中3の秋。まわりが志望校の話を始めるころ、家の中では別の心配が大きくなっていきます。中学にはほとんど行けていない。でも高校には行ってほしい。入学したら、今度こそ通えるのだろうか。それとも、また同じことになるのだろうか。
この記事は、その答えの出ない問いを抱えている保護者の方に向けて書いています。先に、いちばん大事なことを書きます。中学で不登校だったことは、高校に通えないことを意味しません。そして、高校に「毎日通えるかどうか」だけで進路を決める必要もありません。
中学の不登校がどのくらい起きているのか。不登校を経験した子がその後どうなっているのか。高校で変わる子と変わらない子は何が違うのか。どんな高校なら続けやすいのか。公的な資料をもとに整理しました。
入試の仕組みそのものについては、中学不登校から高校入試|出席日数の影響と内申書のない進学方法もあわせてご覧ください。
結論:中学不登校から高校へ、の早見
- 中学生の不登校は約21.6万人。およそ15人に1人です。「うちの子だけ」ではありません。
- 中3で不登校だった子の高校進学率は85.1%。国の追跡調査の数字で、前回調査の65.3%から大きく上がっています。
- 高校で通えるようになる子もいれば、そうでない子もいます。分かれ目は本人の努力より、不登校の背景(人間関係か、体調か)と環境の相性です。
- 「今度こそ毎日通う」を前提にした高校選びは、つまずいたときに逃げ場がありません。通い方を選べる高校を候補に入れておくと安心です。
- 通信制高校の生徒は約31万人。高校生のおよそ10人に1人です。例外的な進路ではなくなっています。
- 進路を決めるのは、本人が眠れて食べられている日に。しんどい日に大きな決断をしなくて大丈夫です。
数字で見ると、中学生の約15人に1人が不登校です
まず、不登校がどれくらい起きているのかを公的な統計で確認します。
| 項目 | 数値(令和6年度) |
|---|---|
| 中学校の不登校生徒数 | 216,266人 |
| 中学生1,000人あたり | 67.9人(約15人に1人) |
| うち中学3年生 | 80,464人 |
| 高校の不登校生徒数 | 67,782人(1,000人あたり23.3人) |
※出典=文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」。小・中学校全体の不登校は353,970人で過去最多、高校は前年度から減少しています。2026年9月時点の公表値です。
中学校の1クラスが30人なら、2人ほどは不登校という計算になります。学校に行けない状態は、特別な家庭にだけ起きることではありません。
高校の数字が中学より小さいことにも気づくと思います。ただし、これを「高校生になれば通えるようになる」と読むのは早すぎます。高校では、通えなくなった生徒が中退したり、出席の考え方が違う通信制へ移ったりするため、単純には比べられないからです。数字が示しているのは、高校には「通い方を変える」という選択肢がある、ということです。
中学で不登校だった子の多くは、高校に進学しています
「中学に行けていないのに、高校なんて無理なのでは」。この不安には、国の追跡調査がひとつの答えを出しています。
文部科学省は、中学3年生のときに不登校だった生徒が5年後にどうなっているかを調べました。
| 項目 | 前回調査 | 今回調査 |
|---|---|---|
| 高校進学率 | 65.3% | 85.1% |
| 高校中退率 | 37.9% | 14.0% |
| 20歳時点で大学・短大・高専に在学 | 8.5% | 22.8% |
※出典=文部科学省「不登校に関する実態調査 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~」(平成26年公表)。調査対象は平成18年度の中3生のため、現在の状況とは異なる可能性があります。
中学で不登校だった子の8割以上が高校に進んでいます。そして、この調査のあとも通信制高校や支援の場は増え続けています。中学の出席状況が、そのまま高校以降の進路を決めるわけではありません。
高校で「変わる子」と「変わらない子」
とはいえ、「高校に入れば通える」とも言い切れません。現場で見ていると、入学をきっかけに動き出す子もいれば、環境が変わっても同じところでつまずく子もいます。違いは、本人のやる気よりも不登校の背景にあることが多いです。
