たとえば、こんな場面を思い浮かべてください。学校からは「相手の生徒には指導しました」と連絡があった。けれど本人は、朝になると体が動かない。欠席は20日を超え、単位のことも気になりはじめた。保護者は「もう一度学校に言うべきか、転校を考えるべきか」と、夜中に検索している。
先に結論を書きます。いじめがきっかけで学校を休んでいる疑いがあるとき、法律には「重大事態」として学校や設置者が調べる仕組みがあります。目安は年間30日の欠席ですが、30日を待つ決まりではありません。そして、登校を再開するかどうかより先に、本人の安全と心身の状態を優先してかまいません。単位や進級、転校は、そのあとで順番に確かめられます。
この記事は、いじめ防止対策推進法の条文(e-Gov)、国のいじめ防止基本方針、文部科学省の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(令和6年8月改訂)、令和6年度の問題行動・不登校調査、各相談窓口の公式ページを実際に開いて確かめた内容でできています。公式で確認できなかったことは、確認できなかったと書いています。学校や相手の生徒を責めるためではなく、本人と保護者が次の一歩を落ち着いて決めるための整理です。
今の高校に通い続けるのが難しい場合や、人との距離を自分で決めながら学び直したい場合は、オンラインという選択肢もあります。NIJIN高等学院(ニジ高)は「オンラインで最高の青春を」を掲げる通信制高校サポート校で、全国の仲間とオンラインでつながり、企業や地域と関わるプロジェクトや、生徒が自分たちで企画する行事に挑戦できます。カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、全国にNIJINアカデミー(ニジ高はその高等部)のリアルの教室があり、リアルでの通学もご検討いただけます。ニジ高は高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングには参加が必要です。どんな学校なのかは、校長・星野達郎のYouTubeでも見られます。
結論:いじめがきっかけで不登校になった高校生と保護者の早見
- いじめかどうかは、本人が心身の苦痛を感じているかで決まります。いじめ防止対策推進法 第2条第1項の定義で、インターネット上の行為も含みます。
- いじめにより相当の期間欠席している疑いがあれば「重大事態」です(同法 第28条第1項第2号)。国の基本方針は「相当の期間」を年間30日を目安とし、連続して欠席している場合は目安にかかわらず迅速に調査に着手することが必要、としています。
- 本人や保護者から申立てがあったときは、重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たると、基本方針とガイドラインに書かれています。診断書や被害届がなくても、重大事態と捉える場合があるとされています。
- 令和6年度、高校のいじめの認知件数は18,891件、重大事態は262件(うち欠席に関わる第2号が149件)でした(文部科学省の調査)。
- 学校の説明に納得できないときの相談先は、公立と私立で違います。公立は設置者の教育委員会、私立は都道府県の私立学校の所管課。ほかに法務局の「こどもの人権110番」、24時間子供SOSダイヤル、警察があります。
- 休んでいる間の単位・進級は、いじめの対応とは別に学校へ確かめます。転校は、退学する前に在籍したまま動くほうが、単位と在籍期間を引き継ぎやすくなります。
- 人との距離を自分で決めながら学び直したい場合は、オンライン中心のサポート校(NIJIN高等学院など)で、提携する通信制高校の卒業をめざす方法もあります。
「もう終わったこと」にされて苦しいとき、先に守るのは出席ではなく安全です
いじめのあとに学校へ行けなくなるのは、気持ちが弱いからではありません。行為そのものが止まっても、「また同じことが起きるかもしれない」という警戒が体に残り、教室に入ろうとすると動悸がしたり、朝に腹痛が出たりすることがあります。
国のいじめ防止基本方針は、いじめは「単に謝罪をもって安易に解消とすることはできない」とし、「解消している」と言えるための要件を2つ挙げています。
- いじめに係る行為が止んでいること。止んでいる状態が相当の期間続いていることが要り、その期間は「少なくとも3か月を目安とする」とされています。
- 被害を受けた本人が心身の苦痛を感じていないこと。本人と保護者に、面談などで確認するとされています。
相手の生徒への指導が終わったことと、本人にとって終わったことは、国の方針の上でも別のものです。「まだつらい」という感覚は、確かめてもらう対象です。
