うつ病と診断されて、あるいは「たぶんそうだ」と感じながら、それでも毎朝なんとか学校に行っている。授業の内容は頭に入らず、帰宅すると何もできない。「休みたい」と「休んだら終わる」のあいだで、毎日すり減っている高校生は少なくありません。
この記事では、「全部休む」か「無理して全部出る」かの二択の前に、学校に頼める配慮という中間の選択肢があることを、法律と文部科学省の資料を実際に開いて確認した内容でお伝えします。2024年4月からは、私立高校でもこの配慮が法律上の義務になりました。
いま何かを決める必要はありません。自分の状態に近いところから読んでください。つらさが強いときは、この記事を閉じて、下の相談先に先に電話をしてください。
回復にどのくらいかかるのか、治療の考え方は、公的資料をもとに別の記事でまとめています。高校生 鬱もあわせてご覧ください。
特別児童扶養手当・自立支援医療・手帳など、学費以外に使える可能性のあるお金の制度は、発達障害 高校生 手当もあわせてご覧ください。
結論:うつ病で学校が辛いときの早見
- 選択肢は「行く・休む」の二択ではありません。保健室や別室での休憩、課題の出し方の変更、体育の見学など、通いながら負荷を下げる方法があります。
- 2024年4月1日から、私立高校も「合理的配慮」が法的義務になりました。公立高校は以前から義務です(障害者差別解消法)。
- 障害者手帳が無くても、配慮は求められます。文部科学省の対応指針に「障害者手帳の所持者に限られない」と書かれています。
- 高校で学校に行けていない生徒のうち、学校が「不安・抑うつ」を把握していたのは16.0%。あなただけの状態ではありません。
- 配慮でも追いつかないほど消耗しているなら、休む・休学する・転学するという順番で考えます。どれも途中から選び直せます。
- 通信制高校やサポート校は「逃げ道」ではなく、登校の頻度を下げて学び続ける方法の1つです(NIJIN高等学院もその1つです)。
「行けているのに辛い」は、休めていない状態です
うつ病のつらさは、学校を休んでいる人だけのものではありません。むしろ「行けてしまう」人ほど、周りから気づかれにくいという難しさがあります。
朝は起きられる。制服も着られる。教室の席にも座れる。けれど、先生の話が文字の羅列のように流れていく。友達との会話に反応するだけで疲れる。家に帰るとベッドから動けず、宿題に手がつかない。週末は寝て終わる。そして月曜の朝がまた来る。
この状態は、周りからは「ちゃんと来ている」ように見えます。本人も「来ているんだから、まだ大丈夫なはず」と思いがちです。でも実際には、回復に使うはずのエネルギーを登校で使い切っている状態です。
「休むほどではない」と自分に言い聞かせているなら、判断の基準を少し変えてみてください。休むかどうかは、「行けるかどうか」ではなく「行ったあとに回復できているかどうか」で考えます。帰宅後や週末に回復できていないなら、負荷のかけ方を見直す時期です。
保護者の方向けには、高校生 うつ病 親の記事で、親が動く順番を別にまとめています。この記事は、主に本人のあなたに向けて書いています。

高校で学校に行けていない生徒のうち、「不安・抑うつ」は16.0%
「こんな状態なのは自分だけ」と感じるときは、数字が少し助けになります。
文部科学省が2025年10月29日に公表した「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、高校で不登校とされた生徒は67,782人でした。そのうち、学校が把握した事実(複数回答)の内訳は次のとおりです。
| 学校が把握した事実(高校・複数回答) | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 学校生活に対してやる気が出ない等 | 18,236人 | 26.9% |
| 生活リズムの不調 | 17,787人 | 26.2% |
| 不安・抑うつ | 10,827人 | 16.0% |
| 学業の不振や頻繁な宿題の未提出 | 8,654人 | 12.8% |
| いじめを除く友人関係 | 6,943人 | 10.2% |
出典:e-Stat「(5-7)不登校生徒について把握した事実」(文部科学省 令和6年度調査・2025年10月公表)
ここで注意してほしいことが2つあります。
1つ目は、これは学校が把握できた範囲の数字だということです。「やる気が出ない」「生活リズムが崩れている」と記録された生徒の中にも、うつ状態の人は含まれている可能性があります。やる気の低下や睡眠の乱れは、うつの症状としてもよく見られるからです。
2つ目は、この数字は不登校になった生徒だけを数えているということです。あなたのように「行けているけれど辛い」生徒は、この表には出てきません。見えていないだけで、同じ状態の高校生はもっといると考えるのが自然です。
2024年4月から、私立高校でも「配慮」は法律上の義務です
ここがこの記事でいちばん伝えたいことです。
