不登校で体力が落ちた高校生、どう戻す?|室内→近所→外出と受診の目安【2026】

学校を休む日が続いて、階段で息が切れる、少し歩いただけで疲れる、一日の多くを横になって過ごしている。お子さんの体力が落ちてきたことに気づくと、「このままで体は大丈夫なのか」「何か運動をさせたほうがいいのでは」と焦る保護者の方は多いと思います。

先に結論を書きます。家で過ごす時間が長くなれば体力が落ちるのは自然な変化で、戻すときは「少しでも体を動かす」ところから始めてかまいません。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」も、体を動かす時間が少ないこどもには、まず何らかの身体活動を少しでも行うことを推奨しています。ただし、立ちくらみや朝の強い不調、体重の急な変化などがあるときは、運動を始めるより先に医師に相談することをおすすめします。

この記事は、厚生労働省の「身体活動・運動ガイド2023」と「睡眠ガイド2023」、スポーツ庁の体力・運動能力調査、日本小児心身医学会の一般向けページ、高等学校学習指導要領を実際に開いて確かめた内容で書いています。公式で確かめられなかったことは、確かめられなかったと書いています。夜型になった生活リズムそのものの戻し方は高校生 昼夜逆転の記事にまとめているので、この記事では「体力」と「体の動かし方」に絞ります。

家で過ごす時間が長く、今の高校に通い続けるのが難しい場合は、オンラインで学ぶという選択肢もあります。NIJIN高等学院(ニジ高)は「オンラインで最高の青春を」を掲げる通信制高校サポート校で、全国の仲間とオンラインでつながり、企業や地域と関わるプロジェクトや、生徒が自分たちで企画する行事に挑戦できます。カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、全国にNIJINアカデミー(ニジ高はその高等部)のリアルの教室があり、リアルでの通学もご検討いただけます。ニジ高は高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングには参加が必要です。どんな学校なのかは、校長・星野達郎のYouTubeでも見られます。

目次

結論:不登校の高校生の体力低下と、戻し方の早見

  • 体力が落ちたのは怠けではありません。日本小児心身医学会は起立性調節障害の説明の中で、日常の活動量が減ると筋力の低下や自律神経の働きの悪化につながる流れを挙げています。
  • 最初の目標は「1日60分」ではなく「少しでも」です。国のガイドは、体を動かす時間が少ないこどもには、何らかの身体活動を少しでも行うことをまず推奨しています。
  • 戻す順番は「室内→近所→外出」の3段階。急に強い運動をせず、少しの身体活動から始めて、強さ・回数・時間を少しずつ増やします。
  • 体力と睡眠はつながっています。高校生の睡眠時間は8〜10時間が目安で、日中に体を動かすことは良い眠りにつながると睡眠ガイドにあります。
  • 立ちくらみ・朝の強い不調・体重の急な変化・気分の強い落ち込みがあれば、運動より先に医師に相談します。起立性調節障害は軽い例も含めると中学生の約10%にみられ、不登校の約3〜4割に併存すると学会は説明しています。
  • スマホやゲームは取り上げるより、「座りっぱなし」をこまめに区切るほうが続けやすい方法です。
  • 学校を変えることも考えるなら、通信制高校にも体育のスクーリングがあることを知っておくと、体力を戻す目標が立てやすくなります。オンライン中心のサポート校(ニジ高など)で、家から学びを続ける形もあります。
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体力が落ちたのは怠けではなく、動く量が減った体に起きる自然な変化です

学校に行かなくなると、通学の歩き、階段の上り下り、体育、休み時間の移動といった「生活の中の動き」がまとめて消えます。家では座っているか横になっている時間が長くなり、体を使う場面がほとんどなくなります。動く量が減れば、体力が落ちるのは自然なことです。お子さんの気持ちの弱さや、やる気の問題として見る必要はありません。

日本小児心身医学会の一般向けページは、起立性調節障害が起きる要因の1つとして、日常の活動量の低下が筋力の低下と自律神経の働きの悪化を招き、症状をさらに悪くする流れを挙げています。また厚生労働省の「身体活動・運動ガイド2023」こども版は、世界保健機関(WHO)のガイドラインのもとになった5〜17歳の研究のまとめから、座りすぎは体力の低下と関連していること、長い時間座っていることは体力・全身持久力の低さと関係していることを紹介しています。

