授業が頭に入らないのはなぜ?|発達障害の高校生の原因5つと対策【2026】

先生の話は聞いているのに、授業が頭に入ってこない。気づくと別のことを考えていて、どこまで進んだのか分からない。先に結論をお伝えすると、これはやる気の問題ではなく、話を聞き取る・頭に置いておく・前の内容とつなぐ、という流れのどこかで詰まっていることが多く、詰まっている場所によって打つ手が変わります。

この記事では、原因の候補を注意(不注意)・ワーキングメモリ・聞き取り(聴覚の情報処理)・感覚過敏・睡眠不足の5つに分けて整理し、板書中心・講義中心・グループ活動という授業の形ごとに何が起きやすいか、学校に頼める合理的配慮、家でできる予習と復習、オンライン授業で録画を見返せることの意味を順に書きます。数字と制度は、文部科学省・内閣府・厚生労働省、国立障害者リハビリテーションセンター、日本小児心身医学会などの公開資料を開いて確かめたものだけを載せました。診断はこの記事では決められないので、医師に相談する場面もあわせて書いています。なお、板書の書き写しやメモが追いつかないという「記録」の場面は、発達障害 メモ 取れないの記事で詳しく扱っています。この記事は、授業を聞いて「理解する」場面に絞ります。

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目次

結論:授業が頭に入らない発達障害の高校生の早見

  • 授業が頭に入らないとき、詰まっている場所は「聞き取る」「頭に置いておく」「前の内容とつなぐ」のどこかであることが多く、場所によって対策が変わります。
  • 原因の候補は、注意(不注意)・ワーキングメモリ・聞き取り(聴覚の情報処理)・感覚過敏・睡眠不足の5つに分けると整理しやすくなります。重なっていることもあり、診断は医師が行います。
  • 文部科学省の調査で、学級担任等の回答から「聞く」又は「話す」に著しい困難を示すとされた高校生は0.5%、「不注意」の問題を著しく示すとされた高校生は0.9%でした。診断の割合ではありません。
  • 板書中心の授業は「見る・聞く・書く」の切り替え、講義中心は「聞くだけで話を保つ」、グループ活動は「重なる声を聞き分ける」ところで詰まりやすくなります。
  • 学校に頼める合理的配慮には、話の要点を文字でも示してもらう、座席を調整する、耳栓などで音を和らげるといった例があります。対象は障害者手帳を持つ人に限られません(文部科学省の対応指針)。
  • 家では、授業の前に見出しと太字だけを見て「話の地図」を持ち、その日のうちに短く見返すのが効きます。中学・高校生の睡眠は8〜10時間が目安です(厚生労働省)。
  • オンライン中心の学び方なら、録画を止めたり戻したりでき、「1回で全部聞き取る」前提を外せます。通信制高校サポート校(ニジ高など)という選択肢もあります。
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「授業が頭に入らない」は、聞き取る・保つ・つなぐのどこかで詰まっている状態です

授業を聞いて分かる、という動きを分けると、少なくとも3つの段階があります。1つ目は、先生の声を言葉として聞き取ること。2つ目は、聞き取った内容を、次の説明が来るまで頭に置いておくこと。3つ目は、それを前の説明や教科書の内容とつないで、意味のまとまりにすることです。どれか1つが止まると、耳には音が入っているのに、授業全体が「入ってこない」感覚になります。

  • 聞き取るところで止まる:1対1なら聞き取れるのに、教室だと言葉がぼやける。語尾や数字が抜ける。
  • 保つところで止まる:説明の前半を覚えているうちに後半が来て、前半が消える。複数の指示の2つ目以降が抜ける。
  • つなぐところで止まる:1文ずつは分かるのに、全体で何の話だったのかが残らない。ノートを見返しても流れが思い出せない。

文部科学省が2022年に行った「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」でも、学習面の質問項目に「個別に言われると聞き取れるが、集団場面では難しい」という項目があり、中学校・高等学校向けには「文章を読むことはできるが、内容が頭に入らない」という項目も置かれています(文部科学省 調査結果の資料・質問項目)。つまり、「聞こえているのに入らない」「読めるのに入らない」は、国の調査でも学び方の困りごととして扱われている状態です。

