朝、どうしても体が起きない。声をかけると「わかってる」と言うのに動けない。昼を過ぎるとふつうに話すので、家族の中でも「怠けているのでは」という言葉が出てしまう。そういう毎日を何か月も続けてきた方に読んでいただきたい記事です。
先に結論を書きます。午前に症状が強く、午後になると軽くなるという波は、起立性調節障害(OD)でよく知られた特徴です。日本小児心身医学会の起立性調節障害ワーキンググループは、朝起き不良による遅刻や欠席が周囲の無理解から怠けや仮病と見られ、本人が心理的に孤立して長期の不登校やひきこもりに進むことが少なくないと書いています。そして、同じ資料には自閉スペクトラム症の併存が約35%にのぼるという報告と、神経発達症に対する教育環境の整備が起立性調節障害の症状の改善につながることがあるという記述もあります。
この記事は、日本小児心身医学会の起立性調節障害ワーキンググループがまとめた資料(日本小児科学会サイト掲載)、小児心身医学会の疾患解説、e-Govの学校教育法施行規則、文部科学省の通知、東京都教育庁の資料、内閣府のリーフレットを実際に開いて確認した内容でできています。診断や治療を決めるのは主治医です。この記事は制度と進路の整理に絞り、確認できなかったことは確認できなかったと書いています。
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発達障害・グレーゾーンの高校生のことを、1ページで整理したい方へ
高校生に多い困りごと(勉強・提出物・朝・友達)の背景と対策、学校に頼める合理的配慮、続けやすい高校の選び方と相談先をまとめたガイドです。
▶ 発達障害・グレーゾーンの高校生ガイド|勉強・提出物・高校選びと親のサポート
結論:起立性調節障害と発達障害が重なった高校生の早見
- 午前に強く、午後に軽くなる波は、起立性調節障害の特徴として学会の資料に書かれています。本人の気持ちの問題として片づけられる話ではありません。受診を検討してください。
- 診断は自己判断では決まりません。身体症状11項目のうち3項目が当てはまる場合に、午前中に新起立試験を行い、ほかの病気を除いたうえで判定するという流れが示されています。
- 自閉スペクトラム症の併存は約35%と報告されています。重症例では約4割に不安症、約1割に気分障害(とくにうつ)が見られるとされ、回復に時間がかかるときは発達・心理面の評価も考慮するよう書かれています。
- 家でできることは、水分・塩分・日中の活動・起立の仕方が中心です。水分は1日1.5〜2リットル、塩分は普段の食事+3gが目安として挙げられています(持病がある場合は主治医に確認してください)。薬は非薬物療法を行ったうえで処方されるものです。
- 学校への配慮のお願いは、令和6年4月1日から私立も含めて法的な義務になりました。障害者手帳がなくても対象になり得ます。診断書や意見書があると話が進みやすくなります。
- 午後から通う形は実際にあります。東京都の三部制(昼夜間定時制)はⅡ部(午後部)が13時10分開始です。通信制高校やオンライン中心のサポート校なら、体調の良い時間帯に学習を進められます。
- 一人で生活リズムを立て直すのが難しいときは、カメラオフ・チャット参加から始められるオンライン中心のサポート校(NIJIN高等学院など)を併せて使う形もあります。
朝起きられないのは怠けではありません。午前に強く午後に軽くなる波が、誤解を生みます
起立性調節障害でいちばんつらいのは、症状そのものだけではありません。午後になると元気に見えることです。夕方に笑って話し、夜にはゲームもできる。その姿だけを見た人は「朝だけ動かないのは気持ちの問題だ」と考えてしまいます。
日本小児心身医学会は、起立性調節障害の症状について午前に強く午後に軽減する傾向があり、立ったり座ったりすると強まり、横になると軽減すると説明しています。これは自律神経の調節の話で、意志の強さの話ではありません。
そして日本小児心身医学会の起立性調節障害ワーキンググループは、二次障害についてこう書いています。頭痛、たちくらみ、朝起き不良による遅刻や欠席が、周囲の無理解から怠けや仮病といった否定的な見方をされ、患者が心理的に孤立し、長期の不登校・ひきこもりに進展する事が少なくない。さらに、不登校やひきこもりに伴う身体機能の低下(デコンディショニング)と、不安による自律神経系の不調が、どちらも症状をさらに悪化させて悪循環に陥るとされています。
出典:日本小児科学会サイト掲載「起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation:OD)」(文責:日本小児心身医学会 起立性調節障害ワーキンググループ)/日本小児心身医学会「起立性調節障害」(いずれも2026年9月26日確認)
