発達障害のあるお子さんの高校進学を考え始めると、「普通の高校で大丈夫か」「特別支援学校のほうがいいのか」「通信制という道はどうか」と、比べるものが一気に増えます。しかも、入試の配慮、通級、合理的配慮といった言葉が別々に出てきて、どれが誰の仕事なのかも見えにくいと思います。
先に結論を書きます。主な進学先は5種類あり、「高校卒業」になるのは全日制・定時制・通信制の3つです。そのうえで、使える制度は3段階に分かれます。入試では「受検上の配慮」を中学校を通して申請し、入学後は「通級による指導」(高校は2018年度から)と「合理的配慮」(私立も2024年4月から法律上の義務)を使います。この記事は、この「制度の地図」に絞って整理します。
学校教育法・障害者差別解消法・発達障害者支援法(e-Gov)、文部科学省の調査と通知、東京都・神奈川県・大阪府の教育委員会の案内を実際に開いて確認した内容で書いています。確認できなかったことは、確認できなかったと書きます。お子さんの特性の見立てや医療の判断は、この記事では扱いません。主治医や専門機関にご相談ください。
毎日の通学がつらそうな場合は、オンラインという選択肢もあります。NIJIN高等学院(ニジ高)は「オンラインで最高の青春を」を掲げる通信制高校サポート校で、全国の仲間とオンラインでつながり、企業や地域と関わるプロジェクトや、生徒が自分たちで企画する行事に挑戦できます。カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、全国にNIJINアカデミー(ニジ高はその高等部)のリアルの教室があり、リアルでの通学もご検討いただけます。ニジ高は高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングには参加が必要です。どんな学校なのかは、校長・星野達郎のYouTubeでも見られます。
結論:発達障害のある子の高校進学の早見
- 主な進学先は5種類。全日制高校・定時制高校・通信制高校・特別支援学校高等部・高等専修学校です(ほかに高等専門学校などもあります)。「高校卒業」になるのは高校(全日制・定時制・通信制)だけです。
- 特別支援学校高等部の対象は、法律上、視覚・聴覚・知的・肢体不自由・病弱の5つです。「発達障害」という区分はありません(学校教育法第72条)。3年次を修了すれば大学の入学資格はあります。
- 公立高校の入試では、別室受検や検査時間の延長などを事前に申請できます。東京都・神奈川県・大阪府とも、申請は在学する中学校を通して行います。
- 入試の配慮は、中学校で今受けている配慮が土台になります(東京都・神奈川県の案内)。中3の秋から慌てるより、中学での配慮を記録に残しておくと役立ちます。
- 高校の通級による指導は2018年度から。年間7単位まで卒業の単位に入れられます。ただし令和5年度に通級を受けた高校生は全国2,371人で、通級を受ける生徒がいる公立高校は12.1%でした。
- 合理的配慮は、2024年4月から私立学校にも法律上の義務になりました(障害者差別解消法第8条第2項)。配慮は「本人・保護者からの申し出」と「話し合い」から始まります。
- 毎日の通学が負担になりやすい場合は、オンライン中心のサポート校(NIJIN高等学院など)で通信制高校の卒業をめざす形もあります。
「どの学校が合うか」の前に、「どの制度の上に乗るか」を知っておくと迷いが減ります
発達障害のある子の高校選びでは、学校の雰囲気や先生の相性が大事なのは言うまでもありません。ただ、雰囲気は学校見学で確かめられますが、制度の違いはあとから変えられません。たとえば、特別支援学校高等部を卒業しても、学歴は「高校卒業」ではなく「特別支援学校高等部卒業」です。高等専修学校も、そのままでは高校卒業にはなりません。
もう1つ、制度には「使う時期」があります。入試の配慮は出願より前に申請が必要で(東京都の令和8年度入試は2025年12月19日まで)、入学後の通級や合理的配慮は、進学先の学校と話し合って決めます。入試と入学後で、窓口も手続きも別です。ここを混ぜると、「入試で配慮してもらえたから、入学後も同じ配慮が続く」と思い込んでしまいがちです。
この記事は、次の順に制度を並べます。
- 進学先の5種類と、卒業で得られるもの
- 高校入試での「受検上の配慮」
- 入学後の「通級による指導」と「合理的配慮」
- 困ったときの相談先
ADHD・ASDなど特性ごとの学校選びの具体的なチェック項目は、ADHD・ASD 高校選び チェックリストの記事にまとめています。この記事では、その前提になる制度の全体像を扱います。

主な進学先は5種類。「高校卒業」になるのは全日制・定時制・通信制の3つです