やっかいなのは、この詰まりが外からほとんど見えないことです。板書を写せていない生徒は目で分かりますが、話が入っていない生徒は、黙って前を向いて座っています。本人も「さっきまで分かっていたはずなのに」と感じるので、原因を自分の性格や努力のせいにしがちです。まずは、どの段階で止まっているのかを言葉にすることが出発点になります。

ここで、似ている悩みとの線引きもしておきます。授業中にメモや板書の書き写しが間に合わないのは、主に「記録する」ところの問題です。この記事で扱うのは、その手前の「聞いて分かる」ところです。両方が同時に起きていることも多いので、記録の工夫は発達障害 メモ 取れないの記事とあわせて読んでください。

国の調査で「聞く」に著しい困難とされた高校生は0.5%。ただし高校では困りごとが見えにくくなります

文部科学省は2022年(令和4年)12月13日に、先ほどの調査の結果を公表しました。全国の公立の小・中・高等学校の通常の学級を対象に、標本88,516人のうち74,919人分の回答(回収率84.6%)を集計したものです。高等学校は全日制・定時制の1〜3年生が対象で、通信制は含まれていません。主な項目を抜き出すと次のとおりです。

学級担任等の回答から見た項目(主なもの) 小学校・中学校 高等学校
学習面又は行動面で著しい困難を示す 8.8% 2.2%
「聞く」又は「話す」に著しい困難を示す 2.5% 0.5%
「不注意」の問題を著しく示す 3.6% 0.9%
「対人関係やこだわり等」の問題を著しく示す 1.7% 0.5%

出典:文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」(令和4年12月13日公表。2026年9月確認)

読むときの注意が2つあります。1つは、調査の資料自体が「学級担任等による回答に基づくもので、発達障害の専門家チームによる判断や医師による診断によるものではない」と書いていることです。この数字は発達障害のある生徒の割合ではなく、特別な教育的支援を必要とする生徒の割合を示すものです。

もう1つは、高校の数字が小中よりずっと小さいことの意味です。同じ資料の考察では、中学校1年生で割合が大きく下がる理由の1つとして、学級担任制から教科担任制になり、該当する行動が観察・発見されにくくなったことも関係しているのではないか、と書かれています。高校についても、入学者選抜があることや課程・学科が多様なことが結果と関係しているのではないかとして、小中とは切り分けて考える必要があるとしています。

高校も教科ごとに先生が替わるので、1人の先生があなたの様子を見る時間は短くなります。「困っているのに気づかれない」ことは起こりうる、と考えておくほうが安全です。だからこそ、次の節で原因の候補を整理し、自分から言葉にできる形にしておきます。

授業中、ほおづえをついて前を見ている高校生。周りの生徒は前を向いている
頭に入らない理由は、1つとは限りません

原因は5つの候補に分けると打つ手が見えてきます。ただし決めるのは医師です

授業が頭に入らない原因は1つとは限りません。ここでは、よく重なる5つの候補を並べます。表は「自分はどれに近いか」の見当をつけるためのもので、診断の代わりにはなりません。

候補 授業中に起きやすいこと 見分けるヒント 最初に試す工夫
注意(不注意) 途中で別のことを考え、話の続きが分からなくなる 興味のある授業では集中できるなど、場面の差が大きい 刺激の少ない席、課題を小分けにして休憩を挟む
ワーキングメモリ 説明の前半を忘れて後半とつながらない。指示の2つ目以降が抜ける 1文ずつなら分かる。話が長くなると崩れる 要点を先に文字で見る。1度に1つずつ
聞き取り(聴覚の情報処理) 聞こえているのに言葉として取れない 静かな場所や1対1なら聞き取れる 先生に近い席、文字や図の資料を併用
感覚過敏 空調・照明・物音が気になり、疲れて入らなくなる 騒がしい日や午後にひどくなる 耳栓などの使用を相談、席の位置を変える
睡眠不足 午前中ぼんやりする。眠気で話が途切れる 夜ふかしの翌日や休み明けに悪化する 睡眠時間を先に確保する。寝室に端末を置かない

※表は公開資料をもとにした一般的な整理です。複数が重なることもあり、どれに当たるかは医師などの専門家に相談して確かめてください。

注意(不注意):集中が続かない・気が散る

日本小児心身医学会は、注意欠如多動症(ADHD)の不注意症状として、集中が続きにくいこと、うっかりミスが多いこと、気が散りやすいこと、忘れ物が多いこと、順序立てて取り組むのが苦手なことを挙げています。女子では不注意の症状が主なために気付かれにくい、という記述もあります。診断には、症状が12歳より前からあり、複数の場面で見られることなどが必要とされ、診療に慣れた医師が問診や検査をもとに判断します(日本小児心身医学会「注意欠如多動症」)。高校生に出やすい特徴と困りごと別の対策は、ADHDの高校生の特徴の記事にまとめています。

