お子さんの様子がいつもと違う。朝起きてこない日が増えた。話しかけても返事が薄い。学校の話をすると黙る。——そういうとき、多くの保護者の方が最初に検索するのは「高校生 うつ病 親 対応」です。そして出てくる記事の多くは、受診をすすめて終わります。
休み明けに子どもに何が起きやすいのかは、9月1日問題の記事で数字とサインの出る時期を整理しています。
この記事は、そこから一歩踏み込みます。お伝えしたいのは、親が最初にやることは受診ではないということです。受診は大事ですが、順番が2番目です。理由は単純で、診断書を出しても、高校の欠席日数は1日も減らないからです。ここを知らないまま数週間が過ぎると、休ませた結果として進級が危うくなる、という一番つらい展開になります。
今日は、学校保健安全法と指導要録の規定を実際に開いて確かめたうえで、休ませながら進級も守るための順番を整理しました。急がせるつもりはありません。読み終えたときに、今日やることが1つだけ決まっていれば十分です。
お子さん本人に向けて、通いながら負荷を下げる方法をまとめたうつ病 学校もあわせてご覧ください。
回復にどのくらいかかるのか、治療の考え方は、公的資料をもとに別の記事でまとめています。高校生 鬱もあわせてご覧ください。
特別児童扶養手当・自立支援医療・手帳など、学費以外に使える可能性のあるお金の制度は、発達障害 高校生 手当もあわせてご覧ください。
結論:高校生の子がうつ病かもしれないとき、親が動く順番
- ①今日やること=担任に連絡して、現時点の「欠席日数」と「各科目の欠課時数」を教えてもらう。理由は言わなくてかまいません。
- ②診断書は欠席を消しません。学校保健安全法第19条の出席停止は感染症のための制度で、うつ病は対象外です。病気での欠席は指導要録上「欠席日数」に入ります。
- ③受診は2番目で間に合います。ただし早いほど、自立支援医療(精神通院医療)などで通院費の負担を軽くできる期間が長くなります。
- ④本人が動けなくても止まりません。スクールカウンセラー、保健室、精神保健福祉センターは保護者だけで相談できます。
- ⑤「なんで行かないの」をやめる。理由を言えないのが、うつ状態のいちばん典型的な症状です。
- ⑥家にいながら単位を積める制度があります。不登校を理由とする場合は74単位のうち合計36単位までですが、疾病による療養のためなら、この上限によらないことができます(学校教育法施行規則第96条第3項・第4項)。
- ⑦学校を変えるかどうかは、数字が出てから決めて大丈夫です。通信制への転入は、修得済みの単位を持ったまま相当学年に入れます(同規則第92条第2項)。
以下、それぞれを一次情報で確認しながら説明します。
正直に書きます。「診断書を提出すれば欠席が免除される」という理解は半分正しくて半分は違います。診断書は欠席の事情を説明する書類であり、学校が欠席を「公欠」として扱うかは学校の判断に委ねられています。また、「親が動けば解決する」わけではなく、本人の状態によっては動くこと自体がプレッシャーになる場合があります。この記事の順番は一般的な流れであって、お子さんの状態に合わせて変える必要があります。
「9月1日問題」は俗称ではなく、政府が対策を取っている課題です
ネットで生まれた言葉のように扱われることがありますが、実際には行政の文書に同じ趣旨の記述があります。
検索では「九月一日問題」「9/1問題」と書かれることもありますが、指している現象は同じです。
こども家庭庁の「こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議」の資料には、「こどもの自殺は長期休暇明け前後に増加する傾向があることから、こども・若者に向けたポスターや動画を作成し相談窓口を周知。夏季休暇中から、重層的な啓発活動を実施」と書かれています。しかもこれは単発ではなく、毎年の定例の取組として組まれています。
つまり「うちの子だけが弱い」のではありません。国が、毎年この時期に何かが起きると想定して動いているということです。ここを知っているだけで、家庭で抱え込む重さは少し変わります。
数字で見ると——小中高生の自殺は令和6年に過去最多の529人
感覚の話にしないために、公的な統計を確認します。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 令和6年の小中高生の自殺者数(確定値) | 529人(統計上の過去最多) |
| 女性の人数 | 2年連続で増加。統計のある1980年以降で最多 |
| 原因・動機(全体) | 最も多いのは学校問題。次いで健康問題、家庭問題 |
| 自殺者総数(全年代) | 20,320人。総数は減少傾向のなかで、小中高生だけが増加 |