まず、中学卒業後の主な進学先を法律上の位置づけで並べます(ほかに高等専門学校などもありますが、この記事では扱いません)。学校教育法では、高等学校には全日制のほか定時制・通信制の課程を置くことができ(第53条・第54条)、修業年限は全日制が3年、定時制・通信制は3年以上です(第56条)。
| 進学先 | 卒業で得られるもの | 大学の入学資格 | 通い方の目安 |
|---|---|---|---|
| 全日制高校 | 高等学校卒業 | ある | 平日毎日・3年 |
| 定時制高校 | 高等学校卒業 | ある | 平日毎日(夜間・昼間など)・3年以上 |
| 通信制高校 | 高等学校卒業 | ある | 自宅学習とスクーリング・3年以上 |
| 特別支援学校高等部 | 高等部卒業(高校卒業ではない) | 3年次修了で、ある | 平日毎日 |
| 高等専修学校 | 専修学校高等課程の修了 | 文部科学大臣が指定した学校(3年以上など)の修了者だけ | 平日毎日が多い |
出典:学校教育法 第53条・第54条・第56条・第72条・第90条・第125条・第126条/学校教育法施行規則 第150条(e-Gov)/文部科学省「大学入学資格について」(2026年9月確認)
表の「通い方の目安」は一般的な形で、学校によって違います。とくに通信制高校は、週5日通うコースから年に数日のスクーリングだけのコースまで幅があります。文部科学省の「令和7年度 通信制高等学校実態調査」では、通信制高校は全国に323校、2025年3月31日時点の在籍者は306,711人で、2025年度の入学者の57.0%が中学3年生のときに不登校でした(文部科学省 令和7年度 通信制高等学校実態調査)。
通信制高校の卒業の条件は、3年以上の在籍・74単位以上の修得・特別活動30単位時間以上です。全日制と同じ「高等学校卒業」になります。3つの課程の違いは定時制・通信制・全日制の違いの記事でくわしく比べています。
ADHDやASDのお子さんが通信制高校を選んだときに楽になること・難しくなることは、特性ごとの記事に分けました。ADHD 通信制高校、ASD 通信制高校をご覧ください。
特別支援学校高等部の対象は5つの障害。「発達障害」という区分はありません
「発達障害があるなら特別支援学校」と考える方もいますが、法律の書き方は違います。学校教育法第72条は、特別支援学校の対象を視覚障害者・聴覚障害者・知的障害者・肢体不自由者・病弱者(身体虚弱者を含む)の5つとしています。ADHD・ASD・LDは、この条文に名前がありません。
そのため、たとえば知的障害を伴う場合には知的障害の特別支援学校高等部が進学先の候補になりますが、発達障害だけを理由に入学できるかどうかは、都道府県の募集要項で決まります。入学の条件や選考の方法は、住んでいる都道府県の教育委員会が出している特別支援学校の募集要項で確かめてください。
卒業後の進路は、障害の種類によって大きく違います。文部科学省の「特別支援教育資料(令和6年度)」に載っている、令和6年3月の高等部(本科)卒業者の数字です。
| 区分 | 卒業者 | 進学者の割合 | 就職者等の割合 |
|---|---|---|---|
| 全体 | 20,641人 | 1.8% | 29.5% |
| 知的障害 | 18,217人 | 0.5% | 32.0% |
| 視覚障害 | 219人 | 37.0% | 13.7% |
| 聴覚障害 | 375人 | 43.7% | 31.5% |
出典:文部科学省「特別支援教育資料(令和6年度)」第一部 データ編(元は学校基本調査。2026年9月確認)。進学者は大学等と専攻科の合計
全体では、社会福祉施設等への入所・通所が12,809人(62.1%)で最も多く、就職者等が6,090人(29.5%)でした。旧版の記事では「卒業後は就労移行支援・福祉的就労が中心」と一言で書いていましたが、実際には障害の種類で進学の割合が0.5%から43.7%まで開きます。「特別支援学校に行くと大学に行けない」のではなく、3年次を修了すれば大学の入学資格はあり(学校教育法第90条)、進路は学校と本人の状況で決まります。
特別支援学校高等部は、高校に準ずる教育に加えて、障害による学習上・生活上の困難を克服し自立を図るための学びがある学校です(学校教育法第72条)。一方で、学歴は「高校卒業」ではありません。どちらが上ということではなく、何を優先するかで選ぶ学校です。
中学校で特別支援学級(支援級)に在籍しているお子さんの場合は、調査書の評定(内申点)の扱いや、支援級の卒業生が実際にどこへ進んでいるかも判断材料になります。詳しくは特別支援学級(支援級)の中学生の進路で整理しています。
