授業中に声が大きくなって注意される。電車で話しているうちに、周りの視線が集まる。本人は「普通に話しているつもり」で、あとから一人で落ち込んでいる。発達特性のある高校生の保護者から、よく聞く悩みです。「小さいころにもっと厳しく言っておけばよかったのでは」と、自分を責めている方もいるかもしれません。
先に結論を書くと、意図せず声が大きくなるのは、しつけや本人のやる気の問題として片づけるより、声の大きさを調整するための手がかり(自分の声の聞こえ方・周りの状況への注意・気持ちの高まり)が届きにくい状態として考えるほうが、手を打ちやすくなります。また、音声チックのように、声の大きさの調整とは別の仕組みで声が出ている場合もあります。この記事では、背景の候補、教室・電車・家・オンラインの場面別の工夫、本人と決めておく合図、学校に頼める配慮、受診を検討する目安を順に整理します。
内容は、国立精神・神経医療研究センター、発達障害ナビポータル、国立特別支援教育総合研究所、文部科学省の資料、障害者差別解消法・発達障害者支援法(e-Gov)、日本耳鼻咽喉科学会の学会誌に載った論文を実際に開いて確認したものです。この記事は診断のためのものではありません。当てはまるかどうかの判断は、医師や専門機関に相談してください。
今の学校の教室で過ごすことがしんどくなっている場合は、オンラインという選択肢もあります。NIJIN高等学院(ニジ高)は「オンラインで最高の青春を」を掲げる通信制高校サポート校で、全国の仲間とオンラインでつながり、企業や地域と関わるプロジェクトや、生徒が自分たちで企画する行事に挑戦できます。カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、全国にNIJINアカデミー(ニジ高はその高等部)のリアルの教室があり、リアルでの通学もご検討いただけます。ニジ高は高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングには参加が必要です。どんな学校なのかは、校長・星野達郎のYouTubeでも見られます。
結論:発達障害の高校生が大きな声を出してしまうときの早見
- 「わざと」や「育て方の結果」と決めつけないでください。声の大きさの調整には、自分の声を聞く・周りの状況をつかむといった複数の働きが関わっています。どこかの手がかりが弱いと、本人が大きいと気づきにくいことがあります。
- 背景の候補は大きく4つ。聞こえ方(聴覚過敏や聞こえにくさ)/注意の向き方/気持ちの高まり/音声チックです。どれが近いかで、工夫の向きが変わります。
- 音声チックは、本人がそうするつもりがないのに出る発声です。一時的に抑えられることがあるため、わざとだと誤解されやすい点に注意が要ります。
- 場面ごとに、つまずく点が違います。教室は「周りのざわつき」、電車は「静けさとの差」、家は「気のゆるみ」、オンラインは「自分の声の聞こえ方」です。
- その場で注意するより、落ち着いているときに本人と合図を決めておくほうが続きやすくなります。声の大きさを段階で見える形にする方法は、特別支援教育の教材にもあります。
- 学校には合理的配慮を申し出られます。2024年4月から私立学校でも法的義務になり、障害者手帳を持っていなくても対象になりえます。
- 教室の音や人の多さが負担の中心なら、オンライン中心の通信制高校やサポート校(NIJIN高等学院など)で、声を出さずに参加できる形から始める方法もあります。
大きな声は「わざと」ではなく、調整の手がかりが届きにくいサインです
声の大きさを場面に合わせるのは、意外と多くの働きを同時に使う作業です。文部科学省の「特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 自立活動編」には、声の大きさにふれた記述がいくつかあります。
- 聴覚障害のある生徒の指導例では、できていることとして「聴覚を活用し,自分の発話を聞きながら声の大きさやイントネーションを調節することができる」が挙げられています。声の大きさの調整には、自分の声を耳で聞き取る働きが関わっているということです。
- 自閉症のある子どもについては、会話の内容や周囲の状況を読みとることが難しい場合があるため、「場に応じた声の大きさ」など、場面にふさわしい表現方法を身に付けることが大切だとされています。
出典:文部科学省「特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 自立活動編(幼稚部・小学部・中学部)」平成30年3月(2026年9月確認)
