通信制高校から、塾なし・独学で大学受験はできます。通信制高校の卒業は全日制と同じ「高等学校卒業」で、受験資格も同じです。大切なのは、塾に行くかどうかより、入試方式を早めに決めて、無料で使える公式の材料と、自分で回せる学習計画をそろえることです。
塾や予備校が必要かどうかの判断は、通信制高校の生徒に予備校・塾は必要?の記事でくわしく扱っています。この記事は「まずは塾なしでやってみたい」という人のために、大学入試センターや文部科学省、大学が公開している情報をもとに、独学で進めるための材料・学年別の計画・推薦と総合型の準備・塾を考え直すタイミングをまとめました。
結論:通信制高校から塾なし・独学で大学受験の早見
- 受験資格は全日制と同じです。通信制高校の卒業(見込み)で、共通テストも各大学の入試も受けられます。
- 最初に決めるのは入試方式です。一般選抜・学校推薦型選抜・総合型選抜で、独学の進め方がまったく違います。
- 無料の公式の材料があります。共通テストは大学入試センターが過去3年分の問題と正解を公開し、出題意図や解答例を出している大学もあります。
- 2027年の共通テストは1月16日・17日です。出願の登録はすでに締め切られているので、次は自分の受験票と試験場の確認です。
- 独学でも「相談相手」は必要です。通信制高校の先生に、計画・志望理由書・面接練習を見てもらいましょう。点数が2〜3か月止まったら、塾を考え直す目安です。
独学で大学受験はできる?通信制高校の「時間」は強みになる
通信制高校は、学校教育法にもとづく高等学校の「通信制の課程」です。3年以上在籍し、74単位以上を修得すれば卒業でき、卒業すれば全日制・定時制と同じ高等学校卒業になります。大学の入学資格も、共通テストの出願資格も、全日制の生徒と同じです。
通信制高校の生徒が独学に向いている理由は、自分で使える時間が多いことです。毎日決まった時間に授業がある全日制と違い、レポートとスクーリング以外の時間をどう使うかを、自分で決められます。この時間を受験勉強に回せれば、塾に通わなくても、必要な勉強時間は確保しやすくなります。
一方で、決まった時間割がないぶん、「何もしないまま1か月たっていた」が起きやすいのも事実です。独学がうまくいくかどうかは、能力よりも「計画を立てる」「進み具合を確かめる」「困ったときに相談する」の3つを仕組みにできるかで決まります。この記事では、その仕組みづくりを順番に説明します。
まず決めること|入試方式で「独学のやり方」が変わる
大学の入試は、大きく一般選抜・学校推薦型選抜・総合型選抜の3つです。文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」で、それぞれの時期が決められています。