| 高校で変わりやすい | 高校でも変わりにくい | |
|---|---|---|
| 主な背景 | 中学の人間関係、クラスの雰囲気、特定の先生との相性 | 起立性調節障害などの体調、うつ・不安などの心の不調、発達特性による疲れやすさ |
| 変わるきっかけ | 人間関係のリセット、自分で選んだ学校という納得感、興味に合う科目や部活 | 環境よりも、体調の回復や負担の少ない通い方 |
| 注意したいこと | 入学直後の緊張が切れる5〜6月、夏休み明け | 「高校生になったのだから」というプレッシャーで一気に崩れること |
人間関係がきっかけだった子は、クラスメートが一新されることで、驚くほど軽くなることがあります。通学時間が変わって生活リズムが整う、「新しい学校に入った」という区切りが背中を押す、ということもあります。
一方で、朝起きられない、頭痛や腹痛が続くといった体の症状がある場合、学校が変わっても体は同じです。「高校生になったのだから今度こそ」という期待が、本人にとっては一番重い荷物になることがあります。入学後に同じ状態に戻ったとき、本人は「やっぱり自分はだめだ」と、中学のときよりも強く自分を責めてしまいます。
だから大切なのは、「変わる子か、変わらない子か」を当てることではありません。どちらだったとしても続けられる環境を選んでおくことです。

高校の種類によって、「通う」の意味はまったく違います
「高校に通えるか」という問いは、実はどの高校かによって意味が変わります。毎日決まった時間に登校する学校もあれば、そもそも毎日の登校を前提にしていない学校もあるからです。
| 学校の種類 | 通い方 | 進級・卒業の考え方 | 向いている子 |
|---|---|---|---|
| 全日制高校 | 平日毎日、朝から夕方まで | 科目ごとの出席(授業時数)が必要 | 環境が変われば通えそうな子 |
| 定時制高校 | 1日4時間程度。昼間・夜間など | 出席が必要。4年制が多い(3年で卒業できる学校もある) | 短い時間なら通えそうな子 |
| 通信制高校 | 自宅学習が中心。登校(スクーリング)は年に数日〜週数日 | レポート・スクーリング・試験で単位を認定 | 体調に波がある子、自分のペースで進めたい子 |
| サポート校 | 通信制高校と併用。通学型・オンライン型など | 卒業資格は提携する通信制高校で取得 | 通信制の自学自習を一人で続けるのが不安な子 |

全日制・定時制は、科目ごとの出席時数が足りないと単位が認められません。一方、通信制高校は日々の出席日数で進級が決まる仕組みではありません。体調が悪い日が続いても、レポートを出してスクーリングに参加すれば単位を積み上げられます。
東京都のチャレンジスクールのように、不登校経験のある生徒を想定した公立高校もあります(チャレンジスクールとは?)。
そして、通信制を選ぶ生徒はもう少数派ではありません。2025年度は通信制高校の生徒数が30万5,221人で、高校生の9.6%、約10人に1人にあたります。令和8年度(2026年5月1日時点)の速報値では31万2千人と、さらに過去最多を更新しました。
※出典=文部科学省「学校基本調査」(令和7年度・令和8年度速報)。2026年9月時点の公表値です。
高校を選ぶ前に確認したい5つのこと
見学や説明会では、パンフレットの雰囲気よりも、次の5点を具体的に聞いてみてください。
- 登校は何日必要か。年に数日なのか、週に何日なのか。登校できない日はどう扱われるのか。
- 体調を崩した時期の扱い。数週間動けなかったとき、レポートの締切や試験はどうなるのか。
- 担任や相談できる大人がいるか。通信制は自由度が高い分、一人で抱え込むと止まりやすいです。定期的に声をかけてくれる人がいるかは大きな差になります。
- 人との関わり方を選べるか。友達がほしい子にも、しばらくは一人で進めたい子にも、それぞれの参加の仕方があるか。
- 学費の総額。通信制高校の授業料は就学支援金の対象ですが、サポート校の費用は対象外です。合計でいくらになるかを確認しておきましょう(サポート校の学費に就学支援金は使えません)。
相談会で聞くことの整理には、個別相談に行く前に準備すること|通信制高校選びの質問リストも使えます。

中3の今からできる、入学前の準備
