発達障害の高校生が「メモを取れない」のは怠けではない|頼める配慮5つ【2026】

授業中にメモが取れない。板書を写している間に話が先へ行ってしまう。あとでノートを見ても、何が大事だったか分からない。先に結論をお伝えすると、これは怠けでも不真面目でもなく、聞く・意味を取る・残すものを選ぶ・手で書くという4つの作業を同時にやらされている状態です。そして、記録の手段を変えることは、文部科学省の公式資料の中で配慮の例として示されています。

この記事では、メモが取れないときに何が起きているのかを整理したうえで、学校に頼める合理的配慮(板書の写真撮影・配付資料・タブレットの持ち込みなど)、家庭でできる工夫、そしてオンライン授業や通信制の仕組みを使うとどこが軽くなるのかを、場合分けで並べました。数字と制度は、文部科学省や内閣府、国立特別支援教育総合研究所の公開資料を開いて確認したものだけを載せています。診断はこの記事では決められないので、その線引きも書きます。

今の学校に毎日通って授業のスピードに合わせ続けるのが難しい場合は、オンラインという選択肢もあります。NIJIN高等学院(ニジ高)は「オンラインで最高の青春を」を掲げる通信制高校サポート校で、全国の仲間とオンラインでつながり、企業や地域と関わるプロジェクトや、生徒が自分たちで企画する行事に挑戦できます。カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、授業のアーカイブ視聴にも対応しています。全国にNIJINアカデミー(ニジ高はその高等部)のリアルの教室があり、リアルでの通学もご検討いただけます。ニジ高は高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングには参加が必要です。どんな学校なのかは、校長・星野達郎のYouTubeでも見られます。

目次

結論:発達障害の高校生が「メモを取れない」ときの早見

  • 授業のメモは、聞く・意味を取る・残すものを選ぶ・手で書くの4工程。どこか1つが重いだけで、全体が止まります。
  • 板書を写せることと、授業の中身が分かっていることは別のことです。写すのは手段で、目的ではありません。
  • 文部科学省の資料には、紙と鉛筆では授業時間内に板書ができない生徒がタブレットのカメラ機能で板書を記録し、ワープロ機能でノートを作った例が、実際の配慮として載っています。
  • 学校に頼める配慮には「合理的配慮」という名前があります。2024年4月1日からは、事業者にも提供が義務づけられました(内閣府)。
  • ただし、配慮は本人・保護者からの申出が起点です。国の調査では、高校で学習面や行動面に著しい困難を示すとされた生徒のうち、授業中に個別の配慮・支援を受けているのは18.2%でした。
  • 頼み方のコツは、困っている事実・詰まる場面・代わりに使いたい手段の3点を、セットで伝えることです。
  • オンライン中心の学び方なら、録画の見返しで「その場で全部書き取る」前提そのものを外せます。サポート校という選択肢もあります。
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メモが取れないのは、聞く・選ぶ・書くを同時にやらされているからです

授業でメモを取る作業を分解すると、少なくとも4つに分かれます。先生の声を聞き取る。その意味を理解する。残す価値があるところを選ぶ。選んだものを手で文字にする。この4つが、話の進むスピードに合わせて並行して走っています。

文部科学省は、通級による指導の対象となる学習障害者を「全般的な知的発達に遅れはないが,聞く,話す,読む,書く,計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示すもので,一部特別な指導を必要とする程度のもの」と定義しています(文部科学省「高等学校における通級による指導」説明会資料)。ここで大事なのは、全体の理解力ではなく、特定の能力だけが重くなるという書き方になっている点です。話は分かるのに書けない、という状態は矛盾ではありません。

注意の持続や記憶の面でも同じことが起きます。文部科学省の受検上の配慮の参考資料には、注意欠陥多動性障害のある生徒の例として「注意集中が継続しにくく注意散漫になる傾向があるとともに、聴覚記憶が苦手であることから、指示の聞き漏らしや断片的な記憶によって、指示の内容を正確に遂行することが苦手」という記述があります。聞いた内容を短い時間だけ頭に置いておく働き(ワーキングメモリ)に負荷がかかると、書いている間に前の内容が消えます。国立特別支援教育総合研究所は、目標を達成するために行動や思考をコントロールする高次の認知機能を実行機能と呼び、その下位区分である「メタ認知」の成分としてワーキングメモリを扱っています(国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター 研究紹介)。