出典:日本小児心身医学会「起立性調節障害」/厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート(こども版)(2026年9月確認)

もう1つ、知っておくと気持ちが少し楽になる数字があります。スポーツ庁の令和6年度体力・運動能力調査によると、体力テストのほとんどの項目で、女子は中学生の年代、男子は高校生の年代に記録がピークのレベルに達します。高校生の年代は、同年代の記録がピークか、それに近い水準にある時期なので、学校を離れているお子さんは差を感じやすくなります。比べる相手は同級生ではなく、先週のお子さん自身にしてください。

出典:スポーツ庁「令和6年度体力・運動能力調査の結果を公表します」(2025年10月公表・2026年9月確認)

学会の不登校のページには、不登校に対しては焦らずに長い目で支援すること、周りにできるのは子どもを温かく見守ることだと書かれています。体力も同じで、心のエネルギーが戻ってきて、動ける量が少しずつ増えていく順番で考えるほうが、本人を追い詰めずにすみます。

リビングで一緒にストレッチをする母親と息子
まずは家の中で、少し体を伸ばすところから始められます。

国のガイドの「1日60分」は目安。動く時間が少ないこどもには、まず「少しでも」が推奨です

「高校生はどれくらい運動すればいいのか」を、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」で確かめました。ガイドはライフステージごとに推奨をまとめていますが、「高齢者」「成人」「こども」を特定の年齢で区切るのは適当でなく、個人の状況に応じて取り組むことが大切だと注記しています。

ガイドの区分 推奨されていること 家で過ごす高校生の読み方
全体の方向性 個人差を踏まえ、強度や量を調整し、可能なものから取り組む。今よりも少しでも多く身体を動かす どの段階でも共通の考え方
こども(体を動かす時間が少ないこども) 何らかの身体活動を少しでも行う。激しすぎる運動や使いすぎに注意する 最初の目標はここ
こども(参考:WHOの推奨) 中強度以上の身体活動を1日60分以上。高強度の有酸素性の活動や、筋肉・骨を強くする活動を週3日以上。座りっぱなしと余暇のスクリーンタイムを減らす 体力が戻ってきたあとの目安
成人 歩行かそれと同等以上の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上)。息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上。筋力トレーニングを週2〜3日 大人の目安として参考に(ガイドは年齢で区切らないとしています)

出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(概要)」/同 推奨シート(こども版)(2026年9月確認)

こども版の推奨シートには、次のことも書かれています。

  • 中強度(3メッツ以上)とは、少し息が上がるくらいの強さです。安静に座っている状態を1メッツとして、その何倍のエネルギーを使うかで表します。
  • 体を動かす時間が少ないこどもは、学校や家庭、自宅の近くなど様々な場面で、1週間を通じて1日平均60分以上を目安に身体活動を行うことが健康につながる。何もしないよりは、少しでも身体活動を行う。
  • 急に強い・回数の多い活動をするのではなく、少しの身体活動から始めて、強さや回数、時間を少しずつ増やす。

子ども向けのリーフレット「アクティブガイド2023(こども版)」には、体調が悪いときには無理をしないこと、体を動かす時間は少しずつ増やしていくことが書かれ、運動ができない日でも生活の中で体を動かせば、立派な健康づくりになると紹介されています(厚生労働省「アクティブガイド2023 こども版」)。

つまり、「1日60分」はゴールの目安であって、スタートの条件ではありません。今日5分、窓を開けて体を伸ばせたなら、それはガイドの考え方に沿った一歩です。

厚生労働省の身体活動・運動ガイド2023こども版で、体を動かす時間が少ないこどもにはまず何らかの身体活動を少しでも行い少しずつ増やすことが推奨され、WHOの推奨として紹介されている1日60分以上の中強度以上の身体活動や週3日以上の高強度・筋骨強化の活動は目安であることを比べた表
出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート(こども版)

戻す順番は「室内→近所→外出」。1段ずつ、できた日を数えていきます

国のガイドの「少しから始めて、強さ・回数・時間を少しずつ増やす」という考え方をもとに、家で過ごす時間が長い高校生が体力を戻していく順番を、この記事で3つの段階に分けました。段階や目安は、ガイドの考え方から組み立てた一例で、国が示した段階ではありません。体調や気持ちに合わせて、行ったり来たりしてかまいません。

