たとえば、高校2年生の秋の三者面談で進路希望調査の用紙を受け取り、帰り道に「この子は大学でやっていけるのか」「働き続けられるのか」「一人で暮らしていけるのか」と考え込んでしまう。発達障害や、その傾向(いわゆるグレーゾーン)のあるお子さんを育てている保護者の方には、そんな場面があるかもしれません。
先に結論を書きます。高校卒業後の道は、進学・就職・職業訓練・福祉サービスの大きく7つに、相談できる主な公的窓口は5つに整理できます。そして、その多くは障害者手帳がなくても相談の対象になり得ます。手帳が必要になるのは、主に「障害者雇用率に数えられる働き方」を選ぶ場面です。
この記事は、発達障害者支援法・障害者雇用促進法(e-Gov)、厚生労働省の就労支援の資料、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)、日本学生支援機構(JASSO)の令和7年度調査、文部科学省の高等学校学習指導要領を実際に開いて確認した内容でできています。確認できなかったことは、確認できなかったと書きます。診断や治療、手帳を申請するかどうかは、主治医や専門機関と相談して決めてください。
卒業後を考える前に、今の高校生活を続けること自体が負担になっている場合は、オンラインという選択肢もあります。NIJIN高等学院(ニジ高)は「オンラインで最高の青春を」を掲げる通信制高校サポート校で、全国の仲間とオンラインでつながり、企業や地域と関わるプロジェクトや、生徒が自分たちで企画する行事に挑戦できます。カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加するところから始められ、全国にNIJINアカデミー(ニジ高はその高等部)のリアルの教室があり、リアルでの通学もご検討いただけます。ニジ高は高校ではないため、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングには参加が必要です。どんな学校なのかは、校長・星野達郎のYouTubeでも見られます。
結論:発達障害のある高校生の卒業後の進路と相談先の早見
- 卒業後の道は、この記事の整理で7つです。大学・短大・高専、専門学校、一般の求人での就職、障害者求人での就職、職業訓練、就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)。
- 主な公的相談窓口は、この記事の整理で5つです。発達障害者支援センター、ハローワークの専門窓口、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター(全国340か所)、市区町村の障害福祉の窓口。
- 手帳がなくても、ハローワークや地域障害者職業センターの支援の対象になり得ます。手帳が必要なのは、障害者雇用率に数えられる場面です(発達障害の場合は精神障害者保健福祉手帳。障害者雇用促進法第37条第2項)。
- 大学・短大・高専には、発達障害のある学生が12,706人在籍しています(令和7年5月1日)。令和6年度に卒業した人の就職率は75.9%でした(JASSO。就職を希望した人に対する割合)。
- すぐに働くのが不安なときは、就労移行支援(標準24か月)や職業訓練で、準備の期間を取る方法があります。
- 高校在学中は、学校に「個別の教育支援計画」があるかを聞き、進路指導の先生に卒業後の希望を伝えるところから始められます。
- 今の高校が合わず、進路どころではないときは、オンライン中心のサポート校(NIJIN高等学院など)で通信制高校の卒業をめざす方法もあります。
「将来が不安」は、「進路」「働き方」「相談先」の3つに分けると調べられる形になります
「将来が不安」という気持ちは、そのままでは大きすぎて、どこから手をつければいいか分かりません。調べられる形にするために、次の3つの問いに分けてみてください。
- 進路:高校を出たあと、どんな行き先があるのか
- 働き方:一般の求人と障害者求人は何が違い、手帳はどこで関係するのか
- 相談先:困ったとき、どこに、誰が、相談できるのか