高等専修学校は「職業の学び」が中心。大学入学資格は指定校だけ、高校卒業は技能連携で得られます
高等専修学校は、専修学校のうち中学卒業者を対象にした「高等課程」を置く学校です(学校教育法第125条・第126条)。文部科学省の専修学校の情報サイト「知る専」によると、約400校で約3万4,000人が学んでいます(令和2年度)。普通科目に加えて実習・実技の時間が多く、資格取得に力を入れる学校が多いのが特徴です。
同じサイトは、高等専修学校の類型として、不登校経験があってもリスタートできる学校や、発達障害などへの対応を含めて多様な個性を大事にする学校も挙げています。ただし、学校ごとに中身はまったく違うため、見学で確かめるしかありません。全日制・通信制・通信制+サポート校の3つをどう比べるかは、発達障害の高校選びの記事で、通い方と卒業後の進路の違いから整理しています。
注意したいのは、卒業資格の扱いです。
- 大学の入学資格は、修業年限3年以上などの基準を満たし、文部科学大臣が指定した高等課程の修了者だけにあります(学校教育法施行規則第150条第3号)。指定されていない学校もあります。
- 高校卒業は、高等専修学校だけでは得られません。ただし、定時制・通信制高校と「技能連携」をしている学校なら、両方に在籍して高校の卒業資格も同時にめざせます(学校教育法第55条)。
出典:文部科学省「知る専」高等専修学校のことが知りたい/文部科学省「高等専修学校とは」(2026年9月確認)
高等専修学校を考えるときは、「大学入学資格の指定を受けているか」「技能連携で高校卒業も取れるか」の2点を、学校に直接聞いてください。文部科学省令で定める課程を置く高等専修学校は、高等学校等就学支援金の対象になります(高等学校等就学支援金の支給に関する法律第2条第5号)。

高校入試の配慮は「中学校を通して事前に申請」。中身は「中学校で今受けている配慮」が土台です
公立高校の入試では、障害のある受検者が、検査の方法・時間・会場などの配慮を申請できます。都道府県によって手続きが違うため、この記事では東京都・神奈川県・大阪府の3つの教育委員会の公式ページを実際に開いて確かめました。ほかの道府県は確認していません。
| 都府県 | 申請の窓口 | 配慮の例(公式ページの記載) | 時期など |
|---|---|---|---|
| 東京都(都立高校) | 在学する中学校を通して、志願先の都立高校へ | 発達障害の例として、別室受検、検査時間の延長、問題用紙・解答用紙へのルビ振り、ICT機器の使用、記号選択式での受検 | 令和8年度入試は2025年12月19日まで(令和9年度入試の期限は確認できませんでした) |
| 神奈川県(公立高校) | 中学校を通じて事前に申請 | 問題用紙等の拡大、検査時間の延長、別室受検、座席の配慮など | 令和9年度の実施要領にもとづく案内。申請の条件あり |
| 大阪府(公立高校) | 在籍(卒業生は出身)中学校を通じて | 学力検査時間の延長、代筆解答、介助者の配置、問題用紙等の変更、別室、物品の持込み、座席の変更など | 中学校長が志願先の高校長とあらかじめ連絡をとる |
出典:東京都教育委員会「障害のある受検者に対する配慮」(2025年10月2日更新)/神奈川県「特別な事情のある人への配慮について」/大阪府「障がいのある生徒に対する配慮事項」・令和8年度大阪府公立高等学校入学者選抜実施要項(いずれも2026年9月確認)
3つの案内に共通しているのは、申請はどれも中学校を通すことです。東京都の案内には、中学校に在学していない場合は中学校を通さずに申請し、志願先の都立高校に問い合わせる、とも書かれています。
もう1つ大事なのが、配慮の中身の決まり方です。東京都は「在学する中学校等で受検者が現在受けている配慮の内容を十分参考にしながら」個別に決めるとし、神奈川県も「中学校における学習活動での配慮が基本」としています。つまり、中学校の定期テストなどで今受けている配慮が、入試の配慮を決めるときの参考にされるということです。
中学3年の12月に初めて申請を考えるより、中1・中2のうちから、定期テストでどんな配慮を受けているかを担任や特別支援教育コーディネーター(後の節で説明します)と記録しておくと安心です。
私立高校の入試での配慮は、学校ごとの判断になります。今回は私立高校の横断的な公式資料は確認できませんでした。志望校の入試相談や説明会で、個別に聞いてください。読み書きに困難がある場合の入試の配慮や大学入学共通テストの扱いは、学習障害 高校 選び方の記事でくわしく書いています。

高校の通級による指導は2018年度から。年間7単位まで卒業の単位に入りますが、まだ一部の学校です