段階 動きの例 次に進む目安(例) つらくなったら
1. 室内 起きたらカーテンを開ける、食卓で食事をする、動画を1本見たら立って伸びをする、好きな音楽に合わせて体を動かす、家事を1つ手伝う 翌日に疲れが残らない日が、数日続く 座りっぱなしを区切るだけに戻す
2. 近所 玄関先やベランダで外の空気を吸う、家族とゴミ出しや近くの自動販売機まで歩く、人の少ない時間に家のまわりを5〜10分歩く 少し息が上がる程度で歩いても、翌日に響かない 室内の動きに戻す
3. 外出 家族と買い物に行く、公園や図書館など目的のある場所へ行く、散歩の時間を少しずつ延ばす 本人が「行ってみたい場所」を自分から口にする 近所までの外出に戻す

※表の「次に進む目安」は、この記事での例です。体調に不安があるときは、医師と相談して決めてください。

進めるときのコツは3つです。

  • 「できた日」を数え、「できなかった日」は数えない。カレンダーに印をつけるだけでも、本人が自分の変化に気づきやすくなります。
  • 一緒にやる。日本小児心身医学会のひきこもりのページは、厚生労働省の支援のヒントとして、待つこと・本人が決めること、本人を脅かさないこと、外出や食事などをできる範囲で本人と一緒に行うことなどを紹介しています。散歩に「行ってきなさい」より、「コンビニまで付き合ってくれない?」のほうが動きやすいお子さんもいます。
  • 戻っても失敗ではない。気温や気圧、気持ちの波で、前の段階に戻る日はあります。戻ったら、その段階でできることを続けていけばかまいません。

出典:日本小児心身医学会「ひきこもり」(2026年9月確認)

外に出ること自体に強い抵抗がある場合は、体力より先に気持ちの面を整える必要があるかもしれません。関わり方は不登校 外出 渋るの記事でも書いています。

体力と睡眠はつながっています。高校生の睡眠は8〜10時間が目安で、日中に動くと眠りやすくなります

体力の話は、睡眠と切り離せません。厚生労働省が2024年2月にまとめた「健康づくりのための睡眠ガイド2023」のこども版は、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保すること、朝は太陽の光を浴びて、朝食をしっかりとり、日中は運動をして、夜ふかしの習慣化を避けることを推奨しています。8〜10時間は、米国睡眠医学会の推奨をもとにした目安です。

同じガイドの「運動、食事等の生活習慣と睡眠について」には、体を動かすことと眠りの関係が書かれています。

  • 睡眠には、日中の身体活動で消耗した体力などを回復させる役割がある。日中に体をしっかり動かすことは、寝つきを良くし、夜中に目が覚めるのを減らし、睡眠の質を高める。
  • ウォーキングのような有酸素運動は、寝つきを良くし、深い睡眠を増やすと報告されている。
  • 強すぎる運動はかえって睡眠を妨げ、けがにもつながる可能性があるので、年齢や体調に合わせて軽い運動から始め、少しずつ強くしていくとよい。
  • 夕方や夜の運動でも、寝る約2〜4時間前までなら睡眠の改善に役立つと報告されている。一方、こども版では、寝る前1時間以内の激しい運動は睡眠の質を下げる可能性があるので、寝る直前の運動は控えたほうがよいとしている。
  • 1日60分程度の身体活動が理想だが、時間がないからとあきらめず、まずは1日60分未満でも定期的な運動習慣をつくり、少しずつ時間を増やす。

出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(こども版の推奨事項、運動・食事等の生活習慣と睡眠について。2026年9月確認)

家で過ごす高校生にとっての使い方は、「動く時間を日中に置く」ことです。起きる時刻がまだ遅くても、起きてから明るいうちに少し体を動かすと、夜の眠りにつながりやすくなります。反対に、夜中にまとめて筋トレをするような動き方は、眠りを遠ざけることがあります。

昼夜逆転がすでに起きていて、朝起きること自体が難しい場合は、体力づくりより先に生活リズムの立て直しと、背景に体の不調がないかの確認が必要です。親の声かけや単位の考え方まで含めて、高校生 昼夜逆転の記事で詳しく書いています。

