「高校に行きたくない」。その気持ちの背景に、発達の特性による生きづらさが関係していることがあります。授業の音や光がつらい、人との距離感が分からず疲れてしまう、予定の変更に強い不安を感じる、といった困りごとが積み重なると、学校に行くことそのものが大きな負担になってしまう場合があります。そんなとき、「休んではいけない」と自分を追い込んでしまう人も少なくありません。
この記事では、発達障害や発達の特性のある高校生が「高校に行きたくない」と感じるときに、休んでもよいと考えてよい理由、背景にある困りごと、次の一歩を考えるためのヒント、学び方や学校の選択肢、保護者の方の関わり方を、やさしく整理します。なお、ここでの内容は一般的な情報であり、医療的な診断や治療に代わるものではありません。診断の有無にかかわらず、つらさが続くときは、専門機関にご相談ください。
結論:「高校に行きたくない」発達障害の高校生へは、どう考えればよい?
- 「高校に行きたくない」と感じるのは、甘えや怠けではなく、環境と特性の組み合わせによる負担のサインであることがあります。
- 心身がつらいときは、休むことも大切な選択肢です。休むことは、逃げではなく、自分を守る行動でもあります。
- 困りごとを具体的に整理すると、環境の調整や、学び方の見直しなど、取れる手段が見えてきます。
- 学校の配慮、通級・相談機関の利用、通信制高校など、選択肢は複数あります。
- 保護者の方は、責めずに気持ちを聞き、専門機関や学校と連携しながら支えることが大切です。
なぜ「高校に行きたくない」と感じるのか|背景にある困りごと
発達の特性は人によってさまざまで、現れ方も、困りごとも異なります。ここでは、高校生活の中で起こりやすい困りごとの例を紹介します。これらはあくまで一例であり、当てはまるかどうかは人によって違います。自分に近いものがあれば、参考にしてみてください。
感覚の過敏さによる疲れ
教室のざわめき、チャイムの音、蛍光灯のまぶしさ、においなど、周囲の刺激が強く感じられる人がいます。一日中、刺激にさらされ続けることで、帰宅したときにぐったりしてしまう、翌朝動けなくなる、ということが起こりやすくなります。本人は理由が分からず、「自分は弱い」と責めてしまうこともあります。
人との関わり方の難しさ
相手の気持ちを読み取ることや、会話のタイミングをつかむこと、暗黙のルールを理解することが難しいと感じる人もいます。グループ活動や休み時間の過ごし方に悩み、「どう振る舞えばいいのか分からない」という緊張が続くと、学校そのものが苦痛になってしまいます。
見通しが持てないことへの不安
急な予定変更や、先の見えない状況に強い不安を感じる人もいます。時間割の変更、行事の準備、突然の席替えなど、変化の多い高校生活は、気持ちを消耗させる場面が多くなりがちです。事前に予定が分かっていると、安心して過ごしやすくなる場合があります。
学習面でのつまずき
先生の話を聞きながらノートを取る、複数の指示を同時に処理する、長い文章を読むなど、学習の場面で苦手が現れる人もいます。努力しても成果が出にくく、自信を失ってしまうことがあります。苦手なことと、努力不足とは別のことです。
気持ちの切り替えや疲れやすさ
集中が続きにくい、気持ちの切り替えに時間がかかる、疲れが溜まりやすい、といった特性から、毎日同じペースで通い続けることが難しくなる人もいます。「みんなができているのに」という思いが、さらに自分を追い込んでしまうことがあります。
休んでもよい理由|「行けない自分」を責めなくていい
学校を休むことに、罪悪感を覚える人は少なくありません。けれども、心や体が限界に近づいているときに、無理を重ねてしまうと、かえって回復に時間がかかってしまうことがあると言われています。休むことは、立ち止まって自分を守り、次の一歩を考えるための大切な時間になります。
「休む=逃げ」ではない
休むことは、問題から逃げることではなく、自分を守るための行動です。疲れ切った状態で無理に通い続けても、授業の内容が入ってこなかったり、人間関係でさらに傷ついたりすることがあります。休んで、心と体を回復させることは、長い目で見て、学び続けるための土台になります。
休んでいる間にできること
休んでいる間は、「何もしてはいけない」と思う必要はありません。睡眠や食事を整える、好きなことに触れる、気持ちを書き出す、信頼できる人と話す、といった小さなことから始められます。エネルギーが戻ってきたら、少しずつ、将来のことを考えてみればよいのです。
休むときに気をつけたいこと