「通級による指導」は、ふだんは通常の学級で授業を受けながら、一部の時間だけ障害に応じた特別の指導を別の場で受ける仕組みです。小中学校では以前からありましたが、高校では平成30年度(2018年度)に始まりました。
文部科学省の通知によると、高校の通級の単位は年間7単位を超えない範囲で、卒業に必要な単位数に加えることができます。対象は、言語障害・自閉症・情緒障害・弱視・難聴・学習障害・注意欠陥多動性障害などの生徒のうち、障害に応じた特別の指導が必要な生徒です(学校教育法施行規則第140条)。
ただ、数字を見ると、まだ広く行き渡っているとは言えません。
- 令和5年度に通級による指導を受けた高校生は全国で2,371人(国公私立計。うち私立44人)。中学生は34,449人でした。
- 高校生2,371人の内訳は、自閉症963人、ADHD681人、情緒障害391人、学習障害259人などです。
- 通級を受けている生徒がいる公立高校は全国423校で、公立高校全体の12.1%でした。
出典:文部科学省「学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の公布について(通知)」(平成28年12月9日公布・平成30年4月1日施行)/文部科学省「令和5年度通級による指導 実施状況調査」(令和7年7月)/学校教育法施行規則 第140条(2026年9月確認)
中学で通級を受けていたお子さんでも、進学先の高校に通級の仕組みがあるとは限りません。自校で行う学校、他校へ通う形の学校など、実施の形も自治体と学校で違います。「通級を続けたい」と考えている場合は、学校見学や説明会で「この学校で通級による指導を受けられますか」と直接聞くのが確実です。神奈川県のように、県の入試案内のページで県立高校の通級について案内している自治体もあります。
合理的配慮は、公立は2016年から、私立も2024年4月から法律上の義務。ただし「申し出」から始まります
通級のような特別の授業がない学校でも使えるのが、障害者差別解消法の「合理的配慮」です。障害のある人から、社会的障壁を取り除いてほしいという意思の表明があったとき、負担が重すぎない範囲で、必要で合理的な配慮をしなければならない、というルールです。
- 公立学校(行政機関等):第7条第2項で、法律の施行当初(2016年4月)から義務です。
- 私立学校(事業者):第8条第2項が2021年の改正で「しなければならない」に改められ、2024年4月1日から義務になりました。
出典:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 第7条・第8条(e-Gov)/内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進」/文部科学省「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(令和6年1月17日決定・同年4月1日施行。2026年9月確認)
文部科学省の対応指針は、学校法人(私立学校)もこの指針の対象だとしたうえで、配慮を決めるときは障害のある本人と学校が「建設的対話」によって、実現できる対応を一緒に考えることが大切だとしています。つまり合理的配慮は、学校が一方的に用意するものではなく、本人・保護者が「何に困っていて、何があれば学べるか」を伝えるところから始まる仕組みです。
また、発達障害者支援法第8条は、国と地方公共団体に、発達障害のある子が特性を踏まえた十分な教育を受けられるよう、個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成を進めることなどを求めています。この条文の対象には、18歳以上で高校・特別支援学校・専修学校の高等課程に在学する人も含まれています(発達障害者支援法 第2条・第8条)。
申し出の具体的な書き方や、学校との話し合いの進め方は、合理的配慮 申請の記事にまとめています。
使う時期ごとに見ると、入試の窓口は中学校、入学後の窓口は高校です
ここまでの制度を、使う時期ごとに並べ直します。お子さんの状況を当てはめて、「今どこを確かめればいいか」を見つけてください。
| 時期 | 使う制度 | 窓口 | 今のうちにしておくこと |
|---|---|---|---|
| 中1〜中3 | 中学校での配慮・通級・個別の教育支援計画 | 担任・特別支援教育コーディネーター | 定期テストでの配慮を記録に残す |
| 中3の冬(公立入試) | 受検上の配慮 | 在学する中学校(志願先の高校へ申請) | 申請の期限と必要な書類を中学校に確認 |
| 入学前後 | 合理的配慮(公立・私立とも) | 進学先の高校 | 困りごとと、あれば学べる工夫を書き出す |