夕方の住宅街を並んで歩く父親と娘
近所を少し歩くことも、体を動かす一歩になります。

立ちくらみ・朝の強い不調・体重の急な変化があれば、運動より先に医師に相談します

体力の低下に見えるものの中には、体の病気や心の不調が隠れていることがあります。日本小児心身医学会の不登校のページは、不登校の原因は多岐にわたり、起立性調節障害、機能性消化管障害(胃腸の働きの問題)、機能性頭痛、貧血、甲状腺の病気などの体の病気や、不安症・うつなどの心の病気が関わることがあると説明しています。心の症状は、長引く不登校の結果として出てくることもあるとも書かれています。

次のような様子があるときは、体を動かすことを勧める前に、医療機関に相談することを考えてください。この表は受診を考えるきっかけの例で、診断のためのものではありません。

気になる様子 考えられる背景の例(学会のページに挙がっているもの) 相談先の例
立ちくらみ、朝起きられない、午前中に調子が悪く午後に回復する、頭痛、動悸、食欲がない 起立性調節障害など 小児科などのかかりつけ医
休んでも疲れやすさやだるさが続き、良くならない 貧血や甲状腺の病気など(学会は、起立性調節障害を診断する前に、医師がこうした病気がないかを確かめるとしています) 小児科などのかかりつけ医
体重が減り続けている、食事を極端に減らしている、やせるために運動をやめられない 摂食障害(神経性やせ症)など かかりつけ医から専門の医療機関へ
不安が強い、気分の落ち込みが続く、自分を傷つける様子がある 不安症・うつなど かかりつけ医、児童精神科など

出典:日本小児心身医学会「不登校」/同「起立性調節障害」/同「摂食障害(神経性やせ症)」(2026年9月確認)

3つ目の行は、体力づくりの話と特に関わります。学会の摂食障害のページには、診断の目安の1つとして食べ物を避けることや過度な運動が挙げられ、治療の中では、急に体重が減っている場合などに運動を控える必要があると書かれています。「体力をつけたい」と言って運動を急に増やし、同時に食べる量が減っているようなら、運動を応援する前に医師に相談してください。

学会の不登校のページによると、小児科医は不登校の相談で、医学的な原因がないかを調べることや、体調と生活リズムを整えるための生活の助言などを行います。高校生を小児科で診てもらえるかどうかは医療機関によって違うので、電話で確かめてから受診すると安心です。

夜中や休日に、本人や保護者がつらさを話したいときは、文部科学省の24時間子供SOSダイヤル(0120-078310)があります。悩んでいる子供や保護者などが、夜間・休日も含めて相談できる窓口として案内されています。

起立性調節障害が疑われるときは体の病気として受診し、日常の工夫は主治医と決めます

「朝起きられない」「立つとふらつく」という様子が体力の低下と重なっている場合、よく話題にのぼるのが起立性調節障害(OD)です。日本小児心身医学会の一般向けページの説明を整理します。

  • 立ち上がったときに頭痛、めまい、だるさなどが出る病気で、血圧や心拍数など、循環器の自律神経の調節の不調が原因。思春期に起こりやすく、午前中に症状が強いため、学校生活に支障が出ることがある。
  • 軽い例も含めると中学生の約10%にみられ、不登校の約3〜4割に起立性調節障害が併存する。
  • 立ちくらみ、失神、気分不良、朝の起床困難、頭痛、腹痛、動悸、午前中に調子が悪く午後に回復する、食欲不振、車酔い、顔色が悪いなどのうち、3つ以上、あるいは2つ以上でも症状が強ければ起立性調節障害を疑う。
  • 医師は、鉄欠乏性貧血や心臓の病気、神経の病気、甲状腺などの病気がないかを確かめたうえで、新起立試験という検査でタイプを判定する。

家庭で「3つ以上当てはまる」と数えられても、それだけで起立性調節障害と決めることはできません。当てはまるものが多いと感じたら、受診のきっかけにするという使い方をしてください。

学会のページには、治療の最初に「疾病教育」があると書かれています。家族の多くは症状を気持ちの問題と考え、子どもが怠けているととらえがちで、それが子どもの心理的なストレスになり、症状を悪くしてしまうという説明です。起立性調節障害が体の病気であることを親子で理解することが、不安を軽くする第一歩とされています。