なお、発達障害者支援法第2条第1項は、発達障害を「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害」で、症状が通常低年齢で現れるものとして政令で定めるもの、としています(発達障害者支援法・e-Gov)。診断が出ていない、いわゆるグレーゾーンの場合の学校での配慮は、発達障害 グレーゾーン 高校生の記事で整理しています。
正直にお伝えしておくと、「発達障害のある高校生が卒業後にどの進路へ何人進んだか」をまとめた国の統計は、今回探した範囲では見つかりませんでした。そのため、大学などに進んだ人の調査と、働いている人の調査を、対象を明記して紹介します。
これから高校を選ぶ中学生のご家庭は発達障害 高校進学の記事を、保護者ご自身が疲れきっているときは発達障害 高校生 子育て 辛いの記事を先にご覧ください。

卒業後の道は、進学・就職・訓練・福祉の7つに整理できます
高校を卒業したあとの行き先を、制度の違いで並べると次の7つになります。国が決めた分類ではなく、この記事で整理した一覧です。
| 卒業後の道 | どんな場所か | 手帳 | 最初の相談先 |
|---|---|---|---|
| 1. 大学・短大・高専 | 学問や専門を学ぶ。支援は本人の申し出から始まる | 入学に手帳は関係しない | 高校の進路指導、大学の障害学生支援の窓口 |
| 2. 専門学校 | 仕事に直結する技能を学ぶ | 入学に手帳は関係しない | 高校の進路指導、各校の入試窓口 |
| 3. 一般の求人で就職 | 障害を伝えて応募する人も、伝えずに応募する人もいる | なくても応募できる | 高校の進路指導、ハローワーク |
| 4. 障害者求人で就職 | 障害のある人を対象にした求人で働く | 雇用率に数えられるには必要 | ハローワークの専門窓口 |
| 5. 職業訓練 | 障害者職業能力開発校、一般校の障害者向けコース、委託訓練 | 校・コースごとに確認 | ハローワーク |
| 6. 就労移行支援 | 一般就労をめざして準備する福祉サービス(標準24か月) | 手帳のほか診断書などで確認 | 市区町村の障害福祉の窓口 |
| 7. 就労継続支援(A型・B型) | 支援を受けながら働く福祉サービス | 手帳のほか診断書などで確認 | 市区町村の障害福祉の窓口 |
大事なのは、この7つは一度選んだら変えられないものではないという点です。たとえば、大学を卒業してから就労移行支援を使う、就職したあとに職業訓練を受け直す、という組み合わせも制度の上ではできます。厚生労働省の援助メニュー一覧にも「離職・転職時の支援、再チャレンジへの支援」という区分があります(厚生労働省「どこへ相談すればいいか分からない方へ」。「障害者の方への施策」のページに掲載)。
大学・短大・高専には発達障害のある学生が12,706人。卒業生の就職率は75.9%でした
進学については、日本学生支援機構(JASSO)が全国の大学・短大・高専1,166校すべてを対象に行った令和7年度の調査があります。
- 令和7年5月1日時点で、障害のある学生は59,377人(全学生の1.82%)。このうち発達障害は12,706人で、精神障害(22,036人)に次いで2番目に多い区分です。
- この調査の「発達障害」は、精神障害者保健福祉手帳(発達障害に限る)を持つ学生と、医師の診断等で発達障害があることが明らかになった学生です。大学が把握していない学生は数に入っていません。
- 障害学生支援を担当する部署・機関がある学校は97.9%、支援の申し出などの相談に対応する窓口がある学校は95.2%でした。
- 令和6年度に卒業した発達障害のある学生は2,160人。就職を希望した1,437人のうち1,091人が就職し、就職率は75.9%でした。障害のある学生全体の就職率は82.1%です。
出典:JASSO「令和7年度 障害のある学生の修学支援に関する実態調査」(結果の概要・結果報告書 表10-5。卒業と就職の数字は学部・本科の通学課程のみの集計。就職率=就職者数÷就職希望者数。2026年10月確認)
数字の読み方に注意があります。75.9%は「就職を希望した人」のうち就職した人の割合で、卒業した人全体に対する割合ではありません。同じ表の卒業率(卒業した学生数÷最高年次の学生数)は、発達障害で71.0%でした。
法律では、発達障害者支援法第8条第2項が「大学及び高等専門学校は、個々の発達障害者の特性に応じ、適切な教育上の配慮をするものとする」と定めています。ただし、大学では本人が窓口へ申し出るところから支援が始まります。その流れは発達障害 大学生の記事で、入試の配慮の申請は発達障害 大学進学の記事で詳しく書いています。