つまり、声の大きさの調整には「自分の声がどう聞こえているか」「今どんな場所にいて、相手がどのくらい離れているか」をつかむ力が要ります。どちらかの手がかりが弱いと、本人の感覚では普通の声なのに、周りには大きく聞こえるというずれが起きることがあります。本人が注意されても「何が悪いのか分からない」と戸惑うのは、このためかもしれません。
保護者が自分を責める必要はありません。発達障害者支援法は、発達障害を「脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義しています(発達障害者支援法 第2条)。チックについても、厚生労働省で行われた報告会の資料に「親の育て方や本人の性格に問題があって起こるのではない」と明記されています。育て方を振り返るより、これから手がかりをどう増やすかに力を使うほうが、本人にとっても家族にとっても楽になります。
なお、この記事は「気づかないうちに声が大きくなる」場合に絞っています。怒りやパニックで怒鳴ってしまう、物に当たるといった場合は対応の向きが違うため、発達障害 暴言 癇癪の記事を参考にしてください。

背景の候補は4つ。聞こえ方・注意・気持ちの高まり・チックで、工夫の向きが変わります
声が大きくなる背景は、1人に1つとは限りません。いくつかが重なっていることもあります。ここでは、公的機関や学会誌で確認できた範囲で、候補を4つに分けます。どれに当たるかを家庭で決めつける必要はありません。「どの場面で起きやすいか」を見るための目安として使ってください。
| 背景の候補 | よく見られる様子(例) | まず試せること | 相談先の例 |
|---|---|---|---|
| 聞こえ方(聴覚過敏・聞こえにくさ) | ざわついた場所で特に大きくなる。聞き返しが多い | 静かな場所で話す。イヤーマフなどで周りの音を減らす | 耳鼻咽喉科、主治医 |
| 注意の向き方 | 話に夢中になると、場所や相手との距離が抜け落ちる | 話す前に「今どこにいるか」を確認する合図 | 主治医、スクールカウンセラー |
| 気持ちの高まり | 好きな話題やうれしいときほど大きくなる | 高まりに気づく言葉を決める。深呼吸などの一拍 | 主治医、スクールカウンセラー |
| 音声チック | 会話と関係なく、短い声や咳払いがくり返し出る | 叱らずに記録をとり、医師に相談する | 小児科、小児神経科、児童精神科 |
※表の「様子」「試せること」は、この記事で整理した例です。診断の基準ではありません。
聞こえ方:聴覚過敏も、聞こえにくさも、声の調整に影響しうる
自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもには、音に対する感じ方の違い(聴覚過敏)が見られることがあります。日本耳鼻咽喉科学会の学会誌に載った辻富彦氏の論文(2018年)は、特別支援学校に通い、イヤーマフや耳栓を日常的に使っている子どもの保護者にアンケートを行いました。その結果、聞こえ自体は普通という例がほとんどで、嫌がる音は個人差が大きく、音の大きさ(音圧)とそろっているとは限らなかったこと、特に嫌がる音には子どもや赤ちゃんの声・泣き声が多かったこと、防音保護具を使うと落ち着いて過ごせる例が多かったことが報告されています(辻富彦「自閉症スペクトラムなどにおける聴覚過敏について」日本耳鼻咽喉科学会会報121巻5号、2018年)。
聴覚過敏がそのまま声を大きくする、とまでは言えません。ただ、苦手な音があふれた場所では緊張や疲れが高まり、自分の声の大きさにまで気が回らなくなることは考えられます。聴覚過敏そのものの工夫は、聴覚過敏 高校生の記事にまとめています。
反対に、聞こえにくさがあると、自分の声を聞いて調整する手がかりが減ります。高校の健康診断には聴力の検査がありますが、学校保健安全法施行規則第6条では、高校2年生は聴力の検査を項目から除くことができるとされています(学校保健安全法施行規則 第6条)。最近になって声が大きくなった、聞き返しが増えたという変化があるなら、耳鼻咽喉科で聴力を確かめてもらうのも1つの方法です。
注意の向き方:話に夢中になると、周りの状況が目に入りにくい
国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」は、注意欠如・多動症(ADHD)の多動性・衝動性の例として「しゃべりすぎる、順番を待つのが難しい、他人の会話やゲームに割り込む」などを挙げています(国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト「発達障害(神経発達症)」)。伝えたいことで頭がいっぱいになると、「ここは電車の中」「相手は隣にいる」という情報が後回しになり、声の大きさの調整も抜け落ちやすくなります。ADHDの特性全体については、ADHD 高校生の記事も参考になります。
