高校生の子がうつ病かもしれないとき、親の対応でいちばん大切なのは「励ますより休ませる」「ひとりで判断せず医療と学校につなぐ」の2つです。そして意外と知られていないのが、診断書を出しても、それだけで欠席がなかったことにはならないという点です。
この記事では、香川県など自治体のうつ病の解説や、学校保健安全法、厚生労働省「まもろうよ こころ」の情報をもとに、親が気づきたいサイン、声のかけ方、受診と学校への相談の順番、欠席と単位の考え方、相談窓口までを整理しました。病名を決めるのは医師です。ここでは診断ではなく、家族が「次に何をすればいいか」をまとめています。
高校生のうつ・メンタル不調を、1ページで整理したい方へ
見逃したくないサインと受診の目安、親の声かけと回復の3段階、学校への相談と休学のしくみ、回復後の学校の選び直し、相談窓口をまとめたガイドです。
▶ 高校生のうつ・メンタル不調ガイド|サイン・親の対応・休学と学校の選び直し
結論:高校生のうつ病、親の対応の早見
- まず休ませる。「頑張れ」「気の持ちよう」は避け、病気であって怠けではないと理解することから始めます。
- 2週間以上続くサインがあれば受診を考える。憂うつ、眠れない、食欲の変化、好きなことを楽しめないなどが目安です。
- 学校には「欠課時数」を確認する。高校の進級・卒業は科目ごとの単位で決まります。日数より科目ごとの数字が大事です。
- 診断書は「欠席を消す紙」ではなく「配慮をお願いする材料」。提出期限の延長や別室受験など、具体的な配慮の相談に使います。
- 「死にたい」と言われたら、否定せずに受け止め、すぐ相談する。24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)は24時間つながります。
高校生のうつ病かもしれないサイン|2週間以上続くかが目安
香川県のうつ病の解説では、主な症状として憂うつな気分、食欲不振、不眠や早朝に目が覚める、集中力の低下、だるさ、興味や喜びがなくなる、自分を責める気持ちのほか、頭痛や便秘・下痢などの体の症状もあげています。そして「こんな症状が2週間以上続いたら要注意」としています。
高校生の場合、次のような形で表に出ることもあります。
- 朝起きられず、遅刻や欠席が増えた
- 部活や趣味をやめてしまった、好きだった動画やゲームにも興味がない
- イライラして家族に当たる、部屋から出てこない
- 成績が急に下がった、課題が手につかない
- 「自分なんていないほうがいい」「消えたい」と口にする
思春期は気分の波が大きい時期なので、これだけで病気とは言えません。大切なのは、いつもとの違いが続いているかです。気になるサインに気づいたら、日付と様子を簡単にメモしておくと、受診や学校への相談のときに役立ちます。
※ここであげたサインは受診や相談の目安です。うつ病かどうかの判断は医師が行います。
親の対応で大切なこと|「励ますより休ませる」
うつ病の人への家族の対応について、香川県の解説は、叱咤激励、無理な運動や外出・旅行のすすめ、自分の考えの押しつけを避けるようにと書いています。一方で心がけたいこととして、次のような点をあげています。
- 病気であり、怠けではないと理解する
- 家族も主治医に様子を伝える
- 休養と治療を支え、回復は一進一退なので焦らない
- 大事な決定は先延ばしにする
- 本人を一人にせず、つらい気持ちを聞く
高校生の親にとって特に難しいのが、「大事な決定は先延ばし」です。「このままだと留年する」「いますぐ転校を決めないと」と焦る気持ちはよくわかります。けれど、体調が悪いときに進路の大きな判断を迫ると、本人を追いつめてしまいます。まずは休養と受診を優先し、学校の手続きは親が情報を集めておく、という役割分担がおすすめです。