メモの工程 詰まると起きること 手を打てる場所
聞き取る 語尾や数字が抜ける。指示を聞き逃す 座席の位置、配付資料、録音
意味を取る 用語が分からず止まり、そこから先が全部抜ける 先に要点を示してもらう、教科書への書き込み
残すものを選ぶ 全部書こうとして間に合わない。逆に何も書けない 穴埋め式のプリント、キーワードだけの運用
手で書く 字の形や枠に入れることに時間が取られ、話が先に行く 板書の写真撮影、タイピング、代替手段

なお、ここに書いたのは一般的な整理です。どの工程が重いのかは、本人の状態を実際に見ないと分かりません。診断は医師が行うものですし、読み書きの検査は教育センターなどで受けられます。気になる場合は、学校の特別支援教育コーディネーターや養護教諭に相談し、必要に応じて医療機関の受診を検討してください。この記事の内容を診断の代わりにはしないでください。

板書を写せることと、授業が分かっていることは別のことです

「ノートが取れないと、授業を受けたことにならない」と思われがちですが、国の資料の書き方はそうなっていません。文部科学省の「高等学校入学者選抜における受検上の配慮に関する参考資料」には、学習障害のある生徒の書字に関する配慮の例として、次の状況が記録されています。「教育センターの相談員による読み書き検査を実施し、目と手の協応運動が円滑に遂行できないことと漢字が正確に書けない状況が把握された。紙と鉛筆では授業時間内に板書ができないことから、タブレット端末を活用し、カメラ機能で板書を記録するとともに、ワープロ機能を使用してノート作成や課題解決を行った。」

この例では、中学校でこの方法を使い、定期テストでもタブレット端末で解答し、高校入試でも別室でワープロ機能を使って解答しています。そして資料は、高校入学後についても「日常的な学習場面だけでなく定期テストにおいても、タブレット端末の使用を継続することが考えられる」と書いています。つまり、記録の手段を変えたまま高校生活を続けることが、前提として想定されています。

文部科学省の「特別支援教育におけるICTの活用について」でも、弱視の児童生徒に関する項目で、タブレットの機能の説明として「タブレットのカメラ機能により、板書事項、小さいもの、動いているもの等を撮影し、手元でじっくり確認したり、観察できたりする」と示されています。同じ資料の発達障害のある児童生徒に関する項目には、「音(オン)を文字に変換することが苦手だったり、時間がかかったりするため、文章を書いたりすることが苦手な児童生徒に対して、書き込み機能の活用により表出の支援が可能」という記述もあります。

手で写すことは、記録を残すための1つの方法です。方法を変えれば、そのぶんの力を「意味を取る」側に回せます。ここを言葉にできると、学校への相談も「できません」ではなく「この方法なら残せます」に変わります。

授業中に顔を上げている高校生。手元のノートにはペンが置かれている
書き写せないことと、理解できないことは別です

高校で著しい困難とされた生徒のうち、授業中に配慮を受けているのは18.2%です

文部科学省は2022年(令和4年)12月13日に、「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」の結果を公表しました。調査は令和4年1月から2月にかけて、全国の公立小・中・高等学校の通常の学級に在籍する児童生徒を対象に行われ、標本88,516人のうち74,919人から回答を得ています(回収率84.6%)。高等学校は全日制または定時制の1〜3年生が対象で、通信制は含まれていません。

項目 小学校・中学校 高等学校
学習面又は行動面で著しい困難を示す 8.8% 2.2%
学習面で著しい困難を示す 6.5% 1.3%
「読む」又は「書く」に著しい困難を示す 3.5% 0.6%
「不注意」又は「多動性-衝動性」の問題を著しく示す 4.0% 1.0%