気持ちの高まり:うれしい・楽しいでも声は大きくなる
声が大きくなるのは、怒っているときだけではありません。好きなゲームやアニメの話、友達と盛り上がったとき、テストが終わって解放されたときなど、前向きな気持ちの高まりでも声が大きくなることがあります。このタイプは、本人に悪気がまったく無いぶん、注意されると「楽しい気持ちまで否定された」と受け取りやすい点に気をつけたいところです。
音声チック:声の大きさの調整とは、別の仕組み
4つ目は、声の大きさの問題とは性質が違います。チックについては次の節で詳しく書きます。

音声チックは「声の大きさ」の問題とは別。叱って止めるものではありません
国立精神・神経医療研究センターのこころの情報サイトは、チックを「思わず起こってしまう素早い身体の動きや発声」と説明し、さまざまな運動チック・音声チックが1年以上にわたり強く続き、日常生活に支障を来すほどになる場合にトゥレット症とよぶとしています。国立特別支援教育総合研究所の発達障害教育推進センターも、「本人はそうするつもりがないのに行ってしまうのが特徴」と書いています(発達障害教育推進センター「トゥレット症候群」)。
厚生労働省で行われた発達障害者支援関係報告会の資料(金生由紀子氏、2014年)では、チックの特徴が次のように整理されています(金生由紀子「トゥレット障害を含むチック障害」発達障害者支援関係報告会資料)。
- チックは、突発的・急速・反復性・非律動性の運動あるいは発声である
- 単純音声チックの例は咳払い・鼻鳴らし・奇声をあげるなど。複雑音声チックの例は、状況に合わない言葉や、社会的に受け入れられない言葉(汚言症)など
- 「しなくてはいられない」という感覚を伴うことがあり、一時的または部分的に抑えられる。そのため、わざとやっていると誤解されるおそれがある
- 自然の経過で変動し、心理的要因や疲労などでも変動することがしばしばある
診断の分類は、同じ資料がDSM-5(米国精神医学会の診断基準)にもとづいて次のようにまとめています。
| 分類 | 運動チック | 音声チック | 続いている期間 |
|---|---|---|---|
| 暫定的チック症 | どちらか、または両方 | どちらか、または両方 | 1年未満 |
| 持続性(慢性)運動チック症 | あり | なし | 1年以上 |
| 持続性(慢性)音声チック症 | なし | あり | 1年以上 |
| トゥレット症 | あり(多彩) | あり | 1年以上 |
出典:金生由紀子「トゥレット障害を含むチック障害」(2014年)のDSM-5の表をもとに作成。汚言症は現在の診断には必須ではないとされています。
経過について、発達障害ナビポータルは「4~6歳で発症しやすく、慢性化しても10~12歳をピークにして軽快に向かうことが多い」と説明しています(発達障害ナビポータル「トゥレット症を含むチック症」)。金生氏の資料では、10歳から15歳くらいに最も強くなり、成人期の初めまでに消えるか軽くなる場合が80~90%とされる一方、少数では成人まで続くとも書かれています。高校生の時期にチックが続いていることも、ありえることです。
チックにはADHDや強迫症などが併発しやすく、トゥレット症ではADHDの併発が約50%という海外の報告があると、同じ資料は紹介しています。つまり、「声が大きい」と「音声チック」が同じ人に両方あることもありえます。家庭での見分けの手がかりとしては、会話の声全体が大きいのか、会話と関係なく短い声や咳払いがくり返し出るのか、を見てください。後者が続くなら、発達障害ナビポータルが挙げている、かかりつけの小児科、小児神経科医、児童精神科医への相談を検討してください。学校生活での付き合い方は、チック症 高校生の記事にもまとめています。
怒って怒鳴るのとは別。「気づかずに大きくなる」は、対応の向きが逆になります
「大きな声」とひとことで言っても、中身は大きく2つに分かれます。この区別がつくと、家庭での声かけがぶれにくくなります。
- 気づかずに大きくなる声:本人は普通に話しているつもり。怒ってもいない。必要なのは「今、大きいよ」という手がかりを、本人が受け取りやすい形で届けること
- 感情があふれて出る声:怒り・不安・パニックで怒鳴る、暴言が出る。必要なのは、まず安全を確保し、落ち着くまで待つこと。その場で理屈を伝えても入りにくい
前者に後者の対応(距離をとって、落ち着くまで待つ)をすると、本人は「なぜ避けられたのか」が分からず傷つきます。逆に、後者に前者の対応(その場で「声を小さく」と伝える)をすると、火に油を注ぐことがあります。この記事で扱うのは前者です。後者の対応は発達障害 暴言 癇癪の記事で、起きる前・最中・後に分けて整理しています。