大学生の就職活動では、発達障害等があり(疑いを含む)専門的な就職準備支援を必要とする学生などを対象に、ハローワークの「障害学生等雇用サポーター」が支援する仕組みもあります(厚生労働省の資料)。
専門学校については、JASSOの調査の対象に入っておらず、発達障害のある学生の人数や就職率をまとめた全国の調査は確認できませんでした。専門学校の入試や学費の仕組みは通信制高校 専門学校の記事に、通信制高校からの大学受験の進め方は通信制高校から大学進学の記事にまとめています。

就職は「一般の求人」と「障害者求人」の2通り。雇用率に数えられるのは手帳を持つ人です
働くときの入り口は、大きく2つあります。誰でも応募できる一般の求人と、障害のある人を対象にした障害者求人です。
障害者求人の背景にあるのが障害者雇用率制度です。厚生労働省の案内では、民間企業の法定雇用率は2.7%(令和8年7月から)で、従業員を37.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければなりません(障害者雇用促進法第43条第1項)。そして、この雇用率に数えられるのは、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を持っている人です。法律の条文でも、雇用義務の対象となる精神障害者は「精神障害者保健福祉手帳の交付を受けているものに限る」とされています(同法第37条第2項)。
出典:厚生労働省「事業主の方へ(障害者雇用のルール)」/障害者の雇用の促進等に関する法律(e-Gov。2026年10月確認)
| 項目 | 一般の求人 | 障害者求人 |
|---|---|---|
| 対象 | 誰でも応募できる | 障害のある人を対象にした求人。手帳の扱いは求人ごとにハローワークで確認 |
| 障害の伝え方 | 伝えて応募する人も、伝えずに応募する人もいる | 障害があることを前提に話が進む |
| 職場での合理的配慮 | 事業主の義務(過重な負担となる場合を除く) | 事業主の義務(過重な負担となる場合を除く) |
| 就職1年後の定着率(JEEDの2015年の調査・全障害の計) | 障害を伝えた人49.9%、伝えなかった人30.8% | 70.4% |
表の最後の行は、障害者職業総合センター(JEED)が、2015年7〜8月に全国134か所のハローワークの専門援助部門の紹介で就職した人を追った調査です。障害別に見ると、発達障害のある人の定着率は就職3か月後で84.7%、1年後で71.5%でした(身体障害60.8%、知的障害68.0%、精神障害49.3%)。
出典:障害者職業総合センター 調査研究報告書No.137「障害者の就業状況等に関する調査研究」(2017年4月)
ただし、この調査は10年以上前のもので、対象はハローワークの専門窓口を通して就職した人です。報告書も、就職先での配慮や工夫の有無は分からないこと、新規学卒者の就職が集計に入っていないことを断っています。「障害者求人を選べば続く」と決まっているわけではなく、求人の種類によって数字に差があった、という事実として受け取ってください。
働いている発達障害のある人は、国の推計で9万1千人です
厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査」では、従業員5人以上の民営事業所で働く発達障害者は推計9万1,000人でした。5年前の調査(3万9,000人)の2倍以上です。平均勤続年数は5年1か月、年齢では20〜24歳の層が23.1%で最も多くなっています。
この調査の「発達障害者」は、精神科医の診断を受けていて、事業所がそれを把握している人です。確認の方法は精神障害者保健福祉手帳が81.7%でした。障害を伝えずに一般の求人で働いている人は、この9万1,000人には入っていません。1か月の平均賃金は13万円で、週30時間以上働く人に限ると15万5,000円です(時給制の人が44.2%を占めます)。
出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査の結果を公表します」(令和6年3月27日。調査は令和5年6月)
