部屋の床に服とプリントが重なり、カバンの中には何週間も前の配布物。何度言っても片付かないわが子を見て、「私のしつけが足りなかったのでは」と自分を責めている保護者の方は少なくありません。
先に結論を書きます。発達障害、とくにADHD(注意欠如・多動症)の特性がある高校生の「片付けられない」は、親のしつけのせいではありません。国の広報も、県の支援者向けガイドブックも、発達障害は脳の働き方の違いによるもので、育て方や本人の努力不足が原因ではないとはっきり書いています。そのうえで大事なのは、叱り方を強めることではなく、「覚えておく・順番を考える」を仕組みに置き換えることです。
この記事は、政府広報オンライン、国立精神・神経医療研究センター、国立障害者リハビリテーションセンター発達障害情報・支援センター、広島県の支援者向けガイドブック、文部科学省の調査と通知、内閣府のリーフレットを実際に開いて確認した内容で書いています。診断を代わりに下すことはしません。お子さんに発達障害があるかどうかは、医師が判断することです。公式で確認できなかったことは、確認できなかったと書きます。
片付けや持ち物の管理で毎日つまずき、今の学校に通い続けるのがしんどくなっている場合は、オンラインという選択肢もあります。NIJIN高等学院(ニジ高)は「オンラインで最高の青春を」を掲げる通信制高校サポート校で、全国の仲間とオンラインでつながり、企業や地域と関わるプロジェクトや、生徒が自分たちで企画する行事に挑戦できます。カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、全国にNIJINアカデミー(ニジ高はその高等部)のリアルの教室があり、リアルでの通学もご検討いただけます。ニジ高は高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングには参加が必要です。どんな学校なのかは、校長・星野達郎のYouTubeでも見られます。
結論:発達障害の高校生が「片付けられない」ときの早見
- 親のしつけのせいではありません。政府広報オンラインは、発達障害は脳の働きの違いによるもので、親のしつけに問題があるものではないと説明しています。
- ADHDの不注意の症状として、「整理整頓が苦手」「忘れ物や紛失が多い」「段取りが苦手」が挙げられています(国立精神・神経医療研究センター)。
- 片付けは「分ける・置き場所を決める・しまう・続ける」を順番にこなす作業です。段取りや計画に関わる頭の働き(実行機能)の視点で見ると、どこでつまずいているかを整理しやすくなります(広島県のガイドブック)。
- 叱るより、具体的なやり方を1つずつ伝えるほうが、国の資料の考え方に沿っています。「できたことをほめる/できないことを叱らない」が配慮の基本とされています。
- 家の工夫は「置き場所を1つに決める」「物を減らす」「中身が見える形にする」「範囲と時間を区切る」が土台です。合う・合わないがあるので、本人と一緒に選びます。
- 学校には合理的配慮として相談できます。私立高校も2024年4月から義務になり、障害者手帳を持っている人に限られません。
- 通信制高校に移っても、レポートの管理はなくなりません。オンライン中心のサポート校(ニジ高など)で、学びの環境の側を変えるという選び方もあります。
「しつけが足りなかった」と自分を責めなくていい。国の資料もそう書いています
片付けられない子どもを前にすると、周りから「甘やかしたから」「小さいころに教えなかったから」と言われることがあります。保護者自身がそう思い込んでしまうことも多いはずです。でも、公的な資料の書き方は違います。
政府広報オンラインの「発達障害って、なんだろう?」(こども家庭庁が取材協力。2026年6月3日の日付で掲載)は、発達障害は脳の働きの違いによるもので、決して本人の努力不足や親のしつけの問題ではない、と説明しています。同じページには、行動が「自分勝手」「困った人」と誤解されやすいこと、その原因が親のしつけや教育の問題ではなく脳機能の障害によるものだと周りが理解すれば、接し方も変わってくる、という趣旨の記述もあります。