また、声の大きさとは別に「独り言が多い」ことを気にしている場合は、発達障害 独り言 高校生の記事も参考にしてください。

教室・電車・家・オンラインでは、つまずく点も工夫も違います
同じ高校生でも、場所によって声の大きさの困りごとは変わります。「どこで起きやすいか」を知ると、全部の場面で気を張らなくてよくなります。
| 場面 | 起きやすいこと | 本人の工夫(例) | 周りの工夫(例) |
|---|---|---|---|
| 教室 | グループワークや休み時間のざわつきにつられて声が上がる | グループ内で信頼できる友達に合図を頼む | 先生と合図を共有する。座席の位置を相談する |
| 電車・バス | 静けさとの差に気づきにくい。イヤホンで自分の声が聞こえにくい | 乗る前に「ここからは小さめ」と自分で切り替える | 同行者がそっと合図する。話す話題を短めにする |
| 家 | 気がゆるむ。好きな話題で熱が入る。テレビやきょうだいの声と張り合う | 夜や集合住宅では時間帯のルールを自分で決める | 家は多少大きくてもよい場所として認める |
| オンライン | ヘッドホンで自分の声がこもって聞こえ、大きくなることがある | マイクの入力の表示を見ながら話す。チャットも使う | 聞き手が「少し大きいかも」とチャットで伝える |
教室:声の大きさより、「周りの音」との関係を見る
教室は、先生の声・友達の声・椅子や足音が重なる場所です。グループワークで周りが盛り上がると、自分の声が聞こえにくくなって、さらに声を張る、という循環が起きることがあります。教室での工夫は、本人の努力だけに頼るより環境の調整もあわせて考えたい場面です。席の位置、グループの人数、発表の順番など、学校に相談できることは後の節で書きます。
電車・バス:乗る前の切り替えが効きやすい
電車の中は、急に静かな空間に入る場所です。駅のホームや改札前のざわつきから、車内の静けさへの変化に、声の調整が追いつかないことがあります。乗る前に「ここからは小さめ」と決めて切り替える、話すなら相手に顔を近づける、という工夫が役立ちます。一緒にいる家族や友達が、責める口調ではなく、決めておいた合図でそっと伝えられると、本人も受け取りやすくなります。
家:全部を直そうとしない
家は、本人がいちばん気をゆるめられる場所です。学校で一日中声に気を張っている子が、家で声が大きくなることもあります。家の中まで厳しく注意し続けると、本人が休める場所がなくなります。近所への音が気になる夜の時間帯だけ、など、場面をしぼってルールにするのがおすすめです。
オンライン:自分の声の聞こえ方を見える形にする
耳をふさぐタイプのヘッドホンやイヤホンをつけていると、自分の声がこもって聞こえ、調整の手がかりが減ることがあります。片耳だけつける、ビデオ会議ツールのマイク入力の表示(声に合わせて動くバー)を見ながら話す、話すのが負担な日はチャットで参加する、といった工夫ができます。オンライン授業の不安全般は、通信制高校 オンライン授業 不安の記事でも整理しています。
合図は、落ち着いているときに本人と一緒に決めると続きやすい
声の大きさは、その場で「うるさい」「静かに」と言われても、どのくらいにすればよいのかが分かりません。そこで役に立つのが、声の大きさを段階で共有する方法です。
国立特別支援教育総合研究所の特別支援教育教材ポータルサイトには、「声のものさし」という支援機器が紹介されています。声の大きさを「小さい」「ちょうどよい」「大きい」の3段階の絵と、5段階の光で確かめられるもので、光は声が大きくなるにつれて青から緑、赤へと変わります。絵と光の色で自分の声の大きさを知ることができ、声の大きさの調節が苦手な子どもに活用できるとされています(機器そのものは販売終了。国立特別支援教育総合研究所 特別支援教育教材ポータルサイト「声のものさし」)。
機器が無くても、考え方は家庭でも使えます。たとえば、次のような決め方があります(あくまで一例です)。
- 数字で決める:1=ささやき、2=隣の人と話す声、3=グループで話す声、4=教室全体に届く声、5=外で呼ぶ声。電車は「2」、発表は「4」と、場所ごとの数字も一緒に決める
- 手で伝える:手のひらを下に向けてゆっくり下げる、耳を指で軽くさわる、など人前でも目立たない動き
- 言葉を1つだけ決める:「2で」「電車モード」など、本人が選んだ短い合言葉
- スマホのメッセージで伝える:対面で言われるのがつらい子には、スタンプ1つを合図にする
決めるときのコツは4つあります。
- 落ち着いているときに決める。注意された直後は、本人も話し合える状態ではありません