高校を卒業してすぐに就職する場合の、学校経由の求人のルールは通信制高校 就職の記事で説明しています。
手帳がなくても使える支援は多い。「手帳が要る場面」は制度ごとに分けて確かめます
「診断はあるけれど手帳はない」「診断も出ていない」というご家庭のために、国の資料を制度ごとに開いて、手帳の扱いを並べました。
| 支援・制度 | 手帳の扱い | 確かめた資料 |
|---|---|---|
| ハローワーク・地域障害者職業センターなどの支援 | 「心身の障害があるために長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な方」が対象 | 厚生労働省「事業主の方へ」 |
| 職場での合理的配慮 | 対象は手帳を持っている人だけではない(発達障害を含む) | 厚生労働省のリーフレット |
| 就労移行支援などの障害福祉サービス | 手帳のほか、自立支援医療受給者証(精神通院医療)や医師の診断書などで市町村が確認 | 支給決定の事務処理要領 |
| 障害者雇用率への算定 | 手帳が必要(発達障害は精神障害者保健福祉手帳) | 障害者雇用促進法第37条第2項 |
出典:厚生労働省「事業主の方へ」の「障害者」の範囲/厚生労働省リーフレット「雇用分野における障害者差別は禁止、合理的配慮の提供は義務です。」/「介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)」(最終改正 令和8年7月。厚生労働省掲載)
障害者雇用促進法の第2条第1号は、この法律でいう「障害者」を、身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害があるため、長期にわたり職業生活に相当の制限を受ける人と定めています。ここに手帳という言葉は出てきません。手帳で線が引かれるのは、雇用義務(雇用率)の部分です。
つまり、相談する・職場で配慮を求める、という入り口は、手帳を前提にしていません。一方で、対象になるかどうかは「職業生活にどのくらい制限があるか」で個別に見られます。診断が出ていない場合にどこまで使えるかは、窓口ごとに確かめる必要があります。
精神障害者保健福祉手帳は、初診日から6か月たってから申請できます
国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」によると、精神障害者保健福祉手帳の対象には発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)が含まれます。等級は1級から3級で、申請にはその精神障害の初診日から6か月以上たっていることが必要です。有効期限は2年で、2年ごとに更新の手続きがあります(こころの情報サイト「障害者手帳・障害年金」)。
申請するかどうかは、ご本人の気持ちと、主治医の意見を聞いて決めることです。手帳で変わるお金や、特別児童扶養手当などの制度は発達障害 高校生 手当の記事にまとめています。

相談窓口は5つ。迷ったら、発達障害者支援センターかハローワークから始められます
卒業後の働き方について相談できる公的な窓口を、役割で分けると次の5つです(この記事での整理)。
| 窓口 | 主な役割 | 設置 |
|---|---|---|
| 発達障害者支援センター | 相談支援・発達支援・就労支援・普及啓発と研修。本人と家族の相談に応じ、関係機関を紹介する | 都道府県・指定都市 |
| ハローワーク(障害のある人の専門窓口) | 求職登録、職業相談・職業紹介、職場適応の指導。職業訓練やトライアル雇用のあっせん | 全国 |
| 地域障害者職業センター | 職業評価、職業準備支援、ジョブコーチ支援。利用料は無料 | 47都道府県(ほか支所5か所) |
| 障害者就業・生活支援センター | 就業面と生活面の一体的な相談・支援 | 全国340か所(令和8年4月1日時点) |
| 市区町村の障害福祉の窓口 | 就労移行支援などの障害福祉サービスの申請と支給決定 | 市区町村 |
出典:発達障害情報・支援センター「発達障害者支援センターの事業内容」/厚生労働省「発達障害者の就労支援」/厚生労働省「地域障害者職業センターの概要」/JEED「地域障害者職業センターのご案内」/厚生労働省「障害者就業・生活支援センターについて」(2026年10月確認)