この調査には重要な注記がついています。「本調査は、学級担任等による回答に基づくもので、発達障害の専門家チームによる判断や医師による診断によるものではない。従って、本調査の結果は、発達障害のある児童生徒数の割合を示すものではなく、特別な教育的支援を必要とする児童生徒の割合を示すことに留意する必要がある。」数字は診断の割合ではありません。

そのうえで、支援の届き方を見ると差がはっきりします。学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた生徒のうち、校内委員会で特別な教育的支援が必要と判断されている割合は、小中で28.7%に対し高等学校では20.3%。通級による指導を受けている割合は小中10.6%に対し高等学校5.6%。個別の教育支援計画を作成している割合は小中18.1%に対し高等学校10.5%。そして、授業時間内に教室内で個別の配慮・支援を行っている割合は、小中54.9%に対し高等学校では18.2%でした。

高校では、配慮は自然には始まらないということです。逆に言えば、頼むことで動く余地がまだ大きく残っています。出典は文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」(令和4年12月13日公表)です。

学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた生徒のうち、授業時間内に教室内で個別の配慮・支援を受けている割合が高等学校では18.2%、小学校・中学校では54.9%であることを示す図
出典:文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」(令和4年12月13日公表)

学校に頼める配慮には「合理的配慮」という名前があり、申出から始まります

合理的配慮は、2012年(平成24年)7月23日の中央教育審議会初等中等教育分科会の報告で、「障害のある子どもが、他の子どもと平等に『教育を受ける権利』を享有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、障害のある子どもに対し、その状況に応じて、学校教育を受ける場合に個別に必要とされるもの」であり、「学校の設置者及び学校に対して、体制面、財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されています。

法律の側では、障害者差別解消法が2016年(平成28年)4月1日に施行され、改正法(令和3年法律第56号)が2024年(令和6年)4月1日に施行されました。これにより、行政機関等に加えて事業者にも合理的配慮の提供が義務づけられました(内閣府「障害者差別解消法」)。公立高校だけでなく、私立の高校や通信制高校、サポート校も事業者にあたります。

配慮の中身については、文部科学省所管事業分野の対応指針(平成27年文部科学省告示第180号)が、入学試験等の場面で「別室での受験、試験時間の延長、点字や拡大文字、音声読み上げ機能やタブレット端末等のICT機器の使用、筆記に代えて口頭試問による学習評価を行う」ことを例示しています。授業の場面でも、同じ道具が判断の材料になります。

制度としては、高等学校で通級による指導も使えます。学校教育法施行規則第140条の改正により、2018年(平成30年)4月1日から高等学校でも制度化され、対象には学習障害者と注意欠陥多動性障害者が含まれます。修得した単位は「年間七単位を超えない範囲」で卒業に必要な単位数に加えることができます(平成5年文部省告示第7号)。ただし、前の節で見たように、実際に受けている生徒は高校で5.6%です。自分の学校に通級の枠があるかは、学校に直接確認してください。

教科書そのものを変える手もあります。文部科学省は、発達障害等により通常の検定教科書では一般的に使用される文字や図形等を認識することが困難な児童生徒に向けて、音声教材を「原則として無償で提供しています」。高等学校用の教科書も対象で、日本障害者リハビリテーション協会や東京大学先端科学技術研究センターなどが製作しています(文部科学省「音声教材」)。読むところが軽くなれば、書くところに回せる力が増えます。

板書の写真撮影とタブレットは、高校入試の場面でも実際に認められています

「そんなお願いは通らないのではないか」と思う場面で、いちばん手堅い材料になるのが、文部科学省の「高等学校入学者選抜における受検上の配慮に関する参考資料」(令和4年12月・初等中等教育局特別支援教育課)です。入試という最も形式が厳しい場面で、実際に行われた配慮が並んでいます。