- 合図は本人に選んでもらう。自分で選んだ合図のほうが、受け取るときの抵抗が小さくなることがあります
- 合図のあとに説教を足さない。本人が声を下げたら「ありがとう」で終わりにします
- ときどき見直す。使いにくい合図は変えてよいと、最初に伝えておきます
合図を決める話し合いは、本人が「自分はどんなときに声が大きくなりやすいか」を言葉にする機会にもなります。これは、学校の先生や友達に自分の特性を説明するときの練習にもつながります。

学校に頼める配慮は、本人か家族の「申し出」から始まります
学校での声の困りごとは、家庭の工夫だけでは限界があります。障害者差別解消法は、学校にも「合理的配慮」の提供を求めています。
- 公立学校などの行政機関等は、障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合、負担が過重でないときは、必要かつ合理的な配慮をしなければならない(第7条第2項)
- 私立学校などの事業者も同じ(第8条第2項)。事業者の合理的配慮はもともと努力義務でしたが、令和3年の法改正で法的義務に改められ、2024年4月1日から施行されています
- この法律の「障害者」には、発達障害を含む精神障害のある人が含まれます(第2条)
出典:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(e-Gov)/文部科学省「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(令和6年1月17日改正・同年4月1日施行。2026年9月確認)
文部科学省の対応指針には、この記事のテーマに近い点がいくつも書かれています。
- 法の対象になるかは個別に判断され、いわゆる障害者手帳の所持者に限られない
- 意思の表明には、本人が伝えにくい場合に、家族などが本人を補佐して行うものも含む
- 配慮の内容は、学校と本人・家族の建設的対話を通じて、代わりの方法も含めて柔軟に決める
- 合理的配慮に当たりうる例として、障害のある子どもが必要以上の発声などで落ち着かない状況にある場合に、保護者から特性やコミュニケーションの方法を聞き取ったうえで、落ち着けるよう個室等を提供すること
- 多人数の中にいる緊張から不随意の発声などがある場合に、本人に説明したうえで、施設の状況に応じて別室を用意すること
- 入学試験や検定試験で、本人・保護者の希望や障害の状況をふまえて、別室での受験などを認めること
高校で相談しやすい配慮の例としては、決めた合図を先生と共有する、座席の位置を調整する、グループ活動の人数や場所を工夫する、落ち着くための場所を決めておく、定期考査を別室で受ける、発表を別の方法に替えられるか相談する、などが考えられます。どこまで対応できるかは学校ごとに違うため、「話し合いの材料」として持っていくのが現実的です。申し出の流れは合理的配慮 申請の記事にまとめています。
※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。
受診を検討する目安は「本人が困っているか」と「声以外の変化があるか」
声が大きいこと自体は、それだけで受診が要るとは限りません。一方で、次のようなときは、医師や専門機関に相談することを検討してよいタイミングです(下の表は、この記事で整理した目安の一例です)。
| こんなとき | 相談先の例 | 伝えるとよいこと |
|---|---|---|
| 会話と関係なく、短い声・咳払い・鼻鳴らしなどがくり返し出る。まばたきや首ふりも続く | かかりつけの小児科、小児神経科、児童精神科 | いつから、どんな声や動きが、どのくらいの頻度で出るか |
| 最近になって声が大きくなった。聞き返しが増えた | 耳鼻咽喉科 | 変化に気づいた時期、片方の耳だけか |
| 声のことで学校に行きづらい。落ち込みや眠れない日が続く | 主治医、スクールカウンセラー、発達障害者支援センター | 学校で起きていること、本人の気持ち |
| 発達特性があるか分からず、どこに相談すればよいか迷う | 発達障害者支援センター、かかりつけ医 | 小さいころからの様子、今困っている場面 |
発達障害者支援センターは、発達障害者支援法第14条にもとづき、都道府県知事が指定した法人が担う機関で(都道府県が自ら行う場合もあります)、本人や家族からの相談に応じ、情報提供や助言を行うことが業務とされています(発達障害者支援法 第14条)。
受診のときは、1〜2週間ほど「いつ・どこで・どんな声が出たか」をメモしておくと、限られた診察時間で状況を伝えやすくなります。チックについては、金生氏の資料でも、家族へのガイダンスや心理教育、担任に伝えて教師間で共通理解を得るといった環境調整が、治療の基本とされています。