月別で見ると、山は9月1日の1日ではなく9月と10月にかかります
「9月1日問題」という名前から1日だけの話に見えますが、月ごとの人数を並べてグラフにすると、山は9月と10月にかかります。
| 月 | 令和6年 | 令和5年 |
|---|---|---|
| 7月 | 49人 | 43人 |
| 8月 | 40人 | 52人 |
| 9月 | 59人(年間最多) | 54人 |
| 10月 | 45人 | 61人(年間最多) |
| 年間合計 | 529人 | 513人 |
※出典=厚生労働省自殺対策推進室・警察庁生活安全局「令和6年中における自殺の状況」(2025年3月28日公表)。2026年9月時点の公表値です。
なぜ9月1日なのかというと、そこが「戻る日」として暦の上で一番はっきり決まっている日だからです。ただし表のとおり、越えたあとの10月のほうが人数が多い年もある。9月1日は山の入口で、頂上ではありません。
注目したいのは最後の行です。日本全体の自殺者数は長期的に減っているのに、小中高生だけが増えている。大人向けの対策が届いていない層がある、ということです。
※出典=こども家庭庁「第9回 こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議」提出資料(厚生労働省・令和7年)。原票は警察庁自殺統計。2026年9月時点の公表値です。
なぜ長期休み明けなのか。夏休みは「逃げられていた期間」だから
理由は、実はそれほど複雑ではありません。
学校がしんどい子どもにとって、夏休みは唯一その環境から離れていられる期間です。40日間、朝の憂うつがない。教室に入らなくていい。人間関係を気にしなくていい。その安全な期間が、カレンダー上で終わりに近づいていく。
そして多くの場合、休みのあいだに問題そのものは何も解決していません。いじめが終わったわけでも、クラスの空気が変わったわけでも、遅れた勉強が埋まったわけでもない。同じ場所に戻る日だけが決まっている。この構造が、8月後半の重さをつくります。
2学期の事情も重なります。運動会、文化祭、合唱コンクール。2学期は「クラス全員で毎日そろって準備する」行事が集中する学期です。ふだんの授業なら端にいることもできますが、行事期間は集団行動から抜けにくい。始業式の前から、その先の1か月分の負荷が見えてしまいます。
発達障害やグレーゾーンの特性がある場合は、さらに条件が重なります。長期休みで崩れた生活リズムを戻すのに時間がかかること、環境の切り替えに負荷がかかること、集団のなかにいること自体の疲労が大きいこと。「怠けている」のではなく、切り替えに必要な体力の量が違うと考えたほうが実態に近いです。

9月1日だけではありません。同じことが1月と4月にも起きます
「9月1日問題」という名前がつくことで、その1日だけの話に見えてしまいますが、実際に増えるのは長期休みが明ける前後です。政府の資料も「9月1日」ではなく「長期休暇明け前後」という書き方をしています。
| 時期 | 重なる負荷 |
|---|---|
| 夏休み明け(8月末〜9月上旬) | 休みが最長。2学期は行事が集中し、負荷の見通しが立ちにくい |
| 冬休み明け(1月上旬) | 学年末が近く、成績・進級・受験の圧が同時に来る |
| 春休み明け(4月上旬) | クラス替え・担任交代・進学。人間関係がゼロから組み直される |
ここを知っておく実用的な意味は、「9月1日を越えたから大丈夫」と気を抜かないことにあります。9月を乗り切っても、1月にもう一度同じ波が来ることがあります。逆に言えば、年に3回ある区切りは、どれも「立て直しを始めるきっかけ」にもできます。転入・編入の受け入れも、この区切りに合わせて設定されていることが多いからです。
学校には、7月の時点で国から通知が出ています
これは保護者に知られていない事実だと思います。文部科学省は「児童生徒の自殺予防に係る取組について(通知)」を毎年夏前に出しており、学校に対して次のことを求めています。
- 長期休業の開始前から長期休業明けにかけて、自殺予防に向けた取組に全力で取り組むこと
- 進路指導の充実や見守り活動を丁寧に実施すること
- 1人1台端末等を活用したSOSの早期把握に取り組むこと
つまり学校側にも「この時期は気をつける」という前提がすでにあるということです。だから「こんなことで相談していいのか」と迷う必要はありません。9月1日前後に学校へ連絡するのは、学校にとって想定内の相談です。
※出典=文部科学省「令和6年7月12日 児童生徒の自殺予防に係る取組について(通知)」。2026年9月時点の情報です。
サインは9月1日ではなく、8月の後半から出ています
当日いきなり動けなくなる、という形はむしろ少数です。多くは数週間前から体に出ます。