国の発達障害情報のポータルサイトでは、児童期の特徴として一度に複数のことを頼まれるといくつかを忘れてしまうことがあること、一方で興味のあることには強い集中力を示すこともあることが紹介されています。支援のポイントには、指示を分かりやすく伝える、気が散りにくい環境を整える、課題を小分けにして休憩を挟む、といった環境の調整が並んでいます(発達障害情報・支援センター「注意欠如多動症」)。好きな授業には集中できるのに、他の授業では入らないという差は、怠けの証拠とは限らず、この特性がある場合にも見られる現れ方です。

ワーキングメモリ:聞いた内容を頭に置いておけない

ワーキングメモリは、聞いたことや見たことを短い間だけ頭に置いて、それを使いながら考える働きです。授業は「前の説明を覚えたまま、次の説明を聞く」ことの連続なので、ここに負荷がかかると、話が長くなったところで前半が消えます。数学の解き方の説明や、英語の長い文の解説で崩れやすいことがあるのも、このためと考えられます。具体的な学び方の工夫は、ワーキングメモリ 高校生の記事にまとめています。対策の基本は、頭に置いておく量を減らすことです。要点が先に文字で見えていれば、耳で聞いた内容をそこに引っかけられます。

聞き取り(聴覚の情報処理):聞こえているのに言葉にならない

神奈川県が公開している資料では、聞き取り困難症(LiD)/聴覚情報処理障害(APD)を、「聞こえている」のに「聞き取れない」「聞き間違いが多い」など、音声を言葉として聞き取るのが難しい状態と説明しています。通常の聴力検査では異常がないのに、特定の条件のもとで聞き取りが難しくなること、2024年(令和6年)3月に日本医療研究開発機構の研究チームが「診断と支援の手引き」を作成したこと、診断できる医療機関がまだ少ないことも書かれています(神奈川県「聞き取り困難症(LiD)聴覚情報処理障害(APD)について」)。

国立障害者リハビリテーションセンター研究所の研究紹介でも、複数の音がある環境で特定の声に注意を向けにくい「選択的聴取」の困難が自閉スペクトラム症のある人の多くに見られること、聴力に異常がなくても聞き取りに支障が出る聴覚情報処理障害が発達障害のある人に多いとされていることが紹介されています(発達障害情報・支援センター「発達障害者の感覚・知覚の特徴(1)」)。ざわついた教室で先生の声だけを拾うのが難しいのは、耳の問題とは限らないということです。まずは耳鼻咽喉科で聴力そのものを確かめておくと、次の相談が進めやすくなります。

感覚過敏:音や光が気になって、授業に使う力が残らない

同じ研究紹介では、自閉スペクトラム症のある人では音やにおいに慣れる「順応」が起きにくいことが報告されており、ふつうなら慣れて気にならなくなる換気扇の音などが意識に上り続けると、注意を向けるべきものに注意が向かなくなったり、疲れを感じたりすることが説明されています。空調の音、蛍光灯のちらつき、隣の席の物音に力を使っていると、授業の内容に回す力が残りません。教室の音のつらさについては聴覚過敏 高校生、感覚全般については発達障害 感覚過敏 高校生の記事も参考にしてください。

睡眠不足:どの特性があっても、頭に入る量を大きく左右する

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、こどもについて「小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保する」ことを推奨しています。思春期が始まるころから、眠りに関わるホルモン(メラトニン)の分泌が始まる時刻が遅れて夜型になりやすく、部活動や勉強、デジタル機器の使用も重なって睡眠不足がたまりやすいこと、睡眠時間の不足で学業成績が下がることが報告されていることも書かれています(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」)。眠れない・起きられない悩みが続くときは、発達障害 高校生 眠れないの記事もあわせて読んでください。

このほか、気分の落ち込みや強い不安が続いているときも、授業の内容は入りにくくなります。先ほどのポータルサイトでも、注意欠如多動症にうつ病や不安症などが伴うことがあると書かれています。表のどれにも当てはまらない、あるいは急に入らなくなったという場合は、早めに医師に相談してください。診断を受けるかどうかで迷っている場合は発達障害 診断 迷うの記事に考え方をまとめています。