広島県が支援者向けに作った「支援者のための発達障害支援ガイドブック」(令和3年度改訂)の第2章にも、「養育者の育て方や本人の努力不足が原因ではありません」と書かれています。あわせて、発達障害を完治させることは難しいが、周りが特性を理解し、特性に合った支援や環境設定をすることで自分らしく生活することは可能だ、としています。
| 資料 | 原因について書いていること | そのうえで勧めていること |
|---|---|---|
| 政府広報オンライン「発達障害って、なんだろう?」 | 脳の働きの違いによるもの。本人の努力不足や親のしつけの問題ではない | 一人ひとりの特性に応じた理解と支援 |
| 広島県「支援者のための発達障害支援ガイドブック」第2章 | 養育者の育て方や本人の努力不足が原因ではない | 特性に合った支援や環境設定 |
| 国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター | 発達のしかたに生まれつき凸凹がある障害 | その人に合ったやり方の工夫。配慮しないままでよいわけではない |
ここで押さえておきたいのは、「しつけのせいではない」は「何もしなくていい」という意味ではないことです。発達障害情報・支援センターの「みなさんに、わかってほしいこと」は、発達障害はひとつの個性だから配慮は要らないと考えるのも行き過ぎだとし、「きちんと教えてもらうこと」が必要な場合が多い、ただし一律ではなくその人に合ったやり方を工夫しなければならない、と書いています。親の責任を問うのではなく、やり方を変える。この記事はその前提で進めます。

ADHDの不注意の症状には「整理整頓が苦手」「忘れ物や紛失が多い」がはっきり含まれています
ADHDは、不注意と、多動性・衝動性を中心とした発達障害です。国立精神・神経医療研究センターのこころの情報サイト「発達障害」は、子どもの不注意の症状として、次のようなものを挙げています(主なもの)。
- 課題や作業の段取りが苦手
- 整理整頓が苦手
- やるべきことを最後までやりとげない
- 忘れ物や紛失が多い
- 気が散りやすい
広島県のガイドブックでも、ADHDのある人が「こんなことで困っている」例として「忘れ物が多い」「整理整頓が苦手」が並び、第4章の注意・集中の困難さの項には、教室で想定される行動として「物を無くしてしまう。忘れ物が多い」「机の中の整理や片付けができない」が挙げられています。つまり片付けの苦手さは、特性の説明のなかで名前を挙げて書かれている困りごとです。
片付けの苦手さはADHDだけのものではありません。広島県のガイドブックには、自閉スペクトラム症の23歳の人を想定した記入例として、机の上の物や広い空間を整理しながら作業を進めることが難しく、物の置き場などの規則を自分で決めてしまう、という特性が書かれています。支援の方向性は「片付け方や物の配置等について、効率的な方法を本人に伝える」です。同じ「散らかる」でも、ADHDの特性が強い人は置いた場所を忘れやすく、自閉スペクトラム症の特性が強い人は自分なりの並べ方にこだわる、というように理由が違うことがあります。
次の表は、左の列が資料に書かれている特性で、真ん中と右の列は、それを片付けの場面に当てはめてこの記事で整理した例です(資料の分類ではありません)。
| 資料に書かれている特性 | 片付けの場面で起きやすいこと | 手当ての方向 |
|---|---|---|
| 整理整頓が苦手(ADHDの不注意) | どこから手をつけるか決められず、手が止まる | 範囲を小さく区切る |
| 忘れ物や紛失が多い(ADHDの不注意) | 置いた場所を覚えていない。同じ物を何度も探す | 置き場所を1か所に決める |
| 気が散りやすい(ADHDの不注意) | 片付けの途中で見つけた物に夢中になる | 時間を区切り、終わりを決める |
| 空間を整理しながら作業するのが難しい(自閉スペクトラム症の記入例) | 自分なりの置き方があり、人に動かされると混乱することがある | 片付け方や物の配置のやり方を具体的に伝え、配置は本人と相談して決める |