「注意すれば直る」は誤解。調整は、環境と練習の両方で少しずつ変わります
声が大きいことに悩む家庭で、よく起きるすれ違いを挙げます。どれも、保護者が悪いわけではありません。一生懸命だからこそ起きることです。
- 「うるさい」とだけ伝える:どのくらいにすればよいかが分からず、本人は黙るしかなくなります。合図の数字など、目指す大きさを具体的に伝えます
- 人前で強く注意する:恥ずかしさと緊張で、かえって声の調整が難しくなることがあります。合図か、あとで2人のときに話します
- 我慢させ続ける:音声チックは一時的に抑えられることがあっても、本人がそうするつもりなく出るものです。我慢を求めるより、出ても困らない環境を学校と相談します
- 本人の落ち込みを見落とす:あとから「またやってしまった」と自分を責めている子もいます。できた場面を一緒に見つけて言葉にします
声の調整は、1回の話し合いで変わるものではありません。環境を整え、合図をくり返し使い、できた場面を積み重ねるなかで、少しずつ本人が自分で気づける場面が増えていきます。保護者自身が疲れてしまったときは、1人で抱えず、学校や相談機関に頼ってください。
選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)
教室のざわつきや人の多さが、声の困りごとの中心になっている場合、学ぶ場所の形を変えることも選択肢の1つです。NIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制高校サポート校です。
- カメラ・マイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められます。声の大きさを気にせずに授業に参加でき、慣れてきたらマイクを使う、という順番にできます
- ニジ高は、発達特性や障害を、本人を変えるのではなく学びの構造や環境を変えることで支援するという新しいアプローチを取っています。診断や服薬など医療の判断は、主治医・専門機関にご相談ください
- 担任制で、生活リズムに波があっても学べる設計です。授業のアーカイブ視聴や、中学内容の学び直しにも対応しています
- 途中入学(転入・編入)ができ、出願費用は無料です
正直にお伝えしておきたい注意点もあります。
- ニジ高は高校ではありません。卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングへの参加が必要です。スクーリングは対面の場面なので、声の困りごとへの配慮は在籍する通信制高校と相談することになります。ニジ高のスタッフがスクーリングに付き添うわけではなく、ニジ高がするのは日程の調整と準備の支援です
- 費用は、提携する通信制高校の分とニジ高の分の両方がかかります。就学支援金が使えるのは通信制高校の授業料で、ニジ高の分には使えません。ニジ高の費用は学費のご案内をご覧ください
- オンラインが合うかどうかは人によります。対面で友達と話すことが本人の楽しみなら、今の学校で配慮を受ける道も十分に考えられます
通信制高校やサポート校を比べるときの見方は、通信制高校 選び方のページにまとめています。よく聞かれる質問はよくある質問にもあります。
迷ったときの進め方(3ステップ)
- 1〜2週間、記録をとる。いつ・どこで・どんな声だったか、そのときの気持ち(楽しかった、疲れていた)を短くメモします。本人と一緒につけると、本人自身が「どこで大きくなりやすいか」に気づくきっかけになります。会話と関係ない短い声がくり返し出るなら、この時点で医師への相談を考えます
- 本人と合図を決め、学校に共有する。落ち着いているときに合図を決め、担任に「こういう合図を使っています」と伝えます。教室で困っているなら、合理的配慮として座席やグループ活動の工夫を相談します
- それでも負担が大きいなら、環境そのものを見直す。声のことで登校がつらくなっている場合は、欠席が積み重なる前に選択肢を知っておくと安心です。休みが続いているときの目安は高校 欠席日数、学校を移る手続きは高校 転入の記事で整理しています


声を出さずに参加できる学び方から、始める道もあります
ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校で、カメラ・マイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。ただし学院は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、そのスクーリングへの参加が必要です。声の困りごとも含めて、個別にご相談ください。