自閉症のある生徒の書字に関する例では、目と手の協応動作に困難があり小さい枠内に記入することが難しい生徒に対し、中学校では描画ソフトを使ってタブレット端末の画面に指で解答することを認めていました。入試当日は、本人がタブレット端末の画面に指で解答を書き、監督者である高等学校の教員がその解答を解答用紙に転記する形で、別室で受検しています。学習障害のある生徒の読字に関する例では、別室で教員による読み上げを行い、読む部分だけが見える自助具(スリット等)の使用を許可し、高校入学後は音声教材の申請と使用が想定されています。

同じ資料に載っている令和4年度の実施状況(令和4年度公立高等学校入学者選抜に係る改善状況調査)では、実際に配慮を受けた生徒は3,752人でした。行われた配慮の件数は次のとおりです。

配慮の内容 件数 読み取れること
別室の設定 1,683件 環境を変える配慮がいちばん多い
座席の指定 973件 刺激を減らす配慮も定着している
問題文等へのルビ振り 415件 読む負荷を下げる配慮は一般的
ICT機器(PC・タブレット等)の使用 36件 認められるが、まだ件数は少ない

手続きの流れは、資料では「①生徒・保護者及び学校関係者への周知 ②生徒・保護者からの申出 ③関係者による調整及び配慮事項の決定 ④受検上の配慮の提供」と整理されています。申出が2番目に来ている点が要点です。また、判断の根拠として、中学校が作成している個別の教育支援計画や個別の指導計画が提出された例、教育センターの相談員による読み書き検査の結果が使われた例が出てきます。日ごろ使っている方法と、その記録が、そのまま材料になります。申請の時期や手続き、都道府県ごとの違いについては高校受験 合理的配慮にまとめています。出典は文部科学省「高等学校入学者選抜における受検上の配慮に関する参考資料」です。※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

自宅でタブレットに写した板書を見直す高校生と保護者
撮って見返す形なら、家で追いつけます

頼み方は、事実と場面と代わりの手段を3点セットで伝えると通りやすくなります

相談が空振りになりやすいのは、「メモが苦手なので配慮してください」という形で伝えたときです。学校側は、何をどう変えればよいのか判断できません。伝える順番を3つに固定すると、話が進みやすくなります。

1つ目は、起きている事実。「板書を写している間に、先生の説明が2〜3行分抜けます」「漢字の形を思い出すのに時間がかかり、1行書く間に次が消えます」のように、行動の言葉で言います。2つ目は、詰まる場面。「数学の例題を写すとき」「英語の長文の板書」など、教科と場面を絞ります。全科目で全部つらいと言うと、過度の負担と判断されやすくなります。3つ目は、代わりに使いたい手段。「板書の写真を撮らせてほしい」「配付資料の形にしてほしい」「タブレットのキーボードで打ちたい」と、こちらから具体案を出します。

困っていること 頼む配慮の例 こちらで用意するもの
写している間に話が進む 授業の終わりに板書を撮影させてほしい 撮った写真の置き場所と見返す時間
手書きの速度が上がらない ノートをタブレットのキーボード入力にしたい 端末の持ち込み許可と管理の約束
黒板の情報量が多くて選べない 要点を配付資料か穴埋めプリントにしてほしい 資料に書き込んで提出する運用
口頭の指示が残らない 提出物と期限を板書か文書で示してほしい 連絡を1か所にまとめる仕組み
テストで書く時間が足りない 時間延長や別室、解答方法の変更を検討してほしい 日ごろの検査結果や指導計画

相談先は、担任だけではありません。各学校に置かれている特別支援教育コーディネーター、養護教諭、学年主任、そして都道府県の教育センターが窓口になります。校内委員会で検討される仕組みがあるので、担任の一存で終わる話ではないと知っておくと気が楽になります。学校が用意する個別の教育支援計画や個別の指導計画に書いてもらえると、学年が上がっても引き継がれます。

