への求人倍率は3.94倍(2025年9月末)でした。ただし学校による就職支援の差はあるので、確認しておきましょう。
単位を計画的に取ること、高2の秋までに進学か就職かの方向を決めること、定期的に進路を相談できる大人を持つことの3つが土台です。活動の記録を残しておくと、受験や面接でも役立ちます。
浪人して翌年に受験する、アルバイトをしながら考える、体調を整えるなど、人によってさまざまです。働くことに不安がある場合は、厚生労働省の地域若者サポートステーション(15〜49歳が対象)などの窓口に相談できます。
まとめ:将来は「通信制かどうか」より「在学中の過ごし方」で決まる
通信制高校を卒業すれば、学歴は全日制と同じ高卒です。大学・専門学校・就職のどの道にも、多くの卒業生が進んでいます。一方で、約4人に1人が進路未決定のまま卒業しているのも事実で、その差を生むのは在学中にどれだけ進路の準備をしたかです。
将来の不安は、ひとりで抱えていると大きく感じます。でも「今週やること」に分けて、相談できる人と一緒に進めれば、少しずつ形になっていきます。焦らず、自分のペースで大丈夫です。

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参考:文部科学省「高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律の背景及び概要について」(2026年8月、学校基本調査)/厚生労働省「令和7年度 高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況(9月末現在)」/厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(2025年10月)/厚生労働省「公正な採用選考の基本」/厚生労働省「地域若者サポートステーション」/文部科学省 報道発表「高等学校卒業程度認定試験合格者の活用状況」(2013年1月)(いずれも2026年10月確認)

