「学校行きなさい」が逆効果になると言われる理由
朝になっても起きられない、制服を見るだけで具合が悪くなる。そんなお子さんを前にして、つい「学校行きなさい」と言ってしまった経験はありませんか。この記事では、「学校行きなさい」という言葉が逆効果になる場合があると言われる理由と、気分が落ち込んでいる高校生への声かけの考え方を整理します。
ここで紹介する内容は、一般的に言われている考え方です。お子さんの状態は一人ひとり異なります。気分の落ち込みや睡眠の乱れが長く続くときは、自己判断せず、医療機関やスクールカウンセラーなどの専門家に相談してください。
まず知っておきたい、お子さんの心の中で起きていること
学校に行けない高校生の多くは、行きたくないのではなく、「行かなければと思うのに、体が動かない」状態にあると言われています。本人が一番、「行けない自分」を責めている場合もあります。
- 「行かなきゃ」と思うほど、体がこわばったり、気分が悪くなったりする
- 朝になると、頭痛や腹痛、倦怠感などの症状が出ることがある
- 学校に行けない自分を、「情けない」「迷惑をかけている」と責めている
- 周りに説明しようとしても、うまく言葉にできない
- 夜は眠れず、朝になると起きられない状態が続くことがある
こうした状態の中で「学校行きなさい」と言われると、「分かってもらえない」「やっぱり自分はだめなんだ」と受け止めてしまうことがあります。保護者の方に悪意がなくても、言葉の受け取られ方が、意図と異なる場合があるのです。
同じ言葉でも
受け取られ方は変わる
| 親の言葉 | 親の意図 | お子さんに届きやすい印象 |
|---|---|---|
| 学校行きなさい | 心配・早く元に戻ってほしい | 行けない自分を責められている |
| みんな頑張ってるよ | 励ましたい | 自分だけがだめだと感じる |
| 休んだら遅れるよ | 将来が心配 | 焦りと不安が増す |
| どうして行けないの | 理由を知りたい | うまく説明できず、追い詰められる |
| つらそうだね | 気持ちに寄り添いたい | 分かってもらえたと感じやすい |
あくまで一般的な傾向です。お子さんによって感じ方は異なります。
なぜ、良かれと思った言葉が逆効果になるのか
気分が落ち込んでいるとき、人は自分の気持ちを理解してほしいと強く願います。そこで「行きなさい」と言われると、「気持ちより学校が大事なんだ」と感じてしまうことがあります。孤立感が強まると、家庭が安心できる場所でなくなる可能性もあります。
「行けない自分はだめだ」という思いは、もともと本人の中にあることが多いと言われています。そこに追い打ちをかけるような言葉が重なると、自己否定感がさらに強まる場合があります。
言葉のやり取りが衝突に変わると、お子さんが自分の部屋にこもるなど、会話が減ってしまうことがあります。話さなくなると、お子さんの気持ちや状態が見えにくくなり、保護者の方の不安も大きくなる悪循環が生まれがちです。
頭痛や腹痛、倦怠感は、本人にとっては現実のつらさです。「気のせい」「甘え」と受け取られると感じると、症状を隠したり、相談しなくなったりすることがあります。
保護者の方も、つらい思いをしている
ここまで読んで、「自分の言葉がお子さんを傷つけていたかもしれない」と感じた方もいるかもしれません。しかし、不安から「学校行きなさい」と言ってしまうのは、お子さんを大切に思っているからこそです。自分を責めすぎないでください。
保護者の方自身も、将来への不安、周りの目、仕事との両立など、さまざまな負担を抱えています。保護者の方が少しでも気持ちに余裕を持てることが、お子さんにとっても安心につながると言われています。

気分が落ち込んでいる高校生への声かけの考え方
では、どのような声かけが安心につながるのでしょうか。ここでは、一般的に良いと言われている考え方を紹介します。大切なのは、「正しい言葉」を探すことより、お子さんの気持ちに関心を向け続けることだと言われています。
声かけを
3つのステップで考える
返事がなくても、気持ちは届いていることがあります。
- 「学校行きなさい」→「今日はどんな気分?」
- 「みんな頑張ってるよ」→「ここ数日、しんどそうだね」
- 「どうして行けないの」→「何かつらいことがあったら、教えてね」
- 「怠けてるだけでしょ」→「体がしんどいんだね。無理しなくていいよ」
- 「将来どうするの」→「今は休むことを優先していいよ」
言い換えの例はあくまで一例です。無理に型にはめようとすると、かえって不自然に聞こえる場合もあります。お子さんとの関係性に合った、自分らしい言葉で伝えてください。