- 発達障害者支援センターは、発達障害者支援法第14条にもとづく機関です。就労を希望する人の相談に応じ、ハローワークなどと連携して情報を提供します。必要に応じて、スタッフが学校や就労先を訪問して助言することもあります。事業の中身はセンターによって違うため、お住まいの地域のセンター(一覧)に電話で確かめてください。
- ハローワークでは、専門の職員・職業相談員が、障害の様子や適性、希望する職種に応じて相談と紹介を行います。厚生労働省の資料では、精神保健福祉士や臨床心理士などの資格を持つ「精神・発達障害者雇用サポーター」が全都道府県に計300名配置されています(厚生労働省の資料)。原則3か月の試行雇用で本人と事業主がお互いを知る「障害者トライアル雇用」も、ここで紹介されます。
- 地域障害者職業センターの職業評価では、就職の希望を聞いたうえで職業能力などを評価し、一人ひとりの職業リハビリテーション計画を作ります。職業準備支援では、センター内での作業体験や講習を通じて、基本的な労働習慣やコミュニケーションの力を伸ばします。
- 障害者就業・生活支援センター(通称「なかぽつ」)は、「働くこと」と「日々の生活のこと」を切り離さずに相談できるのが特徴です。
- 市区町村の障害福祉の窓口は、次の節で説明する就労移行支援などを使うときの入り口です。費用の負担や必要な書類も、ここで確かめます。
すぐ働くのが不安なときは、就労移行支援(標準24か月)や職業訓練で準備の期間を取れます
「卒業と同時に就職か進学」の二択ではありません。働く準備の期間を取る仕組みが、福祉と雇用の両方にあります。
就労移行支援:一般就労をめざして準備する。利用は標準24か月の範囲
厚生労働省の資料では、就労移行支援の対象は「一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる障害者」です。事業所での作業や企業での実習、職場探し、就職後の定着の支援を受けられます。利用期間は標準24か月の範囲で一人ずつ設定され、市町村の審査会で必要と認められた場合に限り、最大1年間の更新ができます。事業所は全国に2,770か所、利用者は37,863人です(国保連データ・令和8年3月実績)。
障害者総合支援法の「障害者」は18歳以上で、精神障害者には発達障害者支援法の発達障害者が含まれます(同法第4条第1項)。高校卒業後に使うことを考えるなら、卒業の前に市区町村の窓口で、対象になるか・必要な書類は何かを確かめておくと、準備を進めやすくなります。
就労選択支援:2025年10月に始まった、進路を選ぶためのサービス
就労選択支援は、短期間の作業などを通じて、本人の希望や適性に合った働き方の選択を支援するサービスで、令和7年10月1日に始まりました(支給決定の期間は原則1か月)。就労継続支援B型は、就労経験があって年齢や体力の面で雇用が難しくなった人、50歳に達している人、障害基礎年金1級を受けている人のいずれにも当たらない場合、令和7年10月からは、就労選択支援(事業所がない地域では就労移行支援の事業所など)のアセスメントで就労面の課題の把握が行われている人が対象です。令和9年4月以降は、A型を新たに使う場合などにも広げる予定とされています。
就労継続支援A型・B型:支援を受けながら働く
A型は、通常の事業所に雇用されることが難しい人が、雇用契約を結んで働く場です。最低賃金を含む労働関係の法令が適用され、利用期間に上限はありません。B型は雇用契約を結ばずに、就労や生産活動の機会の提供を受ける場です。どちらも、一般就労に必要な知識や能力が高まった人には、一般就労への移行に向けた支援があります。
出典:厚生労働省「就労系障害福祉サービスの概要」/厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」/障害者総合支援法(e-Gov。2026年10月確認)
職業訓練:ハロートレーニング(障害者訓練)は3種類
- 障害者職業能力開発校:国が設置する13校(うち2校はJEEDが運営、11校は都道府県が運営)と、府県が設置する6校があります。
- 一般の職業能力開発校の障害者向けコース:発達障害者を対象とした訓練コースを置く学校があります。