同じページでは、治療の一部である日常生活の工夫として、頭を下げながらゆっくり立つ、じっと立ち続けるのは1〜2分以上続けない、水分は1日1.5〜2リットル・塩分は普段の食事に3gを足す程度を目安にする、毎日30分程度歩いて筋力の低下を防ぐ、早寝早起きなど規則正しい生活リズムを心がけることが挙げられています。水分や塩分の量は、体の状態によって合う・合わないがあります。家庭で自己判断で始めず、主治医に確かめてから取り入れてください。

学会のページには、日常生活に支障のない軽い例は適切な治療で2〜3か月で改善し、学校を長く休む重い例では社会に戻るまでに2〜3年以上かかることもあると書かれています。時間がかかることがあると分かっていれば、焦って運動量を増やさずにすみます。また、睡眠ガイド2023には、夜ふかし・朝寝坊が長く続いて起きられなくなる睡眠・覚醒相後退障害の6割近くに、起立性調節障害が合併すると報告されていると書かれています。

出典:日本小児心身医学会「起立性調節障害」/厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(2026年9月確認)

起立性調節障害のある高校生の朝と夜の過ごし方は、起立性調節障害 高校生 生活リズムの記事にまとめています。

日本小児心身医学会の説明で、立ちくらみや朝の起床困難、午前中に調子が悪く午後に回復するなどの症状のうち3つ以上、または2つ以上でも症状が強ければ起立性調節障害を疑うとされ、診断は医師が新起立試験などで行うことを示す図
出典:日本小児心身医学会「起立性調節障害」

スマホやゲームは取り上げるより、「座りっぱなし」をこまめに区切るほうが続きます

家で過ごす高校生の体力の話になると、スマホやゲームの時間が気になる方も多いと思います。国のガイドは、座りっぱなしの時間、特に余暇のスクリーンタイム(テレビ、ゲーム、スマホなど画面の前で過ごす時間)を減らすことを推奨しています。睡眠ガイド2023のこども版には、小・中・高校生は1日60分以上体を動かし、スクリーンタイムは2時間以下にすることが推奨されていると紹介されています。

ただし、こども版の推奨シートには、次のような説明もあります。

  • 座っている時間のすべてが体に悪いわけではない。学校の外での読書や宿題などは、高い学力と関連しているという報告もある。
  • 健康との関係は、座っている時間の合計よりも、スクリーンタイムのほうが強いことが示されている。

睡眠ガイドのこども版には、夜の就寝時刻を先に延ばして余暇を楽しむ行動についてのコラムがあり、やめさせることで余暇が減ると、ストレスや気分の落ち込みにつながる可能性があるので、寝る前の余暇を日中に補えるよう工夫するとよいと書かれています。家庭での機器の使い方のルールづくりが役立つ場合があること、機器は寝室に持ち込まず別の部屋に置くことも勧められています。

出典:厚生労働省「身体活動・運動ガイド2023」推奨シート(こども版)/同「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(2026年9月確認)

家で過ごしている高校生にとって、スマホは友達や外の世界とつながる数少ない窓になっていることがあります。取り上げて時間をゼロにするより、次のように「座りっぱなし」を区切る工夫から始めるほうが、親子の関係を保ちながら続けやすいことがあります。

  • 動画を1本見終わったら立ち上がって伸びをする、ゲームの区切りで飲み物を取りに行く
  • 夜、布団に寝そべってスマホを見る習慣は控えめにする(睡眠ガイドは、寝そべって画面を近くで見るとブルーライトを浴びやすく、寝つきや睡眠の質の悪化につながるとしています)
  • 夜の使い方のルールは親が一方的に決めず、本人と一緒に決める

スマホやゲームとの付き合い方そのものは、不登校 スマホ 取り上げるの記事で詳しく書いています。

声かけは「運動しなさい」より「一緒に〇〇しない?」。断られても責めません

体力を戻すうえで、保護者の方にいちばんお願いしたいのは、「体を動かすこと」を、学校に戻るための課題にしないことです。学会の不登校のページは、不登校から抜け出して再スタートを切るのは子ども自身で、周りにできるのは温かく見守ることだと書いています。運動が「やらされること」になると、体より先に気持ちが疲れてしまいます。