つまり、「怠けではない」と周囲が理解することは、気持ちの問題ではなく、悪化を防ぐための実務です。ここを家族と学校で共有できるかどうかで、その後の数年が変わります。

起立性調節障害は、立ったときの血圧と心拍の調節が追いつかなくなる状態です
立ち上がると、血液は重力で下半身に移動します。ふだんは圧受容器反射がすぐに働いて、血管が縮み、心拍が上がって血圧を保ちます。起立性調節障害は、この代償のしくみが破綻して起こると説明されています。関わる要素として、循環血液量、心拍出量、末梢血管の性質、脳の血流調節、そしてそれらを統合する自律神経の機能が挙げられています。自律神経は心理社会的なストレスの影響を受けやすいため、心身症としての側面もあるとされています。
症状として挙げられているのは、立ちくらみやふらつき、頭痛、動悸、全身倦怠感、食欲低下、起床困難、集中力の低下です。症状が続くことで学力の低下をきたすこともある、とも書かれています。集中力や思考力の低下が脳血流の低下に伴って起こるとされている点は、学校側に伝えておきたいところです。授業に出ても頭に入らないのは、やる気の問題ではないからです。
診断の流れは、次のように示されています。
- 立ちくらみ、失神、気分不良、朝の起床困難、頭痛、腹痛、動悸、午前中に調子が悪く午後に回復する、食欲不振、車酔い、顔色が悪い——という身体症状のうち3つ以上、あるいは2つ以上でも症状が強ければ疑う
- 鉄欠乏性貧血、心疾患、てんかんなどの神経疾患、甲状腺などの内分泌疾患といったほかの病気(基礎疾患)を除く
- 午前中に新起立試験を行う。安静に寝た状態から自分で立ち上がり、血圧が元に戻るまでの時間と、立っている間の血圧・心拍数を測って、診断基準に従って判定する
- 検査の結果と日常生活の状況の両面から身体的な重症度を判定し、ガイドラインの「心身症としてのOD」チェックリストで心理社会的な関与を評価する
日本小児心身医学会の疾患解説によると、有病率は、軽症例も含めて中学生の約10%とされています。また、不登校の約3〜4割に起立性調節障害が併存するとも書かれています。朝の起床困難は、思春期の子どもにとってめずらしい症状ではないということです。
生活リズムと睡眠そのものの整え方は、起立性調節障害 生活リズムの記事に分けてまとめています。この記事は、発達障害との重なりと、学校の制度の側に絞ります。

サブタイプは4つ。どれかで対応が変わるので、ここは医療機関の仕事です
新起立試験によって、起立性調節障害は次のサブタイプに分けられます。日本小児心身医学会が挙げているのは4つです。近年は脳血流低下型やハイパーレスポンス型など新しいサブタイプも報告されているが、診断には特殊な装置を必要とするとも書かれています。
| サブタイプ | 略称 | 新起立試験で見ているところ |
|---|---|---|
| 起立直後性低血圧 | INOH | 立った直後の血圧の低下と、元に戻るまでの時間 |
| 体位性頻脈症候群 | POTS | 血圧は保たれるのに、立っている間の心拍数が上がりすぎる |
| 血管迷走神経性失神 | VVS | 立っている途中で急に血圧が下がり、意識が遠のく |
| 遷延性起立性低血圧 | DeOH | 立ってしばらくたってから、じわじわ血圧が下がる |
出典:日本小児心身医学会「起立性調節障害」(2026年9月26日確認)。分類の名称は同学会の解説にあるもので、「小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン」に基づくとされています。表のいちばん右の列は、それぞれの名称が示す内容をかみくだいた説明です。
サブタイプごとの数値の基準はガイドライン本体に定められていますが、今回、公開されている一次情報の範囲では数値そのものを確認できませんでした。数値を挙げている一般向けのまとめは多くありますが、出典をたどれなかったため、この記事では書きません。気になる場合は、検査を受けた医療機関で「どのサブタイプだったか」を主治医に確認してください。同じ「朝起きられない」でも、血圧が下がるタイプと心拍が上がりすぎるタイプでは、生活の工夫の重心が変わります。
あわせて知っておきたいのは、起立性調節障害は指定難病ではないため、指定難病の制度による医療費助成・生活支援・社会支援の対象にはならないと明記されていることです。指定難病以外の助成に当たるかどうかは、今回は確認できませんでした。費用の見通しは、指定難病の助成は使えない前提で立てることになります。
自閉スペクトラム症の併存は約35%。重なったときに朝がいっそう動かなくなります