なお、ここに書いたのは資料に載っている特性の例です。当てはまる項目があっても、それだけで発達障害だとは言えません。気になる場合の相談先は、この記事の後半で紹介します。ADHDの特性全体(勉強・人間関係・学校選び)はADHD 高校生の記事で詳しく整理しています。
片付けは「段取り」の連続です。実行機能が働きにくいと、途中の工程で止まります
片付けは1つの動作に見えて、実際はいくつもの判断の連続です。国立特別支援教育総合研究所の研究紹介は、「目標を設定する」「計画を立てる」「優先順位を決める」「柔軟に注意を切り替える」「行動を振り返る」といった、目標を達成するために行動や思考をコントロールする高次の認知機能が、しばしば「実行機能」と呼ばれていると説明しています。
広島県のガイドブック第2章は、ADHDの人の生活上の課題を「実行機能障害」の視点で見ると背景を整理しやすくなるとし、実行機能が低下することで「順序立てた行動が取れず、すぐに取りかかれない」「他に注意が向くと前のことを忘れてしまう」ことなどが起こる、と書いています。第3章では実行機能の構成要素の例として(構成要素にはさまざまな説があると断ったうえで)、次のようなものを挙げています。
- ワーキングメモリ:必要な記憶を一時的に持ちながら処理する働き。弱いと、自分がやろうとしたことを忘れて予定と違うことを始めてしまう
- プランニング:優先順位をつけたり段取りを立てたりする力。弱いと、何からどう始めればよいか分からない
- 抑制機能:行動や注意をコントロールする力。弱いと、やりたいことをやってしまい、やるべきことが終わらない
これを片付けに当てはめると、どこでつまずいているのかが見えてきます。次の表は、片付けを工程に分けて、止まりやすい理由と手当ての例を並べたものです(工程の分け方はこの記事で整理したもので、資料の分類ではありません)。
| 工程 | ここで止まる理由の例 | 手当ての例 |
|---|---|---|
| 1. 始める | 何から手をつけるか決められない(プランニング) | 「机の右半分だけ」など最初の1か所を決めておく |
| 2. 分ける | 要る・要らないの判断が続いて疲れる | 「迷ったら保留箱」を用意し、その場で決めない |
| 3. しまう | 置き場所が決まっていない、または覚えていない(ワーキングメモリ) | 置き場所を1つにし、ラベルや写真で見える形にする |
| 4. 最後まで続ける | 途中で見つけた物に気を取られる(抑制機能) | タイマーで短く区切り、終わりの合図を決める |
| 5. 元に戻す(毎日) | 使ったあとに戻すことを忘れる | 毎日同じ時刻に数分だけ「戻す時間」を作る |
「全部片付けなさい」という指示は、この5つの工程をまとめて本人に任せることになります。止まっている工程が1つ分かれば、手を打つ場所も1つに絞れます。

高校生になって目立ちやすいのは、管理する物が増え、親の手が離れる時期だからと考えられます
「小学生のころはここまでではなかった」と感じる保護者もいます。発達障害情報・支援センターの「各障害の定義」は、一般的に多動や不注意の様子が目立つのは学齢期で、思春期以降は目立たなくなるともいわれている、と書いています。一方、国立精神・神経医療研究センターの同じページは、大人になると計画的に物事を進められないなどの形で症状が現れ、多動性・衝動性は軽くなることが多い、と説明しています。落ち着きのなさが目立たなくなっても、段取りや管理の苦手さは形を変えて残ることがある、ということです。
高校では、管理しなければならない物と情報が一気に増えます。教科ごとの教科書とノート、配布プリント、提出物の期限、定期券やスマートフォン、部活やアルバイトの予定。そして多くの家庭で、親が時間割をそろえたり連絡帳を見たりする場面が減ります。苦手さそのものが強くなったというより、苦手さを補っていた周りの手が減ったと考えると、今の状況が理解しやすくなるかもしれません。
