不登校を経験した人や、高校を中退した人の進路を調べていると、「チャレンジスクール」という名前を目にすることがあります。聞き慣れない言葉ですが、東京都に住んでいる人にとっては、進路の選択肢を広げる大切な学校です。
この記事は、チャレンジスクールが気になっている中学生・高校生と、その保護者の方に向けて書いています。先に、いちばん大事なことを書きます。チャレンジスクールは、学力検査も中学校の調査書も使わずに入試を行う都立高校です。中学で学校に行けていなかったことが、入試で不利になりにくい仕組みになっています。
チャレンジスクールとはどんな学校なのか。どんな入試なのか。通信制高校とは何が違うのか。どんな人に向いているのか。東京都教育委員会の公表資料をもとに整理しました。
中学で不登校だった場合の高校選び全体については、中学で不登校でも、高校には通える?もあわせてご覧ください。
結論:チャレンジスクールの早見
- チャレンジスクールは、東京都立の昼夜間定時制高校です。不登校や高校中退の経験がある人が、自分の目標を見つけて挑戦できるように設計されています。
- 令和8年度は7校。六本木、大江戸、世田谷泉、稔ヶ丘、桐ヶ丘、小台橋、立川緑の各高校です。
- 午前・午後・夜間の三部制。自分の生活リズムに合う時間帯を選んで入学できます。
- 入試に学力検査はなく、中学校の調査書も使いません。志願申告書、作文、面接で、学ぶ意欲を見る入試です。
- 毎日決まった時間に通う学校です。通学の負担が大きい場合は、通信制高校のほうが合うこともあります。
- 東京都立の学校なので、原則として都内に住んでいることが出願の条件です。都外の人は、住んでいる地域の公立高校や通信制高校が選択肢になります。
チャレンジスクールとは?東京都の定義
東京都教育委員会は、チャレンジスクールを次のように説明しています。
「主に小・中学校での不登校の経験や高校での中途退学の経験により、これまで能力や適性を十分に生かしきれなかった生徒が、自分の目標を見つけ、それに向かってチャレンジする高校」
つまり、「過去につまずいた経験がある人」を最初から想定してつくられた学校です。ふつうの高校に合わせるのではなく、学校のほうが、そうした生徒に合わせた仕組みを持っています。
| 項目 | チャレンジスクールの特徴 |
|---|---|
| 学校の種類 | 東京都立の昼夜間定時制・総合学科・単位制の高校 |
| 学校数 | 7校(六本木、大江戸、世田谷泉、稔ヶ丘、桐ヶ丘、小台橋、立川緑) |
| 通う時間帯 | 午前・午後・夜間の三部制。入学する部を選べる |
| 入試 | 学力検査なし、調査書なし。志願申告書・作文・面接 |
| 学び方 | 総合学科なので、職業系を含むさまざまな専門科目を選べる |
| 心のケア | カウンセリングや教育相談の充実など、心のケアに配慮した指導 |
※出典=東京都教育委員会「チャレンジスクール」(だから都立高)、「令和8年度東京都立高等学校チャレンジスクール入学者選抜実施要綱」。八王子拓真高校にも「チャレンジ枠」があります。2026年9月時点の情報です。

チャレンジスクールの3つの特徴
1. 午前・午後・夜間から、通う時間帯を選べる
チャレンジスクールは、午前部・午後部・夜間部の三部制です(学校によって設置している部は異なります)。朝がどうしても苦手な人は午後部を選ぶ、というように、自分の生活リズムに合わせて入学する部を選べます。
定時制なので、4年間で卒業するのが基本です。ただし、自分の部以外の授業も取るなどして、3年で卒業できる仕組みもあります。卒業までの年数や時間割の組み方は学校ごとに違うので、説明会で確認してください。
2. 学力検査も調査書も使わない入試
チャレンジスクールの入試では、学力検査を行わず、中学校の調査書(内申書)も提出しません。評価に使うのは、志願申告書、作文、面接です。高校を中退した人は、高校の単位修得証明書や成績証明書も使われます。
中学で学校に行けなかった場合、全日制高校の入試では、欠席日数や内申点が気になるものです。チャレンジスクールは、「これまで」よりも「これから学びたい気持ち」を見る入試だと言えます。