ここが、この記事の中心です。日本小児心身医学会の起立性調節障害ワーキンググループの資料には、併存について次の数字が書かれています。
- 起立性調節障害の併存疾患として、自閉スペクトラム症の併存がおよそ35%にのぼると報告されている
- 併存する精神疾患として、重症の起立性調節障害の約4割に不安障害、約1割に気分障害(とくにうつ病)を認める
- そのため、回復までに時間がかかる患者では、発達・心理面の評価を行うことを考慮する
- そして、併存障害に応じた治療と並行して、神経発達症に対する教育環境の整備を行うことが、起立性調節障害の症状の改善につながることがある
最後の1行は、進路を考える家庭にとって重い意味があります。環境を整えることが、症状の改善につながり得ると学会の資料が書いているということです。本人を変えようとする前に、学びの構造や環境を変えるという発想が、医学の側からも支持されています。
睡眠についても、重なりが報告されています。日本精神神経学会の学会誌に載った総説(これまでの報告をまとめたもの)では、自閉スペクトラム症の子どもの約40〜80%が何らかの睡眠障害をもち、ADHDでは25〜70%に睡眠障害が認められるとされています。ASDでは入眠困難・不規則な睡眠パターン・睡眠時間の短さ、ADHDでは入眠困難・睡眠の中断・概日リズムの乱れなどが代表的なものとして挙げられています。あわせて、睡眠・覚醒相後退障害(入眠も起床もうしろにずれる状態)は、ASDとADHDのどちらにも共通して生じやすく、入眠困難型の不眠症と誤って診断されて、適切でない治療が行われやすいとも書かれています。どう扱うかは医師の判断になります。
出典:和田真孝「神経発達症における睡眠障害の特徴と治療」精神神経学雑誌 第127巻第3号 175-181(2025年)(2026年9月26日確認)
つまり、朝起きられない理由が1つだとは限りません。起立性調節障害による起床困難と、発達特性に伴う入眠困難・睡眠相の後退が同時に起きていることがあります。「夜早く寝かせれば朝起きられる」がうまくいかないのは、そういう構造のことがあるからです。どちらがどれだけ関わっているかは、検査と経過を見られる主治医にしか判断できません。睡眠の相談も含めて受診を検討してください。
特性の側の困りごとの整理は、ASD 通信制高校とADHD 通信制高校の記事にも分けて書いています。
家でできることは4つに整理できます。ただし治療の組み立ては主治医と決めます
日本小児心身医学会が挙げている非薬物療法を、そのまま表にします。これは治療の一部で、これだけで治すという話ではありません。薬については「非薬物療法を行ったうえで薬を処方する。薬物療法だけでは効果は不十分と考える」と書かれています。
| 場面 | 学会の資料にある目安 | 続けるための工夫 |
|---|---|---|
| 立ち方 | 頭を下げながらゆっくり立つ | ベッドの上で足首を動かしてから座る、座って数を数えてから立つ |
| 立っている間 | 静止した起立保持は1〜2分以上続けない。短時間でも足をクロスする | 朝礼や整列の場面を学校と先に決めておく(下に配慮の話を書きます) |
| 水分と塩分 | 水分は1日1.5〜2リットル、塩分は普段の食事+3gを目安に | 枕元に水を置く、汁物やみそ汁を1品足す。持病がある場合は主治医に確認 |
| 日中の活動 | 毎日30分程度の歩行で筋力低下を防ぐ。規則正しい生活リズムを心がける | 夕方の買い物に付き合うなど、体調の良い時間帯に分けて歩く |
出典:日本小児心身医学会「起立性調節障害」(2026年9月26日確認)
治療の組み立てについては、重症度と心理社会的因子の関与の程度に応じて、疾病教育、非薬物療法、学校への指導や連携、薬物療法、環境調整(学校・家庭)、心理療法を行うとされています。学校との連携が、治療の6本柱の1つとして並んでいることを覚えておいてください。学校にお願いすることは、遠慮ではなく治療の一部です。
予後については、日常生活に支障のない軽症例は適切な治療で2〜3か月で改善、学校を長期欠席する重症例では社会復帰に2〜3年以上を要するとされています。一方で、治療の目標を症状の消失ではなく体調を整えてそれに合わせた活動ができることに置いて治療を続けると、高校卒業時ごろには90%程度の症例で日常生活に支障をきたすことが少なくなるとも書かれています。数年単位の話になることは、あらかじめ知っておいたほうが楽です。

学校への配慮のお願いは、令和6年4月1日から私立も含めて義務になりました
「お願いしても迷惑なのでは」と考えて言い出せない方が多いところです。制度の側から見ると、事情は変わっています。