声かけが難しい時期は、言葉より、行動で気持ちを伝えることも有効だという考え方があります。好きな食事を用意する、そっと隣に座る、短いメモを置いておく。小さな行動が、「見守っているよ」というメッセージになります。
また、毎日の挨拶(おはよう、おやすみ)を欠かさないことも大切です。返事がなくても、変わらない関わりが安心につながると言われています。

気分の落ち込みが長く続くときのサイン
次のような様子が長く続く場合は、家庭だけで対応しようとせず、専門家への相談を検討してください。
- 2週間以上、気分の落ち込みや意欲の低下が続いている
- 食欲が大きく変わった、あるいは眠れない・寝すぎる状態が続いている
- 好きだったことにも関心を示さなくなった
- 「消えたい」「いなくなりたい」などの言葉が出る
- 自分を傷つける行動が見られる
特に、命に関わる言葉や行動が見られるときは、ためらわずに医療機関や地域の相談窓口に連絡してください。診断や治療は、医師などの専門家が行います。この記事は診断や治療を代わるものではありません。
- 学校のスクールカウンセラー、養護教諭、担任の先生
- 自治体の教育相談窓口や保健センター
- 児童精神科、心療内科などの医療機関
- 地域の子ども・若者相談機関
- 不登校の親の会など、保護者同士のつながり
相談するときは、「いつごろから、どんな様子が続いているか」を簡単にメモしておくと、状況が伝わりやすくなります。
学校に行けない間の過ごし方:まず回復を優先する
学校に行けない時期は、勉強の遅れや出席日数が気になるものです。しかし、気分が落ち込んでいるときは、心と体の回復を優先するという考え方があります。休むことは、立ち止まっているようでいて、次に進むための準備期間になることもあります。
- 睡眠・食事・入浴など、基本的な生活を整えることを最優先にする
- 好きなことや、気が向いたことを無理のない範囲で楽しむ
- 学習は、気持ちが落ち着いてから、短時間・少量から再開する
- 家族以外の安心できる人(先生、カウンセラーなど)とのつながりを残す
- 焦りが出たら、「今は回復の時期」と言葉にして確認する
お子さんが昼夜逆転になったり、スマートフォンやゲームに多くの時間を使ったりすることもあります。心配になりますが、気持ちのエネルギーが回復するまでの一時的な状態であることも多いと言われています。頭ごなしに取り上げるより、一緒にルールを話し合う姿勢が大切です。
「その後」を考えるとき:学び方の選択肢を知っておく
少し気持ちが落ち着いてきたら、今後の学び方についても、少しずつ考えていく時期が来ます。ここで大切なのは、「今の学校に戻るか、辞めるか」の二択で考えないことです。
- 今の学校で、登校日数や授業の受け方を調整できるか
- 保健室登校、別室登校、オンラインでの参加など、段階的な方法があるか
- 転学や転入によって、通信制高校など別の学び方に移る選択肢
- 高校卒業程度認定試験(高認)など、別のルートで学ぶ方法
通信制高校には、自分のペースで学べるよう、通学日数や時間帯を選べるコースがある学校もあります。在宅での学習や、オンラインでの授業、少人数での相談体制を整えている学校もあり、体調や気持ちの波がある人にも合わせやすい環境が用意されている場合があります。もちろん、学校によって仕組みは異なるため、見学や個別相談で具体的に確認してください。
「ここしかない」と思い詰めると、保護者もお子さんも苦しくなります。他にも道があると知るだけで、気持ちが少し軽くなることがあります。まだ決める必要はありません。情報を集めるだけでも、立派な一歩です。
保護者の方ができる、日々の心がけ
- お子さんの一日の様子を、評価せずに見守る
- 成績や出席日数の話題を、無理に持ち出さない
- お子さんの好きな話題で、他愛のない会話を続ける
- 保護者自身も、休息を取り、相談できる場所を持つ
- きょうだいや、周りの家族への配慮も忘れない
保護者の方が一人で抱え込まないことは、お子さんにとっても大切です。信頼できる家族や友人、学校の先生、親の会などに、気持ちを話してみてください。話すだけでも、気持ちが整理されることがあります。
つい強い言葉を言ってしまい、後悔することは誰にでもあります。そんなときは、落ち着いてから、「さっきは強く言ってごめんね。心配だったんだ」と伝えてみてください。完璧な親である必要はありません。やり直せることを見せることも、お子さんにとって大切なメッセージになると言われています。

きょうだいや周囲との関わりで気をつけたいこと