| 一般選抜 | 学校推薦型選抜 | 総合型選抜 | |
|---|---|---|---|
| 出願・試験の時期 | 大学の個別試験は2027年2月1日〜3月25日 | 出願は2026年11月1日以降 | 出願は2026年9月1日以降 |
| 合否の発表 | 2027年3月31日まで | 2026年12月1日以降 | 2026年11月1日以降 |
| 主に見られるもの | 共通テストと個別試験の点数 | 調査書(成績)、推薦書、面接・小論文など | 志望理由書、活動の記録、面接・プレゼンなど |
| 独学の中心 | 教科の勉強と過去問演習 | 評定を保つ、小論文・面接の練習 | 志望理由を深める、書類と面接の練習 |
※文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(2026年5月27日付け通知、2026年10月確認)。実際の日程・試験内容は大学ごとの募集要項で確認してください。
独学のやり方は、方式によってかなり違います。一般選抜なら、教科書と過去問を中心に教科の点数を上げることが中心です。学校推薦型選抜は、在籍校の推薦が必要なので、まず通信制高校の先生に「推薦の枠や条件があるか」を聞くところから始まります。指定校推薦については通信制高校で指定校推薦はある?でまとめています。総合型選抜は、書類と面接の比重が大きく、教科の勉強とは別の準備が必要です。
迷っている場合は、一般選抜の勉強を軸にしつつ、総合型選抜も並行して調べるのがおすすめです。教科の力はどの方式でも役に立ち、総合型選抜で合格すれば早めに進路が決まります。
2026〜2027年の入試カレンダー|共通テストの日程
令和9年度(2027年1月実施)の大学入学共通テストの日程は次のとおりです。大学入試センターの発表にもとづいています。
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 出願内容の登録・検定料の支払い | 2026年9月15日〜10月2日(受付終了) |
| 出願内容の確認・訂正 | 2026年10月9日〜10月16日(マイページ) |
| 受験票の取得 | 2026年12月4日から(マイページ) |
| 本試験 | 2027年1月16日(土)・17日(日) |
| 追・再試験 | 2027年1月23日(土)・24日(日) |
※大学入試センター「令和9年度試験」、リセマム(2026年9月15日、大学入試センターの発表を報道)より(2026年10月確認)。
共通テストは、令和7年度から「情報」を加えた7教科21科目になりました。どの科目が必要かは志望大学によって違うので、高2のうちに志望校の募集要項で受験科目を確認しておくと、独学で「やらなくていい科目」に時間を使わずにすみます。
出願は、受験生本人がWebの出願サイトで行います。通信制高校の生徒の出願や試験場の決まり方は、共通テストの出願は個人のWeb出願の記事で説明しています。発達障害や病気などで受験上の配慮が必要な場合、令和9年度は第1期が2026年7月1日〜8月28日、第2期が8月31日〜10月2日の申請期間でした。次の年に受ける人は、高3の夏前に準備を始めてください。
塾なしで使える公式・無料の材料
独学でいちばん困るのは「何を使えばいいか分からない」ことです。まずは、お金をかけずに使える公式の材料から始めましょう。
| 材料 | どこで手に入る | 使い方 |
|---|---|---|
| 共通テストの過去問題(過去3年分) | 大学入試センターのウェブサイト。令和6〜8年度の本試験と追・再試験の問題と正解 | 高3の夏までに1回分を時間を計って解き、出題の形と時間配分をつかむ |
| 共通テストの試作問題 | 大学入試センター(令和7年度からの新しい出題に向けて公開) | 「情報」など、過去問がまだ少ない科目の出題イメージをつかむ |
| 大学の過去問・出題意図・解答例 | 大学の公式サイト(例:岩手大学、島根大学、神戸大学などが公開。年数や内容は大学ごと) | 志望校の出題の傾向と、大学が求める力を知る |
| 大学の募集要項・入学者受入れの方針 | 各大学の公式サイト | 受験科目、配点、総合型選抜で求める人物像を確認する |
| 通信制高校の教科書とレポート | 在籍している通信制高校 | 基礎の確認に使う。共通テストは高校の学習指導要領の範囲から出題される |
※大学入試センター「過去3年分の試験問題」(2026年10月確認)。大学入試センターのページには解説は載っていません。
大学入試センターの過去問には解説がないので、間違えた問題は教科書や手持ちの参考書に戻って調べるのが基本です。この「戻って調べる」作業そのものが、独学のいちばんの勉強になります。市販の問題集を買う場合も、1教科1冊に絞り、同じ本を3周するほうが、何冊も手を出すより力がつきます。
また、文部科学省は「大学入試情報提供サイト」で、入試制度の変更や大学入学者選抜実施要項をまとめて公開しています。制度の変更は塾に行っていないと気づきにくいので、年に1〜2回は公式の情報を確認する習慣をつけておくと安心です。

学年別の学習計画|高1・高2・高3でやること
独学では、計画を立てる役も自分です。学年ごとの大きな目標を決めておくと、毎週の勉強に迷いにくくなります。一般選抜を軸にした場合の目安です。