- 委託訓練:住んでいる地域の企業や社会福祉法人、民間の教育訓練機関などに委託して行う訓練です。
受講の相談先はハローワークです(厚生労働省「ハロートレーニング(障害者訓練)」)。
診断がなく、働くことに自信が持てないとき:地域若者サポートステーション
地域若者サポートステーション(サポステ)は、働くことに悩みを抱える15歳から49歳までの人を対象に、就労に向けた支援を行う機関で、全ての都道府県にあります(令和7年度4月現在で全国179か所)。対象は、現在仕事をしていない人や就学中でない人です。障害のある人だけの窓口ではないため、卒業後や中退後の相談先の1つになります(厚生労働省「地域若者サポートステーション」/サポステネット)。

高校在学中の準備は、「個別の教育支援計画」と進路指導への相談から始められます
高校にいるうちにできることの鍵になるのが、個別の教育支援計画です。学校が、医療・福祉・労働などの関係機関と連携して作る、長い目で見た支援の計画を指します。
- 高等学校学習指導要領(平成30年告示)の第1章総則 第5款の2(1)ウは、障害のある生徒などについて、個別の教育支援計画と個別の指導計画を「作成し活用することに努める」としています。通級による指導を受ける生徒については「作成し、効果的に活用するものとする」です。
- 学校教育法施行規則でも、通級による指導が行われている生徒には、個別の教育支援計画を作成しなければならないという規定が準用されます(第141条の2が第134条の2を準用)。
- 文部科学省の事務連絡(令和3年6月30日)は、この計画を「在学中の教育支援の目的や内容を進学先に伝えたりするなど」切れ目ない支援に生かすことが大切で、その際は保護者の同意を事前に得ることなどに留意が必要としています。参考様式には、就職・就労に向けた「引継ぎ事項」の欄があります。
- 発達障害者支援法第10条第2項は、都道府県と市町村が、必要に応じて、発達障害者が就労のための準備を適切に行えるようにするための支援が学校において行われるよう必要な措置を講じるとしています。
出典:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」/学校教育法施行規則(e-Gov)/文部科学省 事務連絡「個別の教育支援計画の参考様式について」(令和3年6月30日)
ここで注意したいのは、通級による指導を受けていない生徒については、学習指導要領の言葉が「努める」であることです。お子さんの学校で実際に計画が作られているかどうかは、学校に聞いてみないと分かりません。担任や進路指導の先生に、「個別の教育支援計画はありますか。卒業後の進路先に、本人と保護者の同意のうえで引き継ぐことはできますか」と尋ねてみてください。
在学中の動き方を、学年の目安で並べました。これはこの記事で整理した一例で、国や学校が決めた手順ではありません。
| 時期の目安 | すること | 相談先 |
|---|---|---|
| 高1〜高2 | 得意・苦手と、学校で受けている配慮を書き出す。個別の教育支援計画の有無を聞く | 担任、主治医 |
| 高2〜高3の前半 | 進学か就職か、準備の期間を取るかを話し合う。発達障害者支援センターに一度相談しておく | 進路指導の先生、発達障害者支援センター |
| 高3 | 進学なら入試の配慮の申請、就職なら進路指導の先生とハローワーク、福祉サービスなら市区町村へ。計画の引継ぎを学校に頼む | 進路指導の先生、各窓口 |
自分の特徴を言葉にする道具として、厚生労働省の「就労パスポート」があります。働くうえでの自分の特徴や希望する配慮を、支援機関と一緒に整理して事業主に伝えるための様式で、採用選考で提出が求められる書類ではありません(厚生労働省「就労パスポート」)。
アルバイトで「働く」を試してみたい場合の考え方は、発達障害 高校生 バイトの記事に書いています。
※2026年10月時点の情報です。最新は公式でご確認ください。
よくある誤解は4つ。「手帳がないと何も使えない」「障害者雇用しか道がない」は正確ではありません
誤解1:「手帳がないと、支援は何も使えない」
ハローワークや地域障害者職業センターの支援、職場での合理的配慮は、手帳を持つ人だけのものではありません。手帳が必要なのは、雇用率に数えられる場面です。
誤解2:「発達障害があると、障害者雇用しか道がない」