休むことについても、文部科学省の令和元年の通知には、いじめられている児童生徒の「緊急避難としての欠席が弾力的に認められてもよく」、その場合は「その後の学習に支障がないよう配慮が求められる」と書かれています。本人または保護者が希望する場合には、柔軟に学級替えや転校の措置を活用することが考えられる、という記述もあります。
出典:いじめの防止等のための基本的な方針(文部科学大臣決定・最終改定 平成29年3月14日)/文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日(2026年10月4日確認)
保護者の方へ。何があったかを何度も聞き直すと、話すたびにつらさがよみがえることがあります。聞くのは一度にまとめ、メモは保護者が取る形で十分です。原因が1つに絞れない不登校の全体像は、高校生 不登校 原因の記事で整理しています。

いじめかどうかを決めるのは、行為の重さではなく「本人が心身の苦痛を感じているか」です
「これくらいでいじめと言っていいのか」と迷う方は少なくありません。いじめ防止対策推進法 第2条第1項は、いじめを「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」と定めています。同条第2項で、高等学校もこの法律の「学校」に含まれます。
相手に悪意があったかどうかや回数ではなく、受けた本人が心身の苦痛を感じているかに着目した定義です。一方で基本方針は、いじめに当たると判断した場合でも「その全てが厳しい指導を要する場合であるとは限らない」とも書いています。いじめに当たると伝えることは、相手の生徒を罰してほしいと求めることと同じではなく、事実を確かめてもらい、安心して学べる状態をつくってもらうための入り口です。
学校が相談や通報を受けたあとにすることも、法律に書かれています。主なものを表にしました。
| 条文 | 学校がすること(要約) | 家庭から見たポイント |
|---|---|---|
| 第23条第2項 | 速やかに事実の有無を確認する措置を講じ、結果を設置者に報告する | 何をいつまでに確認するのかを聞いてよい |
| 第23条第3項 | いじめが確認された場合、受けた生徒と保護者への支援、行った生徒への指導を継続的に行う | 支援は一度きりではなく、継続するものとされている |
| 第23条第4項 | 必要があると認めるときは、行った生徒を別の場所で学習させるなどの措置を講じる | 教室を分けるなどの手立てを相談できる |
| 第23条第6項 | 犯罪行為として取り扱われるべきと認めるときは、所轄の警察署と連携して対処する | 暴力や金品の要求は、学校だけで抱える話ではない |
出典:いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)(e-Gov。2026年10月4日確認)
なお、同法第26条の出席停止は、市町村の教育委員会が小・中学校について行う制度です(学校教育法 第35条・第49条)。高校への準用を定めた学校教育法 第62条に第35条は含まれていないため、高校は対象に入っていません。
いじめで欠席が続いている疑いがあれば「重大事態」。目安は年間30日ですが、30日を待つ決まりではありません
いじめ防止対策推進法 第28条第1項は、次の2つの場合を「重大事態」とし、学校の設置者または学校が、速やかに組織を設けて事実関係を明確にするための調査を行うものとしています。
- 第1号:いじめにより、在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき
- 第2号:いじめにより、在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき
どちらも「疑い」の段階で当てはまる書き方です。ガイドラインも、事実関係が確定した段階ではなく、疑いの段階から対応を開始することを認識しなければならない、としています。
「30日」の原文は、こう書かれています
条文に日数はありません。目安は国の基本方針にあり、第2号の「相当の期間」について「不登校の定義を踏まえ、年間30日を目安とする。ただし、児童生徒が一定期間、連続して欠席しているような場合には、上記目安にかかわらず、学校の設置者又は学校の判断により、迅速に調査に着手することが必要である」としています。
令和6年8月改訂のガイドラインは、欠席が続いていてその要因としていじめが考えられる場合、学校は「欠席期間が30日に到達する前から設置者に報告・相談し、情報共有を図る」ことが必要である、と書いています。30日に届かないとして重大事態として扱わず、対応が遅れた事例も載っています。