| 時期 | 受験勉強 | 通信制高校でやること |
|---|---|---|
| 高1 | 英語と数学の基礎を、中学の内容から抜けなく戻す。1日30分〜1時間の勉強を習慣にする | レポートとスクーリングのペースをつかみ、単位を確実に取る |
| 高2 | 志望校の候補を3つ決め、受験科目を確認。英数国の基礎を1冊ずつ仕上げる | オープンキャンパスに行く。総合型選抜を考えるなら活動を記録し始める |
| 高3の4〜8月 | 共通テストの過去問を1回解き、弱い分野を洗い出す。理科・社会を本格的に始める | 推薦の条件を先生に確認。総合型選抜は志望理由書を書き始める |
| 高3の9〜12月 | 過去問を時間を計って解き、間違えた分野を教科書に戻って復習する | 総合型・推薦の出願と面接。卒業に必要な単位を取り切る |
| 高3の1〜3月 | 共通テスト本番、志望校の過去問で個別試験の対策 | 卒業の手続き。出願書類(調査書)の発行を依頼する |
大切なのは、高校の卒業に必要な単位を落とさないことです。大学に合格しても、高校を卒業できなければ入学できません。受験勉強に夢中になってレポートの期限を過ぎてしまうと、本末転倒になります。転校や編入をしたばかりの人は、調査書が全学年分必要になる点も含めて通信制への転校と大学受験も確認してください。
高3から受験を考え始めた人も、あきらめる必要はありません。その場合は、志望校の受験科目を絞り、英語と数学(または国語)の基礎を最優先にします。総合型選抜を考えるなら、9月からでも間に合うかは総合型選抜は9月からで間に合う?で大学の出願期間をもとに整理しています。
1週間の回し方|レポートと受験勉強を両立する
独学を続けるコツは、気合いではなく「毎週同じ形で回す」ことです。たとえば、次のように曜日で役割を決めておくと、何をするか毎日考えなくてすみます。
- 週のはじめ:今週やるページと、レポートの締め切りを書き出す(15分)。
- 平日:午前は英語・数学など頭を使う教科、午後はレポートと暗記もの、のように時間帯で分ける。
- 週の途中:スクーリングや通学のある日は、移動時間に単語や一問一答。
- 週の終わり:できたこと・できなかったことを見直し、来週に回す(30分)。
- 月に1回:過去問か模試で今の位置を確かめ、計画を直す。
計画の見直しは、ひとりだと甘くも厳しくもなりがちです。月に1回でいいので、週の記録を通信制高校の先生や家族に見せる日を決めておくと、続けやすくなります。自宅学習を続ける工夫は通信制高校から大学進学を目指す勉強法でも紹介しています。

推薦・総合型選抜を塾なしで準備する
学校推薦型選抜や総合型選抜は、「書類と面接は塾でないと対策できない」と思われがちですが、独学でも準備の中身は同じです。必要なのは、書いたものや話す内容を見てくれる大人です。
- 大学の方針を読む。大学が公開している「入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)」と募集要項を読み、求められる人物像と提出書類を書き出します。
- 志望理由を言葉にする。「なぜその分野か」「なぜその大学か」「入学後に何をしたいか」を、まずは箇条書きでノートに書きます。
- 活動を記録する。通信制高校の時間を使った活動(アルバイト、ボランティア、趣味の研究、資格の勉強など)を、日付と内容でメモしておきます。
- 先生に見てもらう。志望理由書の下書きと面接の練習は、在籍する通信制高校の先生に頼めます。調査書や推薦書を書くのも高校です。
- 小論文は「書いて直す」を繰り返す。大学が公開している過去の小論文の問題を使い、時間を計って書き、見てもらって書き直します。
国の要項では、調査書は在籍する高校が作成し、志願者が提出することになっています。また、未履修の科目があっても合否判定で不利にならないよう配慮することが、大学に求められています。総合型選抜で見られるポイントは総合型選抜に強い通信制高校はどう選ぶ?も参考にしてください。