板書中心の授業では書いている間の説明が抜けやすく、講義中心では話の区切りが分かりにくく、グループ活動では重なる声を聞き分けにくいことと、それぞれに合う工夫を並べた比較表
出典:本記事の整理(発達障害情報・支援センター、文部科学省「高等学校学習指導要領」などをもとに作成)

授業の形が変わると、詰まる場所も変わります。板書・講義・グループで分けて考えます

同じ生徒でも、ある授業ではよく分かり、別の授業ではまったく入らない、ということがよくあります。そのとき、科目の得意・不得意だけでなく、授業の形を見てみると原因の見当がつきやすくなります。

授業の形 起きやすいこと 詰まりやすい候補 合いやすい工夫
板書中心 黒板を見る・話を聞く・ノートに書くの切り替えが続き、書いている間の説明が抜ける 注意、ワーキングメモリ 今どの見出しの話かを確かめながら聞く。記録の負担は別に減らす
講義中心(話が主) 目で追う手がかりが少なく、話の区切りや結論が分からない 聞き取り、ワーキングメモリ 教科書の該当ページを開いておく。要点を最後に文字で示してもらう
グループ・話し合い 複数の声が重なり、周りのざわめきで相手の声が取れない 聞き取り、感覚過敏 役割を先に決める。意見を紙や画面に書いて共有する
スライド・映像 画面と話の両方を追う必要があり、暗い教室で眠気が出る 注意、睡眠不足 資料を先にもらう。座る位置を調整する

※表は授業の形ごとの一般的な傾向を整理したものです。同じ形の授業でも、先生の進め方で大きく変わります。

板書中心の授業では、理解と記録が同時に求められます。書くことに気を取られていると、その間に話された理由や例が抜け、あとでノートを見ても「なぜそうなるのか」が分かりません。ここは、記録の負担を別の方法で減らし、授業中は「今どの見出しの話か」だけを追う、という分け方が効きます。

講義中心の授業は、耳からの情報がほぼすべてです。聞き取りやワーキングメモリに負荷がある場合、話がどこで区切れたのか、結論はどれだったのかが分かりにくくなります。教科書の該当ページを開いておくだけでも、耳で聞いた言葉を目の前の文字と照らし合わせられます。

グループ活動や話し合いは、ここ数年で増えている授業の形です。高等学校学習指導要領(平成30年告示)は、各教科の指導にあたって「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」を求め、個に応じた指導の例として個別学習やグループ別学習なども挙げています(文部科学省「高等学校学習指導要領」第1章総則)。話し合いは、複数の人の声が重なり、周りのグループの声も入ってくるので、聞き取りや感覚過敏がある人には負担が大きい場面です。意見を紙や画面に書いて共有する、役割を先に決めておく、といった工夫で聞き取りの負担を減らせます。グループでの動き方そのものがつらい場合は、グループワーク 苦手 高校生の記事も参考になります。

1週間ほど、授業ごとに「入った」「入らなかった」を記録して、授業の形と照らし合わせてみてください。「講義中心の授業だけ入らない」「午後の授業だけ入らない」のように偏りが見えれば、それがそのまま相談の材料になります。

学校に頼める合理的配慮は、「言葉だけで伝えない」と「環境を整える」の2つが中心です

障害者差別解消法は2016年(平成28年)4月1日に施行され、改正法が2024年(令和6年)4月1日に施行されたことで、行政機関等に加えて事業者にも合理的配慮の提供が義務になりました(内閣府「障害者差別解消法」)。公立高校だけでなく、私立高校や通信制高校も対象です。

学校の分野での考え方は、文部科学省の「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(平成27年文部科学省告示第180号。改正後の内容が令和6年4月1日から適用)にまとめられています。この指針は、法の対象となる障害者について、発達障害を含み、いわゆる障害者手帳の所持者に限られないと明記しています。そのうえで、合理的配慮の例として次のようなものを挙げています(文部科学省「対応指針の策定について」)。

  • 言葉だけを聞いて理解することに困難がある人に対し、タブレット端末等のICT機器を活用したり、視覚的に伝えるための情報の文字化を行ったりすること。
  • 読み・書き等に困難のある児童生徒等のために、授業や試験で読みやすい字体の資料を作ったり、タブレット端末等の使用を許可したりすること。
  • 音声読み上げ機能などを使って学習する児童生徒等のために、授業で使う資料や問題文のテキストデータ等を事前に渡すこと。
  • 板書やスクリーンがよく見えるように、黒板等に近い席を確保すること(指針では視覚障害者等への例として挙げられています)。