本人や保護者から申立てがあった場合
基本方針は、児童生徒や保護者から、いじめにより重大な被害が生じたという申立てがあったときは、その時点で学校が「いじめの結果ではない」あるいは「重大事態とはいえない」と考えたとしても、「重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たる」としています。ガイドラインは、「いじめ」という言葉を使わない申立ても含むとしています。
ただし、重大事態かどうかを判断するのは学校の設置者または学校です。学校がいじめの事実を確認できていない場合は、まず学校のいじめ対策組織による調査で事実関係の確認を行うことが考えられる、ともされています。申し立てた日にその場で結論が出る仕組みではありません。
重大事態になると、学校の外にも報告が上がります
| 学校の種類 | 報告の流れ | 根拠 |
|---|---|---|
| 公立高校 | 教育委員会を通じて、その地方公共団体の長(知事・市長など)へ | 第30条第1項 |
| 私立高校(学校法人立) | 学校を所轄する都道府県知事へ | 第31条第1項 |
| 国立大学の附属学校 | 学長または理事長を通じて、文部科学大臣へ | 第29条第1項 |
調査の結果は、いじめを受けた生徒と保護者に適切に提供するものとされています(第28条第2項)。ガイドラインは、この調査は重大事態への対処と再発防止のためのもので、民事・刑事・行政上の責任追及を直接の目的とするものではないとし、不登校の重大事態で今も欠席が続いている場合は、不登校の状態の解消も調査の目的に含まれ、学びの継続に向けた支援策の検討も求められる、としています。
出典:いじめ防止対策推進法 第28条〜第31条/いじめの防止等のための基本的な方針/文部科学省「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(令和6年8月改訂)(2026年10月4日確認)
※2026年10月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

令和6年度、高校のいじめの認知は18,891件、重大事態は262件でした
「高校でいじめなんて、うちだけでは」と感じる方もいます。文部科学省の令和6年度の調査(国公私立の合計)から、高校の数字を抜き出しました。小・中学校と混ざらないよう、合計の列と分けています。
| 項目 | 高校 | 小・中・高・特別支援の合計 |
|---|---|---|
| いじめの認知件数 | 18,891件(前年度17,611件) | 769,022件 |
| 生徒1,000人当たり | 5.9件 | 61.3件 |
| 重大事態の発生件数 | 262件(238校) | 1,404件(1,254校) |
| うち第1号(生命・心身・財産) | 167件 | 768件 |
| うち第2号(相当の期間の欠席) | 149件 | 896件 |
| 警察に相談・通報した件数 | 555件(認知件数の2.9%) | 3,272件(0.4%) |
※1件が第1号と第2号の両方に当てはまる場合は、それぞれに数えられています。高校の第2号149件のうち、調査済みは94件(うち調査の結果いじめが確認されたもの86件)、調査中は55件でした。重大事態の合計は、2025年10月の公表時は1,405件とされていましたが、2026年1月16日更新の資料では1,404件です。
高校のいじめがどう見つかったかを見ると、「アンケート調査など学校の取組により発見」が37.7%、「本人からの訴え」が33.2%、「本人の保護者からの訴え」が11.7%でした。高校では、本人と保護者が伝えたことで学校が知った件が、合わせて4割を超えています。
不登校の側から見た数字もあります。同じ調査で、高校(全日制・定時制)の不登校生徒は67,782人。このうち、学校が「いじめの被害の情報や相談があった」と把握していたのは642人(0.9%)でした(複数回答)。これは学校が把握できた分の数字で、学校に伝わっていない場合は含まれません。
出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」(2026年10月4日確認)。文部科学省のページに載っている最新は令和6年度で、令和7年度の結果は確認時点で掲載されていません。
学校に伝えるときは、「いつ・どこで・誰が・何を」を1枚にまとめて、日付の残る形で渡します
電話や立ち話だけだと、伝えた内容が担任のところで止まってしまうことがあります。ガイドラインにも、電話や口頭のやり取りに終始して情報共有が十分に図られず、対応が遅れる事例がある、と書かれています。