独学でつまずきやすい3つのポイントと対策
| つまずき | 起きやすいこと | 対策 |
|---|---|---|
| 計画が続かない | 最初の1〜2週間だけ頑張って、そのあと止まる | 1日の量を半分にする。週の見直しの日を固定し、誰かに記録を見せる |
| 分からない問題で止まる | 1問に1時間かかり、ほかの勉強が進まない | 15分考えて分からなければ印をつけて飛ばし、まとめて先生に質問する |
| 自分の位置が分からない | できているつもりで、本番の形式に慣れていない | 高3の夏までに共通テストの過去問を時間どおりに解く。月1回は点数を記録する |
独学の不安の多くは、「ひとりで全部決めなければいけない」ことから来ます。勉強そのものはひとりでも、質問先と、計画を見せる相手は別に用意すると考えると、ぐっと楽になります。在籍している通信制高校に、レポートや教科の質問、進路相談をどこで受けられるかを聞いておき、遠慮せずに使いましょう。進路相談の相手の大切さは通信制高校から大学受験|進路相談の相手がいるかで結果は変わるでも説明しています。
塾・予備校を考え直すタイミング
独学は「ずっと塾なしでいなければならない」ものではありません。次のようなときは、塾・予備校・通信教育・家庭教師を一部だけ使うことを考えてもよい時期です。
- 過去問や模試の点数が、2〜3か月たっても伸びない
- 計画を立て直しても、2〜3週間で止まってしまうことが続く
- 志望校が記述・論述中心で、答案を添削してくれる人がいない
- 苦手な1教科だけ、基礎から説明してもらう必要がある
このとき、全部の教科を塾に任せる必要はありません。苦手な1教科だけ、添削だけ、直前期だけのように、必要な部分だけ使う形もあります。塾や予備校の種類と費用、通信制高校との両立のしかたは、塾・予備校の4つの形と費用と通信制高校の生徒に予備校・塾は必要?の記事でくわしく比べています。
お金の準備|奨学金の予約採用は高校を通じて申し込む
塾なしで受験すると、受験勉強の費用は抑えられますが、受験料や入学金、大学の学費は必要です。日本学生支援機構(JASSO)の奨学金には、大学に進学する前の年度に、在籍する高校を通じて申し込む「予約採用」があります。通信制高校の生徒も、在籍する高校を通じて申し込みます。具体的な日程は学校ごとに違うので、高3の春には先生に確認してください。
給付奨学金を受けるには、進学先の大学が国や自治体から対象校として確認を受けている必要があります。対象校は文部科学省のサイトで調べられます。受験校を決める段階で、学費と一緒に確認しておくと安心です。
独学で進めたい人の伴走役として|NIJIN高等学院
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制サポート校です。担任がつき、レポートの進め方や進路の相談を一緒にできます。「勉強は自分のペースで進めたいけれど、計画を見てくれる人がほしい」という人の伴走役になれるよう取り組んでいます。全国の仲間と取り組むプロジェクトや行事もあり、カメラとマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。
正直な注意点も書いておきます。ニジ高そのものは高校ではありません。卒業資格は提携する通信制高校で取り、提携校のスクーリングへの参加が必要です。また、ニジ高は塾・予備校ではないので、合格を約束するものではありません。費用は提携校の分とニジ高の分がかかり、ニジ高の分には就学支援金は使えません。金額は学費のご案内で公開しています。

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よくある質問
できます。通信制高校を卒業すれば全日制と同じ高等学校卒業で、大学の受験資格も同じです。独学の場合は、入試方式を早めに決め、大学入試センターが公開している共通テストの過去問題や、大学が公開している過去問を使って、自分で計画を立てて進めます。
大学入試センターのウェブサイトで、令和6〜8年度の過去3年分の本試験と追・再試験の問題と正解が公開されています(2026年10月確認)。解説は載っていないので、教科書や参考書で解き直すと効果的です。
令和9年度大学入学共通テストの本試験は2027年1月16日(土)・17日(日)、追・再試験は1月23日(土)・24日(日)です。出願の登録は2026年10月2日で締め切られています。
準備できます。志望理由書の下書き、面接の練習、調査書の確認は、在籍している通信制高校の先生に相談しながら進められます。総合型選抜の出願は9月1日以降、学校推薦型選抜は11月1日以降と国の要項で決まっているので、逆算して準備を始めます。
模試や過去問の点数が2〜3か月伸びない、計画が続かない、志望校の記述・論述の添削を受ける相手がいない、といったときが考え直す目安です。塾・予備校・通信教育・家庭教師のどれを選ぶかは、費用と生活リズムで決めます。
まとめ:塾なしでも、ひとりで抱え込まない受験を
通信制高校から塾なしで大学受験をすることは、十分にできます。まずは入試方式を決め、大学入試センターの過去問や大学が公開している情報など、無料の公式の材料から始めてください。学年ごとの目標を決め、毎週同じ形で計画を回し、月に1回は過去問で自分の位置を確かめる。この3つができれば、独学でも迷いにくくなります。
そして、勉強はひとりでも、相談まで一人で抱える必要はありません。通信制高校の先生や家族に計画を見せ、行き詰まったら塾を一部だけ使うことも選べます。自分に合う形を、少しずつ見つけていきましょう。

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参考:大学入試センター「令和9年度試験」「過去3年分の試験問題」/文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」「大学入試情報提供サイト」「高等学校通信教育」/日本学生支援機構「給付奨学金の申込みは、いつ、どのようにして行うのですか。」「進学前に申し込む(予約採用)」/リセマム「2027年度共通テスト、出願受付9/15開始」(2026年9月15日)/岩手大学・島根大学・神戸大学の入試過去問題公開ページ(いずれも2026年10月確認)