内閣府の「合理的配慮等具体例データ集(合理的配慮サーチ)」の発達障害のページには、感覚過敏があるときにそれを和らげる対処(例として聴覚過敏に耳栓を使う)ができるようにすることが、提供の例として載っています(内閣府「合理的配慮サーチ 発達障害」)。また、高等学校学習指導要領の総則(第1章第5款の2の(1)のア)は、障害のある生徒などについて、個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うことを定めています。

授業が頭に入らないときに、実際に頼みやすい形に直すと次のようになります。

困っていること 頼める配慮の例 根拠にできる資料
説明を聞くだけでは残らない 授業の要点や指示を、板書・プリント・画面の文字でも示してもらう 文部科学省の対応指針(情報の文字化・ICT機器の活用)
周りの音で先生の声が取れない 先生の声が届きやすい席、廊下や窓から離れた席にしてもらう 対応指針の座席の例、学習指導要領の指導方法の工夫
空調や物音がつらく疲れる 耳栓やイヤーマフの使用を認めてもらう 内閣府 合理的配慮サーチ(感覚過敏への対処)
長い説明の途中で集中が切れる 説明の区切りで短く確認する時間や、短い休憩をはさんでもらう 発達障害情報・支援センターの支援のポイント(課題の小分け・休憩)
資料を読むのが遅く、話に追いつかない 資料を事前にもらう。タブレット等の使用を認めてもらう 対応指針(事前の資料提供・ICT機器の使用許可)

高校でも、学校教育法施行規則第140条にもとづく「通級による指導」があり、学習指導要領にも位置づけられています。自分の学校で受けられるかどうかは、学校に直接確認してください。手続きの全体像は合理的配慮 申請の記事にまとめています。

※2026年9月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。

自宅でイヤホンをつけ、録画の授業を止めながら見る高校生
録画を止めて見返せると、聞き逃しを取り戻せます

頼み方は、「困る場面」と「普段やっている工夫」を持って行き、話し合いで決めます

文部科学省の対応指針は、合理的配慮を、障害のある人から社会的障壁を取り除いてほしいという意思の表明があったときに始まるもの、と整理しています。障害の特性などで本人が意思を表明するのが難しい場合には、家族など本人を補佐する人が行う意思の表明も含まれる、とされています。高校生の場合も、本人だけで伝えるのが難しければ、保護者が一緒に相談する形が考えられます。

決め方については、双方の「建設的対話」による相互理解を通じて、代わりの方法も含めて柔軟に対応することが必要だとされています。指針は、障害のある本人が普段とっている対策や、学校側が対応できる取組を話し合いの中で共有することが、円滑な対応につながると書いています。一方で、配慮は授業や事業の目的・内容の本質を変えるところまでは及ばない、という線も引かれています。「授業の内容を減らしてほしい」ではなく、「同じ内容を、自分に届く形で受け取りたい」という頼み方が通りやすいのはこのためです。

相談に行く前に、次の5つをメモしておくと話が具体的になります。

  1. 教科と授業の形:「日本史の講義中心の授業」「英語のグループ活動」など。
  2. 時間帯:1時間目か、昼食後か。
  3. 起きたこと:「説明の後半になると前半が消える」「隣のグループの声で先生の声が取れない」など、行動の言葉で。
  4. 自分で試したこと:教科書を開いておく、前の席に座る、など。効いたかどうかも。
  5. お願いしたいこと:「授業の最後に要点を3行で板書してほしい」「耳栓を使わせてほしい」など、1つか2つに絞る。

相談先は担任だけではありません。多くの学校には特別支援教育コーディネーターの役割を担う先生がいて、養護教諭やスクールカウンセラーも窓口になります。1回で全部が決まらなくても、「まず1教科で試してみる」という始め方で合意できることがあります。試した結果をまた伝えれば、それが次の話し合いの材料になります。

家でできる予習は「話の地図」づくり、復習は「その日のうちに短く」です

学校の配慮を待たずに、家で動かせる部分もあります。方向は2つです。授業の前に「今日はどんな話が来るか」を知っておくこと。授業のあとに、消えかけた内容を短くつなぎ直すことです。