| 言いがちな言葉 | なぜ避けたいか | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 「頑張れば行けるでしょ」 | 頑張れない自分をさらに責めてしまう | 「今日は休んでいいよ」 |
| 「何があったの?ちゃんと説明して」 | 本人も理由がわからないことが多い | 「話したくなったら、いつでも聞くよ」 |
| 「みんな行ってるのに」 | 比べられることで孤立感が強まる | 「あなたのペースでいいよ」 |
| 「このままだと留年するよ」 | 不安が強まり、休めなくなる | 「学校のことは、まずお母さん(お父さん)が聞いておくね」 |
うつ病で学校に行けない高校生へ、親ができる受診の進め方
「病院に行こう」と言っても、本人が嫌がることは少なくありません。いきなり精神科をすすめるより、「眠れないのがつらそうだから、相談してみよう」と、本人が困っている症状を入り口にすると受け入れやすくなります。
- かかりつけの小児科・内科に相談する:頭痛や腹痛、不眠など体の症状から相談でき、必要に応じて専門の医療機関を紹介してもらえます。
- 児童思春期を診る精神科・心療内科を探す:予約まで時間がかかることがあるので、早めに問い合わせます。
- 本人が行けないときは、親だけで相談する:保健所や都道府県の精神保健福祉センター、学校のスクールカウンセラーは、家族だけの相談にも応じています。
受診のときは、メモしておいた「いつから・どんな様子か」を医師に伝えます。香川県の解説にもあるように、家族が様子を主治医に伝えることは治療の助けになります。うつ病で学校に行けない状態については、うつ病の高校生が学校に行けないときでも詳しくまとめています。

診断書では欠席は消えません|欠席と単位の基本
「診断書を出せば、休んだ日は欠席にならないのでは」と考える保護者の方は多いのですが、診断書を出しただけで欠席の記録がなくなるわけではありません。
学校保健安全法第19条の「出席停止」は、感染症にかかっている、またはその疑いがある児童生徒について、校長が出席を停止できるという決まりです。インフルエンザなどがこれにあたり、うつ病は通常この対象ではありません。病気で休んだ日は、多くの場合「病気欠席」として記録されます。
高校の進級・卒業は、科目ごとの単位で決まります。卒業には74単位以上の修得が必要とされ、各科目の単位を認めるかどうかは、出席時数や課題・試験の結果をもとに学校が判断します。欠課時数の上限は「授業時数の3分の1まで」などと学校ごとに決められていることが多く、全体の欠席日数より、科目ごとの欠課時数が大事です。
| よくある思いこみ | 実際 |
|---|---|
| 診断書を出せば欠席がなくなる | 欠席の記録は残ることが多い。診断書は配慮を相談する材料 |
| うつ病は出席停止になる | 学校保健安全法の出席停止は感染症が対象。うつ病は通常あたらない |
| 欠席日数が少なければ大丈夫 | 進級は科目ごとの単位で決まる。科目ごとの欠課時数を確認する |
| 休んだら必ず留年する | 課題や補習で認める学校もある。基準は学校ごとなので担任に確認する |
※欠課時数の上限や単位認定の方法は学校・自治体によって異なります。最終的な判断は在籍校に確認してください。
診断書は「配慮をお願いする材料」として使う
では診断書に意味がないかというと、そうではありません。診断書は、学校に具体的な配慮をお願いするときの根拠になります。たとえば次のような相談が考えられます。
- レポートや課題の提出期限を延ばしてもらう
- 保健室や別室での試験、追試験の機会をつくってもらう
- 欠課時数が上限に近い科目について、補習や課題での対応を相談する
- 短い時間の登校や、別室登校から始める
2024年(令和6年)4月1日からは、改正障害者差別解消法により、行政機関だけでなく事業者による合理的配慮の提供も法的義務になりました(横浜市の案内より)。病気や障害による困りごとについて、学校と話し合いながら調整していく考え方が、以前より広がっています。どこまで対応できるかは学校によって違うので、「何ならできそうか」を一緒に探す姿勢で相談するとうまくいきやすくなります。
学校への最初の連絡では、「科目ごとの欠課時数の一覧をいただけますか」と具体的に聞くのがおすすめです。数字がわかれば、あとどれくらい休めるのか、どの科目を優先すべきかが見えてきます。欠席と留年の目安は高校は何日休んだら留年?も参考にしてください。
親が動く順番|今週・2週間以内・1か月以内
やることが多く見えますが、順番を決めれば落ち着いて進められます。

