発達障害と学習障害を併せ持つ高校生の特性とは
発達障害と学習障害を併せ持つ高校生は、日々の学校生活や学習の中で、さまざまな困りごとを抱えていることがあります。ここでは、それぞれの特性と、併せ持つ場合に見られやすい状況を、できるだけわかりやすく整理します。なお、ここでの内容は一般的な情報であり、診断や個別の判断に代わるものではありません。
発達障害は、生まれつきの脳の働き方の違いによる特性の総称で、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)などが含まれると言われています。それぞれ、対人関係やコミュニケーション、注意の持続や衝動性、読み書きや計算などの学習面といった、異なる領域に特性が現れます。
学習障害(LD)は、全般的な知的発達に遅れはないものの、「読む」「書く」「計算する」「推論する」などの特定の能力の習得や使用に著しい困難を示す状態を指すとされています。たとえば、文字を読むのに時間がかかる、書くときに文字の形が整わない、計算の手順が覚えにくいといった形で現れることがあります。
これらを併せ持つ場合、特性が重なり合うことで、困りごとが複雑になることがあります。たとえば、注意の持続が難しい特性と、読み書きの困難が重なると、長い文章を読んで理解することが、さらに負担になる場合があります。また、対人関係の難しさと学習面の困難が重なると、授業中に質問できず、わからないまま進んでしまうこともあります。
こうした困りごとは、周囲から見えにくいことが多く、「やる気がない」「怠けている」と誤解されることがあります。本人も、「頑張っているのに結果が出ない」という経験を重ねることで、自信をなくしたり、学ぶこと自体を避けるようになったりする場合があります。二次的に、不安や落ち込み、不登校につながることもあると言われています。
大切なのは、困りごとを「本人の努力不足」と捉えず、「特性による困難」として理解することです。そして、特性に合った学び方や環境を整えることで、本人の力を発揮しやすくなる可能性があります。
併せ持つと、困りごとが
重なって見えることがある
| 領域 | よくある特性の例 | 学校生活での現れ方 |
|---|---|---|
| 注意・衝動性 | 集中が続きにくい・忘れ物が多い | 板書の写し漏れ・提出物の遅れ |
| 対人・コミュニケーション | あいまいな指示が苦手・見通しが立たないと不安 | 質問できない・集団活動の負担 |
| 読み書き・計算 | 文字を読むのに時間がかかる・書字や計算の手順が難しい | テストで時間が足りない・ノートが取りにくい |
ここでの整理は一般的な目安であり、診断ではありません。
学習面の困難の現れ方と、見えにくいつまずき
学習面の困難は、一見すると「勉強が苦手」「覚えが悪い」と見えがちですが、実際には、情報を受け取る段階や処理する段階、表現する段階のどこかに、特性による困難が潜んでいる場合があると言われています。つまずきの場所を理解することで、適切な対応を考えやすくなります。
たとえば、「読む」ことのつまずきでは、文字を一文字ずつ拾い読みする、行を飛ばしてしまう、文章の意味を取るのに時間がかかるなどが見られることがあります。「書く」ことのつまずきでは、漢字の形を正確に書けない、文字の大きさがそろわない、作文で言いたいことをまとめにくいなどです。「計算する」ことでは、数の概念や手順の理解、文章題から式を立てることなどに困難を感じる場合があります。
また、記憶や段取りの面でも、つまずきが現れることがあります。複数の指示を同時に覚えるのが難しい、やるべきことの優先順位をつけにくい、時間配分が苦手などです。これは、発達障害の特性(実行機能の難しさなど)と関連している場合があります。
こうした困難があると、同じ時間を勉強に使っても、成果が出にくく、本人は疲れやすくなります。そのため、「量をこなす」ことよりも、「学び方を工夫する」ことが重要になります。たとえば、音声教材を使う、図や色で整理する、課題を小さく分ける、ICT機器で書字の負担を減らすといった方法です。
周囲の大人は、成績や提出物の結果だけで判断せず、どこでつまずいているのかを、本人と一緒に探る姿勢が大切です。「どこが難しい?」「どうしたらやりやすい?」と、本人の感覚を聞くことで、有効な工夫が見つかることがあります。
もし、学習面の困難が気になる場合は、専門機関での評価や相談を検討するのも一つの方法です。得意なことと苦手なことが整理され、学校での配慮や学び方の工夫を考える手がかりになります。
学習環境を整える:ICT・時間・見通しの3つの工夫