次の表は、言いがちな言葉と、言いかえの例です。正解の言い方があるわけではないので、お子さんの性格に合わせて使ってください。

言いがちな言葉 言いかえの例 ねらい
少しは運動しなさい 夕飯の買い物、一緒に来てくれると助かる 運動ではなく「用事」として誘う
一日中寝てばかりで 最近、体がだるい感じはある? 責めずに体調を聞く
体力が落ちたら学校に戻れないよ 学校のことは別に考えよう。まずは体が楽になるといいね 体力づくりと登校を切り離す
散歩くらい行けるでしょう 今日は窓を開けるだけでもいいよ 一番小さい一歩を示す
(できた日に何も言わない) 今日は外の空気、気持ちよかったね できたことに気づいて言葉にする

誘いを断られた日は、「分かった、また今度ね」で終わりにします。断っても責められない経験が重なると、本人が「今日は行ってみようかな」と言いやすくなります。決めるのは本人という姿勢は、ひきこもりの支援のヒントとして学会のページが紹介している考え方とも重なります。

保護者自身も、家で子どもと向き合い続けて疲れていることがあります。散歩に誘うのは、保護者の気分転換を兼ねてもかまいません。「お母さん(お父さん)が歩きたいから付き合って」という誘い方は、本人にとっても気が楽です。

体力は学校選びにも関わります。通信制高校にも体育のスクーリングがあります

体力を戻す話は、今後の学校のことともつながっています。全日制高校に籍があるまま休みが続いている場合は、出席日数と単位の問題が出てきます。留年の目安の考え方は高校 欠席日数の記事で説明しています。

通信制高校への転校を考える方もいると思います。「通信制なら体を使うことはない」と思われがちですが、通信制高校にも保健体育があり、体育は添削指導に加えて面接指導(スクーリング)でも学びます。高等学校学習指導要領は、通信制の課程の添削指導と面接指導の標準を、1単位につき次のように定めています。

教科・科目 添削指導(回) 面接指導(単位時間)
国語・地理歴史・公民・数学 3 1
理科、芸術、外国語 3 4
保健体育のうち「体育」 1 5
保健体育のうち「保健」 3 1

出典:文部科学省「通信制高校に関する関係法令等(抜粋)」(高等学校学習指導要領(平成30年告示)第1章第2款5(1)。1単位時間は50分として計算。主な教科を抜き出したもの。2026年9月確認)

表のとおり、「体育」は1単位あたりの面接指導の標準が5単位時間と、国語や数学(1単位時間)より多くなっています。スクーリングの日程や形は学校ごとに違い、文部科学省の令和7年度通信制高等学校実態調査では、通学の頻度別のコースの生徒のうち、集中スクーリング型が28.9%、週5日が12.5%、月1〜2回や自由登校などの「その他」が33.2%でした(文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」)。

体育の実技の中身や、苦手なときの配慮は通信制高校 体育の記事で、転校の条件と手順は高校 転入の記事で書いています。学校を比べるときの見方は通信制高校 選び方のページにまとめています。

体力が戻りきる前に学校を決める必要はありません。ただ、「スクーリングの日に家を出て、半日ほど過ごせる」ことを遠い目標に置くと、室内→近所→外出の段階を進める理由が、本人にとって少し具体的になります。

※2026年9月時点の情報です。最新は厚生労働省・スポーツ庁・文部科学省・日本小児心身医学会の公式ページでご確認ください。

選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)

体力が落ち、朝起きることも外に出ることも難しい時期に、「毎日登校する学校」を考えるのはしんどいものです。家から学びを続けられる形を知っておくと、体力づくりを学校のための課題にせず、本人のペースで進めやすくなります。

NIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制高校サポート校です。全国どこからでも自宅から参加でき、カメラやマイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められます。生活リズムに波があっても学べる設計で、授業のアーカイブ視聴や中学内容の学び直しにも対応しています。担任制で、生徒会・サークル・学園祭・企業とのコラボもあります。途中からの入学(転入・編入)もでき、出願費用は無料です。不登校の生徒を650名以上サポートしてきました(グループ全体)。小中学生向けには、小中学生のオルタナティブスクールNIJINアカデミーがあり、ニジ高はその高等部にあたります。

ただし、はじめに正直にお伝えしておくことがあります。

  • ニジ高そのものは高校ではありません。高校卒業の資格は、提携する通信制高校に在籍して取ります。
  • 学院の中でのスクーリングはありませんが、提携する通信制高校のスクーリングには参加が必要です。上で書いたとおり、体育も面接指導で学ぶ科目です。ニジ高は日程の調整と準備を支援します。スクーリングの形や日程は、個別相談会で詳しくご案内しています。
  • 費用は、提携する通信制高校の分とニジ高の分の両方がかかります。ニジ高の分には就学支援金は使えません。金額は学費のご案内に載せています。
  • 起立性調節障害などの診断や、服薬など医療の判断は、主治医や専門の医療機関にご相談ください。