家庭でできる工夫は、書く量を減らすことと、後から見返せる形に変えることです

ここは、学校の許可を待たずに今日から動かせる部分です。方向は2つだけです。書く量そのものを減らすこと。そして、残したものを後から使える形にしておくことです。

書く量を減らす具体策としては、全部書くのをやめて、単語と数字だけを拾う運用があります。文章にしないので、手が止まりません。もう1つは、ノートを新しく作らず、教科書やプリントの余白に直接書き込む方法です。線を引く、丸で囲む、矢印を足すだけでも記録になります。作文や記述が重い場合は、国立特別支援教育総合研究所の発達障害教育推進センターが示すように「アウトラインメモをつくるようにします。『いつ』『どこで』『誰が』『何をして』『どう思ったのか』など、質問形式にしておき、そこにことばを入れられるようにしておくと書きやすいでしょう」という形で、枠を先に用意しておく手が使えます(国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター)。

後から使える形にするほうは、置き場所を1か所に決めるのが先です。板書の写真が写真アプリの中に日付順で埋もれていくと、探せないので使われません。教科ごとのフォルダを作る、撮ったらすぐ科目名を打つ、といった1手間で、記録が資料に変わります。そして、帰ってすぐの5分で見返すところまでを1セットにします。その日のうちなら、記憶が残っているので短時間で補えます。

やらないほうがよいこともあります。写す練習を長時間させること、友だちのノートを丸写しさせること、そして「集中していないからだ」と原因を意志の問題にすることです。工程が重いという話なので、量を増やしても解決に向かいません。保護者の方は、家庭で代わりに板書を再現するのではなく、学校に何を頼むかを一緒に整理する側に回ると、負担が分散します。

令和4年度の公立高校入試で行われた受検上の配慮の件数が、別室の設定1,683件、座席の指定973件、問題文へのルビ振り415件、ICT機器の使用36件であることを示す比較表
出典:文部科学省「高等学校入学者選抜における受検上の配慮に関する参考資料」(令和4年12月)

オンライン授業なら、録画の見返しで「その場で全部書き取る」前提を外せます

ここまでの工夫は、授業が1回しか流れないことを前提にしています。その前提が変わるのが、オンライン中心の学び方です。

通信制高校の単位は、添削指導(リポート)、面接指導(スクーリング)、試験の3つで修得します。このうち面接指導については、高等学校学習指導要領(平成30年告示)第1章総則 第2款5「通信制の課程における教育課程の特例」に、メディアを利用して行う学習を計画的かつ継続的に取り入れ、報告課題の作成等によりその成果が満足できると認められるときは、面接指導等時間数のうち「10分の6以内の時間数を免除することができる」、複数のメディアを利用する場合も「免除する時間数は,合わせて10分の8を超えることができない」と定められています(文部科学省「高等学校学習指導要領」)。文部科学省の「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」も、免除を行う場合は報告課題の作成等で成果を確認することを求めています。

実務の面で何が変わるかというと、授業が録画で残っていれば、メモは「その場で全部」でなくなります。分からなかった30秒だけ戻す、速度を落として聞き直す、必要なところだけ止めて書く、という使い方ができます。音声を文字にする機能が使える環境なら、聞き取りの負荷はさらに下がります。ただし自動の文字化は精度が完全ではないので、見返して直す前提で使ってください。

学び方 メモの前提 相性のよい手段
全日制で対面授業 授業は1回だけ流れる 板書の撮影、配付資料、タブレット持ち込み
通信制で対面のスクーリング 集中する日に情報が固まる 事前の資料請求、録音の許可、休憩の取り方
オンライン中心 録画やアーカイブで戻せる 速度変更、部分再生、音声の文字化
自宅でのリポート 自分のペースで書ける キーボード入力、読み上げ、音声教材

端末が手元にあるかどうかも、地域で前提が違います。文部科学省の「高等学校段階における学習者用端末の整備状況について(令和6年度当初・令和6年5月1日時点)」では、費用負担の原則として47都道府県のうち23が設置者負担、24が保護者負担(BYOD)と回答しています。つまり、およそ半分の地域では生徒が自分の端末を持っている前提になっています。持ち込みを頼むときの材料になります。なお、この調査の対象は公立高等学校(全日制・定時制)などで、通信制高等学校は対象外です。