発達障害と学習障害を併せ持つ高校生が学びやすくなるためには、本人の努力に頼るのではなく、環境を整えることが大切です。ここでは、取り入れやすい工夫を三つの観点から整理します。ただし、どの方法が合うかは人によって異なるため、試しながら調整していく姿勢が役立ちます。
一つ目は、ICT(情報通信技術)の活用です。タブレットやパソコンで文字入力をする、音声入力を使う、読み上げ機能で教材を聞く、板書をスマートフォンで撮影する、拡大表示や色の調整をするなど、読み書きの負担を軽くする方法は増えています。「手で書く」「目で追う」ことに多くのエネルギーを使っている場合、その負担が減るだけで、内容の理解に力を向けやすくなることがあります。
学校でICT機器の使用が認められるかどうかは、学校や科目、試験の種類によって異なります。使用を希望する場合は、事前に担任の先生や特別支援コーディネーターに相談し、必要性や使い方を伝えておくとよいでしょう。診断書や専門機関の意見書が参考にされることもあります。
二つ目は、時間の使い方の工夫です。読み書きや計算に時間がかかる場合、時間内に終わらせることを重視すると、本来の力が発揮されにくくなります。課題を小さく区切る、休憩をはさむ、提出期限に余裕を持たせるといった調整が、負担の軽減につながります。試験では、時間延長が認められる場合もあるため、学校や受験する機関に確認してみてください。
三つ目は、見通しの持ちやすさです。一日の流れや、今日やることを、紙やスケジュールアプリで見える形にすると、不安が和らぎ、取りかかりやすくなる場合があります。指示は短く具体的にし、「いつまでに、何を、どのくらい」を明確に伝えると、混乱が起こりにくくなります。
こうした工夫は、「楽をするため」ではなく、「本来の力を発揮するための土台づくり」です。周囲の大人も、そのように捉えて、本人が使いやすい方法を一緒に探してあげてください。
学びやすさを支える
3つの工夫
本人に合う方法を、試しながら調整していきましょう。

学校や周囲に伝えるとき:配慮を相談する進め方
配慮を受けるためには、学校や周囲に、困りごとや必要な支援を伝えることが欠かせません。しかし、「どう伝えればよいかわからない」「伝えることで特別視されないか不安」と感じる方も多くいます。ここでは、相談を進めるための基本的な流れを整理します。
まず、困りごとを具体的に整理します。「勉強が苦手」という大まかな表現ではなく、「板書を写すのに時間がかかり、説明を聞き逃す」「長文を読むと途中でどこを読んでいるかわからなくなる」「計算の手順を覚えられず、ミスが続く」など、場面と状況を具体的に書き出します。本人の感覚も聞きながら、一緒に整理してください。
次に、有効だった工夫や、希望する配慮を考えます。「ノートの代わりに板書を撮影できると助かる」「試験時間を延長してほしい」「課題の量を調整してほしい」など、具体的な提案があると、学校側も検討しやすくなります。うまくいかなかった方法も、あわせて伝えると参考になります。
そして、窓口になる人に相談します。担任の先生、特別支援教育コーディネーター、養護教諭、スクールカウンセラーなど、学校によって窓口は異なります。面談の場では、結論を急がず、お互いの考えを共有する場として臨むと、建設的な話し合いになりやすくなります。話し合った内容は、メモや書面で残しておくと、担当が変わったときにも引き継ぎやすくなります。
伝え方で不安がある場合は、医療機関や教育相談機関、発達障害者支援センターなどの専門家に、同席や助言を依頼する方法もあります。専門家からの意見が加わることで、学校側の理解が深まる場合があります。
なお、配慮の内容や範囲は、学校や制度によって異なります。「できること・できないこと」が学校ごとにあるため、一度で全てが決まるとは限りません。何度か話し合いながら、本人の状態に合わせて調整していくものと考えておくと、気持ちが楽になります。

学校選びのヒント:通信制高校を含めて比べるときの視点
発達障害と学習障害を併せ持つ高校生が学校を選ぶときは、「偏差値」や「知名度」だけでなく、「その学校で安心して学べるか」「特性に合った支援があるか」を重視して比べることが大切です。全日制、定時制、通信制、サポート校など、選択肢の違いを知っておくと、検討しやすくなります。
全日制高校は、毎日通学して集団で授業を受ける形が基本で、学校によっては特別支援のための体制(通級指導や個別の配慮)が整っている場合があります。定時制高校は、夜間や午前・午後など、時間帯を選んで通える形が多く、少人数で学べる学校もあります。通信制高校は、自宅学習を中心にスクーリングで登校する仕組みで、自分のペースで学びやすいという特徴があります。