休む期間が長くなると、昼夜逆転や、家に閉じこもる状態が続いてしまうことがあります。無理のない範囲で、生活リズムを整えたり、短い外出を取り入れたりすると、気持ちが安定しやすくなります。心身の不調が強いときは、医療機関や相談窓口に相談してみてください。

次の一歩を考えるヒント
休んで少し落ち着いてきたら、次の一歩を考える余裕が出てきます。一人で抱え込まず、できることから、少しずつ試してみましょう。
困りごとを書き出して整理する
「何がつらかったのか」「どんなときに楽だったのか」を、具体的に書き出してみましょう。整理することで、「環境を変えれば楽になるもの」と、「自分で工夫できるもの」が見えてきます。うまく書けないときは、信頼できる人に聞いてもらいながら整理するのも良い方法です。
学校に、配慮や調整を相談してみる
担任、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラーなどに、困りごとを伝えてみましょう。座席の位置、休憩場所の確保、課題の出し方の工夫など、学校でできる配慮が見つかることがあります。伝えるのが難しいときは、保護者の方から相談してもらう方法もあります。
専門機関に相談する
発達障害者支援センター、教育相談窓口、児童精神科や心療内科などの医療機関、地域の相談支援事業所など、専門的な相談ができる場所があります。診断の有無にかかわらず、相談することは可能です。相談先を知りたいときは、学校のスクールカウンセラーや、地域の保健センターに尋ねてみてください。
自分に合う学び方・環境を探す
今の環境が合わないと感じたら、学び方や学校そのものを見直すことも選択肢のひとつです。通信制高校のように、通学日数や学習のペースを選びやすい学び方に移る人もいます。環境を変えることで、特性による負担が軽くなる場合があります。

学び方・学校の選択肢
特性による困りごとが大きい場合、環境を整えることが、続けやすさに直結します。ここでは、選択肢の例を紹介します。どれが合うかは人によって異なるため、見学や相談で確かめながら選んでください。
今の高校で、配慮を受けながら続ける
座席の工夫、別室での休憩、課題の調整、テストの受け方の配慮など、学校に相談することで、続けやすくなる場合があります。通級による指導を受けられる学校もあります。配慮の内容は学校によって異なるため、早めに相談しておくと安心です。
通信制高校という選択肢
通信制高校は、通学日数や学習の進め方を選びやすく、自分のペースで学べる点が特徴です。少人数制や個別のサポートに力を入れている学校もあり、感覚の過敏さや人との関わりに不安がある人にとって、過ごしやすい環境になる場合があります。ただし、学校によって特色が大きく異なるため、見学や個別相談で確認が欠かせません。
特別支援教育に力を入れている学校
発達の特性に理解のある先生が在籍していたり、個別の教育支援計画を立ててくれたりする学校もあります。見学のときに、特性のある生徒の受け入れ実績や、サポートの内容を、具体的に聞いてみましょう。
高卒認定試験を目指す道
高校に在籍せず、高卒認定試験に合格して、大学などへの進学を目指す道もあります。ただし、独学で進める必要があり、自己管理が求められるため、支援を受けながら準備する人も多いです。
「行きたくない」の背景には、さまざまな困りごと
があります
| 困りごと | 具体的な場面 | 考えられる工夫 |
|---|---|---|
| 感覚の過敏さ | 騒がしい教室・まぶしい光 | 静かな場所の確保・イヤーマフの使用 |
| 人との関わり | グループ活動・休み時間 | 少人数・役割の明確化 |
| 見通しの不安 | 予定変更・行事 | 事前に予定を共有してもらう |
| 学習面 | ノート・長文・複数の指示 | 視覚的な支援・配慮の相談 |
※あくまで一例です。必要な工夫は人によって異なります。
学校選びで確認したいこと
- 特性のある生徒の受け入れ実績と、サポートの具体的な内容。
- 少人数制や個別対応の有無。静かな環境が確保できるか。
- 相談できる先生・カウンセラー・支援員がいるか。
- 通学日数やコースを、状況に応じて変更できるか。
- 見通しを持ちやすいよう、予定の事前共有などの配慮があるか。
- 見学や体験で、実際の雰囲気を確かめられるか。

保護者の方ができるサポート
お子さんが「高校に行きたくない」と言ったとき、保護者の方は戸惑いや不安を感じるかもしれません。そんなときこそ、お子さんの気持ちを丁寧に受け止めることが、大切な第一歩になります。