予習:5分で見出し・太字・図の題だけを見る

予習というと問題を解いておくイメージがありますが、授業が頭に入らない人に効くのは、もっと軽い予習です。教科書の次の範囲を開き、見出し・太字・図や表の題だけを5分で眺めます。本文は読まなくて構いません。これだけで、授業中に聞こえてきた言葉を「あの見出しの話だ」と引っかける場所ができます。耳から入った情報を頭の中で保っておく負担が軽くなり、話が途中で途切れても、どこに戻ればよいかが分かります。

余裕があれば、知らない用語を3つだけ書き出し、「今日の授業で答えを知りたいこと」を1つ決めておきます。問いを1つ持って聞くと、注意の向け先がはっきりします。

復習:その日のうちに、見出しを見て1分で説明してみる

復習は、長くやるより早くやるほうが効きます。帰宅後や夕食の前に10分だけ取り、教科書の見出しを見ながら「この授業は何の話だったか」を声に出さずに1分で説明してみます。説明できないところに印をつけ、次の授業で先生に聞く、録画があれば該当の部分だけ見直す、という使い方にします。全部を完璧に復習しようとすると続きません。

タイミング やること 時間の目安
授業の前日か当日の朝 見出し・太字・図の題だけ見る。知らない用語を3つ書く 5分
授業中 今どの見出しの話かだけを追う。迷ったら見出しに戻る 授業時間
その日のうち 見出しを見て1分で説明。できないところに印 10分
週末 印をつけたところだけ、質問するか録画・教科書で確かめる 20〜30分

※時間は1つの目安です。体調や科目に合わせて短くして構いません。

睡眠は、復習の続きでもあります

厚生労働省の睡眠ガイドには、たくさん勉強しようとして8〜10時間の睡眠を確保できない高校生についての質問があり、答えとして、良質な睡眠を適切な時間とることで集中力が増して学習効率が上がること、睡眠が学習した内容を強固にする役割も果たすことが書かれています。同じガイドは、デジタル機器を寝室に持ち込まず、電源を切って別の部屋に置くことも勧めています。夜遅くまで復習するより、10分の復習をして早く寝るほうが、翌日の授業に入る量は増えやすいと考えてください。

保護者の方へ。家で「何が分からなかったの?」と聞くと、本人は答えにくいことが多いものです。「どの授業のどのあたりで止まった?」と場面を聞くほうが、答えが返ってきやすく、学校への相談材料にもなります。

厚生労働省の睡眠ガイドで中学・高校生の睡眠時間の目安が8〜10時間とされ、十分な睡眠が集中力と学習内容の定着につながることを示す図
出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

オンライン授業で録画を見返せると、「1回で全部聞き取る」前提が外れます

ここまでの工夫は、授業が教室で1回だけ流れることを前提にしています。その前提そのものが変わるのが、録画やアーカイブのあるオンライン授業です。

  • 注意が切れやすい人:集中が切れたところで止め、戻って聞き直せます。15分ずつ区切って見る、といった使い方もできます。
  • ワーキングメモリに負荷がある人:説明の前半を聞いたところで止め、頭の中で整理してから後半に進めます。
  • 聞き取りにくさがある人:自分で音量を調整でき、聞き取れなかった数秒だけ繰り返せます。文字の資料と並べて見ることもできます。
  • 感覚過敏がある人:教室のざわめきや照明から離れて、自分の部屋の落ち着いた環境で受けられます。
  • 睡眠のリズムに波がある人:頭がはっきりしている時間帯に見るという選び方ができます。

通信制高校では、学び方の形そのものが多様です。文部科学省の「令和7年度 通信制高等学校実態調査」では、通学頻度別のコースに在籍する生徒のうち、週5日通うコースは12.5%で、集中スクーリング型が28.9%、月1〜2回や自由登校などの「その他」が33.2%でした(文部科学省「令和7年度 通信制高等学校実態調査」)。毎日教室で授業を聞く形だけが高校の学び方ではない、ということです。通信制のオンライン授業の実際は通信制 オンライン授業の記事で紹介しています。