通信制高校の中にも、通い方や支援の内容に大きな違いがあります。週に数日通うコース、オンラインを中心に学ぶコース、個別指導を重視するコース、少人数のクラス編成にしているコースなどがあります。学習面の困難がある場合は、個別の学習計画を立ててくれるか、質問しやすい環境か、ICT機器の使用が認められるか、といった点も確認しましょう。
見学や個別相談では、次のような点を具体的に質問してみてください。特性や困りごとに応じた配慮の実績はあるか、担当の先生が継続して関わってくれるか、レポートや試験での配慮(時間延長、別室、ICT機器の使用など)は可能か、相談できるカウンセラーはいるか、卒業後の進路サポートはどうなっているか、などです。パンフレットだけでは見えにくい部分が、直接話を聞くことでわかってきます。
また、学費や諸費用の総額も、あわせて確認しておくと安心です。授業料のほかに、スクーリング費用、サポート費用、教材費などがかかる場合があります。公的な就学支援の対象になる場合もあるため、学校や自治体に確認してください。
保護者の方へ:焦らず、本人の力を信じて見守るために
お子さんが学習面で苦労している姿を見ると、保護者の方は「どうにかしてあげたい」と、強く感じるのではないでしょうか。しかし、頑張らせようとして声をかけるほど、本人が追い込まれてしまうこともあります。まず大切なのは、「できない」ことよりも「できている」ことに目を向け、本人の努力を認めることです。
学習面では、無理に量を増やすよりも、本人に合う方法を探す姿勢が役立ちます。音声教材やICT機器を試す、短い時間で区切る、得意な科目や興味のある分野から取り組むなど、小さな成功体験を積み重ねることが、自信につながります。結果だけでなく、取り組んだ過程も認めてあげてください。
また、保護者の方自身も、一人で抱え込まないでください。学校の先生や専門家、同じ立場の保護者の会などに相談することで、気持ちが軽くなり、新しい視点が得られることがあります。保護者の方が穏やかでいることは、お子さんにとって、大きな安心につながります。
進路についても、「普通はこうだから」という基準にとらわれず、本人の特性や気持ちを中心に、一緒に考えていく姿勢が大切です。回り道に見えても、本人に合った環境で力を発揮できれば、将来の可能性は広がっていくと言われています。

こんなときは専門機関へ:相談先の考え方
学習の困難や学校での悩みが続くときは、専門機関に相談することも検討してください。相談先としては、小児科や児童精神科、心療内科などの医療機関、発達障害者支援センター、教育委員会や教育支援センター、学校のスクールカウンセラーなどがあります。評価や検査を受けることで、得意なことと苦手なことが整理され、学校での配慮や学び方の工夫を考える手がかりになります。
気持ちの落ち込みや不安が強い、眠れない、食欲がない、学校に行けない日が続いているといった様子がある場合は、早めに相談してください。一人で、あるいはご家庭だけで抱え込まず、複数の窓口に相談することで、必要な支援につながりやすくなります。

日々の学習で試したい、具体的な工夫のアイデア
学校での配慮と並んで、日々の学習の中で取り入れやすい工夫も、いくつか試してみる価値があります。ここでは、読む・書く・計算する・覚えるという場面ごとに、よく紹介されている工夫を整理します。どれも「必ず効果がある」というものではなく、本人に合うかどうかを確かめながら選ぶことが前提です。
読むことに時間がかかる場合は、文字を拡大する、行間を広げる、読む部分だけが見えるように定規や紙を当てる、色付きのフィルターを使う、音声で聞くといった方法があります。長い文章は、段落ごとに区切って、要点を一言でメモしながら進めると、理解しやすくなることがあります。
書くことが負担な場合は、マス目や罫線の太いノートを使う、パソコンやタブレットで入力する、音声入力で文章を作る、箇条書きから始めて後で文章にするなどの方法があります。漢字は、形の特徴を言葉にして覚える、部首で分けて覚える、書く量よりも読んで使える状態を優先するといった考え方もあります。
計算が苦手な場合は、数の感覚を具体物や図で確かめる、手順を色分けして一覧にする、電卓や計算アプリを使うといった工夫があります。文章題は、図や絵に描き直してから式を立てると、状況をつかみやすくなる場合があります。
覚えることに苦労する場合は、一度に覚える量を減らす、短い時間で繰り返す、語呂合わせや図、動作と結びつけて覚える、音声で聞いて覚えるなど、本人の得意な入り口を探すと進めやすくなります。復習のタイミングをカレンダーやアプリで見える化することも役立ちます。