| 出やすいサイン | 見え方 |
|---|---|
| からだ | 朝の頭痛・腹痛・吐き気、寝つけない、朝起きられない、食欲が落ちる |
| ことば | 口数が減る、学校の話題を避ける、「どうでもいい」が増える |
| 行動 | 部屋にこもる、好きだったことをやめる、宿題に手をつけられない |
| 持ち物 | 教科書や制服を出さない、時間割を確認しない |
とくに「朝だけ体調が悪い」は見逃されやすいサインです。夕方には元気になるため「仮病では」と受け取られがちですが、起立性調節障害など体の問題が背景にあることもあり、心の負荷が体に出ている状態でもあります。
ここで大切なのは、原因を突き止めようとしないことです。本人にも理由が説明できないことのほうが多い。「なんで行けないの」と聞かれても答えられず、答えられない自分をさらに責める、という悪循環が起きます。

「行きたくない」と言われた最初の30秒で、言わないほうがいい言葉
言い方を全部正解にする必要はありません。ただ、最初のひと言だけは影響が大きいので、置き換えの候補を書いておきます。
| 言いがちな言葉 | 置き換えの候補 |
|---|---|
| なんで行けないの? | そっか。教えてくれてありがとう |
| 行けば楽しいって | いまはしんどいんだね |
| みんな我慢してる | 無理して行かなくていいよ |
| 今日だけがんばろう | 今日は休もう。そのあとは一緒に考えよう |
「無理しなくていい」と言うと、そのまま学校に戻れなくなるのではと不安になる方は多いです。ただ実際には、逃げ道があると分かっているほうが、人は動きやすくなります。「今日は半日だけ」「まず保健室に行ってから決める」「今日は休んで明日また考える」——選択肢が複数あると、本人が自分で選べるようになります。
そして、休ませた日の夜に進路の話をしないでください。体を休める日と、進路を考える日は分けたほうがうまくいきます。

もし、いま読んでいるのが本人なら
ここまで保護者向けに書いてきましたが、この記事を自分で探して読んでいる人もいると思います。その人に向けて、短く書きます。
行きたくないと思うことは、あなたが弱いからではありません。この記事の前半に書いたとおり、同じ時期に同じことが起きる人が毎年たくさんいて、国がそれを前提に対策を組んでいます。あなたひとりの問題ではありません。
そのうえで、今日できることを3つだけ。
- 今日は休んでいい。1日休んでも留年はしません。仕組みは後半で説明しています。
- 誰かに言う。親でも、保健室の先生でも、知らない人でも構いません。0120-0-78310 は24時間無料でつながります。声を出すのがしんどければ、SNSやチャットの窓口もあります。
- 今日は進路を決めない。しんどい日に大きい決断をしなくていいです。決めるのは、眠れた日でいい。
言葉にしなくても大丈夫です。「しんどい」の一言でも、既読がつくだけでも、それは十分な行動です。

休ませたあと、進級はどうなるのか
ここが多くの家庭でいちばん現実的な不安だと思います。結論から言うと、数日休んだくらいで留年はしません。
高校の進級・卒業は「年間で何日休んだか」ではなく、科目ごとの授業時数で判断されます。実際に公開されている高校の教務規程を読むと、履修の認定は「欠課時数が標準の授業時数の3分の1以下であること」を要件としており、標準の授業時数は1単位あたり35単位時間と定められています。1日の欠席がそのまま留年に直結する仕組みではありません。
しかも同じ規程には、基準を超えた場合も「生徒の状況を充分考慮したうえで、校長が履修の認定について判断する」と書かれています。数え方と実際の余裕については高校の欠席日数は何日まで?で詳しく整理しました。
それでも間に合わないときのために、道が4つあることも先に知っておいてください。通信制高校への転入学と編入学の違い、高校留年後の進路は3つもあわせてご覧ください。
学校以外の場所は、思っているより多い
「学校に行けない=進路が終わる」ではありません。実際に用意されている受け皿を並べておきます。
| 選択肢 | どんな場所か |
|---|---|
| 保健室・別室登校 | 教室に入らずに校内で過ごす。出席として扱う学校が多い |
| 教育支援センター(適応指導教室) | 自治体が設置。在籍校の出席として扱われることがある |
| フリースクール | 民間。学校との連携で出席扱いになる場合がある |
| 通信制高校・サポート校 | 出席日数ではなくレポートとスクーリングで単位を認定する |
通信制高校の仕組みが今の全日制と根本的に違うのは、「毎日決まった時間に決まった場所へ行く」ことを前提にしていない点です。単位はレポート・スクーリング(面接指導)・試験で認定されるので、日々の出席日数で進級が決まりません。体調に波がある人にとって、この差はとても大きいものです。