よくある誤解:配慮はずるくありませんが、無断の撮影や録音は別の問題です

相談をためらわせる思い込みを、資料の言葉で1つずつ外していきます。

誤解1:配慮を受けると評価で不利になる。文部科学省所管事業分野の対応指針は、不当な差別的取扱いに当たり得る具体例として「試験等において合理的配慮の提供を受けたことを理由に、当該試験等の結果を学習評価の対象から除外したり、評価において差を付けたりすること」を挙げています。配慮を理由に差を付けることは、国の指針が想定していません。

誤解2:診断がないと何も頼めない。受検上の配慮の参考資料には、「情緒障害の診断は受けていなかった」生徒に別室受検などの配慮が行われた例が載っています。一方で、配慮の決定には根拠となる資料が求められます。診断書がなくても、個別の指導計画、教育センターの検査結果、定期考査での様子の記録などが材料になります。診断を取るかどうかは医師と相談することで、配慮の相談を止める理由にはなりません。

誤解3:撮影や録音は自分の判断でしてよい。これは違います。教室には他の生徒が写りますし、教材の著作物が写ることもあります。学校のルールを先に確認し、許可を得てから使ってください。「自分の板書の記録として、授業後に黒板だけを撮る」「他の生徒が写らない位置から撮る」のように、範囲を絞った頼み方にすると調整しやすくなります。

誤解4:手書きをやめると、書けなくなる。国の資料は逆の方向で書かれています。前に引用した学習障害の書字の例では、高校入学後も「日常的な学習場面だけでなく定期テストにおいても、タブレット端末の使用を継続することが考えられる」とされています。手段を固定せず、場面ごとに使い分ける考え方です。

誤解5:高校では小中のような支援はもう無い。制度としては、高等学校でも通級による指導があり、音声教材も高等学校用が提供されています。無いのではなく、届いていないのが実情です。数字でいえば、授業中に個別の配慮を受けているのは18.2%でした。

選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)

配慮を頼んでも授業の速度そのものが合わない、教室にいる時間が負担になる、という段階まで来ている場合は、学校の形を変える選択も検討の対象になります。その1つがNIJIN高等学院(ニジ高)です。ニジ高は、発達特性や障害を、本人を変えるのではなく学びの構造や環境を変えることで支援するというアプローチを取っています。オンライン中心で担任制、カメラとマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、授業のアーカイブ視聴や中学内容の学び直しにも対応しています。メタバースの校舎で、担任や同級生と集まる時間もあります。

正直な注意点も書きます。ニジ高は高校そのものではなく、通信制高校サポート校です。卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングへの参加が必要です(スクーリングの形や日程は個別相談会で案内しています)。宿泊を伴うスクーリングにニジ高のスタッフが付き添うことはなく、行うのは日程の調整と準備の支援です。不安が強い場合は、この点を最初に相談してください。費用は提携校の分とニジ高の分の両方がかかり、ニジ高の分に就学支援金は使えません。金額は学費のご案内をご覧ください。

また、診断や服薬の判断は、主治医や専門機関にご相談ください。学校としてできるのは、記録の手段や課題の出し方を変えることと、相談の窓口を用意することです。細かい条件はよくある質問にもまとめています。小中学生のご家庭には、オルタナティブスクールのNIJINアカデミーもあります。

迷ったときの進め方(3ステップ)

ステップ1:1週間、詰まった場面を3つだけ書き出す。毎日記録するのではなく、印象に残った場面を3つで止めます。教科・場面・何が起きたかの3点だけで十分です。スマホのメモでも構いません。これが相談の材料になります。

ステップ2:担任と特別支援教育コーディネーターに、3点セットで相談する。事実・場面・代わりに使いたい手段の順で伝えます。過去に検査を受けていれば結果を、個別の指導計画があればそれも持っていきます。1回で全部通らなくても、板書の撮影だけ、配付資料だけ、と部分的に始める形で合意できることがあります。

