偏差値50は、その模試を受けた人たちのちょうど真ん中です。点数の分布が正規分布に近いと仮定すると上位約50%、40人のクラスなら20番前後にあたります。良い・悪いを決める数字ではなく、「いまどこにいるか」を表す位置の数字です。
「偏差値50ってどのくらい?」「頭いいの?低いの?」「偏差値50の自分は、どんな高校を選べばいいの?」。模試の結果を前に迷っている人に向けて、この記事では偏差値の計算式から上位何%になるかを確かめ、高校の偏差値の正体、通信制高校に偏差値がほとんど付かない理由までを、文部科学省の調査と教育委員会の入試案内をもとに整理しました。
結論:偏差値50はどのくらい?の早見
- 偏差値50=平均点ちょうど。受けた集団の真ん中で、上位約50%(正規分布での近似)です。
- 偏差値60は上位約16%、70は上位約2%。50から55に上がるだけで、上位約31%まで動きます。
- 偏差値50は「普通」で、頭が悪いという意味ではありません。真ん中の帯は人数が多く、少しの積み重ねで位置が動きやすい帯です。
- 同じ実力でも、受けた模試で偏差値は変わります。「◯◯高校の偏差値」は学校の公表値ではなく、模試会社の推計です。
- 通信制高校には偏差値がほとんど付きません。全国323校のうち学力検査を行うのは91校で、面接中心の学校が多いからです。
偏差値50はどのくらい?上位何%かの早見表
点数の分布が正規分布(左右対称の山の形)に近いと仮定すると、偏差値と順位の関係は次のとおりです。
| 偏差値 | 上位からの割合(近似) | 40人のクラスなら |
|---|---|---|
| 70 | 約2.3% | 1番前後 |
| 65 | 約6.7% | 3番前後 |
| 60 | 約15.9% | 6番前後 |
| 55 | 約30.9% | 12番前後 |
| 50 | 約50.0% | 20番前後 |
| 45 | 約69.1% | 28番前後 |
| 40 | 約84.1% | 34番前後 |
※正規分布を仮定した計算値です。実際の模試の分布はきれいな山の形にならないことがあり、「40人のクラスなら」はたとえです。

偏差値50は頭いい?低い?「真ん中」の本当の意味
「偏差値50」と聞くと「平凡」と受け取る人がいますが、偏差値は点数そのものではなく集団の中での位置です。偏差値50は「その模試の受験者の中で真ん中にいた」という事実を表しているだけで、頭の良し悪しや、この先どれだけ伸びるかは分かりません。
そして表のとおり、真ん中の帯はいちばん動きやすい帯です。人数が多いので、少しの点数の差で順位が大きく変わります。偏差値70付近は人数が少なく、同じ点差でも順位はあまり動きません。偏差値50前後の人にとって大事なのは、いまの数字より、ここから学習習慣をつくれる環境かどうかです。

偏差値の計算方法|偏差値50になる点数は?
偏差値は次の式で計算します。
偏差値 = 50 + 10 ×(自分の点数 − 平均点)÷ 標準偏差
標準偏差は点数のばらつきの大きさです。この式から、平均点ちょうどなら、テストが難しくても易しくても偏差値は50になることが分かります。平均点より標準偏差1つぶん高ければ60、2つぶん高ければ70です。
つまり「偏差値50になる点数」は、その試験の平均点そのものです。平均点が55点の試験なら55点で偏差値50、平均点が40点の難しい試験なら40点で偏差値50になります。「何点取れば偏差値50」と一律に言えないのはこのためで、模試の成績表に載っている平均点と標準偏差を見れば、自分の偏差値がどうやって出たのかを確かめられます。テストの点数が前回より下がっていても、平均点も下がっていれば偏差値は上がっている、ということも起こります。
| 同じ70点でも… | 平均点 | 標準偏差 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 試験A | 60点 | 10点 | 60 |
| 試験B | 70点 | 10点 | 50 |
| 試験C | 60点 | 20点 | 55 |

