起立性調節障害で大学受験はできる?|共通テストの配慮と入試方式の選び方【2026】

起立性調節障害(OD)で朝がつらく、欠席も増えてきた。それでも大学には行きたい。けれど、入試は朝から始まるし、調査書の欠席日数も気になる。そんな不安を抱えたまま、受験の情報を集め始めた高校生と保護者の方に向けた記事です。

先に結論を書きます。起立性調節障害があっても、大学受験の道は閉じていません。大学入学共通テストでは、病気や障害のために受験上の配慮を申請でき、文部科学省が大学に示している入試の実施要項には、病気による欠席で受験生が不利益を受けないよう大学に配慮を求める一文があります。大事なのは、どの入試を選ぶか、配慮をいつ・どこに申し出るかを、体調の波に合わせて早めに組み立てておくことです。

この記事は、大学入試センター・文部科学省・日本小児心身医学会・日本学生支援機構(JASSO)の公式資料を実際に開いて確かめた内容でできています。公式で確認できなかったことは、確認できなかったと書いています。診断や治療、薬の判断は、主治医に相談してください。

朝の体調に波があって毎日の登校が難しい場合や、自分のペースで大学受験の準備をしたい場合は、オンラインという選択肢もあります。NIJIN高等学院(ニジ高)は「オンラインで最高の青春を」を掲げる通信制高校サポート校で、全国の仲間とオンラインでつながり、企業や地域と関わるプロジェクトや、生徒が自分たちで企画する行事に挑戦できます。カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、全国にNIJINアカデミー(ニジ高はその高等部)のリアルの教室があり、リアルでの通学もご検討いただけます。ニジ高は高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングには参加が必要です。どんな学校なのかは、校長・星野達郎のYouTubeでも見られます。

目次

結論:起立性調節障害の高校生が大学受験を考えるときの早見

  • 起立性調節障害があっても、大学受験はできます。日本小児心身医学会の資料では、治療の目標を「体調に合わせた活動ができること」に置いて治療を続けると、高校卒業時ごろには90%程度の人で日常生活に支障をきたすことが少なくなるとされています。一方で、重症の場合は進学に支障が出ることもあるため、体調に見合った計画が要ります。
  • 入試は3つの方式で、朝の負担が違います。総合型選抜は書類と面接が中心で、面接はオンラインでの実施も含まれます。一般選抜は学力検査が中心で、共通テストは朝9時30分に始まります。
  • 病気による欠席は、不利にならないよう配慮するよう国の要項に書かれています。文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」は、本人に責任のない身体・健康上の理由による欠席について、大学に配慮を求めています。
  • 共通テストの受験上の配慮は、出願とは別に郵送で申請します。令和9年度(2027年1月の試験)は第1期が7月1日〜8月28日、第2期が8月31日〜10月2日(どちらも必着)で、2026年10月2日で受付が終わります。書類は申請書・医師の診断書・状況報告書の3つです。
  • 水分補給・補食・姿勢の変更・横になっての受験なども、申請できる配慮として一覧にあります。認められるかは大学入試センターの審査で決まります。
  • 共通テストの配慮は、大学の個別試験には引き継がれません。志望大学へ、その大学が決めた期日までに別に相談します。
  • 毎日の登校がつらいときは、通信制高校で卒業と受験準備を両立する道もあります。オンライン中心のサポート校(NIJIN高等学院など)を併用する形もあります。
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「大学に行けるか」より先に、「体調の波に合う受験の形」を決めます

起立性調節障害は、立ち上がったときに血圧や心拍数を調節するしくみがうまく働かず、立ちくらみ、頭痛、倦怠感、朝起きられないといった症状が出る病気です。日本小児心身医学会の一般向けの解説では、軽症も含めて中学生の約10%にみられ、症状は午前に強く午後に軽くなる傾向があるとされています。病気のしくみや、怠けと誤解されやすい理由、出席と単位の扱いは起立性調節障害 高校生の記事でくわしく整理しています。この記事は、大学受験に絞ってお話しします。

受験を考えるうえで知っておきたいのは、学会の資料にある次の2つの記述です。

  • 治療の目標を「症状が消えること」ではなく、体調を整え、それに合わせた活動ができることに置いて治療を続けると、高校卒業時ごろには90%程度の人で日常生活に支障をきたすことが少なくなる。
  • 一方で、重症の場合は高校・大学などへの進学や就職に支障をきたすこともある。症状が続く場合は、環境や条件をよく考え、体調に見合った進路を選べるよう支えることが大切で、必要に応じて、周りの理解を得るための医師の診断書や意見書が役に立つ。