内閣府のリーフレットによると、令和3年に障害者差別解消法が改正され、事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が令和6年4月1日から努力義務ではなく義務になりました(行政機関等はもともと義務)。ここでいう「事業者」は、営利・非営利や個人・法人を問わず、同種の行為を反復継続する意思をもって行う者とされ、文部科学省の対応指針では学校法人も含まれると明記されています(公立学校は、この行政機関等に当たります)。あわせて押さえておきたい点が3つあります。
- この法律でいう「障害者」は、障害者手帳を持っている人のことだけではありません。リーフレットにそう明記されています
- 本人(または家族など補佐する人)から「社会的なバリアを取り除いてほしい」という意思の表明があった場合に、負担が過重でない範囲で対応することが求められます
- 建設的対話を通じて一緒に対応案を検討することが重要とされ、建設的対話を一方的に拒むことは合理的配慮の提供義務違反となる可能性もあると書かれています
出典:内閣府「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されました」/文部科学省「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(令和6年1月17日改定)(いずれも2026年9月26日確認)
お願いの仕方としては、医師の診断書や意見書が助けになります。日本小児心身医学会の資料にも、身体症状のために学業や仕事の継続が困難になることが多いため、周囲の理解が得られるよう具体的な対応を記載した医師の診断書や意見書を作成することが有用と書かれています。「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、何時に登校できるか、どの場面がつらいか、どうすれば参加できるかを具体的に書いてもらうのが現実的です。
高校受験の場面でも配慮の枠組みがあります。東京都の例では、発達障害のある受検者に対して別室受検・検査時間の延長・問題用紙へのルビ振り・ICT機器の使用などの対応があり、糖尿病や喘息などの疾病がある場合は医療用器具や補食品の持込みが認められています。申請は所定の申請書を志願先の高校へ事前に提出する形で、在学中の中学校を通じて行うのが原則です。配慮の内容は、在学中の学校で現在受けている配慮を十分参考にしながら個別に決定されるとされています。受験の配慮の考え方は、発達障害 高校受験 合理的配慮の記事にも書いています。
出典:東京都教育委員会「障害のある受検者に対する配慮」(2026年9月26日確認。他の都道府県は、それぞれの教育委員会の入学者選抜実施要綱で確認してください)
出席日数と単位の扱いは、3つの場合に分かれます
ここが、家庭がいちばん知りたくて、いちばん情報が見つからないところです。高校の出席日数に国の統一した基準はありません。多くの学校が授業時数の3分の2以上の出席を目安にしていますが、これは学校ごとの規程です。だから「何日休めるか」は、在籍校の規程を見ないと答えが出ません。数え方の考え方は高校 欠席日数と高校 出席日数の記事にまとめています。
そのうえで、起立性調節障害の場合は次の3つに分けて考えると整理できます。
| いまの状況 | 出席のねらい | 単位の見込み | 先に確認すること |
|---|---|---|---|
| 遅刻・早退は増えたが、出席時数は足りている | 遅刻の扱い・1限の遅刻をどう数えるかを学校と決める | 定期考査と課題で足りることが多い | 教科ごとの欠時数の上限と、遅刻何回で欠席1回とする規程 |
| 欠席が増え、いくつかの教科で単位が危ない | 別室登校・午後からの登校・保健室での参加を組む | 補講・追試・レポートで救済される場合がある | その教科の担当と学年主任に、いつまでに何が必要か |
| 相当の期間、学校を欠席すると認められる | 在籍のまま遠隔授業を使う道と、転入・編入の道を並べる | 下に書く施行規則の例外が関わる | 診断書の内容、転入の受け入れ時期、修得済み単位の引き継ぎ |
3つ目に関わるのが、学校教育法施行規則第96条です。第2項では、メディアを利用して行う授業(第88条の3)で修得できる単位数は、それぞれ36単位を超えないとされています。そのうえで第4項に、次の例外が置かれています。
疾病による療養のため又は障害のため、病院その他の適当な場所で医療の提供その他の支援を受ける必要がある生徒であつて、相当の期間高等学校を欠席すると認められるものについて高等学校の全課程の修了を認める場合においては、前二項の規定によらないことができる。