不登校や気分の落ち込みがあるお子さんがいる家庭では、きょうだいや祖父母、親戚など、周囲の人との関わりも気になります。善意のひと言が、思いがけずお子さんを傷つけてしまうこともあるため、家族の中で共通認識を持っておくことが大切です。
- 祖父母や親戚には、「今は休む時期」であることを事前に伝えておく
- 「学校は?」「勉強は?」といった質問を、控えてもらうようお願いする
- きょうだいには、年齢に合わせて状況を説明し、我慢させすぎないようにする
- きょうだいの気持ちや頑張りにも、きちんと目を向ける
- 家族間で意見が違うときは、お子さんのいない場所で話し合う
家族全員が同じ方向を向いていると、お子さんにとって家庭が安心できる場所になりやすいと言われています。夫婦や家族で意見が食い違うことは自然なことですが、お子さんの前では、できるだけ一貫した姿勢を示すことが望ましいという考え方があります。
担任の先生や養護教諭、スクールカウンセラーとの連携も大切です。家庭での様子を共有し、学校で配慮してもらえることがないか相談してみましょう。先生との連絡は、保護者の方が窓口になるなど、お子さんの負担を減らす形で進めると安心です。
- 連絡の頻度や方法(電話、メール、面談)を事前に決めておく
- お子さんに聞かれたくない話題は、保護者のみで行う
- 学校側に求めたいこと、控えてほしい対応を具体的に伝える
- 先生を責めるのではなく、一緒に考えるパートナーとして関わる
学校との関係がうまくいかないと感じるときは、スクールカウンセラーや教育委員会の相談窓口など、第三者に入ってもらう方法もあります。

お子さんの回復を、焦らず待つために
回復のペースは、人によって大きく異なります。数日で元気を取り戻す人もいれば、数か月、あるいはそれ以上かかる人もいます。保護者の方が焦れば焦るほど、お子さんにもその空気が伝わるものです。
日々の小さな変化に目を向けてみてください。朝、挨拶ができた。食事を一緒にとれた。好きな音楽の話をした。そんな小さな変化が、回復の確かな兆しであることもあります。大きな進歩を期待するより、昨日より少しだけよい点を見つける姿勢が、保護者の方の気持ちも軽くしてくれます。
声かけに迷ったときの、小さなチェックリスト
言葉をかける前に、次の点を心の中で確認してみると、お子さんの気持ちに寄り添いやすくなります。完璧にできなくても、一つでも意識できれば十分です。
- 今、私は心配しているのか、それとも焦っているのか
- この言葉は、お子さんにどう届くだろうか
- お子さんが今、一番必要としているのは何だろうか
- 「聞く」より「話す」ことが多くなっていないか
- 私自身は、今日ちゃんと休めているか
自分の気持ちを整理してから言葉にすると、同じ内容でも、伝わり方が変わることがあります。余裕がないときは、無理に声をかけず、「そばにいる」だけでも十分な支えになります。
話しかけるタイミングも大切です。朝の慌ただしい時間帯や、お子さんが疲れていそうなときは、重い話題を避けるほうがよいと言われています。食後や就寝前、一緒に何かをしているときなど、肩の力が抜けた場面のほうが、自然に話しやすい場合があります。
毎日話しかけなければと、プレッシャーに感じる必要はありません。何も話さない日があっても、それ自体が悪いわけではありません。静かに過ごす時間もまた、お互いの安心につながります。
相談先と次の一歩:専門機関・学校・学び方の相談
気分の落ち込みが続く場合は医療機関やスクールカウンセラーへ、学び方や進路については、学校や通信制高校などの個別相談へ、といったように、悩みの内容によって相談先を使い分けることができます。ひとつの窓口で解決しようとせず、必要に応じて複数の相談先を活用してください。
どの選択肢を選ぶにしても、お子さん自身の気持ちを大切にしながら、ゆっくり進めていくことが大切です。
「休むこと」への罪悪感を和らげるために
お子さん本人も、保護者の方も、「休んでいていいのだろうか」という罪悪感を抱えやすいものです。しかし、心身が疲れているときの休息は、回復のために欠かせない時間だと言われています。「何もしていない」のではなく、「回復に取り組んでいる」と捉え直すことで、気持ちが少し楽になる場合があります。
お子さんにも、「今は休むことが仕事だよ」「焦らなくていいよ」と、言葉にして伝えてみてください。許可をもらえたと感じるだけで、安心できるお子さんもいます。
- 休んでいる期間は、決して無駄ではないと伝える
- 「頑張らなくていい」ではなく、「頑張りすぎなくていい」と伝える
- 休む中でも、できたことを一緒に認める