ステップ3:それでも合わないときは、学校の形を見直す。欠席が増えているなら高校 欠席日数と高校 出席日数で今の余裕を確認し、学校を変える可能性が出てきたら高校 転入で手続きを、費用は通信制高校 学費で見ておきます。学校の種類の比べ方は通信制高校 選び方に、特性に合わせた選び方は発達障害 高校 特別支援とディスレクシア 通信制高校にまとめています。今週決めなくて大丈夫です。

相談室で先生と保護者と生徒が、白紙の紙を見ながら話している
配慮は、困りごとを具体的に伝えるところから始まります
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板書が写せないまま、授業だけが進んでいませんか

記録の手段を変えれば済むのか、学校の形そのものを見直したほうがよいのか。ニジ高の体験説明会・個別相談では、そこから一緒に整理します。ニジ高は高校ではなく通信制高校サポート校で、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングへの参加が必要です。その点も含めてお話しします。

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よくある質問

Q. 板書の写真撮影は、学校にどう頼めばよいですか。

A. 撮る範囲と目的を絞って伝えるのが通りやすい形です。「授業後に黒板だけを撮る」「他の生徒が写らない位置から撮る」「撮った写真は自分のノート代わりにだけ使う」といった条件を、こちらから先に示します。文部科学省の資料でも、タブレット端末のカメラ機能で板書を記録した例が配慮として記録されています。決めるのは学校なので、担任と特別支援教育コーディネーターの両方に相談してください。

Q. 診断名がありません。それでも配慮を頼めますか。

A. 頼むことはできます。国の受検上の配慮の資料には、診断を受けていなかった生徒に配慮が行われた例があります。ただし、決定には根拠資料が求められます。個別の指導計画、定期考査での様子の記録、教育センターでの読み書き検査の結果などが材料になります。診断を取るかどうかは、医師に相談して判断してください。

Q. 高校でも通級による指導は受けられますか。

A. 制度としては受けられます。学校教育法施行規則第140条の改正により2018年4月1日から高等学校で制度化され、対象には学習障害者と注意欠陥多動性障害者が含まれます。修得単位は年間7単位を超えない範囲で卒業に必要な単位数に加えられます。ただし国の調査では、高校で著しい困難を示すとされた生徒のうち受けているのは5.6%でした。自分の学校に枠があるかは、学校に確認してください。

Q. 通信制高校に移れば、メモの問題は無くなりますか。

A. 無くなるとは言えません。リポートは自分のペースで書けますし、録画がある授業なら聞き直せますが、面接指導(スクーリング)では対面の場面が残ります。学習指導要領では、メディアを利用して行う学習で面接指導等時間数の一部を免除できる仕組みがありますが、免除できる上限が定められています。移る前に、スクーリングの形と回数を学校に確認しておくと安心です。

Q. 親として、まず何をすればよいですか。

A. 家で板書を再現する係になるより、学校に何を頼むかを一緒に整理する側に回ると負担が分散します。詰まった場面を3つ書き出す作業を一緒にやり、事実・場面・代わりの手段の3点セットに直してから、担任と特別支援教育コーディネーターに相談します。本人を責める言葉を先に外すことも、そのくらい効きます。

メモが取れないのは、あなたの努力が足りないからではありません

板書を写せないまま授業が過ぎていく時間は、じわじわと自信を削っていきます。写せている人が周りにいるほど、自分だけが遅れている気がしてきます。でも、ここまで見てきたとおり、国の資料は「写す」以外の方法をきちんと想定していて、入試という厳しい場面でも実際に使われています。方法を変えることは、逃げることではありません。

変えられるのは、まず手段です。撮る、打つ、もらう、聞き直す。どれか1つが自分に合えば、授業の中で使える力がそのぶん増えます。そして、それでも学校の速度と合わないときには、学校の形を選び直すという道も残っています。今週のうちに全部を決めなくて大丈夫です。

もし、いま何から相談すればいいか分からなくなっているなら、詰まった場面を3つ書き出すところだけ、今日やってみてください。それが、次の1歩の材料になります。

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オンラインで、青春する。

メモの取り方から一緒に考えられます。話だけでも大丈夫です

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