障害者差別解消法は、学校などに対して、障害のある人から申し出があったときに「合理的配慮」を提供するよう定めています。合理的配慮とは、本人が困っていることに対して、学校側の負担が重すぎない範囲で、やり方を変えることです。
| 学校の種類 | 2024年3月まで | 2024年4月1日から |
|---|---|---|
| 公立高校(都道府県・市立) | 法的義務 | 法的義務 |
| 私立高校(学校法人) | 努力義務 | 法的義務 |
出典:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(e-Gov法令検索)第7条第2項・第8条第2項/文部科学省 対応指針の改定について(令和6年1月17日)
文部科学省の通知には、改正前の事業者の配慮は「努力義務とされていたが、法的義務へと改められた」と書かれ、その対象に学校法人が含まれることも明記されています。
うつ病は対象になるのか
障害者基本法第2条は、障害者を「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害」がある人のうち、継続的に日常生活や社会生活に相当な制限を受ける状態にある人と定めています(障害者基本法・e-Gov)。
うつ病という病名を名指しした記述は、今回確認した内閣府・文部科学省の文書には見つかりませんでした。一方で、厚生労働省の自立支援医療(精神通院医療)の資料では、対象となる精神疾患に「うつ病、躁うつ病などの気分障害」が挙げられています。うつ病で学校生活に継続的な困難がある場合は、対象になり得る、というのが正確な言い方です。
手帳は要らない
文部科学省の対応指針(令和6年4月1日施行)には、対象は「いわゆる障害者手帳の所持者に限られない」と書かれています(文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針)。診断書があると話は進みやすくなりますが、手帳を取らないと相談できない、ということはありません。
※2026年9月時点で確認した情報です。最新は各公式ページでご確認ください。

頼める配慮は、思っているより具体的です
「配慮してください」とだけ伝えても、学校も何をすればいいのか分かりません。文部科学省の対応指針には、学校で考えられる配慮の例が挙げられています。そのうち、うつ病で学校が辛い高校生に当てはめやすいものを整理しました。
| 困っていること | 対応指針にある配慮の例 | 学校への伝え方の例 |
|---|---|---|
| 授業中に限界が来る | 別室での休憩の申し出に、臨時の休憩スペースを設ける | 「つらくなったら保健室で休ませてほしい。合図を決めたい」 |
| 人前での発表ができない | 代替措置としてレポートを課す | 「発表の代わりに提出物で評価してもらえないか」 |
| 体育がこなせない | 運動量を軽減する・代わりの運動を用意する | 「当面は見学か、軽い内容に変えてほしい」 |
| 定期考査の教室がつらい | 別室での受験(入試等の例) | 「別室で受けられるか相談したい」 |
| 休む期間が出る | ICTを活用した学習や補講で学習機会を確保する | 「休んだ日の課題の受け取り方を決めたい」 |
出典:文部科学省「対応指針」別紙1(令和6年4月1日施行)。「別室での受験」は指針では入学試験や検定試験の例として挙がっています。定期考査で認められるかは学校の判断です。
ポイントは、「全部を配慮してほしい」ではなく「いちばん困っている1つ」から頼むことです。学校は、本人の申し出と「負担が重すぎないか」を踏まえて話し合って決めます。これを「建設的対話」と呼びます。1回で決まらなくても、断られたら終わり、ではありません。
もう1つ知っておいてほしいのは、高校でも2018年度(平成30年度)から通級による指導が始まっていることです。通常の授業を受けながら、一部の時間だけ別の指導を受ける仕組みです。実施している学校は限られますが、在籍校で使えるかどうか聞いてみる価値はあります(文部科学省 令和5年度通級による指導実施状況調査)。

正直に書きます。法律が変わっても、配慮を申請したすべての学校がすぐに動いてくれるわけではありません。担任が制度を把握していない、「うちの学校では対応が難しい」と言われる——そういうことは実際に起きます。1回断られても、記録を残しながら相談先を養護教諭やスクールカウンセラーに変えて再度相談することで、対応が変わった事例があります。あきらめる前に、窓口を変えてみてください。また、配慮が整ったとしても、うつ状態そのものは学校側では改善できません。配慮は「登校の負荷を下げる工夫」であり、医療の代わりにはなりません。主治医の治療と並行して使うものです。
学校に伝えるときは、「誰に」「何を」「どの順で」を決めておく
配慮を頼むこと自体が、うつ病の人にとっては大きな負担です。だから、準備で負担を減らします。
誰に伝えるか