文部科学省が2022年に公表した「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」では、公立高校(全日制・定時制)の通常の学級で、学習面または行動面で著しい困難を示すとされた生徒は推定2.2%、「不注意」の問題を著しく示すとされた生徒は推定0.9%でした(どちらも対象の生徒全体に対する割合)。この調査は学級担任などの回答によるもので、医師の診断ではないため、発達障害のある生徒の割合を示すものではないと明記されています。それでも、不注意の困りごとを抱える高校生が各地の教室にいることは読み取れます。
| 項目(公立高校・推定値) | 割合 | 読み方の注意 |
|---|---|---|
| 学習面または行動面で著しい困難を示す | 2.2% | 担任などの回答で、診断ではない |
| 「不注意」の問題を著しく示す | 0.9% | 同上 |
| 著しい困難を示すとされた生徒のうち、授業中に教室内で個別の配慮・支援を受けている | 18.2% | 小学校・中学校では54.9% |
| 同じく、通級による指導を受けている | 5.6% | 高校の通級は2018年(平成30年)に制度化 |
出典:文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」(概要)(令和4年12月13日公表。高校は全日制・定時制の1〜3年生が対象)
この結果について、国の有識者会議は、個別の配慮・支援を校内委員会などで検討し、学校全体の取組として進めていく必要があると考察し、著しい困難を示す生徒について、そもそも校内委員会での検討がなされていない場合があることも指摘しています。学校の中で検討が始まっていないこともあるので、家庭から困りごとを具体的に伝えることが、配慮の話を始めるきっかけになり得ます。
叱るより「次にどうするか」を具体的に伝えるほうが、国の資料の考え方に沿っています
散らかった部屋を見ると、つい「何回言ったら分かるの」と言いたくなります。国立精神・神経医療研究センターのページも、ADHDの子どもは行動の切り替えが苦手だったりするため、養育者も「ダメでしょ」「どうして…なの」と否定的な言葉で感情的に反応してしまいがちだ、と書いています。そうなってしまうのは、保護者の人格の問題ではなく、よく起こることなのです。
政府広報オンラインは、発達障害のある人に接するときの配慮として、次のような点を挙げています(主なもの)。
- できたことをほめる/できないことを叱らない。失敗を責めると「自分はだめだ」と落ち込んだり、批判的・攻撃的な行動が強まったりすることがある。注意するときは、うまくいっている点をほめたうえで、どうすればよくなるかを肯定的、具体的に伝える
- 説明や指示は短い文で、順を追って、具体的に。あいまいな表現は伝わりにくい
- 注意したり叱ったりするだけでは、どうしたらよいのか分からないので、具体的にどうすればよいかを教える
これを片付けの声かけに置き換えると、次のようになります。言い換えは一例で、正解の台本ではありません。お子さんの受け取り方に合わせて調整してください。
| つい言いがちな言葉 | 伝わりにくい理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 「ちゃんと片付けなさい」 | 「ちゃんと」が何を指すか分からない | 「床の服だけ、洗濯かごに入れよう」 |
| 「何回言ったら分かるの」 | 責められた感覚だけが残り、次の行動が示されていない | 「プリントはこの箱、と決めたよね。今入れようか」 |
| 「高校生なんだから自分でやって」 | やり方が分からない状態のまま任される | 「最初の5分だけ一緒にやって、あとは任せるね」 |
| 「また失くしたの」 | 失くした事実の確認で終わる | 「鍵の置き場所を玄関のトレーにしてみない?」 |
国立精神・神経医療研究センターのページでは、養育者がADHDへの理解を深め、対応のスキルを身につけるためのペアレント・トレーニングも紹介されています。ひとりで抱え込まず、保護者自身が学べる場や、同じように頑張っている親同士のつながりを持つことも大切だとされています。

家での工夫は、「覚えておく」を「見れば分かる」に置き換えることです