よくある質問
Q. 本人は声が大きいことに気づいていません。どう伝えればいいですか?
A. 注意された直後ではなく、落ち着いているときに「声の大きさって、自分では分かりにくいことがあるらしいよ」と、本人を責めない形で話を始めるのがおすすめです。本人が嫌がらなければスマホで短く録音して一緒に聞く、声の大きさを1〜5の数字で共有する、といった方法で、本人が自分の声を知る手がかりを増やします。
Q. 声が大きいと伝えると、怒ったり落ち込んだりします。
A. 本人は、何度も注意された経験から、この話題そのものに敏感になっていることがあります。合図を本人に選んでもらい、合図のあとに説教を足さない、声を下げたら「ありがとう」で終える、を続けてみてください。怒りが強く出て怒鳴ってしまう場合は、対応の向きが違うので、暴言・癇癪の記事も参考にしてください。
Q. 音声チックかどうか、家で見分けられますか?
A. 家庭で判断することはできません。手がかりとしては、会話の声全体が大きいのか、会話と関係なく短い声や咳払い・鼻鳴らしなどがくり返し出るのか、を見てください。後者が続く場合は、かかりつけの小児科や小児神経科、児童精神科に相談することを検討してください。チックは本人がそうするつもりがないのに出るものなので、叱って止めようとしないことが大切です。
Q. 学校に配慮をお願いするとき、診断書は必要ですか?
A. 文部科学省の対応指針では、法の対象になるかは個別に判断され、障害者手帳の所持者に限られないとされています。一方で、どんな資料を求めるかは学校によって違うため、まずは担任や特別支援教育の担当の先生に相談し、必要なものを確認してください。家族が本人を補佐して申し出ることもできます。
Q. 通信制高校やオンラインの学校に移れば、解決しますか?
A. 声を出さずに参加できる、周りの音が少ない、という点で負担が軽くなる人はいます。ただ、通信制高校にもスクーリングなど対面の場面はあり、声の困りごとがなくなるわけではありません。学校を移ることは、今の学校での配慮や合図の工夫を試したうえで、選択肢の1つとして考えるのがおすすめです。
声が大きいのは、伝えたい気持ちがまっすぐな証拠でもあります
声が大きくなってしまう子のなかには、話したいこと、伝えたいことがたくさんある子もいます。その気持ちまで小さくしてしまう必要はありません。変えたいのは声の大きさの「調整のしかた」で、それは本人1人の努力ではなく、合図や環境の工夫、周りの理解でずいぶん楽になります。
そして、ここまで読んでくださった保護者の方は、もう十分に向き合っています。うまくいかない日があっても、それはあなたのせいでも、本人のせいでもありません。今の学校で工夫を続けるのか、学ぶ場所の形を変えるのか、急いで決めなくて大丈夫です。迷ったときは、話を聞いてもらうところから始めてみてください。
今の学校を続けるか迷う段階でも、話を聞いています
全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付
通信制高校サポート校 NIJIN高等学院(ニジ高)/出願費用は無料です。無理に勧めることはありません。