出典:日本小児心身医学会「起立性調節障害」/日本小児科学会掲載「起立性調節障害(OD)」(文責:日本小児心身医学会 起立性調節障害ワーキンググループ)(2026年9月確認)

つまり、受験の計画も「体調がよくなったら本気を出す」ではなく、いまの体調のままでも進められる形から組み立てるほうが現実的です。午前に試験がある入試をどう乗り切るか、午前に力を出しにくいなら別の方式を選ぶか。そして、それぞれで使える配慮は何か。この記事では、その順番で整理します。

リビングのテーブルで、母親と高校生の息子が手書きのマス目の紙を広げて予定を話し合っている様子
体調の波に合わせた学習計画は、家族で一緒に書き出すと見通しが立てやすくなります。

勉強は「午前に詰めない」設計にします。量の調整は主治医と相談して決めます

学会の資料には、起立性調節障害の症状として集中力の低下があり、症状が続くことで学力の低下をきたすこともあると書かれています。勉強が進まないのは、やる気の問題とは限りません。だからこそ、気合いで量を増やすより、体調の段階ごとに「この日はここまで」を先に決めておくほうが続きます。

次の表は、体調の段階ごとの勉強の組み立て方の一例です。医学的な基準ではなく、計画を立てるときの考え方の目安です。

その日の体調 勉強の形の例 受験との結びつけ方
起き上がるのがつらい 横になったまま聞ける音声教材、授業動画の視聴 英語のリスニング、暗記ものの聞き流し
午後から少し動ける 自分のノートや一度解いた問題の見直し 「なぜこう解いたか」を確かめる復習
午後から机に向かえる 新しい単元の問題演習、レポート 共通テスト・個別試験の過去問の一部
比較的よい日が続く 時間を計った演習、小論文の下書き 本番と同じ時間帯での練習

表の考え方は、悪い日をゼロにする前提で計画を立てないことです。体調が悪い日にもできる小さな勉強を決めておくと、「何もできなかった」日が減ります。学会の資料も、重症の時期には体力に見合った生活を選び、適切な目標を立てることで自尊感情が良好に保たれる、としています。

もう1つ大事なのが、本番の時間帯に体を少しずつ慣らしておくことです。共通テストは朝9時30分に始まります。個別試験の開始時刻は大学ごとなので、志望校の募集要項で確かめておきます。本番の時間帯に問題を解く練習は、体調がよい時期を選んで、主治医と相談しながら少しずつ取り入れてください。生活リズムや睡眠の整え方は起立性調節障害 生活リズムの記事で紹介しています。

入試は3つの方式。欠席や評定の扱いと、朝の負担がそれぞれ違います

大学の入試は、文部科学省の実施要項で一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜の3つに分けられています。令和9年度(2027年春入学)の日程と、起立性調節障害の人が確かめておきたい点を並べました。

方式 主に見るもの・日程 朝の負担 確かめておきたいこと
総合型選抜 本人が書く資料と面接。出願は2026年9月1日以降、結果は11月1日以降 面接はオンライン実施を含む。日時は大学ごと 面接の時間帯とオンライン実施の有無
学校推薦型選抜 高校長の推薦と調査書、面接。出願は11月1日以降、結果は12月1日以降 面接は大学ごと 推薦要件に出欠の条件があるか。校内選考の時期
一般選抜 学力検査中心。共通テストは2027年1月16日・17日、個別試験は2月1日〜3月25日 共通テストは朝9時30分開始 共通テストと個別試験の両方の配慮

出典:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(第3 入試方法・第4 試験期日等。2026年9月確認)

総合型選抜は、実施要項で「詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせる」入試とされ、本人が書く活動報告書や大学入学希望理由書などを評価に使うことが求められています。面接にはディベート、プレゼンテーション、口頭試問などが含まれ、オンラインによる実施も含むと明記され、その際には入学志願者の障害等の特性に配慮することも書かれています。ただし、実際にオンラインで面接をするかどうかは大学ごとです。