「どうして行かないの」と責める前に、気持ちを聞く
責めるような問いかけは、お子さんをさらに追い込んでしまうことがあります。「何がつらいのか、教えてくれる?」と、落ち着いた声で聞いてみましょう。うまく言葉にできないときは、無理に聞き出さず、「話したくなったらいつでも聞くよ」と伝えるだけでも、安心につながります。
特性を理解し、一緒に工夫を考える
お子さんの特性について、専門家の話を聞いたり、本を読んだりして理解を深めることは、関わり方のヒントになります。「できない」ことを責めるのではなく、「どうすれば楽になるか」を一緒に考える姿勢が、お子さんの自己肯定感を支えます。
学校・専門機関と連携する
保護者の方が一人で抱え込まず、学校の先生、スクールカウンセラー、専門機関と連携して支えていく体制を作りましょう。情報を共有することで、お子さんに合った配慮や支援を受けやすくなります。
保護者自身も、休む・頼る
お子さんを支える保護者の方も、大きな負担を抱えています。同じ経験を持つ保護者同士の集まりや、相談窓口を頼ることで、気持ちが軽くなることがあります。保護者の方が元気でいることも、お子さんの安心につながります。

「高校に行きたくない」についての、よくある誤解
「発達障害なら、特別支援学校に行くべき」
進路は、特性の有無だけで決まるものではありません。本人の希望や状況に合わせて、さまざまな選択肢から選ぶことができます。
「休んだら、二度と戻れなくなる」
休んだあとに、自分に合う環境や学び方を見つけて、再び歩み出す人はたくさんいます。休むことが終わりではなく、立て直すための時間になります。
「頑張れば、克服できるはず」
特性は、努力で変えられるものばかりではありません。無理に克服しようとするより、環境や工夫で負担を軽くすることが、現実的で続けやすい方法です。

学校に伝えるとき・相談するときの工夫
困りごとがあっても、学校の先生にどう伝えればよいか分からず、一人で抱え込んでしまう人は少なくありません。うまく伝えるためのコツを知っておくと、配慮や支援につながりやすくなります。ここでは、相談するときの工夫をいくつか紹介します。
まず大切なのは、「何が困っているのか」を具体的に伝えることです。「学校がつらい」という漠然とした表現より、「教室のざわめきで頭が痛くなる」「グループ活動で何をすればよいか分からなくなる」のように、場面と状況を添えると、先生も対応を考えやすくなります。うまく言葉にできないときは、紙に書いて渡したり、保護者の方から伝えてもらったりする方法もあります。
次に、「どうなったら楽になるか」という希望も、あわせて伝えてみましょう。「休み時間に静かな場所で過ごしたい」「課題の指示を文字で見せてほしい」「予定の変更は前日までに教えてほしい」など、具体的な希望があると、学校側も実現しやすい配慮を提案しやすくなります。すべての希望が叶うとは限りませんが、話し合いの出発点になります。
相談する相手は、担任の先生だけでなく、養護教諭、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラーなど、複数の選択肢があります。話しやすい相手から始めて構いません。相談の記録や、決まった配慮の内容は、メモに残しておくと、担当の先生が変わったときにも伝えやすくなります。
相談は、困りごとを具体的に
伝えることから始まります
※伝え方に正解はありません。話しやすい方法で大丈夫です。
次の一歩は、3つのステップ
で考えてみましょう
※順番や進め方は、本人のペースで構いません。
特性とうまくつきあうための、日常の工夫
環境を整えることに加えて、日常生活の中で、自分に合った工夫を見つけていくことも大切です。工夫は、特性そのものを変えるためではなく、困りごとを少し楽にするためのものです。自分に合うと感じるものだけを、取り入れてみてください。
感覚の過敏さがある人は、イヤーマフや耳栓、サングラスや帽子、ブルーライトをやわらげるメガネなど、刺激を和らげるための道具を試す方法があります。学校で使えるかどうかは事前に確認が必要ですが、許可してもらえる場合もあります。家では、照明や音を調整して、落ち着ける空間を作っておくと、回復しやすくなります。
見通しの不安がある人は、予定を紙やスマートフォンに書き出して、視覚的に確認できるようにする方法があります。一日の流れ、持ち物、提出物などを書いておくと、「次に何をするのか」が分かり、安心しやすくなります。急な変更があったときのために、「予定が変わったら、こうする」という対処のルールも、あらかじめ決めておくと役立ちます。