偏差値50から上げるには?「平均点との差」で考える
計算式を使うと、偏差値を5上げるのに必要なのは標準偏差の半分だけ平均点より高く取ることだと分かります。標準偏差が10点の試験なら、平均点より5点多く取れば偏差値55です。100点満点のテストで5点は、大問1つの小問をあと1〜2問取れるかどうかの差です。
- 同じ模試を続けて受ける。模試が変わると比べる集団が変わるので、伸びたかどうかが分からなくなります。
- 偏差値ではなく、科目ごとの「平均点との差」を見る。どの科目で何点差があるかが分かれば、やることが具体的になります。
- 真ん中の帯にいることを生かす。偏差値50前後は人数が多いので、同じ5点でも順位の動きがいちばん大きい帯です。
反対に、無理のあるペースで一気に上げようとすると、通学や生活のほうが崩れてしまうことがあります。続けられる量を毎日積むほうが、結果として数字も動きます。
同じ実力でも、模試によって偏差値が変わる理由
偏差値は「誰と比べたか」で決まります。難関校をめざす人が多く受ける模試では低めに、幅広い層が受ける模試では高めに出ます。「塾の模試では45、学校で受けた模試では52」ということが起きるのはこのためで、どちらかが間違っているわけではありません。比べるなら、同じ模試の数字どうしで比べてください。
偏差値50の高校はどんな学校?|高校の偏差値は模試会社の推計
「◯◯高校の偏差値は50」という数字は、学校や教育委員会が公表しているものではありません。模試を運営する会社が、自社の模試の成績と合否の結果から「合格しやすい受験生の偏差値」を推計した目安です。会社が違えば同じ高校でも数字がずれます。
また、偏差値が付くのは学力検査の点数が合否に強く効く入試だけです。点数の順番で決めない入試では、推計の土台がありません。高校の偏差値は「入りやすさ」の目安にはなっても、「3年間の過ごしやすさ」や「卒業後の進路」までは表しません。偏差値以外の判断軸は偏差値だけで高校を決めないでまとめています。
高校の「入りやすさ」は偏差値だけで決まらない
高校入試の合否は、学力検査の点数だけでなく、調査書(内申点)、面接、作文などを組み合わせて決まります。どれをどのくらい重く見るかは都道府県や学校によって違うので、偏差値が届いていても内申点や面接で差がつくことも、その逆もあります。
中学で欠席が多かった人についても、文部科学省は2024年2月の通知で、高校入試で欠席日数のみをもって出願を制限するなどの不利益な扱いをしないことが望ましいとし、学校以外の場での学習状況なども勘案するよう求めています。実際、2025年度に通信制高校へ入学した7万7,998人のうち57.0%は、中学3年生のときに不登校でした(同調査)。
大学の偏差値も同じ仕組みで、大学が公表している数字ではなく模試会社の推計です。「偏差値50の高校からは偏差値50の大学まで」という決まりはなく、大学入試は高校の偏差値ではなく、受験する本人の学力や書類で判断されます。
通信制高校に偏差値はある?|学力検査は323校中91校
文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」(2026年8月公表)によると、全国の通信制高校323校の選抜方法は次のとおりです(複数回答)。
| 選抜の方法 | 学校数 | 割合 |
|---|---|---|
| 面接 | 296校 | 91.6% |
| 調査書などの書類 | 230校 | 71.2% |
| 小論文・作文 | 154校 | 47.7% |
| 学力検査 | 91校 | 28.2% |