学校推薦型選抜は、在籍する高校の校長の推薦が要ります。本人の意思だけでは出願できないため、推薦要件(評定平均や出欠の条件など)と校内選考の時期を、高2のうちに在籍校へ聞いておくと安心です。通信制高校からの推薦の考え方は通信制高校 指定校推薦の記事で書いています。

どの方式でも、体調を崩しやすい時期と入試の日程が重なると準備が苦しくなります。総合型は秋、推薦は11〜12月、一般は1〜3月が中心です。自分の体調がいちばん安定しやすい季節を主治医と振り返っておくと、方式を選ぶ手がかりになります。

令和9年度の大学入試で、総合型選抜は本人が書く資料と面接が中心で出願は9月1日以降・面接はオンライン実施も含むこと、学校推薦型選抜は高校長の推薦と調査書と面接で出願は11月1日以降、一般選抜は学力検査が中心で共通テストが朝9時30分に始まることを比べた表
出典:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」、大学入試センター「令和9年度 共通テスト実施要項」

欠席が多くても、病気による欠席は「不利益を被ることがないよう配慮する」と国の要項にあります

「欠席が多いと推薦も受けられないのでは」という不安はよく聞きます。この点について、文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項には、次のような記述があります(第13の2(1))。

  • 入学志願者の健康状況は、原則として入学者選抜の判定資料にしない。
  • 出欠の状況を推薦要件や合否判定の材料にする場合、本人に責任のない身体・健康上の理由(病気・事故等)によるやむを得ない欠席日数があることを、本人の申し出や調査書の記載などで把握したときは、本人が不利益を被ることがないよう配慮する。
  • 本人に責任のない身体・健康上の理由で当日の受験が難しい場合は、試験時間の繰り下げや別日程への振替などの柔軟な対応を行うことが望ましい。

出典:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」第13 その他注意事項 2 健康状況の把握及び障害のある者等への配慮(2026年9月確認)

読み方で気をつけたいのは、3つ目が「望ましい」という書き方で、どの大学でも時間の繰り下げができるという意味ではないことです。また1つ目・2つ目も、大学が欠席の理由を知ってはじめて配慮できるという書き方になっています。黙っていても伝わるわけではないので、欠席の理由を本人から伝える、在籍校に調査書の書き方を相談する、という2つの動きが大事になります。

調査書には「出欠の記録」の欄があり、欠席日数などを書くことになっています。欠席の理由をどう書いてもらえるかは、在籍校の先生に相談してください。高校のうちに欠席が増えている段階なら、進級や卒業に必要な出席の考え方も押さえておくと安心です。高校 欠席日数と高校 出席日数の記事で、何日休むと単位に影響するのかを整理しています。

もう1つの備えが、主治医の診断書や意見書です。学会の資料でも、周りの理解を得るために具体的な対応を書いた診断書や意見書が役に立つとされています。必要になりそうな時期を、主治医に早めに伝えておきましょう。

共通テストは朝9時30分から。1科目だけの登録なら、地歴・公民と理科は10時40分に始まります

一般選抜で共通テストを使う場合、朝の時間帯は避けられません。大学入試センターの実施要項で、令和9年度の時間割を確認しました。

日 教科 通常の試験時間 1.3倍に延長が許可された場合
1日目 地理歴史・公民(2科目登録) 9:30〜11:40 9:30〜12:20
1日目 地理歴史・公民(1科目登録) 10:40〜11:40 11:00〜12:20
1日目 国語/外国語/英語リスニング 13:00〜/15:20〜/17:20〜 13:20〜/15:50〜/18:00〜
2日目 理科(2科目登録) 9:30〜11:40 9:30〜12:20
2日目 理科(1科目登録) 10:40〜11:40 11:00〜12:20
2日目 数学①/数学②/情報 13:00〜/15:00〜/17:00〜 13:20〜/15:25〜/17:30〜

出典:大学入試センター「令和9年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施要項」11 試験実施期日等/「令和9年度 受験上の配慮案内」3-6 試験時間延長における試験時間割(2026年9月確認)

表から分かるのは、地理歴史・公民と理科を1科目だけ登録すれば、両日とも試験の開始が10時40分になるということです。ただし、志望大学が2科目を求めている場合は2科目の登録が必要で、2科目登録者は9時30分からです。受験案内によると、2科目の登録者は遅刻の入室限度(9時50分)までに入室していないと、その時間の試験を一切受けられません。どの科目を登録するかは、志望大学の募集要項で必要な科目を確かめてから決めてください。