3. 総合学科・単位制で、科目を選んで学べる
総合学科なので、国語や数学などの普通科目に加えて、職業系を含むさまざまな専門科目から、興味や進路に合わせて選べます。単位制なので、学年ごとに進級が決まるのではなく、必要な単位を積み重ねて卒業を目指します。

入試の流れと日程(令和8年度の例)
令和8年度の入学者選抜は、次の日程で行われました。毎年おおむね同じ時期ですが、年度によって変わるので、必ず最新の募集要項を確認してください。
| 出願 | 検査 | 合格発表 | |
|---|---|---|---|
| 第一次募集 | 1月30日〜2月5日 | 2月20日・21日 | 3月2日 |
| 第二次募集 | 3月5日 | 3月10日 | 3月13日 |
※出典=東京都教育委員会「令和8年度東京都立高等学校チャレンジスクール入学者選抜実施要綱」。検査日は、第1学年相当と第2学年相当以上で分かれています。
面接では、なぜこの学校で学びたいのか、入学したら何に取り組みたいのかを聞かれることが多いです。うまく話そうとするより、自分の言葉で、正直に話すことが大切です。作文も同じで、上手な文章よりも、自分の気持ちや考えが伝わることが大事にされます。
学校や部によっては、応募者が募集人員を上回ることもあります。「学力検査がないから必ず入れる」とは限らないので、第一志望の学校だけでなく、ほかの選択肢もあわせて考えておくと安心です。応募状況は、東京都教育委員会が毎年公表しています。
面接と作文、どう準備する?
学力検査がないぶん、面接と作文は大切な場面です。とはいえ、特別な対策が必要なわけではありません。次の3つを、自分の言葉で話せるようにしておくと落ち着いて臨めます。
- なぜこの学校を選んだのか。説明会や見学で感じたこと、通う時間帯を選べることなど、具体的な理由をひとつ用意しておきます。
- 入学したら何をしてみたいか。興味のある科目、やってみたい活動など、小さなことで構いません。
- これまでのこと。不登校や中退の経験について聞かれることもあります。無理にすべてを話す必要はありません。「いまはこうしたいと思っている」と、前を向いた気持ちを伝えられれば十分です。
作文は、事前に家で何度か書く練習をしておくと安心です。上手な文章を書こうとするより、自分の気持ちを、自分の言葉で書くことを意識してください。保護者の方は、内容を直しすぎず、「伝わるね」と声をかけるくらいがちょうどいいです。
通信制高校との違い
チャレンジスクールと通信制高校は、どちらも不登校の経験がある人の進路としてよく名前が挙がります。けれども、学校生活の形は大きく違います。
| 比べること | チャレンジスクール | 通信制高校 |
|---|---|---|
| 通い方 | 決まった時間帯に、毎日学校へ通う | 自宅学習が中心。登校(スクーリング)は年に数日〜週数日 |
| 生活リズム | 毎日の通学で、リズムをつくりやすい | 自分で時間割を組む必要がある |
| 住んでいる場所 | 原則として東京都内に住んでいる人 | 広域通信制なら、全国どこからでも入学できる学校が多い |
| 入学の時期 | 4月入学が基本 | 学校によっては、年度の途中から転入・編入できる |
| 人との関わり | 毎日クラスメートや先生と顔を合わせる | 関わり方を選べる。オンラインで交流できる学校もある |
| 向いている人 | 毎日決まった時間に出かけられそうな人 | 体調に波がある人、自分のペースで進めたい人 |

どちらが優れているということはありません。大きな分かれ目は、「毎日決まった時間に出かけられそうか」と「自分でペースを組み立てたいか」です。
毎日通うことで生活リズムが整い、それが自信につながる人もいます。一方で、体調に波がある時期に毎日の通学を前提にすると、休みが続いたときに「また行けなくなった」と自分を責めてしまうこともあります。

チャレンジスクールが向いている人・慎重に考えたい人
向き不向きは、学力よりも、いまの生活の状態で分かれることが多いです。