疲れやすさがある人は、休憩を前提にスケジュールを組むことが大切です。「予定を詰め込まない」「一日に頑張る場面を絞る」「疲れる前に休む」を意識して、余白を残しておきましょう。体調の波があることを前提にして、調子が良い日と悪い日で、やることを調整する工夫も有効です。
人との関わりに不安がある人は、無理に大人数の輪に入ろうとせず、少人数や一対一で関わる場面を選ぶ方法があります。挨拶や短い会話など、簡単なやりとりから慣れていくと、負担を抑えながら関係を築いていけます。人と関わる時間のあとは、一人で過ごす時間を確保して、エネルギーを回復させることも大切です。
こんなときは、専門の相談先へ
ご家庭だけで抱え込むと、保護者の方もお子さんも、気持ちが追い詰められてしまうことがあります。次のような様子が数週間以上続くときは、早めに専門機関へ相談することも、大切な選択肢です。
- 感覚の過敏さや人との関わりの難しさで、登校前から強い疲れを感じている。
- 学校に行けない自分を責めてしまい、誰にも相談できずにいる。
- 食事がほとんど取れない、または眠れない状態が続いている。
- 強い落ち込み・不安・イライラが続き、日常生活に大きな支障が出ている。
- 「消えてしまいたい」など、命や安全に関わる言葉がある。
相談先としては、お住まいの自治体の教育支援センター、教育委員会、保健センター、学校のスクールカウンセラー、児童精神科・小児科・心療内科などがあります。お子さんの気持ちが心配なときは、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)といった公的な窓口も利用できます。相談することは「大ごとにすること」ではありません。話を聞いてもらうだけでも、気持ちが軽くなることがあります。

ニジ高(NIJIN高等学院)ができること
NIJIN高等学院は、オンラインを中心に、一人ひとりのペースに合わせて学べる通信制サポート校です。学び方や環境の見直しについてのご相談は、説明会や個別相談でお気軽にお寄せください。「何から始めればよいか分からない」「まずは話を聞いてみたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。個別相談や、資料請求から、まずは情報を集めることもできます。
よくある質問
甘えとは限りません。感覚の過敏さ、人との関わり、見通しの不安など、環境と特性の組み合わせによる負担のサインであることがあります。つらさが続くときは、休むことや相談することも大切です。
学校によって、欠席の扱いや補習の仕組みが異なります。担任やスクールカウンセラーに相談し、休み方や復学の進め方を確認してみてください。
診断の有無にかかわらず、学校の相談窓口や教育相談、地域の相談機関に相談することは可能です。困りごとを具体的に伝えることで、必要な支援につながりやすくなります。
通学日数や学習の進め方を選びやすく、少人数や個別対応の学校もあるため、過ごしやすいと感じる人もいます。ただし、学校ごとに特色が異なるため、見学や個別相談で確認してください。
まずお子さんの気持ちを責めずに聞き、学校のスクールカウンセラーや専門機関に相談してみましょう。保護者自身も、相談できる場所を持っておくことが大切です。
まとめ
- 「高校に行きたくない」気持ちは、環境と特性の組み合わせによる負担のサインであることがあります。
- 心身がつらいときは、休むことも大切な選択肢で、休むことは逃げではありません。
- 困りごとを整理し、学校や専門機関に相談しながら、合う環境や学び方を探しましょう。
- 保護者の方は、責めずに気持ちを聞き、学校・専門機関と連携して支えていくことが大切です。
「行きたくない」と感じるあなたの気持ちには、理由があります。自分を責めず、休みながら、あなたに合う環境と学び方を、ゆっくり探していきましょう。
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執筆者:ニジ高編集部 2026年10月8日更新
参考文献
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」
- 厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」(こころの健康に関する情報)
- お住まいの自治体の教育支援センター・教育相談窓口