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、その通信制高校と連携して学びを支える通信制サポート校です。オンラインが中心で、全国どこからでも参加できます。担任がつき、カメラもマイクもオフのまま、チャットだけの参加から始めても構いません。NIJINアカデミーの高等部として、これまでに650名以上の不登校の子どもたちを支えてきた知見を生かし、一人ひとりの学習・生活・進路を支えます。
また、ニジ高の学びは高校生だけで閉じません。国内外の小学生・中学生・大学生・社会人など、年齢や地域、立場の異なる仲間と出会い、互いの経験や価値観に触れながら活動できることも大きな魅力です。世界・地域・世代を越えた多様性の中で、自分の得意や役割を見つけていけます。
正直な注意点も書きます。学院内でのスクーリングはありません。高卒資格のためには提携する通信制高校のスクーリングに参加する必要があり、私たちはその準備と当日を支える立場です。毎日通う学校と同じ体験になるわけでもありません。それでも「行けない日がある自分」を責めずに済む場所として選ばれています。学費は学費のご案内で公開しています。
運営は株式会社NIJINです。ニジ高は、不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の高等部です。小学生から中学生、高校生、大学生、社会人までが、世代や地域を越えて関わる環境を大切にしています。
いま話せる窓口(電話・SNS・チャット)
家庭だけで抱える必要はありません。本人からでも、保護者からでも使えます。
| 窓口 | 連絡先・特徴 |
|---|---|
| 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省) | 0120-0-78310/24時間・無料。本人も保護者も |
| まもろうよ こころ(厚生労働省) | 電話・SNS・チャット相談の一覧。電話が苦手でも使える |
| こころの健康相談統一ダイヤル | 0570-064-556/各都道府県の公的相談につながる |
| スクールカウンセラー | 無料。担任を通さず直接予約できる学校も増えている |
SNSやチャットの窓口が増えたのは、電話で声を出すこと自体がハードルになるという現実に対応した結果です。話すのがつらければ、文字で構いません。
※窓口の情報は2026年9月時点のものです。最新は厚生労働省「まもろうよ こころ」でご確認ください。

よくある質問
Q. 1日休ませたら、そのまま行けなくなりませんか?
その不安はよく聞きます。ただ、限界まで我慢させてから折れるほうが、戻るまでに時間がかかります。1日休んで落ち着いて、翌日また考える。そのくらいの余白があるほうが結果的に登校は続きます。「行かせるか休ませるか」の二択で考えず、半日・保健室・遅刻での登校も選択肢に入れてください。
Q. 9月1日に学校を休むと、内申や進学に響きますか?
大学入試の一般選抜では、欠席日数だけを理由に不合格になることは基本的にありません。総合型選抜・学校推薦型選抜では出願条件に欠席日数を設けている大学もあるため、志望校の募集要項で確認してください。数日の欠席が進路を決めることはありません。
Q. 本人が何も話してくれません。どうすればいいですか?
話させようとしなくて大丈夫です。「話したくなったら聞くよ」と伝えて、あとは同じ空間にいるだけでも意味があります。話すきっかけは、正面から向き合うときより、車の中や並んで歩いているときなど視線が合わない場面で生まれやすいと言われます。並んで座る、一緒に何かをする、が現実的です。
Q. 学校に相談すると大ごとになりませんか?
先ほどのとおり、学校には国から「長期休業明けは見守りを丁寧に」という通知が毎年届いています。この時期の相談は想定内です。担任に言いにくければ、養護教諭(保健室の先生)、スクールカウンセラー、学年主任のいずれでも構いません。
Q. 通信制高校に移るのは、逃げになりませんか?
制度上は転入も編入も正規の進路選択で、修得済みの単位は引き継げます。タイミングが合えば学年を落とさずに卒業できます。「合わない場所から合う場所へ移る」ことを逃げと呼ぶ必要はありません。

休ませる判断と、進級を守る手当ては、同時に進められます。
全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付
通信制高校サポート校 NIJIN高等学院(ニジ高)/出願費用は無料です。無理に勧めることはありません。