ただし、録画には落とし穴もあります。いつでも見られるので後回しになり、気づくと何本もたまっている、ということが起きやすくなります。見る曜日と時間を先に決めておく、1本見たら見出しを見て1分で説明する、という復習の型と組み合わせると続きやすくなります。画面を長時間見続ける疲れもあるので、休憩の入れ方も一緒に考えておきましょう。また、通信制高校でも面接指導(スクーリング)では対面の授業があります。録画は、授業の代わりというより「聞き逃した部分を取り戻せる手段」と考えるのが現実的です。

よくある誤解:「好きなことには集中できるのだから怠けている」は当たりません

授業が頭に入らない高校生を苦しめるのは、原因そのものより、周りや自分自身の思い込みであることも少なくありません。公開資料の内容と照らし合わせて、よくある誤解を外していきます。

誤解1:好きなことには集中できるのだから、授業は怠けているだけ。先に紹介した発達障害情報・支援センターの説明にあるとおり、注意の特性がある人は、興味のあることには強い集中力を示すこともあります。集中できる場面とできない場面の差が大きいことは、特性がある場合の現れ方の1つとして説明されています。

誤解2:前の席に座れば解決する。席の位置は効くことがありますが、それだけで足りるとは限りません。聞き取りにくさや感覚過敏は、静かさや文字の資料と組み合わせて初めて楽になることがあります。1つ試して効かなくても、方法が間違っているだけで、あなたが悪いわけではありません。

誤解3:薬を飲めば全部解決する、あるいは薬は怖いものだ。日本小児心身医学会は、注意欠如多動症の治療として、心理教育や環境調整などの薬を使わない方法を挙げたうえで、症状が強く、周りとの関係が悪くなったり自己肯定感が下がったりしている場合に薬物療法を加えるとしています。薬を使うかどうかは、医師と相談して決めることです。

誤解4:診断がないと、学校に何も頼めない。文部科学省の対応指針は、法の対象となる障害者はいわゆる障害者手帳の所持者に限られないとしています。ただ、どんな配慮が必要かを話し合うには、困っている場面の記録や、これまでの検査結果などが材料になります。診断を取るかどうかと、学校に相談するかどうかは、別々に考えて大丈夫です。

誤解5:録画があれば、授業に出なくても同じ。録画は聞き逃しを取り戻すのに役立ちますが、質問したり、先生やクラスメイトとやり取りしたりする場は別の価値があります。通信制高校でもスクーリングは必要です。録画は、授業と組み合わせて使う道具です。

選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)

配慮を頼み、家での工夫も続けているのに、教室で授業を受けること自体が大きな負担になっている。そういう段階では、学校の形を変えることも検討の対象になります。その1つが、NIJIN高等学院(ニジ高)です。

ニジ高は、発達特性や障害を、本人を変えるのではなく学びの構造や環境を変えることで支援するというアプローチを取っているオンライン中心の通信制高校サポート校です。担任制で、公式サイトでは1クラス8人としています。カメラとマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、授業のアーカイブ視聴や中学内容の学び直しにも対応しています。生活リズムに波があっても学べる設計で、メタバースの校舎で担任や同級生と集まる時間もあります。この記事で書いた「録画を見返して、1回で全部聞き取る前提を外す」学び方を、日々の授業で試しやすい環境です。

ただし、はじめに正直にお伝えしておくことがあります。

  • ニジ高そのものは高校ではありません。高校卒業の資格は、提携する通信制高校に在籍して取ります。
  • ニジ高の中でのスクーリングはありませんが、提携する通信制高校のスクーリングへの参加が必要です。スクーリングにニジ高のスタッフが付き添うことはなく、ニジ高が行うのは日程の調整と準備の支援です。スクーリングの形や日程は、個別相談会で詳しくご案内しています。
  • 費用は提携校の分とニジ高の分の両方がかかり、ニジ高の分に就学支援金は使えません。金額は学費のご案内をご覧ください。
  • 診断や服薬の判断は、主治医や専門機関にご相談ください。ニジ高でどの工夫が使えるかは、体験説明会・個別相談で具体的に確かめてください。よくある疑問はよくある質問にもまとめています。

迷ったときの進め方(3ステップ)