| 向いている人 | 慎重に考えたい人 |
|---|---|
| 決まった時間に家を出られる日が増えてきた | 朝も昼も、外に出られない日が多い |
| 同じ年代の人と直接関わりたい気持ちがある | 人の多い場所にいるだけで、強く疲れてしまう |
| 東京都内に住んでいて、通える範囲に学校がある | 通学に長い時間がかかる、または都外に住んでいる |
| 生活リズムを整えたいと思っている | 体調の波が大きく、休む日が読めない |
「慎重に考えたい人」に当てはまっても、チャレンジスクールが選べないわけではありません。ただ、入学してから無理をしてしまうと、せっかくの再スタートがつらい経験になってしまいます。見学や説明会で、実際に通う時間帯の雰囲気を確かめてから決めるのがおすすめです。
また、いまは毎日通うのが難しくても、まず通信制高校で学びを続け、体調が整ってから別の学校を考える、という順番もあります。進路は一度決めたら変えられないものではありません。
東京都以外に住んでいる場合
チャレンジスクールは東京都立の学校なので、原則として都内に住んでいることが出願の条件です。ただ、ほかの道府県にも、名前は違っても、学び直しや不登校経験のある生徒を受け入れることを大切にしている公立高校があります。定時制高校や、昼間に通える定時制、学び直しに力を入れている全日制高校などです。
お住まいの都道府県の教育委員会のウェブサイトで、「学び直し」「昼夜間定時制」「多部制」といった言葉で調べてみてください。また、通信制高校は、住んでいる場所に関係なく選べる学校が多いのが大きな強みです。オンラインで授業や交流ができる学校なら、近くに通える高校が少ない地域に住んでいても、同じ年代の仲間と学ぶ環境を持てます。
説明会・見学で確認したいこと
チャレンジスクールは7校あり、学校ごとに雰囲気や設置している部、学べる科目が違います。説明会や見学では、次の点を確認してみてください。
| 確認したいこと | 聞き方の例 |
|---|---|
| 設置している部と時間割 | 午前部・午後部・夜間部の時間帯は何時から何時までですか |
| 卒業までの年数 | 3年で卒業する生徒は、どのくらいいますか |
| 相談できる体制 | カウンセラーや相談できる先生には、どのくらい話せますか |
| 休みが続いたときの対応 | 体調を崩して休みが続いたとき、単位はどうなりますか |
| 卒業後の進路 | 大学、専門学校、就職など、卒業生はどんな進路に進んでいますか |
見学のときは、自分が通うことになる時間帯に行ってみるのがおすすめです。午前と夜間では、校内の雰囲気や生徒の年齢層も違うことがあります。通学にかかる時間や、乗り換えの負担も、実際に行ってみると実感できます。
保護者が知っておきたいこと
チャレンジスクールを検討するとき、保護者の方からよく聞く不安があります。
- 「定時制」という言葉への抵抗感。チャレンジスクールは、昼間に通える部もある定時制です。卒業すれば、全日制と同じ高校卒業の資格が得られます。
- 大学進学はできるのか。学校によって進路はさまざまで、大学や専門学校に進む生徒もいます。各校のウェブサイトで進路実績を確認できます。
- 費用はどのくらいか。都立高校の授業料は、国の就学支援金の対象です。教材費や行事の費用などは別にかかるので、学校に確認してください。
なにより大切なのは、本人が「ここなら行ってみたい」と思えるかどうかです。説明会や見学には、できれば本人と一緒に参加してみてください。本人が乗り気でない場合は、まず保護者だけで参加して、雰囲気を伝えるところから始めても構いません。
また、チャレンジスクールを第一志望にする場合でも、入試の結果によっては別の道を考える必要があることを、本人と一緒に確認しておくと安心です。第二次募集や、通信制高校など、次の選択肢があると分かっているだけで、入試当日の緊張はずいぶん和らぎます。
もし、いま読んでいるのが本人なら
ここまで保護者向けの内容も書いてきましたが、自分で調べてこの記事にたどり着いた人もいると思います。その人に向けて、短く書きます。