ただし、学力検査がある通信制もあります。公式の入試案内で確かめた例です。
| 学校 | 選考の中身 |
|---|---|
| 都立の通信制3校(一橋・新宿山吹・砂川) | 国語・数学・英語を合わせた検査問題と調査書 |
| 神奈川県立の通信制(横浜修悠館・厚木清南) | 作文(30分)と調査書。学力検査はなし |
| 私立のN高等学校 | ネットコースは書類選考のみ。通学コースは筆記試験と面接 |
※東京都教育委員会「令和9年度 通信制課程入学案内」、神奈川県「令和9年度 選考基準」、N高等学校「入学試験について」(2026年9月確認)。
学力検査があっても、これらの学校について模試会社の偏差値が公式に出ているわけではありません。ネットで見かける「通信制高校の偏差値◯◯」は、公式の資料からは確かめられない数字です。
通信制高校の卒業生(2024年度、9万872人)の在籍期間は、3年間が47.0%、1年以上3年未満が42.0%で、途中から転入して卒業する人も多くいます。一方で、4年以上在籍している生徒も6.8%います(2025年5月時点)。入口の難しさより、入ってから続けるための支えのほうが、卒業の時期を左右します。
そして通信制高校を卒業すれば、学歴は全日制と同じ「高等学校卒業」です。大学受験では、通信制からでも模試を受ければ偏差値が出ます。高校に偏差値が付かないことと、大学受験で偏差値を上げていけないことは別の話です。通信制から大学をめざす方法は通信制高校から大学受験で整理しています。
偏差値50前後の人の高校の選び方|状況別に5つ
偏差値50前後は、全日制の選択肢も十分にある帯です。そのうえで、理由によって向きやすい形が変わります。
| いまの状況 | 向きやすい形 | 確かめること |
|---|---|---|
| 全日制に合格できそうだが、毎日の通学に不安がある | 週3〜5日の通学コース、オンライン中心の学び | 通学日数を後から変えられるか |
| 大学受験の勉強に時間を多く使いたい | 登校日が少ないコース+受験対策 | 受験対策を誰とするか |
| 中学の内容からやり直したい | 学び直しの授業がある学校・サポート校 | 基礎の授業がどこまであるか |
| 不登校で、内申や出席に自信がない | 面接・作文・書類で選考する学校 | 面接の形(オンライン可など) |
| いまの高校から移りたい | 転入を随時受け付けている学校 | 単位と在籍期間の引き継ぎ |

偏差値50前後でよくある迷い:全日制か、通信制か
偏差値50前後の人は、全日制にも通信制にも選択肢があります。違いは「入りやすさ」ではなく、毎日の過ごし方です。
| 全日制 | 通信制 | |
|---|---|---|
| 毎日の通学 | 原則として毎日登校 | スクーリングの日数は学校・コースで年数日〜週5日まで |
| 授業の受け方 | 教室で時間割どおり | レポート(添削指導)・スクーリング・試験で単位を取る |
| ペースの決め方 | 学校の時間割が決める | 自分で決める部分が大きい |
| 卒業資格 | 高等学校卒業 | 高等学校卒業(同じ) |
| 向きやすい人 | 決まったリズムがあるほうが続く人 | 通学に負担がある人、時間を自分で使いたい人 |
どちらが上ということはありません。「自分で決める部分が大きい」ことは、自由である一方で、ペースを崩すと卒業が遅れやすいという面もあります。通信制を選ぶなら、学習を一緒に管理してくれる担任やサポートがあるかを確かめておくと安心です。
偏差値の代わりに見る5つの項目
| 項目 | なぜ大事か |
|---|---|
| スクーリング・通学の日数と場所 | 通えないと単位が取れない |
| 学習の支え方 | レポートや課題が止まったとき、誰が声をかけてくれるか |
| 卒業までの年数 | 在籍が長引くと費用も増える |
| 費用の内訳 | 就学支援金が使えるのは授業料だけ |
| その学校で過ごす1日の流れ | 体験授業で、自分に合うかを確かめられる |
通信制高校では、週5日通うコースの生徒は12.5%で、月1〜2回や自由登校などのコースが33.2%でした(同調査)。平日の多くを自分で学ぶ学び方では、偏差値よりペースを保てる仕組みがあるかが卒業を左右します。説明会や体験授業では、パンフレットに書いていない「レポートが止まったとき、誰がどう声をかけてくれるか」を聞いてみると、学校ごとの違いがよく見えます。
偏差値の話を、親子でするときに
模試の結果が返ってくると、保護者の方もつい数字に目が行きます。ただ、偏差値は「その日の、その集団での位置」です。数字そのものより、どの科目で、平均点とどれくらい差があったかを一緒に見るほうが、次にやることが具体的になります。
高校選びの話をするときは、「どこなら入れるか」と同じくらい「どこなら3年間続けられそうか」を本人に聞いてみてください。通学の距離、朝の時間、授業の進み方、友だちとの関わり方など、偏差値の表には載っていない条件のほうが、入学後の毎日を左右することが多いからです。
費用の面では、2026年度から国の就学支援金に所得制限がなくなり、私立の通信制高校は1単位13,668円・年間337,200円まで授業料にあてられます。公立の通信制は授業料が1単位あたり数百円程度です。ただし支援金の対象は授業料だけで、施設費やサポート校の費用には使えません。
よくある誤解
- 「偏差値50は頭が悪い」:真ん中という位置の数字で、頭の良し悪しではありません。
- 「通信制は偏差値が低い人が行く学校」:偏差値が付かないのは入試の方式のためで、生徒の学力の幅は広いです。
- 「偏差値がない=楽に卒業できる」:卒業には3年以上の在籍、74単位以上、特別活動30単位時間以上が必要で、全日制と同じ高校の基準です。
- 「偏差値の高い高校に行けば、大学受験も有利」:環境の影響はありますが、大学入試で見られるのは本人の学力と書類です。どの高校からでも、模試で自分の偏差値を確かめながら準備できます。
- 「偏差値は一度決まったら変わらない」:偏差値はその試験・その集団での位置なので、受けるたびに変わります。とくに真ん中の帯は動きやすい帯です。