一般の求人で、障害を伝えて、あるいは伝えずに働いている人もいます。どちらが合うかは、本人がどんな配慮を必要としているかで変わります。
誤解3:「大学に入れば、大学のほうで気づいて支えてくれる」
支援を担当する部署がある学校は97.9%ですが、支援は本人の申し出から始まります。入学前に、障害学生支援の窓口へ相談しておくと動きやすくなります。
誤解4:「高校を卒業したら、相談できる場所がなくなる」
発達障害者支援センターは、発達障害のある子どもと大人、その家族の相談に応じる機関です。障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センター、ハローワークは、働く人と働きたい人のための窓口です。高校を出たあとも、相談の入り口は残っています。
選択肢の1つとしてのニジ高(正直な注意点)
将来の不安の手前に、「今の高校に通い続けること自体がつらい」という状況があるご家庭もあると思います。毎日を乗り切るだけで精一杯のときは、高校生活の環境を変えることも、選択肢の1つになります。
NIJIN高等学院(ニジ高)は、株式会社NIJINが運営するオンライン中心の通信制高校サポート校です。担任がつき、カメラやマイクをオフにして、チャットだけで参加するところから始められます。授業のアーカイブ視聴や中学内容の学び直しにも対応し、途中からの入学(転入・編入)もできます(出願費用は無料)。不登校の生徒を650名以上サポートしてきました(グループ全体)。
ニジ高は、発達特性や障害を、本人を変えるのではなく学びの構造や環境を変えることで支援するという新しいアプローチを取っています。希望する生徒には、スタッフが1対1で伴走する支援があります。企業や自治体と関わる探究のプロジェクトや、希望する生徒が企業インターンとして出社するプロジェクト(東京の拠点・希望者向け)、総合型選抜に向けた小論文・面接・自己PRの講座にも取り組んでいます。
そのうえで、正直にお伝えしておくことがあります。
- ニジ高は高校ではありません。高校卒業の資格は、提携する通信制高校で取ります。
- 学院の中でのスクーリングはありません。提携する通信制高校のスクーリングには参加が必要です。スクーリングの形や日程は、個別相談会で詳しくご案内しています。
- 費用は、通信制高校の分とニジ高の分の両方がかかります。ニジ高の分に就学支援金は使えません。金額は学費のご案内をご覧ください。就学支援金の仕組みは通信制高校 学費の記事で説明しています。
- オンライン中心なので、毎日通う場所を求める人には合わない場合があります。
- 就労移行支援の利用や障害者求人への応募、手帳の申請は、この記事で紹介した公的な窓口の手続きです。診断や服薬の判断は、主治医・専門機関へお尋ねください。
発達特性のあるお子さんと通信制高校の相性は通信制高校 発達障害の記事で、今の高校から移るときの条件と手順は高校 転入の記事で、学校を比べるときの見方は通信制高校 選び方のページでまとめています。
迷ったときの進め方(3ステップ)
- ステップ1:今ある「記録」を集める。診断書や検査の結果、学校で受けている配慮、うまくいった工夫を1か所にまとめます。学校に個別の教育支援計画があるかも聞いてみます。
- ステップ2:発達障害者支援センターに、一度だけ電話をする。「高校生の子どもの卒業後のことで」と伝えて、地域で使える機関と、保護者だけの相談ができるかを聞きます。
- ステップ3:7つの道のうち、近いものを2つだけ選んで調べる。全部を調べる必要はありません。「大学と就労移行支援」「専門学校と一般の求人」のように2つに絞り、それぞれの最初の相談先に問い合わせます。
3つとも、お子さんの気持ちが固まっていなくても進められます。高校生活の環境から見直したい場合は、ニジ高の個別相談会(オンライン・30分・無料。保護者の方だけでも参加できます)で、学び方や費用について聞けます。


今の高校生活がつらいときの選択肢を、個別相談会で聞けます
ニジ高はオンライン中心の通信制高校サポート校です。カメラオフ・チャット参加から始められ、転入・編入もできます。ニジ高は高校ではなく、卒業資格は提携する通信制高校で取り、その高校のスクーリングへの参加が必要です。学び方や費用、進路に向けた取り組みは個別相談会で聞けます。