| 時期 | 親がやること | 本人に求めること |
|---|---|---|
| 今週 | 休ませる。様子をメモする。担任に欠課時数を聞く | 休むこと。眠ること、食べること |
| 2週間以内 | 受診先を探して予約する。スクールカウンセラーに相談する | 受診に一緒に行けそうなら行く |
| 1か月以内 | 医師の意見をもとに、学校と配慮を相談する | できそうなことを1つだけ選ぶ |
| その先 | 休学・転校などの選択肢の情報を集める | 体調が落ち着いてから一緒に考える |
「家に帰りたくない」「親のせい?」と悩んだとき
子どもが「家に帰りたくない」と言うとき
うつ状態のときは、家でも学校でも気持ちが休まらず、「どこにもいたくない」と感じることがあります。家族との関係がしんどさの一因になっている場合もあります。そんなときは、まず本人の言葉を否定せずに聞くこと、そして家庭以外にも話せる大人(スクールカウンセラー、保健室の先生、相談窓口)をつくっておくことが大切です。
家庭内で暴力や暴言があるなど、子どもの安全が心配な場合は、児童相談所虐待対応ダイヤル「189」(通話料無料)で最寄りの児童相談所につながります。高校生本人が相談したいときは、24時間子供SOSダイヤルやチャイルドラインも使えます。
「うつ病になったのは親のせい?」と自分を責めてしまうとき
うつ病は、性格や体質、学校や家庭でのできごと、うれしいできごとも含めた環境の変化など、いくつもの要因が重なって起こると説明されています。ひとつの原因、ひとりの誰かのせいと決められるものではありません。原因探しで自分を責めるより、「これからどう支えるか」に力を使うほうが、子どもの回復の助けになります。

病んだときの対処法|高校生本人に伝えたいこと
この記事を読んでいる高校生のあなたへ。気持ちが落ちこんでどうにもならないときに、自分でできることを書いておきます。
- まず休む:「休むのはサボり」ではありません。体と心のエネルギーが切れているときは、休むことが治療の一部です。
- 眠る・食べるを最優先にする:勉強より先に、睡眠と食事を整えます。
- 気持ちを書き出す:ノートやスマホのメモに、つらいことをそのまま書くだけでも、頭の中が少し整理されます。
- ひとりにだけでも話す:家族、先生、保健室、相談窓口。誰か一人に「しんどい」と伝えることが第一歩です。
- 大きな決断はしない:退学や転校など大事なことは、元気が戻ってから決めても遅くありません。