偏差値で決めない学び方もあります
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制サポート校です。担任がつき、全国の仲間とプロジェクトや行事に取り組めます。カメラとマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。
正直な注意点も書いておきます。ニジ高そのものは高校ではありません。卒業資格は提携する通信制高校で取り、提携校のスクーリングへの参加が必要です。費用は提携校の分とニジ高の分がかかり、ニジ高の分には就学支援金は使えません。金額は学費のご案内で公開しています。


偏差値だけで決めない高校選び、相談できます
個別相談では、いまの成績や通学への不安をうかがいながら、通信制高校の選び方と卒業までの見通しを事実ベースでお伝えします。中学生・保護者の方だけの参加もできます。
よくある質問
受けた模試の受験者のちょうど真ん中です。点数の分布が正規分布に近いと仮定すると上位約50%で、40人のクラスなら20番前後にあたります。
どちらでもありません。偏差値は集団の中での位置を表す数字で、頭の良し悪しや伸びしろは分かりません。真ん中の帯は人数が多く、少しの積み重ねで順位が動きやすい帯です。
正規分布を仮定すると、偏差値60は上位約16%、65は約7%、70は約2%です。実際の模試の分布はきれいな山にならないこともあるため、目安として使ってください。
ほとんどありません。全国323校のうち面接で選考する学校が296校、学力検査を行うのは91校で、点数の順番で合否を決めない学校が多いためです。ネット上の通信制の偏差値は、公式の資料からは確かめられない数字です。
できます。大学入試は高校の偏差値ではなく、受験する本人の学力や書類で判断されます。通信制高校を卒業しても全日制と同じ「高等学校卒業」で、大学の受験資格も同じです。
偏差値は「いまの位置」。伸び方は、学ぶ場所で変わる
偏差値50は、真ん中にいるという事実を表すだけです。そこから上がるか、どんな3年間を過ごすかは、数字ではなく学ぶ環境と積み重ねで決まります。高校を選ぶときは、偏差値の数字と一緒に「ここなら続けられそうか」も並べて比べてみてください。
偏差値50という数字に落ち込む必要はありません。真ん中にいるということは、上にも下にも動ける位置にいるということです。どの高校を選んでも、そこで何を積み重ねるかで3年後の自分は変わります。
迷ったときに話を聞ける場所として、入口を置いておきます。

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参考:文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」/東京都教育委員会「令和9年度 通信制課程入学案内」/神奈川県「令和9年度 公立高等学校入学者選抜 選考基準」/N高等学校「入学試験について」/学校教育法(いずれも2026年9月確認)