よくある質問
Q. 発達障害があっても、就職して働き続けられますか?
A. 働いている人は増えています。厚生労働省の令和5年度の調査では、従業員5人以上の民営事業所で働く発達障害のある人は推計9万1,000人で、5年前の3万9,000人から増えました。大学などを令和6年度に卒業した発達障害のある学生の就職率は75.9%です(JASSO。就職を希望した人に対する割合)。ただし、これは全体の数字で、一人ひとりの結果を約束するものではありません。
Q. 診断が出ていない「グレーゾーン」でも、就労の支援は使えますか?
A. 窓口によります。ハローワークや地域障害者職業センターの支援は、手帳ではなく「職業生活に相当の制限があるか」で対象を見ます。一方、障害福祉サービスの申請では診断書などの書類を求められます。障害の有無を問わない窓口としては、15歳から49歳までの就学中でない人が使える地域若者サポートステーションがあります。まずは発達障害者支援センターかハローワークに聞いてみてください。
Q. 障害者手帳は、高校生のうちに取っておいたほうがいいですか?
A. 一律には言えません。精神障害者保健福祉手帳は、初診日から6か月以上たってから申請でき、2年ごとに更新があります。障害者求人への応募を考えるなら関係してきますが、進学や一般の求人への応募には手帳は関係しません。ご本人の気持ちを聞いたうえで、主治医と相談して決めてください。
Q. 就労移行支援は、高校を卒業してすぐに使えますか?
A. 障害者総合支援法の「障害者」は18歳以上で、発達障害のある人も含まれます。使えるかどうかは、市区町村が書類を確認して決めます。利用期間は標準24か月です。卒業後すぐに使いたい場合は、在学中に市区町村の障害福祉の窓口で、必要な書類と手続きにかかる期間を確かめておきます。
Q. 通信制高校に移ると、進学や就職で不利になりますか?
A. 通信制高校の卒業は、全日制と同じ高等学校の卒業です。大学や専門学校の受験資格も同じように得られます。就職では、学校に届く求人や進路指導の体制が学校によって違うため、入学前に確かめておくことをおすすめします。なお、サポート校に通う場合も、卒業資格は在籍する通信制高校で取ります。
将来の全部を、高校生のうちに決めなくてかまいません
「この子の将来はどうなるのか」という問いに、今日の時点で答えを出せる人はいません。けれど、卒業後の道を7つに整理できること、主な相談窓口が5つあること、その多くは手帳がなくても入り口に立てることは、制度の資料で確かめられました。
進学しても、就職しても、準備の期間を取っても、そこから別の道へ移る仕組みがあります。高校卒業の時点で、その先がすべて決まるわけではありません。
まずは、記録を1か所に集めること、窓口に一度電話をしてみることから。保護者の方が一人で抱えこまずに、頼れる先を1つずつ増やしていけますように。
卒業後を見すえた高校生活の作り方は、個別相談会で聞けます
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