ここからは、資料の考え方をもとにこの記事で整理した、家で試せる工夫を紹介します(公的な分類や手順ではありません)。前提として、どれも全員に合うわけではありません。国立精神・神経医療研究センターのページで紹介されている、環境を整える、量を少なめにする、やることをリストに書くといった工夫は、主に幼児期・学童期の方法として書かれています。高校生に取り入れるときは、親が決めて押しつけるのではなく、本人と話し合って、試して、合わなければ変えるという進め方にしてください。
1. 置き場所を「1か所」に決める
鍵、財布、定期券、スマートフォンの充電器など、毎日使う物ほど置き場所を1つに決めます。玄関にトレーを1つ置き、「帰ったらここ、出るときもここ」とするだけで、探す時間が減ることがあります。置き場所を複数にすると、覚えておく量が増えてしまいます。
2. 物の量を減らす
物が多いほど、分ける・しまうの判断が増えます。一度に全部を捨てる必要はありません。「今学期に使わないプリントは1つの袋にまとめる」「同じペンは3本まで」など、本人が納得できる小さなルールから始めます。捨てるかどうか迷う物は、保留箱に入れて後日決めます。
3. 中身が見える形にする
ふた付きの不透明な箱は、しまった瞬間に中身が見えなくなり、存在を忘れやすくなります。中身が透けて見える箱、ラベル、棚に貼った写真など、見れば置き場所が分かる形にします。政府広報オンラインも、自閉症などの特性がある人の多くは、言葉で言われるより目で見て分かる情報のほうが理解しやすいといわれている、と説明しています。
4. 範囲と時間を区切る
「部屋を片付ける」ではなく「机の上だけ」「床の本だけ」と範囲を小さくし、タイマーで10分など時間を区切ります。終わりが見えていると始めやすくなる人がいます。途中で終わっても、決めた範囲ができたら十分です。
5. 毎日同じ時刻に「戻す時間」をつくる
散らかりきってから大掃除をするより、寝る前の数分だけ「出した物を戻す」ほうが負担は小さく済みやすくなります。歯みがきの前など、すでに習慣になっている行動の直前に置くと、思い出しやすくなることがあります。
6. 本人の「置き方のルール」を尊重する
親から見て散らかっていても、本人にとっては「どこに何があるか分かる並び」のことがあります。とくに自分なりの配置にこだわりがある場合は、勝手に動かさないことが大切です。動かす必要があるときは、先に伝えて一緒に決めます。
7. 家族の共用スペースと本人の部屋を分けて考える
リビングや玄関など家族が使う場所は家のルールで整え、本人の部屋は本人の裁量を大きくする、という線引きも一つの方法です。すべての場所を同じ基準で求めると、毎日の衝突が増えてしまいます。
どの工夫も、親が代わりに全部やることとは違います。最初は一緒にやり、少しずつ本人に任せる範囲を広げていきます。できなかった日があっても、仕組みを見直すきっかけにすれば十分です。
学校の持ち物と提出物は、「入口を1つにする」と崩れにくくなります
家の片付け以上に困るのが、学校の持ち物とプリント、提出物です。ここでも考え方は同じで、情報と物の入口を1つにすることが土台になります。
| 物・情報 | 入口(置き場所)の例 | 確認するタイミングの例 |
|---|---|---|
| 配布プリント | 「提出物ファイル」を1冊だけにし、受け取ったらそこへ | 帰宅してカバンを置いたとき |
| 提出の期限 | スマートフォンのカレンダーなど、見る場所を1つに決める | 夕食後など毎日同じ時刻 |
| 翌日の持ち物 | 玄関や部屋の出口に「明日の物」置き場を作る | 寝る前の「戻す時間」に合わせる |
| 学校からの連絡 | 保護者と本人で同じ連絡手段を見られるようにする | 週に1回、一緒に見る日を決める |
配られたプリントをその場でスマートフォンで撮っておく、提出したら印をつけるなど、提出物に特化した工夫は提出物が出せない高校生向けの記事で、工程別に7つに分けて詳しく紹介しています。黒板のメモが追いつかない場合の工夫は発達障害 メモ 取れないの記事にまとめています。
提出物が遅れがちになると、成績や出席への影響が心配になるかもしれません。欠席と単位の関係を確かめたいときは高校 欠席日数の記事も参考になります。