親子で使える相談窓口
「誰に相談すればいいかわからない」ときは、次の窓口があります。保護者だけの相談もできます。
| 窓口 | 連絡先 | 受付時間・特徴 |
|---|---|---|
| 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省) | 0120-0-78310 | 24時間。子どもも保護者も |
| チャイルドライン | 0120-99-7777 | 毎日16時〜21時。18歳までの子ども |
| こころの健康相談統一ダイヤル | 0570-064-556 | 都道府県ごとに受付時間が異なる |
| いのちの電話 | 0120-783-556 | 毎日16時〜21時(毎月10日は8時〜翌8時) |
| 児童相談所虐待対応ダイヤル | 189 | 通話料無料。最寄りの児童相談所につながる |
| 精神保健福祉センター・保健所 | 都道府県・市の窓口 | 家族だけの相談もできる |
※厚生労働省「まもろうよ こころ」、大阪府「児童相談所虐待対応ダイヤル」の案内などをもとに作成(2026年10月確認)。IP電話からつながらない番号があります。命の危険がさし迫っているときは119番・110番へ。
いまの学校が続けられないときの選択肢
治療をしながら、いまの学校に通い続けられる人もいます。一方で、欠課時数が上限を超えそうなときや、学校の環境そのものが負担になっているときは、別の選択肢を考える時期かもしれません。
- 休学:在籍を残したまま休む方法。詳しくは高校の休学で解説しています。
- 通信制高校への転校:修得した単位や在籍期間を引き継げることが多く、毎日の登校が前提ではありません。
- いまの学校で配慮を受けながら続ける:別室登校や課題の調整など。
どれを選ぶかは、医師の意見と本人の気持ちを聞いてから決めましょう。親ができるのは、選択肢の情報を先に集めておき、本人が決められる状態になったときに見せられるよう準備しておくことです。
療養中の学び方の選択肢として|NIJIN高等学院
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制サポート校です。自宅から授業に参加でき、担任がレポートの進み具合や体調の波を見ながら、一緒に学習計画を立てます。カメラやマイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められます。
正直な注意点も書いておきます。ニジ高そのものは高校ではありません。高校卒業の資格は提携する通信制高校で取り、提携校のスクーリング(面接指導)への参加が必要です。費用は提携校の分とニジ高の分がかかり、ニジ高の分には高等学校等就学支援金は使えません。金額は学費のご案内で公開しています。また、ニジ高は医療機関ではないので、治療は主治医のもとで続けてください。

体調に合わせた学び方を、一緒に整理しませんか
個別相談では、いまの在籍状況や単位をうかがいながら、いまの学校を続ける場合と転校する場合の見通しを、事実にもとづいてお伝えします。保護者の方だけの参加もできます。
よくある質問
まず休ませ、「頑張れ」と励ますのは控えます。憂うつ、不眠、食欲の変化、好きなことを楽しめないなどが2週間以上続くときは、かかりつけ医や児童思春期を診る医療機関に相談しましょう。並行して、学校に科目ごとの欠課時数を確認します。
診断書を出しただけで欠席の記録がなくなるわけではありません。学校保健安全法の出席停止は感染症が対象です。診断書は、提出期限の延長や別室受験など、具体的な配慮を学校に相談する材料として使います。
「眠れないのがつらそうだから相談してみよう」など、本人が困っている症状を入り口にすると受け入れやすくなります。本人が行けないときは、保護者だけで精神保健福祉センターや保健所、スクールカウンセラーに相談することもできます。
進級は科目ごとの単位で決まり、欠課時数の上限や補習での対応は学校ごとに違います。早めに担任に科目ごとの欠課時数を確認し、休学や通信制高校への転校も含めて、医師の意見を聞きながら考えましょう。
否定や説教をせず、「話してくれてありがとう」と受け止めてください。そのうえで、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)や医療機関に相談します。命の危険がさし迫っているときは119番・110番に連絡してください。
まとめ:親が先に倒れないことも、大切な対応です
高校生の子がうつ病かもしれないとき、親の対応の基本は休ませる、医療と学校につなぐ、大事な決断は急がないの3つです。診断書は欠席を消すものではありませんが、学校と配慮を話し合う大切な材料になります。
そして、支える側の保護者も疲れます。家族のなかで役割を分けたり、保護者自身が相談窓口やカウンセリングを利用したりすることも、子どもを支え続けるために必要なことです。回復は一進一退です。焦らず、一歩ずつで大丈夫です。
学び方のことを誰かと一緒に考えたくなったときのために、相談の入口を置いておきます。

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参考文献・出典
- 香川県「うつ病について」(https://www.pref.kagawa.lg.jp/shogaifukushi/kokoro/j-taisaku/utsu.html)
- 学校保健安全法 第19条(出席停止)
- 高知県「県立高等学校の学校教育法施行規則等の運用に関する規則」(卒業に必要な修得単位数74単位以上)
- 横浜市「改正障害者差別解消法の施行(事業者による合理的配慮の提供の義務化)」
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」(https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/)
- 大阪府「児童相談所虐待対応ダイヤル『189』」
※いずれも2026年10月確認。この記事は医療上の診断や治療を行うものではありません。症状については医師にご相談ください。