試験室への入室終了時刻は、12月上旬に大学入試センターのウェブサイトに載る「受験上の注意」で示されます。

通信制高校の生徒にとっての違いもあります。共通テストの試験場は、全日制などの卒業見込み者は在学する高校の所在地の試験地区ですが、通信制の課程の卒業見込み者は、住んでいる地域の試験地区で指定されます。移動の負担を考えるうえで知っておきたい点です。出願そのものの手順は共通テスト 出願 通信制の記事で説明しています。

日の当たるソファでヘッドホンをつけ、ノートを見ながら休む高校生
午前が苦手な時期は、体を休めながら音声や復習で学ぶ方法もあります。

共通テストの配慮は、出願とは別に郵送で申請します。令和9年度の受付は10月2日必着まで

大学入試センターは、病気・負傷や障害等のために配慮を希望する志願者に、個々の症状や状態に応じた受験上の配慮を行っています。配慮は高校での配慮の実施状況や、障害等の種類・程度にかかわらず、必要に応じて申請できるとされています。「令和9年度 受験上の配慮案内」で、申請の流れを確かめました。

時期(令和9年度試験) すること 結果の通知
2026年7月1日〜8月28日(必着。または8月26日消印有効) 配慮の申請(第1期) 9月24日までに審査結果(申請者全員)
2026年8月31日〜10月2日(必着。または9月30日消印有効) 配慮の申請(第2期) 11月下旬に審査結果(出願した人)
2026年9月15日〜10月2日 共通テストの出願(Web) -
2026年12月上旬〜中旬 - 配慮事項決定通知書(出願した人)
2026年12月10日〜2027年1月12日17時 出願後に起きた発病・症状の悪化などによる申請 大学入試センターの審査で決定

出典:大学入試センター「令和9年度 受験上の配慮案内」(表紙・申請等の主な流れ・2 申請方法等・6 出願後の不慮の事故等による受験上の配慮)/同「受験上の配慮Q&A」(2026年9月確認)

センターは、審査に時間がかかる配慮もあるため、できるだけ第1期に申請するよう案内しています。第1期に申請すれば、出願期間中に審査結果が分かり、それを見てから出願できます。令和9年度の申請期間は、第2期の10月2日必着(または9月30日消印有効)で終わります。それより後に申請できるのは、出願のあとに起きた発病や症状の悪化などに限られます(下の「追試験」の節で説明します)。令和10年度(2028年春入学)の試験日は2028年1月15日・16日と公表されていますが、受験上の配慮の申請期間は、2026年9月30日の時点では公表されていませんでした。いま高1・高2の人は、翌年の案内が出たら第1期の日程をまず確かめてください。

書類は3つ。診断書は主治医でなくてもよいとされています

  • 【A】受験上の配慮申請書:共通テスト出願サイトの「マイページ」からだけ入手できます。希望する配慮はすべてここに書きます。診断書や状況報告書にだけ書いた配慮は、審査の対象になりません。
  • 【B】診断書:大学入試センター所定の、その年度の様式を医師に書いてもらいます。病院独自の様式では代えられません。診断書の様式は視覚障害・聴覚障害・肢体不自由・病弱関係とその他・発達障害の5種類で、どの区分の様式を使うかは医師と相談するとQ&A(Q30)にあります。Q&A(Q33)では、主治医でない医師の診断書でもよいとされています。
  • 【C】状況報告書:高校でのこれまでの配慮の状況を書く様式です。Q&A(Q55)では、通信制課程やサポート校に通っている場合は、通信制高校の教職員やサポート校の教職員が記入すると答えています。

申請は郵送のみで、封筒に「受験上の配慮申請」と朱書きし、簡易書留で送ります。書類に不足があると受け付けられないため、診断書が間に合わないからといって申請書だけ先に送ることはできません(Q52)。また、Q&A(Q26)には、高校で受けていない配慮も申請できるとあります。高校で配慮を受けてこなかった人も、申請をあきらめる必要はありません。

起立性調節障害がどの区分に当たるかは、配慮案内には書かれていませんでした。区分④「病弱」の例は、慢性の呼吸器疾患・心臓疾患などの状態が続いて医療や生活の制限が必要な程度の人で、区分⑥「その他」は①〜⑤以外で配慮が必要な人です。病弱とその他は同じ【B4】の様式を使います。