学校には「合理的配慮」として相談できます。私立高校も2024年4月から義務です
家庭の工夫だけで抱えきれないときは、学校に配慮を相談できます。障害者差別解消法は、障害のある人から社会的障壁を取り除いてほしいという意思が示されたとき、負担が重すぎない範囲で必要かつ合理的な配慮をすることを求めています。
- 公立学校は「行政機関等」として、法律が施行された2016年(平成28年)4月1日から合理的配慮の提供が義務です(内閣府「障害者差別解消法」)。
- 私立学校を運営する学校法人は「事業者」にあたり、改正法の施行により2024年(令和6年)4月1日から合理的配慮の提供が努力義務から義務になりました(内閣府リーフレット)。
- 法律の対象になる障害者は障害者手帳を持っている人だけではありません。内閣府のリーフレットは、発達障害のある人も含まれると明記しています。対象は、障害や社会の中にあるバリアによって日常生活や社会生活に相当な制限を受けている人で、当てはまるかどうかは本人の状況に応じて個別に判断されます(文部科学省の対応指針)。
文部科学省の「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(令和6年1月17日改正、4月1日施行)には、学校で相談するときに知っておきたい点が書かれています(主なもの)。
- 意思の表明には、本人が伝えるのが難しい場合に家族などが本人を補佐して行うものも含まれる
- 学校では、主に学級担任や特別支援教育コーディネーターなどが、最初に相談を受け付けることが想定されている
- 配慮の内容は、学校と本人・保護者が合意形成を図ったうえで提供されることが望ましく、個別の教育支援計画に明記し、進学や進級のときに引き継ぐことが重要とされている
- 建設的対話によって、代わりの方法も含めて柔軟に検討することが求められている。配慮の例として、絵や写真カード、タブレット端末などのICT機器の活用、視覚的に伝えるための情報の文字化などが挙げられている
片付けや持ち物の管理について、学校にどんな相談ができるかの例を表にしました。これは相談の例で、実際に認められるかどうかは学校が本人・保護者との話し合いで決めます。ここに載っている配慮が、どの学校でも受けられるという意味ではありません。
| 困りごと | 相談の例 | 最初の相談先の例 |
|---|---|---|
| 提出物の期限を把握できない | 提出物と期限の一覧を、紙かデータでまとめてもらえないか | 学級担任 |
| 口頭の連絡を覚えていられない | 大事な連絡を文字でも伝えてもらえないか | 学級担任・教科担当 |
| 持ち物が多く、忘れ物が続く | 教材の一部を学校に置いておけないか | 学級担任 |
| 机やロッカーの中が整理できない | 置き場所の目印や、整理の時間の声かけをしてもらえないか | 特別支援教育コーディネーター |
相談するときは、「だらしなくて困っている」ではなく、「何が・どの場面で・どのくらい困っているか」と「家で試してうまくいったこと」をセットで伝えると、話が具体的になります。診断書が必要かどうかは学校によって扱いが違い、この記事では一律の基準を確認できませんでした。入試での配慮の手続きは高校受験 合理的配慮の記事で整理しています。
※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。
よくある誤解:「やる気の問題」「親が片付ければ済む」「診断がないと頼めない」は、どれも違います
誤解1:高校生にもなれば、やる気の問題だ
年齢が上がると、周りは「もう分かっているはず」と考えがちです。でも、この記事で見てきたとおり、片付けの苦手さは特性の説明のなかで名前を挙げて書かれている困りごとです。やり方が分からない状態のまま「やる気を出せ」と言われても、行動は変わりにくいものです。
誤解2:親が代わりに全部片付ければいい
親が片付ければ、その日の部屋はきれいになります。けれど、本人の中に「どこに何を置くか」の仕組みは残りません。本人の配置へのこだわりがある場合は、かえって混乱させることもあります。一緒にやって、少しずつ手を離すほうが、卒業後の一人暮らしや仕事にもつながりやすいと考えられます。