読みかえると、病気の療養または障害のために、病院その他の適当な場所で医療の提供その他の支援を受ける必要があり、相当の期間学校を欠席すると認められる生徒については、遠隔授業で修得する単位数の36単位という上限を適用しないことができるということです。文部科学省の通知(令和2年5月15日・2文科初第259号。通知が出た当時は、同じ内容が第96条第2項のただし書として置かれていました)でこの趣旨が示されており、長期欠席の状態かどうかの判断は、疾病や障害に関する医師などの専門家による診断書等をもとに、年間延べ30日以上の欠席という定義を一つの参考としつつ、学校またはその管理機関が行うとされています。
ただし、期待しすぎないでいただきたい点があります。同じ通知には、対象として考えられるのは病院で治療を受ける生徒や障害児入所施設でリハビリテーションを受ける生徒などで、自宅で療養する生徒のうち、風邪などの一時的な疾病により療養する生徒等は原則として認められないとも書かれています。自宅で過ごしている場合にこの枠が使えるかどうかは、状態と学校の判断によります。なお、学校生活への適応が困難で相当の期間欠席する場合(第2項第2号)は36単位までという枠が残るので、どちらとして扱われるかで枠が変わる点が実務上の分かれ目です。
出典:e-Gov 学校教育法施行規則 第96条/文部科学省「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)(2文科初第259号)」(2026年9月26日確認)
ただし、これは学校が使える制度で、自動的に適用されるものではありません。在籍校がその運用をしているかどうかは、学校に聞かないと分かりません。聞いてみて難しいという答えだったときに、転入という選択肢が出てきます。手続きと時期は高校 転入の記事にまとめています。
※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

午後から通える形はあります。三部制の定時制は午後部が13時10分開始です
「朝が動かない」を前提に進路を組むとき、選択肢は全日制か通信制かの二択ではありません。開始時刻そのものが遅い課程があります。
東京都教育庁都立学校教育部の資料によると、都立の昼夜間定時制高校(6校)は三部制で、時間帯は次のとおりです。
- Ⅰ部(午前部)8時50分〜12時25分
- Ⅱ部(午後部)13時10分〜16時45分
- Ⅲ部(夜間部)17時20分〜21時10分
同じ資料では、チャレンジスクール(6校)について、小中学校での不登校経験や高校での中途退学経験のある生徒が対象で、学力検査ではなく、学習や学校生活への意欲を重視した入学者選抜を実施し、他部履修により3年間での卒業も可能、1学級30人規模で基礎・基本を重視した授業を行うと説明されています。
出典:東京都教育庁都立学校教育部「東京都立高等学校 チャレンジスクール」(令和4年2月21日・文部科学省の調査研究協力者会議資料)(2026年9月26日確認。令和4年2月の資料のため、最新の時間帯は各校の募集案内でご確認ください。他の都道府県の三部制の有無と時間帯は、各教育委員会でご確認ください)
| 形 | 朝の負担 | 卒業資格 | 気をつける点 |
|---|---|---|---|
| いまの全日制に残る | 大きい(遅刻の扱いが毎日の争点になる) | そのまま | 教科ごとの欠時数の上限に届くと、途中で選択肢が減る |
| 三部制の定時制に移る | 午後部なら13時台の開始 | 高校卒業 | 設置が都市部に多く、通学が前提。転入の枠と時期は学校ごと |
| 通信制高校に移る | 小さい(学習の時間帯を選べる) | 高校卒業 | スクーリングと試験の日は出向く。自分で進める設計が要る |
| 通信制+サポート校を併用 | 小さい(オンライン中心なら家から) | 在籍する通信制高校で取る | 費用が二重にかかる。サポート校の分に就学支援金は使えない |
課程ごとの違いは定時制 通信制 違いの記事に、学校の探し方は通信制高校 選び方のページにまとめています。費用の考え方は通信制高校 学費の記事をご覧ください。なお、就学支援金は2026年度から所得制限がなくなり、私立の通信制は1単位13,668円・年間337,200円までが上限です。公立の通信制は就学支援金の支給の上限が1単位336円で、これは国が支給する額の上限であって、実際の授業料は都道府県の条例で決まるため県によって違います(出典:文部科学省 高等学校等就学支援金・2026年9月確認)。対象は授業料だけで、サポート校の費用には使えません。