最初の窓口は、担任でなくても構いません。話しやすい人から始めます。
- 養護教諭(保健室の先生):体調の話に慣れていて、休憩の場所にも直結します。
- スクールカウンセラー:学校教育法施行規則で「心理に関する支援に従事する」と定められた専門職です。ただし常駐していない学校も多いので、来校日を確認します。
- 担任・学年主任:課題や評価の変更は、最終的にここを通ります。
何を伝えるか
次の3つをメモにして持っていくと、話が短く済みます。口で説明できない日は、メモを渡すだけで構いません。
- いま困っていること(例:3時間目以降に集中が続かない、発表で動悸がする)
- 頼みたいこと(例:つらいときに保健室へ行く合図を決めたい)
- 通院していれば、そのこと(診断書が必要かどうかは学校に聞けばよい)
どの順で伝えるか
「休む日が増えてから」ではなく、まだ行けているうちに伝えるほうが選択肢は多く残ります。欠席が重なってからだと、話題が「単位が足りるか」に移ってしまうからです。出席日数と単位の関係は高校 出席日数の記事で、学則の基準まで確認してまとめています。
自分で伝えるのが難しければ、保護者に代わってもらって構いません。保護者が学校に伝えるときの言い方は、高校生 うつ病の記事にも例を載せています。
よくある誤解:「配慮を頼む=甘え」ではありません
誤解1「診断がないと何も頼めない」
対応指針は手帳の有無で対象を区切っていません。診断書は話を進める材料にはなりますが、必須の入口ではありません。受診がまだなら、保健室やスクールカウンセラーへの相談から始めても順番として間違っていません。
誤解2「一度休んだら、もう戻れない」
休むことは戻る道を閉じることではありません。別室登校や保健室登校は「戻る前の段階」として使えます。休んでいるときの過ごし方はうつ病で学校に行けないときの記事で詳しく整理しています。
誤解3「周りに知られたら終わり」
配慮の相談は、クラス全員に病名を知らせることとは違います。誰にどこまで伝えるかは、学校と相談して決められます。「病名は伏せて、保健室に行く合図だけ共有したい」という頼み方もできます。
誤解4「通信制に移るのは負け」
通信制高校は、登校日数を減らして同じ高校卒業資格を目指す仕組みです。在籍校で配慮を受けても消耗が続くなら、通い方そのものを変えるのは合理的な判断です。

配慮でも追いつかないときは、「休む→休学→転学」の順で考える
配慮を頼んでも、朝起きるたびに限界を感じる。そういう時期もあります。そのときに考える順番を表にしました。上から順に、元に戻しやすい選択肢です。
| 選択肢 | 向いている状態 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 配慮を受けながら通う | 行けてはいるが、回復が追いつかない | 頼むのは1つずつ。記録を残す |
| しばらく休む(欠席) | 数週間の休養で持ち直しそう | 欠課時数と単位の上限を学校に確認 |
| 休学する | 数か月以上、学校から離れる必要がある | 学年の進行が止まる。学費の扱いは学校次第 |
| 通信制へ転学する | 登校の形そのものが合わない | 在籍したまま手続きすると単位を引き継ぎやすい |
休学については高校を休学したらどうなるかを、転学については通信制高校 転入の記事で、条文を確認したうえでまとめています。
転学を考えるときにいちばん大切なのは、いまの学校を退学してから探さないことです。在籍したまま移る「転入」なら、修得した単位を引き継いで学年を大きく崩さずに済みます。退学すると「編入」の扱いになり、時期の選択肢が狭くなります。
また、療養中に家で学ぶ方法について、2024年4月の制度改正で「病気療養中等の生徒」は単位数の上限なく遠隔授業などで学べるようになりました。詳しくは親が動く順番の記事で条文を引いています。
選択肢の1つとしての通信制・サポート校(正直な注意点も)
NIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制高校サポート校です。学院そのものは高校ではなく、提携する通信制高校と連携して高校卒業資格を目指します。
運営は株式会社NIJINです。小中学生の場合は、同じグループが運営するNIJINアカデミー(不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール。1,000名以上が在籍)という選択肢もあります。中学卒業後にニジ高へ進む生徒もいます。
うつ病で学校が辛い高校生にとって、次の点は合いやすいと考えています。
- カメラ・マイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められます。「人の目がつらい」時期にも入口があります。
- 担任制で、体調に波があることを前提に予定を組みます。授業のアーカイブ視聴にも対応しています。
- 全国どこからでもオンラインで通えるので、通学そのものの負担がありません。