誤解3:診断がないと、学校には何も頼めない
障害者差別解消法の対象になるかどうかは本人の状況に応じて個別に判断され、障害者手帳を持っている人に限られません。診断の有無にかかわらず、困っていることを担任に伝えるところから始められます。ただし、配慮の内容や必要な書類は学校によって違うので、最初の面談で確かめてください。診断はないけれど特性が気になる場合は発達障害グレーゾーン 高校生の記事も参考になります。
誤解4:片付けられるようになれば、すべて解決する
片付けの苦手さの背景には、睡眠不足や強い不安、気分の落ち込みが重なっていることもあります。国立精神・神経医療研究センターのページは、ADHDには不安や気分の落ち込みなどの精神的な不調を伴うこともある、と書いています。急に片付けられなくなった、ほかの生活にも元気がないという変化があれば、片付けの工夫より先に、医師や相談機関に相談することを検討してください。
発達障害かどうかが気になるときは、政府広報オンラインが案内しているように、お住まいの市町村の窓口や発達障害者支援センター(国立障害者リハビリテーションセンターの一覧)に相談できます。医療機関を受診するかどうか、薬を使うかどうかは、主治医と相談して決めることです。国立精神・神経医療研究センターのページでは、環境の調整や行動面の取り組みを行っても日常生活の困難が続く場合に薬物療法を併用すること、薬物療法は症状を和らげるもので根本的に治すものではないことが説明されています。
選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)
片付けや持ち物、提出物の管理が毎日の大きな負担になり、今の学校で続けるのがつらくなっているなら、学び方そのものを変えるという選択肢もあります。ただし、通信制高校に移っても管理の必要がなくなるわけではありません。通信制高校の単位は、添削指導(レポート)・面接指導(スクーリング)・試験の3つで修得するので、レポートの期限を自分で管理する場面が多くなります。ADHDの特性と通信制の相性はADHD 通信制高校の記事で、楽になる点と難しくなる点に分けて整理しています。
NIJIN高等学院(ニジ高)は、株式会社NIJINが運営するオンライン中心の通信制高校サポート校です。全国どこからでも通え、担任制で、カメラ・マイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。授業のアーカイブ視聴にも対応しています。ニジ高は、発達特性や障害を、本人を変えるのではなく、学びの構造や環境を変えることで支援するという新しいアプローチを取っています。いまできることの少し先に合う課題を置き、その子の個性が輝くように支えることをめざしており、希望する生徒には、スタッフが1対1で伴走する支援もあります。
そのうえで、正直にお伝えしたいことがあります。
- ニジ高は高校ではありません。高校卒業の資格は、提携する通信制高校で取ります。
- 学院の中でのスクーリングはありません。提携する通信制高校のスクーリングには参加が必要です。スクーリングの形や日程は、個別相談会で詳しくご案内しています。
- 費用は、通信制高校の分とニジ高の分がかかります。ニジ高の分に就学支援金は使えません。金額は学費のご案内でご確認ください。通信制高校の費用全体の考え方は通信制高校 学費の記事で整理しています。
- オンライン中心なので、毎日通う場所がほしい人には合わない場合があります。
- 診断や服薬など医療の判断は、主治医・専門機関にご相談ください。
途中からの転入・編入もでき、出願費用は無料です。ほかの学校と比べる観点は通信制高校 選び方のページにまとめています。比べる候補の1つとして見ていただければうれしいです。
迷ったときの進め方(3ステップ)
- ステップ1:どの工程で止まっているかを、1週間だけ観察する。始められないのか、しまう場所がないのか、戻すのを忘れるのか。責める目ではなく、記録する目で見ます。本人に「どこが一番めんどう?」と聞くのも手がかりになります。