記録に残しておくもの(この記事で整理した例)
- 出来事のメモ:いつ、どこで、誰が、誰に、何を、どうしたか。ガイドラインは、学校の記録についてこの形が望ましいとしています。家庭のメモも同じ形にそろえると、照らし合わせやすくなります。推測や感想は、事実と分けて書きます。
- 画面の保存:SNSやメッセージは、日時と相手の表示が分かる形で保存します。
- 欠席と体調の記録:休んだ日、遅刻・早退の日、眠れない・食べられない・腹痛などの変化。受診したときは受診日。
- 学校とのやり取り:いつ、誰に、何を伝え、どんな返事だったか。
伝える手順(この記事で整理した例)
- 相手を決める。担任に話しにくければ、学年主任、養護教諭、教頭・副校長、スクールカウンセラーでもかまいません。学校には、複数の教職員と心理・福祉の専門的な知識を持つ人などで構成する、いじめ対策の組織が置かれます(第22条)。
- 書面で渡す。メモを1〜2枚にまとめ、日付と保護者の名前を入れて、控えを手元に残します。ガイドラインの別添資料2「いじめ重大事態に係る申立様式」は、学校名・学年、重大事態の種類、欠席の状況、いじめの概要、調査に関する希望などを書く形です。参考にすると伝え漏れが減ります。
- 聞くことを3つに絞る。①事実の確認を誰がいつまでに行うか、②その間の本人の安全(教室・別室・欠席の扱い)、③次に連絡をもらえる日。
ガイドラインは、様式への記入がないことを理由に、電話や口頭での相談に対応しないようなことがあってはならない、ともしています。書面を用意する力が残っていないときは、電話で伝えるだけでもかまいません。
伝えたあとの学校の対応も、調査に出ています。令和6年度に高校で認知されたいじめ18,891件のうち、いじめを受けた生徒への特別な対応(複数回答)は、「スクールカウンセラー等の相談員が継続的にカウンセリングを行う」が3,358件(17.8%)、「別室を提供したり、常時教職員が付くなどして心身の安全を確保」が1,980件(10.5%)、「年度途中での学級替え」は27件(0.1%)でした。学級替えの希望は伝えてよいものですが、実際に行われた例は多くないことも数字から分かります。

学校の説明に納得できないときの相談先は、公立と私立で違います
学校に伝えても動きが見えないとき、次に相談する先は学校の種類で変わります。番号・受付時間・対象は、それぞれの公式ページで確かめたものです。
| 相談先 | 連絡先・受付 | こんなとき |
|---|---|---|
| 教育委員会(公立高校) | 学校を設置している都道府県・市の教育委員会。担当課の名前は自治体ごとに違う | 学校の調査や説明に納得できない。設置者は、必要に応じて学校への支援や指示、自らの調査を行うものとされている(第24条) |
| 都道府県の私立学校の所管課(私立高校) | 都道府県庁で私立学校を担当する課。名前は都道府県ごとに違う | 私立高校の重大事態は、都道府県知事に報告される(第31条第1項) |
| 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省) | 0120-0-78310。夜間・休日を含め24時間。通話料無料 | 夜中や休日に話したい。子供も保護者も相談できる。原則として、かけた所在地の教育委員会の相談機関につながる |
| こどもの人権110番(法務局) | 0120-007-110。平日8時30分〜17時15分。相談は無料、秘密は厳守 | 学校とも教育委員会とも別の立場に相談したい。大人も利用できる |
| 警察 | 緊急は110番。相談は #9110(平日8時30分〜17時15分。都道府県警察で異なる。通話料は利用者負担)や、都道府県警察の少年相談窓口 | 暴力、金品の要求、持ち物を壊された、裸の画像を広めると脅されたなど、犯罪に当たるかもしれないとき |
私立高校の場合。一例として、京都府は「いじめ問題に関する相談窓口 私立学校」として京都府私学修学支援相談センターを案内し、神奈川県は私学振興課が2026年3月に「私立学校におけるいじめ重大事態対応マニュアル」を私立学校向けに公表しています。ほかの都道府県に同じ窓口があるかは、都道府県ごとに違います。また、法律は第31条第4項で、同条第2項・第3項(知事が調査の結果について調査を行うことなど)は知事に対し、学校法人が設置する学校に行使できる権限を新たに与えるものと解釈してはならない、としています。相談すれば学校の判断が変わる、と請け合える仕組みではありません。相談した日付と内容は、手元の記録に書き足しておきます。