※2026年9月時点の情報です。最新は大学入試センター・文部科学省・各大学の公式ページでご確認ください。

起立性調節障害の症状に関わりそうな配慮も一覧にあります。認められるかは審査で決まります

配慮案内の「その他の配慮事項」には、試験時間中の動作や姿勢に関わる配慮が並んでいます。起立性調節障害の症状と関わりがありそうなものを抜き出しました。どれを希望するか、必要な理由をどう書くかは、主治医と相談してください。

配慮事項(配慮案内の名称) 申請のときに書くこと・注意
試験時間中の水分補給(水分の机上常備)/補食(補食物の机上常備)/薬の服用 水分や補食物、薬の詳細を申請書第4面に書く
試験時間中の姿勢変更/ストレッチ/壁にもたれた状態での受験 希望する動きや姿勢、頻度を書く
臥位(横になった状態)での受験/座位と起立位を繰り返す/座位と臥位を繰り返す 解答するときの姿勢や机などを書く
座席を試験室の出入口に近いところに指定/トイレに近い試験室/別室の設定 別室は少人数の部屋で、別室を許可されたほかの受験者と同室になる
発作時に休養室又は医務室を利用 症状や頻度、対応方法、移動の方法を書く
休憩時間中に横になって休む 「事前相談が必要な配慮事項」の例。大学入試センターへ電話で事前相談してから申請する

出典:大学入試センター「令和9年度 受験上の配慮案内」(3-1 主な配慮事項・3-2 その他の配慮事項・3-3 事前相談が必要な配慮事項。2026年9月確認)

知っておきたい注意点が3つあります。

  • 試験の開始時刻を遅らせる配慮は、配慮案内の一覧には見当たりませんでした。一覧にない配慮を希望するときは「事前相談が必要な配慮事項」として、大学入試センターに電話で相談してから申請する形になっています。
  • 受験案内では、体調不良で一時退室が認められても、休養室などで受験することはできないとされています。途中で休む必要がありそうなら、事前に配慮として申請しておくことが大切です。
  • 決まった配慮に再審査はありません。そのかわり、希望が通らなかったときに備えて第二希望を書いておけます。

共通テストで受験上の配慮が決まった人は、令和7年度・令和8年度とも4,000人を超えています。大学入試センターの公表では、令和8年度の共通テストで受験上の配慮が決まった人は4,381人(令和7年度は4,401人)。区分別では病弱が1,176人、その他が1,676人でした(複数の区分に当たる人は主な区分1つで数えています)。病弱の区分では、座席の指定が659人、別室の設定が339人に決まっています。

出典:大学入試センター「令和8年度大学入学共通テスト 受験上の配慮決定者数」(区分別は実人数、配慮事項別は延べ人数。2026年9月確認)

令和8年度の大学入学共通テストで受験上の配慮が決まった人は4,381人で、そのうち病弱の区分が1,176人、その他の区分が1,676人だったことを示す図
出典:大学入試センター「令和8年度大学入学共通テスト 受験上の配慮決定者数」

当日体調を崩したときは追試験があります。ただし追試験も本試験と同じ時間割です

起立性調節障害は、日によって体調が大きく変わることがあります。共通テストには、病気などで本試験を受けられなかった人のための追試験があります。

  • 令和9年度の追試験は2027年1月23日・24日です。
  • 対象は、疾病(インフルエンザ・風邪などを含む)や負傷で受験できない人、試験場に向かう途中の事故にあった人などです。
  • 受験できるかどうかは、所定の基準により各大学が申請の理由を審査して許可します。申請の方法の詳細は、12月上旬に大学入試センターのウェブサイトに載る「受験上の注意」で示されます。
  • 出題方法や試験時間は本試験に準じます。追試験でも朝から始まることに変わりはありません。

出典:大学入試センター「令和9年度 受験案内」D 試験 2 追試験及び再試験/共通テスト実施要項 11(3)(2026年9月確認)

受験案内には、当日に体調が万全でない場合は無理に受験せず、追試験の受験を申請するよう書かれています。起立性調節障害で追試験の対象になるかどうかは、公式の資料では確認できませんでした。受験票が届いたら、体調を崩したときの連絡先を家族と確かめておくと落ち着いて動けます。