- ステップ2:工夫を1つだけ選んで、2週間試す。置き場所を1か所にする、タイマーで区切るなど、止まっている工程に合わせて1つに絞ります。合わなければ別の工夫に替えます。うまくいったことはメモしておくと、学校に相談するときにも使えます。
- ステップ3:学校や相談機関に、具体的に伝える。家の工夫だけでは難しい部分は、担任や特別支援教育コーディネーターに相談します。特性そのものが気になる場合は、発達障害者支援センターや医療機関への相談を検討します。学校生活そのものが限界に近いときは、高校 転入の条件や手順を調べておくと、選択肢が見えてきます。
3つとも、今日すべてを決める必要はありません。1つ目の観察から始めるだけでも、「なぜできないのか」が「どこでつまずいているのか」に変わっていきます。


片付けや提出物の管理がつらいなら、学び方を変える選択肢も
ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校で、発達特性や障害を、本人を変えるのではなく学びの構造や環境を変えることで支援するアプローチを取っています。ただし学院は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、そのスクーリングへの参加が必要です。レポートの管理の不安も含め、個別相談会で聞くことができます。
よくある質問
Q. 片付けられないのは、ADHDだからですか?
A. 片付けの苦手さは、ADHDの不注意の症状として資料に挙げられていますが、それだけでADHDかどうかは判断できません。自閉スペクトラム症の特性や、睡眠不足・不安などが関係していることもあります。気になる場合は、市町村の窓口や発達障害者支援センター、医療機関に相談することを検討してください。
Q. 親のしつけが原因ではないと、どこに書いてありますか?
A. 政府広報オンラインの「発達障害って、なんだろう?」は、発達障害は脳の働きの違いによるもので、本人の努力不足や親のしつけの問題ではないと説明しています。広島県の「支援者のための発達障害支援ガイドブック」にも、養育者の育て方や本人の努力不足が原因ではないと書かれています。
Q. 高校生の子の部屋を、親が片付けてもいいですか?
A. してはいけないわけではありませんが、本人に黙って配置を変えると、どこに何があるか分からなくなって混乱することがあります。最初は一緒に片付け、置き場所を本人と決め、少しずつ任せる範囲を広げるやり方をおすすめします。
Q. 診断がなくても、学校に配慮をお願いできますか?
A. 相談することはできます。障害者差別解消法の対象は障害者手帳を持っている人に限られず、本人が伝えにくい場合は家族が補佐して伝えることも想定されています。ただし、どんな配慮をするか、診断書などの書類が必要かは学校によって扱いが違うため、まず学級担任に相談してください。
Q. 通信制高校に移れば、提出物の管理は楽になりますか?
A. 通学の負担は減りますが、提出物の管理はなくなりません。通信制高校は、レポート・スクーリング・試験で単位を修得するため、レポートの期限を自分で管理する場面が多くなります。サポート校や学校の学習支援の仕組みがあるかを、入学前に確かめておくと安心です。
散らかった部屋は、あなたの子育ての成績表ではありません
片付けられない部屋を見るたびに、自分の育て方を問われているように感じてきたかもしれません。でも、国の資料が書いているとおり、それはしつけの失敗ではなく、脳の働き方の違いから来る困りごとです。責める相手を探すより、仕組みを1つ変えるほうが、明日の朝は少しだけ楽になります。
全部を一度に変えなくて構いません。鍵の置き場所を1つ決める。プリントの入口を1つにする。それだけでも、お子さんが「またやってしまった」と感じる回数は減っていきます。困ったときは、学校や相談機関の力を借りながら、家族のペースで進めてください。
片付けや提出物で悩んでいることも含めて、学び方の相談は個別相談会で聞けます
全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付
通信制高校サポート校 NIJIN高等学院(ニジ高)/出願費用は無料です。無理に勧めることはありません。