高校に入ってから急に生活を変えるのは、誰にとっても大変です。入学までの時間を使って、少しずつ準備しておくと、4月の負担が軽くなります。ただし、どれも「できたらいい」くらいの温度で十分です。全部をやろうとする必要はありません。
| 準備すること | 小さな一歩の例 |
|---|---|
| 生活リズム | 起きる時間を30分だけ早める日を、週に1〜2日つくる |
| 勉強の感覚 | 好きな教科の動画授業を、1日10分だけ見てみる |
| 人とのつながり | オンラインのイベントや習い事に、見学だけ参加してみる |
| 外に出る練習 | 近所のコンビニや図書館に、目的をひとつ決めて行ってみる |
| 学校を知る | 説明会の動画や、学校のSNSを一緒に眺めてみる |
どれかひとつでもできた日は、それで十分です。中学の間に「できた」を少しでも積んでおくと、高校生活のスタートで「自分にもできるかもしれない」と思えるようになります。反対に、準備がうまく進まなくても、入学を諦める理由にはなりません。
「今度こそ」と言う前に。保護者が言い換えたい言葉
高校進学は、保護者にとっても区切りです。期待がふくらむのは当然ですが、本人はその期待を、言葉以上に敏感に受け取っています。
| 言いがちな言葉 | 言い換えの候補 |
|---|---|
| 高校からは心機一転がんばろう | 高校は、あなたが続けやすい形を選べばいいよ |
| 高校は義務教育じゃないんだから | 休む日があっても大丈夫な学校もあるんだって |
| 中学に行けなかった分を取り戻さないと | 今までのペースで、少しずつでいいよ |
| みんな全日制に行くのに | いろんな通い方の高校があるから、一緒に見てみよう |
「無理しなくていい」と伝えると、本人が楽なほうへ流れてしまうのでは、と心配になる方は多いです。けれども実際には、失敗しても戻れる場所があると分かっているほうが、人は新しいことに踏み出しやすくなります。
もうひとつ。進路の話は、本人の調子がいい日にしてください。眠れていない日や落ち込んでいる日に「どうするの」と聞かれると、どんな選択肢も重く見えてしまいます。
もし、いま読んでいるのが本人なら
ここまで保護者向けに書いてきましたが、自分でこの記事を探して読んでいる人もいると思います。その人に向けて、短く書きます。
中学に行けなかったことは、あなたの高校生活が決まってしまったという意味ではありません。中学で不登校だった人の8割以上が高校に進んでいます。毎日通う高校もあれば、家で学べる高校もあります。
そのうえで、いま覚えておいてほしいことを3つ。
- 「今度こそ」と気負わなくていい。高校は、がんばって合わせる場所ではなく、自分に合うものを選べる場所です。
- 気になる学校を、見るだけ見てみる。オンラインの説明会なら、顔を出さずに参加できるところもあります。
- しんどい日は、決めなくていい。進路を決めるのは、よく眠れた日で十分です。
小さな「できた」を積み重ねる
不登校の期間が長くなると、「どうせ自分には無理」という感覚が少しずつ積もっていきます。それを一気にひっくり返す必要はありません。
オンライン授業に10分だけ参加できた。レポートを1本出せた。チャットで一言返せた。どれも、外から見れば小さなことです。でも本人にとっては、「自分にもできることがある」と確かめる大切な一歩です。
安心できる環境で小さな「できた」が重なると、「友達をつくってみたい」「大学に行ってみたい」という気持ちが、本人の中から自然に出てくることがあります。高校選びで見てほしいのは、この「できた」を積み重ねやすい場所かどうかです。

入学後につまずきやすい時期を知っておく
高校に入ってから、ずっと同じペースで過ごせる人はほとんどいません。つまずきやすい時期を先に知っておくと、保護者も本人も慌てずに済みます。
| 時期 | 起きやすいこと | 保護者ができること |
|---|---|---|
| 4月 | 新しい環境への緊張で、帰宅後にぐったりする | 休日はしっかり休ませる。予定を詰め込まない |
| 5〜6月(連休明け) | 入学直後の緊張が切れて、疲れが一気に出る | 「最初の1か月、よく頑張ったね」と伝える |
| 夏休み明け | 休みの間に生活リズムが崩れ、戻るのに時間がかかる | 8月後半から少しずつ朝の時間を戻す |