また、出願のあとに発病したり症状が悪くなったりして配慮が必要になった場合は、2026年12月10日〜2027年1月12日17時に、受験票に書かれた「問合せ大学」の窓口で申請できます。ただし、出願までに申請できた内容は対象になりません。もともと症状がある人は、通常の申請期間のうちに申請しておくことが前提です。

大学の個別試験と入学後の配慮は、大学ごとに別の手続きです

配慮案内には、共通テストの配慮を申請しただけでは、各大学が行う個別試験などの配慮を申請したことにはならないとはっきり書かれています。入学後の大学生活の配慮も含めて、志望大学が決めている期日までに、志望大学へ相談するよう案内されています。

文部科学省の実施要項は大学に対して、障害のある入学志願者に必要な合理的配慮を行うこと、事前相談の体制を整えて申請の手続きをはっきり示すことが望ましいこと、入試での配慮の内容や受け入れの実績を募集要項やホームページで公開することを求めています。志望校の候補が見えてきたら、募集要項の「受験上の配慮」の欄と、その申請期日を最初に確かめてください。

入学後についても、数字を1つ紹介します。JASSOの令和7年度調査では、大学・短大・高専に在籍する障害のある学生59,377人のうち、「病弱」に分類される学生は10,136人でした。支援の申し出などの相談に対応する窓口がある学校は95.2%です。この調査の「病弱」は、医師の診断などで慢性の病気の状態が続き、医療や生活の制限が必要な程度と分かった学生を指します。起立性調節障害の人がこの区分に数えられているかは、公表資料では確認できませんでした。

出典:日本学生支援機構「令和7年度 障害のある学生の修学支援に関する実態調査」結果の概要(2026年8月4日)(2026年9月確認)

時間割の組み方や1限の必修科目の有無は、大学・学部によって違います。オープンキャンパスで支援の窓口とあわせて聞いておくと、入学後の見通しが立てやすくなります。通学の負担が大きい場合は、通信制大学という進学先もあります。発達障害が重なっている場合の共通テストの配慮は、発達障害 大学進学の記事でくわしく書いています。

選択肢の1つとしての通信制高校・ニジ高(正直な注意点)

朝の登校が続けられず、出席日数の心配で受験の準備まで気が回らないときは、高校の形を変える道もあります。通信制高校は、自宅での学習(レポート)とスクーリング、試験で単位を取る高校で、卒業すれば全日制と同じ高校卒業です。

文部科学省の「令和7年度 通信制高等学校実態調査」では、2025年度の入学者の57.0%が中学3年生のときに不登校でした。通学の形も、年に数日まとめて通う集中スクーリング型が28.9%、月1〜2回や自由登校などの形が33.2%と、毎日通わないコースが多くを占めています。一方で、スクーリングに1日も来ていない生徒がいる理由として最も多く挙がったのは「心身に関すること」(161校)でした。通信制でも、体調との付き合い方は課題として残るということです(文部科学省 令和7年度 通信制高等学校実態調査)。

全日制から移る場合は、前の学校の単位と在籍期間を引き継ぐ「転入」になり、同級生と同じ時期の卒業をめざせることがあります。手続きの流れは高校 転入、費用の目安と就学支援金(私立の通信制は年337,200円が上限・2026年度から所得制限なし)は通信制高校 学費の記事でまとめています。学校の比べ方は通信制高校 選び方のページから探せます。

NIJIN高等学院(ニジ高)は、株式会社NIJINが運営するオンライン中心の通信制高校サポート校です。担任制で、カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。生活リズムに波があっても学べるように、授業のアーカイブ視聴や中学内容の学び直しにも対応しています。希望する生徒には、スタッフが1対1で伴走する支援もあります。大学進学に向けては、総合型選抜に向けた小論文・面接・自己PRの講座に力を入れて取り組んでいます。

そのうえで、正直にお伝えしておくことがあります。

  • ニジ高は高校ではありません。高校卒業の資格は、提携する通信制高校で取ります。調査書や学校推薦型選抜の推薦も、在籍する通信制高校のものになります。
  • 学院の中でのスクーリングはありませんが、提携する通信制高校のスクーリングには参加が必要です。スクーリングの形や日程は、個別相談会でご案内しています。
  • 費用は、通信制高校の分とニジ高の分の両方がかかります。ニジ高の分に就学支援金は使えません。金額は学費のご案内でご確認ください。
  • オンライン中心のため、毎日通う場所がほしい人には合わない場合があります。起立性調節障害の診断や治療、服薬の判断は、主治医にご相談ください。