よくある誤解を4つ。「昼夜逆転を直せば治る」も「通信制なら全部解決」も違います
ここまでの一次情報から見て、家庭で起きやすい行き違いを4つ挙げます。
- 「早く寝かせれば朝起きられる」。生活リズムを整えることは資料にも挙がっていますが、それだけで解決する前提で家族が動くと、うまくいかなかったときに本人が責められます。発達特性による入眠困難や睡眠相の後退が重なっている場合もあるため、睡眠の相談も含めて受診を検討してください。
- 「午後は元気だから軽い」。午前に強く午後に軽くなるのは、この状態の特徴として説明されているものです。午後の様子だけで重さを測ることはできません。
- 「通信制に移れば全部解決する」。朝の登校の負担は小さくなりますが、レポートを自分で進める力が要ります。学校を長期欠席する重症例では社会復帰に2〜3年以上を要するとされており、進路を変えても数年単位の付き合いになることは変わりません。
- 「診断がつかないと何も頼めない」。合理的配慮は障害者手帳の有無で決まるものではなく、本人や家族からの意思の表明と建設的対話が起点です。診断待ちの間でも、学校と話し始めることはできます。
もうひとつ。専門機関を受診する起立性調節障害の70〜80%に心理社会的要因の関与があると考えられていると資料に書かれています。これは「気のせい」という意味ではありません。身体の問題と環境の問題の両方に手を入れる必要があるという意味です。だから、家庭でできる工夫・医療・学校の配慮・進路の選び直しを、同時に少しずつ動かすことになります。
選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)
NIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制高校サポート校です。担任制で、カメラ・マイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。授業のアーカイブ視聴や中学内容の学び直しにも対応しているので、生活リズムに波がある前提で組めます。メタバースの校舎で担任や同級生と集まる時間もあります。転入・編入の途中入学ができ、出願費用は無料です。ニジ高は、発達特性や障害を、本人を変えるのではなく学びの構造や環境を変えることで支援するというアプローチを取っています。
正直な注意点を書きます。
- ニジ高は高校ではありません。高校卒業の資格は、提携する通信制高校で取ります
- 学院の中でのスクーリングはありません。提携する通信制高校のスクーリングへの参加が必要です。日程の調整と準備の支援はしますが、スクーリングにニジ高のスタッフが付き添うことはありません。形や日程は個別相談会でご案内しています
- 費用は、提携する通信制高校の分とニジ高の分の両方がかかります。就学支援金はニジ高の分には使えません。金額は学費のご案内をご覧ください
- 診断・服薬など医療の判断は、主治医や専門機関にご相談ください。ニジ高がするのは、学び方と環境の側を体調に合わせて組み直すことです
ニジ高は、いま別の通信制高校に在籍している場合でも、その学校を続けたまま併用できます。その場合、卒業資格・スクーリング・単位・評定は在籍する通信制高校のものです。小中学生の場合は、姉妹事業のNIJINアカデミーがあります。詳しくはよくある質問もご覧ください。
迷ったときの進め方(3ステップ)
順番があります。上から順に、できるところまででかまいません。
- 受診を検討する。小児科・内科で、身体症状11項目のうちいくつが当てはまるかを伝えます。新起立試験は午前中に行うのが望ましいとされているので、予約は午前で取れるか聞いてみてください。睡眠の困りごと(寝つけない・朝の覚醒が遅い)も一緒に伝えます。診断がついたら、どのサブタイプだったかを聞いておきます
- 学校と話す。担任と、できれば学年主任・養護教諭に同席してもらい、(1)いま何時なら登校できるか (2)つらい場面(朝礼・整列・体育・移動)(3)遅刻や欠席の数え方 (4)教科ごとの欠時数の上限、の4つを確認します。診断書や意見書があれば持っていきます。配慮のお願いは、学会の資料でも治療の柱の1つに挙がっています
- いまの学校を続ける場合と、変える場合の両方を並べる。続ける場合は、遠隔授業や補講で単位が足りるかを学校に確認します。変える場合は、三部制の定時制・通信制高校・サポート校の併用を、通学の負担と費用で比べます。転入は前の学校の単位と在籍期間を引き継げるので、退学してから探すより、在籍のまま相談したほうが選択肢が多く残ります
3つを同時にやろうとしなくてかまいません。今日できるのは1つ目の予約だけ、ということも多いです。それで十分です。