| 冬(1〜2月) | 学年末の課題や、単位の見通しで不安が強くなる | 担任や学校に早めに相談し、残りの課題を一緒に確認する |
どの時期に調子を崩しても、それは「やっぱり高校も無理だった」という意味ではありません。波があるのは自然なことで、大切なのは波が来たときに戻れる仕組みがあるかどうかです。通信制高校やサポート校を選ぶ場合は、調子を崩したときにどんな支援があるのかも、入学前に聞いておきましょう。
ニジ高という選択肢
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、通信制高校と連携して学びを支える通信制サポート校です。オンラインが中心で、全国どこからでも、海外からでも参加できます。「通学できるかどうか」で悩む前に、まず学べる場所があります。
担任がつき、カメラもマイクもオフのまま、チャットだけの参加から始めても構いません。体調が落ち着くまでは自宅学習を中心に進め、調子が戻ってきたら、オンラインのイベントやサークル、仲間との交流を少しずつ増やしていく、という進め方ができます。「行かなければならない」ではなく「行けそうだから行ってみよう」と思える距離感を大切にしています。
ニジ高は、不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の高等部です。これまで650名以上の不登校の子どもたちを支えてきた知見を生かし、小中学生から大学生、社会人まで、世代や地域を越えて関われる環境をつくっています。
正直な注意点も書いておきます。学院内でのスクーリングはありません。高卒資格を得るには、提携する通信制高校のスクーリングに参加する必要があり、私たちはその準備と当日を支える立場です。また、毎日登校する全日制と同じ体験になるわけではありません。学費は学費のご案内で公開しています。
一日の過ごし方はニジ高の一日、学びの考え方は教育モデルでご覧いただけます。


まだ決めていない段階でも、話を聞くだけで大丈夫です
個別相談会では、いまの様子や体調をうかがいながら、全日制・定時制・通信制それぞれの通い方を並べて比べます。保護者の方だけの参加もできます。
よくある質問
入れます。全日制の入試では内申点(調査書)に出席状況が影響することがありますが、自治体によっては不登校の生徒への配慮を設けていたり、学力検査の比重が高い選抜方式があったりします。通信制高校は、書類と面接・作文で選考する学校が多く、中学の出席日数が合否を大きく左右することは少ないです。詳しくは中学不登校から高校入試をご覧ください。
途中から通信制高校へ移る道があります。修得済みの単位は引き継げるので、タイミングが合えば学年を落とさずに卒業できます。ただ、「合わなかったら移ればいい」と考えるなら、入学前に転入先の候補も一緒に見ておくと、いざというときに慌てずに済みます。
学校によって大きく違います。スクーリングの日数、オンラインでの交流の場、部活やイベントの有無を確認してください。「最初は一人で進めたいけれど、いずれは誰かと話したい」という子には、関わり方を段階的に選べる学校が合っています。
できます。一般選抜では高校の種類で扱いが変わることは基本的にありません。受験に向けた学習サポートの内容は学校ごとに差があるので、進学を考えている場合は具体的に確認しましょう(通信制高校から大学進学できる?)。
無理に話し合いの場をつくらなくて大丈夫です。保護者が先に説明会に参加して情報を集めておき、本人が興味を示したときに「こんな学校もあったよ」と渡せる状態にしておく。それだけで十分な準備です。家族の中で意見が分かれているときは、通信制高校に反対されたら?も参考にしてください。
中学での不登校は、高校の行き先を決めません
中学で学校に行けなかったのは、本人が弱いからではありません。その環境と、その時期の本人が合わなかった。それだけのことです。そして高校には、中学よりずっと多くの選択肢があります。
やることは多くありません。不登校の背景が人間関係なのか体調なのかを落ち着いて見ること。「今度こそ」を押しつけないこと。毎日通う以外の通い方も候補に入れること。そして、家族だけで抱え込まないこと。
学校の外にも道があることを知りたくなったときのために、入口だけ置いておきます。今日でなくて大丈夫です。

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