迷ったときの進め方(3ステップ)

  1. 1週間、体と眠りの様子を書き留める。寝た時刻・起きた時刻、その日に動いたこと、立ちくらみやだるさの有無をメモします。厚生労働省の睡眠チェックシート(睡眠ガイド2023準拠)は、寝た時刻・起きた時刻・眠った時間などを1週間記録する形になっていて、そのまま使えます。
  2. 気になる様子があれば、その記録を持って医師に相談する。立ちくらみや朝の強い不調、体重の変化、気分の落ち込みがあれば、運動より受診が先です。特に気になる様子がなければ、「室内」の段階から、できることを1つだけ始めます。
  3. 学校のことは、体力づくりと切り離して情報を集める。今の高校の欠席の扱い、転入できる時期、通信制高校のスクーリングの形を、少しずつ調べておきます。話を整理しながら考えたい場合は、体験説明会・個別相談会で状況をお聞かせください。
自宅でオンライン授業を受ける高校生と、台所にいる母親
体力に合わせて、家で学びを続ける形もあります。
オンラインで学ぶニジ高の生徒

体力が戻る前から、家で学びを続ける形もあります

ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校です。カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、生活リズムに波があっても学べる設計です。ただし学院は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、そのスクーリングへの参加が必要です。

体験説明会の日程を見る → LINEで気軽に相談する

よくある質問

Q. 毎日どれくらい体を動かせばいいですか?

A. 厚生労働省の身体活動・運動ガイド2023は、体を動かす時間が少ないこどもには、まず何らかの身体活動を少しでも行うことを推奨しています。WHOの推奨として紹介されている1日60分以上(少し息が上がる程度以上)は、体力が戻ってきたあとの目安です。急に増やさず、少しずつ時間や強さを増やしてください。

Q. 散歩に誘っても断られます。どうすればいいですか?

A. 断られた日は責めずに終わりにし、誘い方を「運動」から「用事」に変えてみてください。買い物に付き合ってもらう、ゴミ出しを一緒にするなど、家の中や玄関先で完結する動きからでもかまいません。外に出ること自体への抵抗が強いときは、体力より先に気持ちの面を大切にします。

Q. 起立性調節障害かどうか、家で判断できますか?

A. 家庭では判断できません。日本小児心身医学会は、立ちくらみや朝の起床困難などのうち3つ以上、あるいは2つ以上でも症状が強ければ起立性調節障害を疑うとしていますが、診断は医師がほかの病気がないかを確かめ、新起立試験などで行います。当てはまるものが多いと感じたら、受診を考えるきっかけにしてください。

Q. 一日中寝ています。寝かせておいていいのでしょうか?

A. 休む時期が必要なこともあります。睡眠ガイド2023では、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保することが推奨されています。それより長く眠っても疲れが取れない、日中に強い眠気やだるさが続く、食欲や体重が大きく変わったといった様子があれば、体の不調がないか医師に相談してください。

Q. 通信制高校に移ったら、体育はありますか?

A. あります。高等学校学習指導要領では、通信制の課程の「体育」は1単位につき面接指導5単位時間(1単位時間は50分)、添削指導1回が標準とされ、スクーリングでも学びます。日程や実技の内容は学校ごとに違うため、候補の学校に、体力に不安があるときの配慮も含めて確かめてください。

体力は、安心して過ごせる日が増えてから、少しずつ取り戻していけばかまいません

体力が落ちたお子さんを見ていると、「今のうちに何とかしないと」と思ってしまうかもしれません。でも、体力は学校に戻るための試験ではありません。国のガイドも、まずは少しでも体を動かすことから、と書いています。

今日できることは、カーテンを開けることや、「コンビニまで付き合って」と声をかけることくらいからでかまいません。気になる症状があれば、無理に動かす前に医師に相談してください。その順番を大切にすると、お子さんのペースを崩さずに進めやすくなります。

学校のことをどうするか迷っている段階でも、話を聞くことはできます。家から少しずつ学びを続ける形も含めて、個別相談会で状況をお聞かせください。

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