中学生のうちから朝の登校がつらくなっている場合は、小中学生向けのオルタナティブスクールNIJINアカデミーという選択肢もあります。なお、ニジ高は途中からの入学(転入・編入)もでき、出願費用は無料です。よくある質問はよくある質問のページにまとめています。

迷ったときの進め方(3ステップ)

  1. 主治医に「受験の予定」を伝える。志望する入試の時期と、共通テストを使うかどうかを伝え、体調の見通しと、診断書・意見書が必要になりそうな時期を相談します。共通テストの配慮を申請するなら、第1期(令和9年度は7月1日から)に間に合うよう逆算します。
  2. 在籍校に「欠席の理由」と「推薦の条件」を確かめる。調査書の出欠の記録がどうなるか、推薦要件に出欠の条件があるか、状況報告書を誰が書くかを聞きます。通信制やサポート校に通う場合も同じです。
  3. 志望大学の募集要項で「配慮」と「試験の形」を見る。受験上の配慮の申請期日、面接の時間帯やオンライン実施の有無、共通テストで必要な科目数を確かめ、体調に合う方式を選びます。

3つとも、志望校が決まりきっていない段階から進められます。高校の形を変えることも含めて整理したいときは、個別相談会で状況を聞かせてください。オンライン(Zoom)で30分、保護者の方だけの参加もできます。

相談室で、高校生と保護者がスクールカウンセラーと向かい合って書類を見ている様子
受験上の配慮は、主治医や学校と早めに相談しておくと準備しやすくなります。
オンラインで学ぶニジ高の生徒

朝がつらい時期も、自分のペースで大学受験の準備を

ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校です。カメラオフ・チャット参加から始められ、授業のアーカイブ視聴にも対応しています。ただし学院は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、そのスクーリングへの参加が必要です。受験の進め方も含めて、個別相談会でお聞きください。

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よくある質問

Q. 起立性調節障害で、共通テストの受験上の配慮は受けられますか?

A. 大学入試センターは、病気・負傷や障害等のために配慮を希望する人に、症状や状態に応じた配慮を行っており、障害等の種類や程度にかかわらず申請できます。申請には所定の申請書・医師の診断書・状況報告書が要ります。どの配慮が認められるかは、センターの審査で決まります。

Q. 欠席が多いと、推薦入試や総合型選抜で不利になりますか?

A. 文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項は、出欠を推薦要件や合否判定の材料にする場合でも、本人に責任のない病気などによるやむを得ない欠席があると大学が把握したときは、不利益を被ることがないよう配慮するよう求めています。大学に伝わるよう、本人の申し出や調査書の書き方を在籍校と相談してください。

Q. 共通テストの開始時刻を午後にずらすことはできますか?

A. 配慮案内の一覧には、開始時刻を遅らせる配慮は見当たりませんでした。地理歴史・公民と理科は1科目だけの登録なら10時40分開始ですが、志望大学が求める科目数によります。一覧にない配慮を希望する場合は、大学入試センターへの事前相談が必要です。

Q. 診断書は主治医に書いてもらう必要がありますか?

A. 大学入試センターのQ&Aでは、主治医でない医師の診断書でもよいとされています。ただし、その年度の所定の様式で、希望するすべての配慮について必要な理由を医師に書いてもらう必要があります。

Q. 通信制高校に通っていても、共通テストの配慮は申請できますか?

A. 申請できます。Q&Aでは、通信制課程やサポート校に通っている場合、状況報告書などは通信制高校の教職員やサポート校の教職員が記入すると案内されています。通信制課程の卒業見込み者は、住んでいる地域の試験地区で受験します。

朝が動かない日があっても、受験の道は組み立て直せます

起立性調節障害とともに受験を考えるのは、体調の波と日程の両方を見ながら進むことです。全部を一度に決める必要はありません。入試の方式を選び、配慮を申し出る先と時期を知っておくだけで、「朝がつらいから無理かもしれない」という不安の一部は、具体的な準備に変わります。

体調が悪い日にできることが少なくても、それはあなたの努力が足りないからではありません。今日できる小さな一歩、たとえば主治医に受験の予定を伝えることや、志望校の募集要項を1つ開いてみることから始めてみてください。

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