- 先のことは、元気になってから考えようと約束する
- 保護者自身も、休む時間を意識して持つ
こうした声かけを続けることで、少しずつ、家庭が「安心して休める場所」になっていきます。安心感が土台にあってこそ、次の一歩を考える余裕が生まれると言われています。焦らず、お子さんのペースに合わせて、一緒に歩んでいきましょう。
なお、この記事で紹介した考え方は、あくまで一般的なものです。お子さんの状況に応じて、専門家や学校と相談しながら、最適な関わり方を探してください。
こんなときは、専門の相談先へ
ご家庭だけで抱え込むと、保護者の方もお子さんも、気持ちが追い詰められてしまうことがあります。次のような様子が数週間以上続くときは、早めに専門機関へ相談することも、大切な選択肢です。
- 食事がほとんど取れない、または眠れない状態が続いている。
- 強い落ち込み・不安・イライラが続き、日常生活に大きな支障が出ている。
- 「消えてしまいたい」など、命や安全に関わる言葉がある。
全国どこからでも。カメラ・マイクはオフのままで大丈夫です。
相談先としては、お住まいの自治体の教育支援センター、教育委員会、保健センター、学校のスクールカウンセラー、児童精神科・小児科・心療内科などがあります。お子さんの気持ちが心配なときは、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)といった公的な窓口も利用できます。相談することは「大ごとにすること」ではありません。話を聞いてもらうだけでも、気持ちが軽くなることがあります。

ニジ高(NIJIN高等学院)ができること
NIJIN高等学院は、オンラインを中心に、一人ひとりのペースに合わせて学べる通信制サポート校です。「何から始めればよいか分からない」「まずは話を聞いてみたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。個別相談や、資料請求から、まずは情報を集めることもできます。
よくある質問
状況によって受け取り方は異なりますが、気分が落ち込んでいるときに繰り返し言われると、「分かってもらえない」と感じさせてしまう場合があると言われています。言葉そのものより、背景にあるお子さんの気持ちを聞く姿勢が大切です。
「つらそうだね」「話したくなったら聞くよ」のように、状態を受け止める言葉が安心につながるという考え方があります。答えを急がず、返事がなくても待つ姿勢も大切です。
不安から言ってしまうのは自然なことです。言ってしまった後に「さっきは強く言ってごめんね」と伝えることで、関係を修復できる場合もあります。自分を責めすぎないでください。
自己判断は難しいため、気分の落ち込みや眠れない状態が長く続く場合は、医療機関やスクールカウンセラーなど専門家への相談を検討してください。診断は医師が行います。
まずは心と体の回復を優先する考え方があります。学習は、気持ちが落ち着いてから、無理のない範囲で再開する方法があります。通信制高校など、学び方の選択肢を知っておくことも一つです。
まとめ
- 「学校行きなさい」という言葉は、状況によっては気持ちを追い込んでしまう場合があると言われています
- まずは、お子さんの気持ちや様子を受け止める声かけが安心につながる考え方があります
- 気分の落ち込みが長く続くときは、専門家への相談を検討してください
- 学び方の選択肢を知っておくことで、保護者も気持ちに余裕を持ちやすくなります
お子さんにかける言葉に、正解はひとつではありません。迷いながらでも、お子さんの気持ちに耳を傾けようとする姿勢が、いちばんの支えになります。ひとりで抱え込まず、周りの力も借りてください。
あわせて読みたい
- 不登校の高校生が「外出をしたがらない」ときの親の関わり方|無理に連れ出さず、一歩ずつ広げる工夫
- 不登校の高校生が「基本的な家事スキル」を身につける意義|自立につながる小さな一歩の始め方
- 不登校の子を持つ親の気持ち|しんどいとき・疲れたときの向き合い方
- 高校生の不登校、乗り越えるための前向きな選択肢とは
- 通信制高校のコース選びで失敗しない選び方|通学・オンライン・ミックスの比べ方
執筆者:ニジ高編集部 2026年10月8日更新
参考文献
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」
- 厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」(こころの健康に関する情報)
- お住まいの自治体の教育支援センター・教育相談窓口