朝が動かない前提で、高校生活を組み直す相談ができます
ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校です。カメラ・マイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、授業のアーカイブ視聴にも対応しています。ただし学院は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングへの参加が必要です。体調の波を前提にした学び方を、個別にご相談ください。
よくある質問
Q. 朝起きられないだけで、起立性調節障害と言えますか。
A. それだけでは決まりません。学会の資料では、立ちくらみ・失神・気分不良・朝の起床困難・頭痛・腹痛・動悸・午前中に調子が悪く午後に回復する・食欲不振・車酔い・顔色が悪い、といった身体症状のうち3つ以上(2つ以上でも強ければ)当てはまる場合に疑い、ほかの病気を除いたうえで午前中に新起立試験を行って判定するとされています。当てはまりそうなら、受診を検討してください。
Q. 発達障害の診断があると、起立性調節障害の治療は変わりますか。
A. 治療の判断は主治医が行うものなので、ここでは断定できません。ただし学会の資料には、回復までに時間がかかる場合は発達・心理面の評価を行うことを考慮するとあり、併存障害に応じた治療と並行して、神経発達症に対する教育環境の整備を行うことが症状の改善につながることがあると書かれています。主治医に、発達特性の診断や特性の内容を伝えておく意味はあります。
Q. 診断書があれば、欠席は出席扱いになりますか。
A. 診断書があれば自動的に出席になる、という仕組みではありません。欠席の扱いと単位の認定は在籍校の規程によります。一方で、病気の療養または障害のため、病院その他の適当な場所で医療の提供その他の支援を受ける必要があり、相当の期間欠席すると認められる生徒については、遠隔授業で修得する単位数の36単位の上限を適用しないことができる、という定めが学校教育法施行規則第96条第4項にあります。ただし文部科学省の通知では、自宅での療養のうち一時的な疾病によるものは原則として対象にならないとされています。使うかどうかは学校の判断なので、診断書を持って学校に相談する形になります。
Q. 通信制高校に移ると、卒業は遅れますか。
A. 転入なら、前の学校の在籍期間と修得した単位を引き継げるため、同学年での卒業をめざせる場合があります。退学してから入り直す編入では、空白の期間が在籍期間に数えられません。卒業の条件は3年以上の在籍・74単位以上の修得・特別活動30単位時間以上です。時期によって扱いが変わるので、在籍のまま学校と転入先の両方に確認するのが安全です。
Q. 高校を卒業するころには治るのでしょうか。
A. 断定はできません。学会の資料には、治療の目標を症状の消失ではなく、体調を整えてそれに合わせた活動ができることに設定して適切な治療を続けると、高校卒業時ごろには90%程度の症例で日常生活に支障をきたすことが少なくなると書かれています。一方で、成人期以降も症状が残る人は男性2割・女性5割という過去の調査も示されています。数年単位で付き合う前提で、進路を体調に合わせて選んでいく形が現実的です。
朝が動かない日があっても、進路は途中で作り直せます
朝起きられない日が続くと、家の中の空気が変わります。声をかける側も、かけられる側も、どちらも疲れます。それでも、学会の資料が書いているとおり、怠けや仮病という見方をされて孤立することが、いちばん避けたい展開です。「起きられないね」で終わらせて、午後に一緒に歩くほうが、結果として先に進みます。
制度の側は、思っているより動きます。午後部が13時台に始まる課程があり、病気の療養なら遠隔授業の単位の上限を外せる定めがあり、配慮のお願いは法的な義務の枠に入りました。学校を選び直すことは、あきらめではありません。学会の資料は、学校との連携や環境調整を治療的な対応の1つに挙げています。体調に合わせて進路を組み直すことは、その延長線上にあります。
今日決めなくて大丈夫です。順番は、受診を検討する、学校と話す、選択肢を並べる。その3つだけです。どこから手をつけるか迷ったら、話を聞くだけの相談から使ってください。
診断を待っている段階の、進路の相談から受け付けています
全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付
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