いずれの場合も、「できた」という実感を積み重ねることが大切です。小さな目標を立て、達成できたら本人と一緒に確認する習慣をつけると、学習への前向きな気持ちが育ちやすくなります。うまくいかなかった日は、方法を見直すチャンスと捉え、責めずに次の工夫を一緒に考えてください。
また、疲れやすさにも注意が必要です。特性がある場合、同じ量の学習でも、エネルギーの消耗が大きいことがあります。睡眠、食事、休息の時間をしっかり確保し、無理のないペースで続けることが、長い目で見て学びを支える土台になります。
こんなときは、専門の相談先へ
ご家庭だけで抱え込むと、保護者の方もお子さんも、気持ちが追い詰められてしまうことがあります。次のような様子が数週間以上続くときは、早めに専門機関へ相談することも、大切な選択肢です。
- 食事がほとんど取れない、または眠れない状態が続いている。
- 強い落ち込み・不安・イライラが続き、日常生活に大きな支障が出ている。
- 「消えてしまいたい」など、命や安全に関わる言葉がある。
全国どこからでも。カメラ・マイクはオフのままで大丈夫です。
相談先としては、お住まいの自治体の教育支援センター、教育委員会、保健センター、学校のスクールカウンセラー、児童精神科・小児科・心療内科などがあります。お子さんの気持ちが心配なときは、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)といった公的な窓口も利用できます。相談することは「大ごとにすること」ではありません。話を聞いてもらうだけでも、気持ちが軽くなることがあります。

ニジ高(NIJIN高等学院)ができること
NIJIN高等学院は、オンラインを中心に、一人ひとりのペースに合わせて学べる通信制サポート校です。「何から始めればよいか分からない」「まずは話を聞いてみたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。個別相談や、資料請求から、まずは情報を集めることもできます。
よくある質問
併せ持つ場合があると言われています。たとえば、注意や対人関係に関する特性と、読み書きや計算などの学習面の困難が同時に見られることがあります。診断や評価は専門機関で行われるため、気になる場合は相談してみてください。
努力不足とは限らないと言われています。文字の読み取りや書くこと、計算などの処理に特性がある場合、同じ努力でも成果が出にくいことがあります。本人に合った学び方や配慮を探す考え方が役立ちます。
学校によって異なりますが、試験時間の延長、ICT機器の利用、板書の写真撮影、別室受験、課題量の調整などが検討される場合があります。担任や特別支援コーディネーターに相談してみてください。
学校によって対応は異なります。自分のペースで学べる、少人数、個別指導があるなどの特徴を持つ学校もあります。見学や個別相談で、サポートの内容を具体的に確認することをおすすめします。
学校の担任、特別支援コーディネーター、スクールカウンセラー、発達障害者支援センター、医療機関などが窓口になります。複数の窓口に相談すると、多面的な助言を得られることがあります。
まとめ
- 発達障害と学習障害は併せ持つ場合があり、困りごとの現れ方は人によって大きく異なると言われています
- 学習面の困難は努力不足ではなく、情報の処理の特性による場合があるため、学び方の工夫が助けになります
- ICTの活用、学習量の調整、見通しの持ちやすい環境づくりなど、具体的な配慮を学校と共有します
- 学校選びでは、個別の支援体制や学び方の柔軟さを、見学・相談で具体的に確認することが大切です
発達障害と学習障害を併せ持つと、学びの難しさが重なって見えることがありますが、特性に合った学び方と環境があれば、力を発揮しやすくなる可能性があります。一人で抱え込まず、学校や専門家とつながりながら、本人に合う学び方を探していきましょう。
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執筆者:ニジ高編集部 2026年10月8日更新
参考文献
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」
- 厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」(こころの健康に関する情報)
- お住まいの自治体の教育支援センター・教育相談窓口