中学に行けなかったことや、高校をやめたことは、もう一度学び始める資格を失ったという意味ではありません。チャレンジスクールは、まさにそういう経験のある人のためにつくられた学校です。
- 学力検査はありません。いまの学力より、これから学びたい気持ちが見られます。
- 通う時間帯を選べます。朝が苦手なら、午後や夜の部という選び方もあります。
- ほかの道もあります。毎日通うのがまだしんどいなら、通信制高校という選択肢もあります。
どの学校を選ぶにしても、最初から完璧に通える人はいません。休む日があっても、そこから戻ってこられる場所を選ぶことが大切です。気になる学校があったら、まずはウェブサイトを眺めるところから始めてみてください。
ニジ高という選択肢
私たちNIJIN高等学院(ニジ高)は、通信制高校と連携して学びを支える通信制サポート校です。「オンラインで青春」をコンセプトに、オンライン中心で、全国どこからでも、海外からでも参加できます。
学習は一人ひとりの状況に合わせたペースで進められ、担任がつきます。カメラやマイクはオフのまま、チャットだけの参加から始めても構いません。通学が難しい時期でも、オンラインのイベントやサークルで、仲間とつながれる場を大切にしています。
ニジ高は、不登校の小中学生のためのオンラインオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の高等部です。
正直な注意点も書いておきます。学院内でのスクーリングはありません。高卒資格を得るには、提携する通信制高校のスクーリングに参加する必要があり、私たちはその準備と当日を支える立場です。また、毎日通学して生活リズムをつくりたい人には、チャレンジスクールのほうが合うこともあります。比べたうえで検討したいという段階でも、遠慮なくご相談ください。学費は学費のご案内で公開しています。


チャレンジスクールと比べながら、話を聞いてみませんか
個別相談会では、いまの生活のリズムや体調をうかがいながら、チャレンジスクール、通信制高校、サポート校のそれぞれで高校生活がどうなるかを並べて比べます。保護者の方だけの参加もできます。
よくある質問
入れます。チャレンジスクールは、不登校の経験がある人を想定してつくられた学校です。入試では中学校の調査書を使わず、志願申告書、作文、面接で意欲を見ます。ただし、応募者が多い場合は不合格になることもあります。
できます。高校を中退した人も対象で、入試では高校の単位修得証明書や成績証明書も使われます。入試の検査日は、第1学年相当と第2学年相当以上で分かれています。
チャレンジスクールは東京都立の学校なので、原則として都内に住んでいることが出願の条件です。都外に住んでいる場合は、お住まいの地域の公立高校や、住む場所を問わず選べる通信制高校を検討してください。
どちらが優れているということはありません。毎日決まった時間に出かけられそうならチャレンジスクール、体調に波があって自分のペースで進めたいなら通信制高校が合いやすいです。迷ったら、両方の説明会に参加して比べてみてください。
まずは学校の先生やカウンセラーに相談してください。チャレンジスクールは心のケアを大切にしている学校です。それでも通学が難しい場合は、通信制高校へ転入して、修得した単位を引き継ぐ道もあります。
「もう一度学ぶ」ための学校は、ひとつではありません
チャレンジスクールは、不登校や中退の経験がある人が、もう一度学び始めるための学校です。学力検査がなく、通う時間帯を選べる。その仕組みは、多くの人の再スタートを支えてきました。
やることは多くありません。毎日通えそうかを、いまの生活から考えること。説明会や見学で、実際の雰囲気を確かめること。通信制高校など、ほかの選択肢とも比べること。そして、本人が「ここなら」と思える場所を選ぶこと。
比べる選択肢のひとつとして、入口だけ置いておきます。今日でなくて大丈夫です。

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