  1. 1〜2週間、「授業の形・時間帯・起きたこと」を記録する。毎時間でなくて構いません。入らなかった授業だけ、3点を短く書きます。5つの候補と4つの授業の形のどれに近いかが見えてきます。
  2. 体と学校の両方に相談する。睡眠時間を見直し、聞き取りにくさがあれば耳鼻咽喉科で聴力を確かめます。発達特性が気になる場合は、小児科や児童精神科などの医師に相談することを検討してください。学校には、記録と「普段やっている工夫」を持って、担任や特別支援教育コーディネーターに相談します。
  3. それでも合わないときは、学校の形を見直す。欠席が増えているなら高校 欠席日数で今の余裕を確認し、学校を変える可能性が出てきたら高校 転入で手続きを、費用は通信制高校 学費で見ておきます。学校の種類の比べ方は通信制高校 選び方にまとめています。話を整理しながら考えたい場合は、体験説明会・個別相談で状況を聞かせてください。

3つとも、今週中に全部を終える必要はありません。1つ目の記録から始めれば、次に誰に何を相談すればいいかが自然に決まってきます。

夕方の食卓で、教科書の図を一緒に見る保護者と高校生
予習は見出しを先に見るだけでも、授業の地図になります
オンラインで学ぶニジ高の生徒

授業のペースに合わせ続けるのが、つらくなっていませんか

今の学校で配慮を頼むのがよいのか、録画を見返せる学び方に変えるのがよいのか。ニジ高の体験説明会・個別相談では、そこから一緒に整理します。ニジ高は高校ではなく通信制高校サポート校で、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングへの参加が必要です。その点も含めてお話しします。

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よくある質問

Q. 授業が頭に入らないのは、発達障害だからですか?

A. この記事では決められません。注意やワーキングメモリ、聞き取りの特性が関係していることもあれば、睡眠不足や強い不安、体調が原因のこともあり、いくつかが重なっていることもあります。気になる状態が続くときは、医師に相談することを検討してください。診断の有無にかかわらず、困っている場面を記録して学校に相談することはできます。

Q. 好きな授業だけは集中できます。それでも特性の可能性はありますか?

A. あります。国の発達障害情報のポータルサイトでは、注意欠如多動症の特徴として、興味のあることには強い集中力を示すこともあると紹介されています。集中できる授業とできない授業の差が大きいこと自体は、怠けの証拠にはなりません。どの授業で入らないのかを記録しておくと、相談のときに役立ちます。

Q. 授業中に耳栓やイヤーマフを使ってもいいですか?

A. 使ってよいかは学校が決めるので、先に相談してください。内閣府の合理的配慮サーチには、感覚過敏を和らげる対処として聴覚過敏に耳栓を使う例が載っています。先生の声まで聞こえにくくならないか、どの授業で使うかも一緒に話し合っておくと、認められやすくなります。

Q. 聞き取りにくさは、どこに相談すればいいですか?

A. まずは耳鼻咽喉科で聴力そのものを確かめるのが1つの順番です。聴力に異常がないのに聞き取りにくい状態は、聞き取り困難症(LiD)/聴覚情報処理障害(APD)と呼ばれることがありますが、神奈川県の資料によると、診断できる医療機関はまだ少ないとされています。発達特性とあわせて相談したい場合は、小児科や児童精神科などの医師に相談することも検討してください。

Q. オンライン授業に変えれば、頭に入るようになりますか?

A. 録画を止めたり戻したりできるので、軽くなる部分はあります。ただ、後回しにしてたまりやすい、画面を見続けて疲れる、といった別の難しさもあります。通信制高校でもスクーリングは必要です。見る時間を決める、短い復習と組み合わせる、といった使い方まで考えてから選ぶと安心です。

頭に入らない日があっても、あなたに理解する力がないわけではありません

授業が頭に入らない時間が続くと、「自分は分かる力がないのかもしれない」と思えてきます。でも、ここまで見てきたように、詰まっているのは聞き取る・保つ・つなぐのどこか1か所であることが多く、その場所に合った方法に変えるだけで、同じ授業が入ってくるようになることがあります。

変えられるのは、席、伝え方、予習の仕方、眠る時間、そして学び方の形です。1つが合えば、そのぶん授業に使える力が戻ってきます。全部を一度に決めなくて大丈夫です。

まずは今週、入らなかった授業を1つだけ思い出して、「どの形の授業で、何時間目で、何が起きたか」を書き出してみてください。それが、次の相談の最初の1枚になります。

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オンラインで、青春する。

聞き直せる学び方を、あなたのペースで一緒に考えます

全国どこからでもカメラ・マイクはオフでOK転入・編入は随時受付

通信制高校サポート校 NIJIN高等学院(ニジ高)/出願費用は無料です。無理に勧めることはありません。


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