法務局の場合。法務省の人権擁護機関は、必要に応じて関係者の協力による任意の調査を行い、関係機関への紹介や助言、当事者間の関係調整などの措置を講じるとしています。法務省のページには、高校生へのいじめについて、法務局が学校に経緯の確認と解消のための対応を働きかけ、見守りの体制がつくられた事例が載っています。
警察の場合。文部科学省の令和5年2月の通知には、警察は、本人または保護者が犯罪行為として取り扱うことを求めるときは、内容が明白な虚偽または著しく合理性を欠く場合を除き、被害の届出を即時受理することとしている、と書かれています。都道府県警察の少年相談窓口は、家族からの相談も受け付けています。
出典:文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」・同ポスターのページ(通話料無料)/法務省「こどもの人権110番」・「人権侵害を受けた方へ」/警察庁「都道府県警察の少年相談窓口」/政府広報オンライン「#9110」/文部科学省 令和5年2月7日通知/京都府/神奈川県(2026年10月4日確認)
保護者自身が相談できる場所は、不登校 親 相談先の記事に、学校・教育相談・保健福祉・親の会の4つの入り口をまとめています。
心のケアは家庭だけで抱えず、医療とスクールカウンセラーにつなぎます
いじめのあと、眠れない、食欲が落ちる、朝になると腹痛や吐き気が出る、急に涙が出る、といった変化が続くことがあります。家庭で原因を突き止めたり、治そうとしたりしなくてかまいません。状態を見立てるのは医師の役割で、この記事にも診断はできません。
- 体の症状や不眠が続くときは、かかりつけの小児科・内科や、心療内科・精神科の受診を検討します。厚生労働省のサイトは、医療機関を受診すべきか分からないときは、保健所・保健センターや精神保健福祉センターなど近くの公的な相談窓口を利用してみましょう、と案内しています。
- 学校に行ける日がある場合は、スクールカウンセラーと話す時間を取れるか、学校に聞いてみます。来校日や予約の方法は学校ごとに違います。
- 電話で話したいときは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556。かけた地域の公的な相談機関につながる。受付の曜日・時間は都道府県によって異なり、通話料がかかる)や、よりそいホットライン(0120-279-338。24時間・無料)があります。
診断書を気にされる方が多いので補足します。ガイドラインの別添資料1は、各教育委員会等が重大事態として扱った事例として「心的外傷後ストレス障害と診断された」「嘔吐や腹痛などの心因性の身体反応が続く」などを挙げたうえで、診断書や警察への被害届の提出がない場合であっても、総合的に判断し重大事態と捉える場合があることに留意する、としています。受診は、学校に何かを証明するためではなく、本人の体と心を守るために検討するものです。
本人が「消えたい」「死にたい」と口にしたり、自分を傷つける様子があったりするときは、ひとりにせず、夜間でも24時間の窓口や医療機関に連絡してください。命に危険があるときは119番・110番です。回復の速さは人によって違い、いつまでに元に戻ると言えるものではありません。
出典:厚生労働省「こころもメンテしよう」こころの相談の窓口について/厚生労働省「まもろうよ こころ」電話相談(2026年10月4日確認)

休んでいる間の単位と進級は、いじめの対応とは別に学校へ確かめます
安全を優先して休むことと、単位の心配は同時にやってきます。ここは気持ちと切り分けて、数字で確かめたほうが不安が小さくなります。
高校の進級・卒業に必要な出席の基準は、国が統一して決めているものではなく、学校ごとの規程で決まります。数え方は高校 欠席日数と高校 出席日数の記事で説明しています。学校に確かめたいことは、次の4つです。
- 科目ごとの欠課時数は今いくつで、上限まであと何時間か
- 補充の授業や課題、追認の考査など、欠課を補う方法が規程にあるか
- 別室や保健室で過ごした時間、オンラインで受けた授業は、出席や単位の上でどう扱われるか
- 休学した場合、在籍期間と単位はどうなるか
3つ目に関わる制度として、学校教育法施行規則 第96条第2項第2号があります。学校生活への適応が困難で相当の期間欠席し、引き続き欠席すると認められる生徒に、学校がメディアを利用した授業を自宅その他特別な場所で履修させる場合、その単位は卒業に必要な74単位のうち36単位まで(同条第3項の合計の上限も36単位)です。実施するかどうかは学校の判断です。
いじめが理由の欠席を進級の判定で特別に扱うかどうかについて、法令やガイドラインに共通の決まりは確認できませんでした。在籍校に具体的な扱いを聞くことになります。保健室登校や高校 休学の記事も参考にしてください。