一方で、正直に書いておくべきこともあります。
- 学院内でのスクーリングはありませんが、提携する通信制高校のスクーリング(面接指導)への参加は必要です。その日程の調整や準備は一緒に行います。
- オンラインは通学の負担を減らしますが、うつ病そのものを治療するものではありません。通院や服薬は主治医の方針に沿って続けてください。
- 家にいる時間が長くなるので、生活リズムを整える工夫は必要です。
学費については、ご家庭ごとに条件が違うため学費のご案内のページでご確認いただくか、個別相談会でお尋ねください。
いま使える相談先(24時間の窓口もあります)
学校に伝える前に、まず誰かに話したいときは、次の公的な窓口が使えます。
| 窓口 | 番号・場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省) | 0120-0-78310 | 夜間・休日も。原則として、かけた地域の教育委員会の相談機関につながる |
| こころの健康相談統一ダイヤル(厚生労働省) | 0570-064-556 | 都道府県・政令市の公的な相談機関につながる。受付時間は地域で異なる |
| まもろうよ こころ(厚生労働省) | 厚生労働省のWebサイト | 電話が苦手な人向けに、SNSやチャットの相談窓口も案内している |
出典:文部科学省 24時間子供SOSダイヤル/厚生労働省 こころの健康相談統一ダイヤル/まもろうよ こころ
通院を続けるうえでの費用が心配なら、自立支援医療(精神通院医療)という制度があります。通院の医療費の自己負担が原則3割から1割に軽くなり、所得に応じた月ごとの上限もあります(厚生労働省 自立支援医療(精神通院医療)について)。申請の窓口は市区町村です。
迷ったときの進め方(3ステップ)
- 今週:いちばん困っていることを1つだけ書き出す。「3時間目以降がつらい」「発表が怖い」など、具体的な場面で書きます。
- 来週まで:話しやすい先生1人に、そのメモを渡す。保健室の先生やスクールカウンセラーでも構いません。保護者に代わってもらってもいい。
- 1か月後:回復できているかを振り返る。帰宅後や週末に少しでも持ち直せているなら、その配慮を続けます。持ち直せていなければ、休む・休学・転学を家族と並べて考えます。


いまの学校で頼めることと、通い方を変える選択肢を一緒に並べます
個別相談会では、体調の波と出席の状況をうかがったうえで、在籍校で続ける場合と、通信制へ移る場合を同じ表に並べて整理します。保護者の方だけのご相談でも、カメラをオフにしたままでも構いません。
よくある質問
Q. うつ病のとき、学校は休んだほうがいいですか?
A. 一律には言えません。判断の目安は「行けるかどうか」ではなく「行ったあとに回復できているか」です。回復が追いつかないなら、休む前に配慮で負荷を下げる方法もあります。休養の要否は主治医に相談してください。
Q. 私立高校でも配慮を頼めますか?
A. はい。2024年4月1日から、障害者差別解消法の改正により私立高校(学校法人)でも合理的配慮の提供が法的義務になりました。公立高校は以前から義務です。
Q. 障害者手帳や診断書がないと、配慮は受けられませんか?
A. 文部科学省の対応指針では、対象は「障害者手帳の所持者に限られない」とされています。診断書は話を進める材料になりますが、まずは困っていることを学校に伝えるところから始められます。
Q. 配慮を頼んだら、成績や進級で不利になりませんか?
A. 配慮は、学ぶ機会を確保するためにやり方を変えるものです。評価の方法をどう変えるかは学校との話し合いで決まります。気になる点は、頼む段階で「評価はどうなりますか」と確認しておくと安心です。
Q. 通信制高校に移ったら、うつ病は良くなりますか?
A. 学校を変えること自体が治療になるわけではありません。ただ、通学や人の多い環境が負担になっている場合は、登校の頻度を下げることで回復に使えるエネルギーが残りやすくなります。治療は主治医の方針に沿って続けてください。
「行けている自分」を、少しだけ休ませてあげてください
毎朝学校に向かえているのは、それだけで大きな力を使っている証拠です。その力を、少しだけ回復のほうに回してあげてください。
配慮を頼むのは、弱さを認めることではありません。学び続けるために、やり方を調整することです。そして、それでも合わなければ、通い方そのものを変える選択肢も残っています。どれを選んでも、高校卒業への道は閉じません。
ひとりで決めなくていいし、今日決めなくてもいい。話を聞くだけの場として、個別相談会を使ってもらって構いません。
学校が辛いと感じても、学び続ける道は閉じていません。
全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付
通信制高校サポート校 NIJIN高等学院(ニジ高)/出願費用は無料です。無理に勧めることはありません。