| 在学中 | 通級による指導(実施校のみ) | 進学先の高校 | 実施の有無を見学で聞く |
※表は、この記事で確認した制度から作った目安です。手続きの細かい流れは都道府県と学校で違います。
表を見ると分かるとおり、入試の窓口は中学校、入学後の窓口は高校です。入試で配慮を受けられても、入学後の配慮は高校との話し合いであらためて決めます。中学校で作った個別の教育支援計画などを高校に引き継いでもらえるかも、中学校に相談しておくと安心です。
お金の面の制度(障害児福祉手当、自立支援医療など)は、この記事では扱っていません。発達障害 高校生 お金の記事で整理しています。
※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

よくある誤解は3つ。「通信制なら合う」「特別支援学校なら大学に行けない」「配慮には診断書が要る」
通信制が合う場合と合わない場合の分かれ目は通信制高校 発達障害の記事で詳しく書いています。
進学先を調べていると、極端な言い方に出会うことがあります。制度から見て、注意したい誤解を3つ挙げます。
誤解1:通信制高校は発達障害のある子に向いている
毎日の集団や時間割の負担が軽くなる、という面は確かにあります。一方で、通信制はレポートの提出を自分で管理し、スクーリングでは初めての集団に入ります。楽になる部分と難しくなる部分が両方あるので、「通信制なら大丈夫」とひとまとめにはできません。旧版の記事では「特に向いている」と書いていましたが、この記事ではその言い方をやめました。
誤解2:特別支援学校高等部に行くと、大学には進めない
上で見たとおり、特別支援学校高等部の3年次を修了すれば、大学の入学資格はあります(学校教育法第90条、文部科学省「大学入学資格について」)。令和6年3月の卒業者では、視覚障害の高等部で37.0%、聴覚障害の高等部で43.7%が進学しています(大学等と専攻科の合計)。一方、知的障害の高等部では進学は0.5%でした。
誤解3:配慮は診断書がないと受けられない
今回確認した東京都・神奈川県・大阪府の案内ページには、診断書の要否は書かれていませんでした。申請の条件や必要な書類は、中学校を通して確認することになります。高校入学後の合理的配慮も、法律の条文は「意思の表明」を出発点にしていて、診断書を条件とは書いていません。ただし、学校から根拠となる資料を求められることはあり得るため、必要な書類は学校ごとに確かめてください。
相談先は4つ。中学校、教育委員会、発達障害者支援センター、進学先の学校です
制度が分かっても、「うちの子の場合はどうか」は一人では決めにくいものです。相談先を、役割ごとに整理します。
- 中学校の特別支援教育コーディネーター:文部科学省の通知(平成19年4月1日「特別支援教育の推進について」)で、校長が指名し、校内委員会の運営、関係機関との連絡調整、保護者からの相談窓口などを担うとされている先生です。入試の配慮の申請も、まずここから始まります。
- 都道府県・市区町村の教育委員会の教育相談:特別支援学校の入学の条件、公立高校の通級の実施状況など、学校をまたいだ情報はこちらが持っています。
- 発達障害者支援センター:発達障害者支援法第14条にもとづき、都道府県などが設置・指定する機関で、本人や家族からの相談に専門的に応じ、情報の提供や助言を行います。進学だけでなく、生活や医療・福祉とのつなぎ先を知りたいときの窓口です。
- 進学先の候補の学校:通級の有無、入学後の配慮の実例、スクーリングの形などは、最後はその学校に聞くしかありません。
出典:文部科学省「特別支援教育の推進について(通知)」19文科初第125号/発達障害者支援法 第14条(2026年9月確認)
診断や服薬など医療の判断は、主治医や専門の医療機関にご相談ください。学校選びの相談と医療の相談は、窓口を分けて考えると整理しやすくなります。
選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)
ここまで読んで、「毎日の通学そのものが負担になっている」「集団の中にいるだけで疲れてしまう」と感じた方もいると思います。そうした場合、自宅から学べる形を候補に入れる方法もあります。
NIJIN高等学院(ニジ高)は、オンライン中心の通信制高校サポート校です。全国どこからでも参加でき、担任制で、カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められます。生活リズムに波があっても学べるように、授業のアーカイブ視聴や中学内容の学び直しにも対応しています。ニジ高は、発達特性や障害を、本人を変えるのではなく学びの構造や環境を変えることで支援するという新しいアプローチを取っています。途中からの入学(転入・編入)もでき、出願費用は無料です。不登校の生徒を650名以上サポートしてきました(グループ全体)。