今の学校で続ける・転校する・休む。環境を変えたあとでも、いじめの申立てはできます
「転校したら、もう調べてもらえないのでは」という心配で、動けなくなる方がいます。ガイドラインは、いじめを受けた疑いがある生徒が転校した場合や高校を退学した場合は、第1号の重大事態に該当することが十分に考えられ、適切に対応する必要がある、としています。退学や転学のあとに申立てが行われた場合は、前の在籍校で調査を行い、今の在籍校の協力も不可欠である、とも書かれています。環境を変えることと、事実を確かめてもらうことは、両立できます。
| 道 | 向きやすい場合 | 先に確かめること |
|---|---|---|
| 今の学校で続ける | 相手の生徒と離れる手立てが具体的に示された。本人が戻りたいと言っている | 別室や教室の分け方、見守りの担当者、欠課時数の残り |
| 全日制・定時制へ転校 | 毎日通う生活は続けたい | 受け入れの時期と試験。公立は都道府県ごとに条件が違う。単位の引き継ぎ |
| 通信制へ転校 | 通学の回数を減らしたい。人との距離を自分で決めたい | スクーリングの形と日数、単位の引き継ぎ、費用、一人で学習を続けられるか |
| 休学して回復を優先 | 今は決められない。まず休みたい | 休学できる期間、休学中の費用 |
※表は、この記事で整理した目安です。条件は学校ごとに違います。
- 転校(転学)を許可するのは、転校先の校長です。学校教育法施行規則 第92条第1項は、転学先の校長は教育上支障がない場合には転学を許可することができる、としています。同条第2項で、全日制・定時制・通信制の間の転学は、修得した単位に応じて相当学年に転入することができます。
- 退学届を先に出さない。在籍したまま移る転入学なら、前の学校の単位と在籍期間を引き継げます。退学してから入り直すと編入学になり、在籍していない期間が生まれます。
- 通信制高校には、不登校を経験した生徒が多く入学しています。文部科学省の令和7年度の実態調査では、2025年度に通信制高校へ入学した77,998人のうち、44,461人(57.0%)が中学3年生のときに不登校でした。
条件と手順は高校 転入、費用と就学支援金は通信制高校 学費、学校の比べ方は通信制高校 選び方でくわしく説明しています。
通信制にも注意点はあります。レポートの計画を自分で立てる必要があり、スクーリングでは人と会います。「通信制に移ればつらさが消える」とは言えません。困ったときに誰に相談できるかを、見学や説明会で本人の目で確かめてから決めるのが安全です。
出典:学校教育法施行規則 第92条・第96条/文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」(2026年10月4日確認)
選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)
NIJIN高等学院(ニジ高)は、株式会社NIJINが運営するオンライン中心の通信制高校サポート校で、小中学生のオルタナティブスクールNIJINアカデミーの高等部でもあります。担任がつき、カメラ・マイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められます。授業のアーカイブ視聴や中学内容の学び直しにも対応しています。途中からの入学(転入・編入)ができ、出願費用は無料です。グループ全体で650名以上の不登校の生徒をサポートしてきました。
そのうえで、正直にお伝えしておくことがあります。
- ニジ高は高校ではありません。高校卒業の資格は、提携する通信制高校に在籍して取ります。
- 学院の中でのスクーリングはありません。提携する通信制高校のスクーリングには参加が必要です。形や日程は、個別相談会で聞けます。
- 費用は、通信制高校の分とニジ高の分の両方がかかります。ニジ高の分に就学支援金は使えません。金額は学費のご案内でご確認ください。
- オンライン中心なので、毎日通う場所を求める人には合わない場合があります。
- 前の学校でのいじめの調査や学校とのやり取りは、在籍していた学校とその設置者、この記事で挙げた相談先が窓口です。診断や治療の判断は、主治医・専門機関へ。
- どの学校でも、人との関わりがある以上、行き違いが起きないとは言えません。困ったときに誰に相談できるのかは、入る前に個別相談会で聞けます。
個別相談会はオンライン(Zoom)で30分、参加は無料です。ご本人が同席できなくても保護者の方だけで参加でき、カメラ・マイクはオフでかまいません。詳細は体験説明会・個別相談のページにあります。
迷ったときの進め方(3ステップ)
- ステップ1:安全を確保して、記録を1枚にまとめる。つらい日は休んでかまいません。出来事・欠席の日・体調・学校とのやり取りを、日付つきで書き出します。体の症状が続くなら、受診や公的な相談窓口の利用を検討します。
- ステップ2:学校に書面で伝え、返事の日を決める。事実の確認を誰がいつまでに行うか、その間の安全をどうするかを聞きます。説明に納得できないときは、公立なら教育委員会、私立なら都道府県の私立学校の所管課、どちらでも法務局や24時間子供SOSダイヤルに相談できます。
- ステップ3:単位の残りを数字で確かめてから、続ける・転校する・休むを比べる。退学届は出さずに、候補の学校の受け入れ時期と単位の引き継ぎを確かめます。
3つとも、どの道を選ぶか決まっていなくても進められます。本人が動けない時期は、保護者だけでステップ1と2を進めることもできます。


人との距離を自分で決めながら、オンラインで学び直す形もあります
ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校です。カメラ・マイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、転入・編入もできます。ニジ高は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、そのスクーリングへの参加が必要です。学び方や費用の内訳は、個別相談会で聞けます。
よくある質問
Q. 欠席が30日に届いていないと、重大事態にはなりませんか。
A. 30日は目安で、届いていなくても当てはまる場合があります。国の基本方針は、一定期間連続して欠席しているような場合には、目安にかかわらず迅速に調査に着手することが必要としています。判断するのは学校の設置者または学校です。
Q. 学校に「いじめではない」と言われました。どうすればよいですか。
A. 法律の定義は、本人が心身の苦痛を感じているかに着目しています(第2条第1項)。基本方針は、本人や保護者から重大な被害の申立てがあったときは、学校が「いじめの結果ではない」と考えたとしても、重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たるとしています。記録を添えて書面で伝え、納得できないときは、この記事の相談先の表を参考にしてください。
Q. 診断書がないと、学校は動いてくれませんか。
A. 診断書は条件とはされていません。ガイドラインの別添資料は、診断書や警察への被害届の提出がない場合であっても、総合的に判断し重大事態と捉える場合があることに留意する、としています。
Q. 本人が「大ごとにしたくない」と言っています。
A. ガイドラインは、本人や保護者が調査を望まないことを理由に重大事態として取り扱わないことはあってはならないとしつつ、調査の実施や結果を外部に明らかにしないまま行うこと、関係する生徒への聴き取りを行わずに学校の記録から事実関係を整理することなど、方法を工夫できるとしています。どこまでなら受け入れられるかを、学校に伝えて相談できます。
Q. 転校したら、前の学校でのいじめは調べてもらえなくなりますか。
A. 転校後でも申立てはできます。ガイドラインは、退学や転学のあとに申立てが行われた場合、前の在籍校で調査を行うとしています。ただし、卒業後に調査を行う場合については、記憶が曖昧になりやすく、資料が保存期間を過ぎて残っていない場合があることも書かれているため、記録は早めに残しておくと役に立ちます。
学校に戻るかどうかは、安心が戻ってから決めてかまいません
いじめで学校に行けなくなったとき、いちばん苦しいのは「自分が弱いからだ」「うちの対応が悪かったからだ」と、本人も保護者も自分を責めてしまうことかもしれません。法律は、本人が苦痛を感じていること自体を出発点にしています。つらいと感じたことを、証明し直す必要はありません。
今日できることは、休むこと、記録を1行書くこと、誰か1人に話すこと、そのどれか1つで十分です。同じ学校に戻る道も、別の学校で学び直す道も、どちらも「逃げ」ではなく、学びを続けるための選び方です。
急いで決めなくてかまいません。安心して眠れる日が少しずつ増えてきたら、そのときに次の一歩を考えてみてください。
転校を決めていない段階でも、学び方や費用は個別相談会で聞けます
全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付
通信制高校サポート校 NIJIN高等学院(ニジ高)/出願費用は無料です。無理に勧めることはありません。