そのうえで、はじめにお伝えしておくことがあります。
- ニジ高そのものは高校ではありません。高校卒業の資格は、提携する通信制高校に在籍して取ります。
- 学院の中でのスクーリングはありませんが、提携校のスクーリングには参加が必要です。ニジ高は日程の調整と準備を支援しますが、宿泊型のスクーリングにニジ高のスタッフは付き添いません。
- 通級による指導や、提携校での合理的配慮の内容は、在籍する通信制高校との話し合いで決まります。入学前に個別に確認してください。
- 費用は提携校の分とニジ高の分の両方がかかり、ニジ高の分には就学支援金を使えません。金額は学費のご案内に載せています。
- 診断や服薬など医療の判断は、主治医・専門機関にご相談ください。
迷ったときの進め方(3ステップ)
- 「高校卒業」が必要かどうかを決める。大学・専門学校への進学を考えるなら、高校(全日制・定時制・通信制)か、指定を受けた高等専修学校・技能連携の学校、または特別支援学校高等部かで、得られる資格が変わります。最初の表で、候補を2〜3種類に絞ります。
- 中学校で今受けている配慮を書き出し、コーディネーターと共有する。定期テストの別室・時間延長・ICT機器の使用など、今の配慮が入試の配慮の土台になります。公立高校を受けるなら、申請の期限と書類をこの時点で確認します。
- 候補の学校に「通級」「合理的配慮」「スクーリングの形」を聞く。学校見学や個別相談で、「この学校で通級は受けられますか」「入学後の配慮はどう話し合いますか」と具体的に聞きます。答え方で、その学校の体制が見えてきます。
3つとも、志望校が決まっていなくても始められます。オンラインで学ぶ形も含めて話を聞いてみたい場合は、体験説明会・個別相談で、お子さんの状況を聞かせてください。


進学先に迷ったとき、オンラインで学ぶ形も聞いてみる
ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校です。カメラ・マイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、転入・編入もできます。ただし学院は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、そのスクーリングへの参加が必要です。志望校が決まる前の段階の相談でもかまいません。
よくある質問
A. 学校教育法第72条が定める特別支援学校の対象は、視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由・病弱の5つで、「発達障害」という区分はありません。知的障害を伴う場合などに候補になります。入学の条件は、都道府県教育委員会の特別支援学校の募集要項で確認してください。
A. 公立高校では申請できます。東京都は発達障害の例として別室受検・検査時間の延長・ルビ振り・ICT機器の使用・記号選択式を挙げ、神奈川県・大阪府も時間延長や別室受検を案内しています。3都府県とも、申請は在学する中学校を通して行います。私立高校は学校ごとの判断です。
A. 2018年度から高校でも制度として始まり、年間7単位まで卒業の単位に加えられます。ただし令和5年度に通級を受けた高校生は全国2,371人で、通級を受ける生徒がいる公立高校は12.1%です。進学先に仕組みがあるかは、学校に直接確認してください。
A. 求められます。障害者差別解消法の改正で、2024年4月1日から私立学校などの事業者にも合理的配慮の提供が法律上の義務になりました。本人・保護者からの申し出をきっかけに、学校との話し合い(建設的対話)で内容を決めていきます。
A. 学歴は「特別支援学校高等部卒業」で、高等学校卒業ではありません。ただし3年次を修了すれば大学の入学資格はあります。高校卒業の学歴が必要かどうかは、進路の希望とあわせて考えてください。
制度を知っておけば、お子さんに合う場所を落ち着いて選べます
発達障害のある子の高校進学は、選択肢が多いぶん迷いやすいものです。でも、主な進学先は5種類、使える制度は入試・入学後・相談先の3段階と分けてみると、「今確かめること」は意外と少なくなります。
全部を今決める必要はありません。まずは中学校で受けている配慮を書き出すところから始めると、次に聞くべき相手が見えやすくなります。お子さんが「ここなら学べる」と思える場所は、制度の上で少しずつ選んでいけます。

制度を整理する段階の相談から、一緒に考えます
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